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言論封殺をしているのはいったいどっち?

日本第一党という政党の関係者が昨日、討論会を開催しようとしたところ、反対派からの物理的な妨害に遭い、討論会自体が中止されるという事件がありました。何より大きな問題があるとしたら、今のところこれを大きく批判的に報じたメディアが見当たらない、という点でしょう。

扱いが小さい「表現の自由の侵害」

討論会を物理的に阻止

昨夜、産経ニュースにこんな記事が掲載されました。

「反ヘイト条例は是か非か」討論会が反対派の抗議で中止 講演の弁護士ら、会場に入れず(2018.6.3 20:15付 産経ニュースより)

記事の書き出しは、次のとおりです。

ヘイトスピーチ対策法施行から2年となる3日、川崎市川崎区の川崎市教育文化会館で3日に開催する予定だった市民団体「ヘイトスピーチを考える会」主催の講演会が、会館前に押しかけた反対派市民団体の関係者らにふさがれ、考える会は集会を延期した。

この「ヘイトスピーチを考える会」の代表者は、「日本第一党」の最高顧問でもある瀬戸弘幸氏だそうで、産経ニュースによれば、「講演会反対派が出入口周辺に座り込むなどし」て、講演会参加者が入館することができなかったようです。

産経ニュースが挙げている「講演会反対派」の団体名は、「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」や、「対レイシスト行動集団(前身は「レイシストをしばき隊」)」などです。とくに「対レイシスト行動集団(前身は「レイシストをしばき隊」)」はツイッターなどで集結を呼び掛けていたとしています。

日本第一党とは?

ところで、この「日本第一党」とは、いったい何者なのでしょうか?

私が調べたところ、2016年7月に行われた都知事選に立候補したこともある、桜井誠(さくらい・まこと)氏が党首となり、同年8月に結党された政党です。総務省にも政党として届け出が行われており、実際、同党の平成28年度の政治資金収支報告書総務省ウェブサイトにも掲載されています。

私自身、東京都民の1人として、実際に新宿駅南口で行われた桜井誠氏の街頭演説を聞いたことがありますし、その際、日本共産党の街宣自動車を使った妨害活動が行われていたのを目撃したこともあります(その様子は、当ウェブサイト開設直後の記事『東京都知事選の総括』にも収録しています)。

日本第一党が掲げる政策については、同党のホームページを見て頂くのが早いと思います(余談ですが、私個人的には、「消費税の廃止」には賛同しますが、「所得税は現状の7段階から累進性を高め、更に多段階とする制度づくり」という下りには賛同できません)。

現在、この日本第一党に所属する国会議員、地方議員などは存在しません。なお、私自身は、もし彼らが東京一区で衆議院議員候補を擁立するならば、その人物に投票するかどうかは、その人物が主張する政策次第で決めたいと考えています。

暴力で阻止することが妥当なのか?

桜井誠氏自身の主張については、私にとっては賛同できる部分と、そうでない部分があります。私自身が「日本第一党をどう考えているか」についてのコメントは、現段階では差し控えたいと思いますが、一般論でいえば、どんな政治家・政治活動家であっても「すべての人が賛同できる公約」を作ることは困難です。

したがって、民主主義社会においては、「その人の主張を聞いて判断する」という姿勢が何より重要です。だからこそ日本国憲法第21条で「表現の自由」が設けられているのであり、何人たりとも、この「表現の自由」を物理的に阻止することは許されません。

ところが、なぜかこの日本第一党や桜井誠氏の関係者に対し、産経新聞を含めた日本のメディアは、非常に冷たい態度を取っているように思えてなりません。今回の事件も、産経ニュースは『反対派の抗議で中止』などと報じていますが、実態はそうではありません。単なる暴力的な活動です。

確かに日本第一党の主張内容は、ときとして過激に映ることもあるかもしれません。しかし、その関係者が開こうとしている集会を、暴力によって阻止するのは、明らかに表現の自由の侵害です。

神奈川新聞は民主主義の敵

マス・メディアは今回の事件を「表現の自由の侵害」として強く咎めなければおかしいと思うのですが、私が知る限り、今のところそのような観点から批判した新聞を発見することができません。それどころか、地元の神奈川新聞はこれを好意的に取り上げているほどです。

繰り返しになりますが、私は別にこの「日本第一党」という政党を、積極的に支持しているわけでもなければ、反対する立場にもありません。あくまでも私は「どの政党に投票するかは選挙のたびに是々非々で判断する」という姿勢を取っています。

このため、日本第一党やその関係者の集会が行われたとしても、現段階では、それらに積極的に参加しようとは思いません。しかし、それはあくまでも私自身の判断であって、「気に入らなければ行かなければよい」だけの話です。

それを、自分たちの主張と異なるからといって、「ヘイト集会だ」と決めつけ、会場に押しかけて物理的に討論会を潰してしまうやり方は、絶対に許してはなりません。自由・民主主義の根幹にあるのは表現の自由であり、それを否定する神奈川新聞こそが、自由・民主主義の敵です。

もっとも、神奈川新聞がこうしたダブル・スタンダードを貫くならば、やがて、まともな人は神奈川新聞を購読することをやめるでしょう。都心に優良不動産を所持している朝日新聞やTBSなどと異なり、経営体力のない地方紙こそ、偏向報道をやめた方が身のためではないかと思うのですが、いかがでしょうか、神奈川新聞さん?

新宿会計士: