最新の内閣支持率調査を眺めてみると、どうもニコニコ動画のアンケート調査との乖離が大きすぎるような気がします。ただ、本当に国民の意見を集約する手段は、世論調査ではなく選挙です。
目次
主要メディアによる世論調査
主要メディアによる内閣支持率調査の結果が出揃ってきました。当ウェブサイトとして注目しているのは、主要全国紙と通信社、および一部のテレビ局のものに加え、ニコニコ動画が毎月1回実施しているネット世論調査です(図表1)。
図表1 最新の内閣支持率の調査結果
メディアと調査日 | 支持 | 不支持 |
---|---|---|
共同通信(5/12~13) | 38.9%(+1.9) | 50.3(▲2.3) |
読売新聞(5/18~20) | 42%(+3) | 47%(▲6) |
朝日新聞(5/19~20) | 36%(+5) | 44%(▲8) |
NNN(5/18~20) | 32.4%(+5.7) | 50.6%(▲2.8) |
産経新聞・FNN(5/19~20) | 39.8%(+1.5) | 48.5%(▲5.6) |
毎日新聞(5/26~27) | 31%(+1) | 48%(▲1) |
ニコニコ動画(5/24 21:40) | 56.9%(+2.3) | 20.1%(▲2.5) |
(【出所】各社報道より著者作成。ただしNNN調査については「不支持率の前回対比の増減」が明記されていないため、著者調べにより情報を補足している)
この調査を見ると、次の共通点があります。
- 内閣支持率は前回調査と比べて上昇していること
- 内閣不支持率は前回調査と比べて下落していること
- ニコニコ動画の調査を除き、いずれも調査でも不支持率が支持率を上回っていること
といっても、NNNと毎日新聞の世論調査だと、内閣支持率は30%を辛うじて上回っているに過ぎません。メディア関係者は常々、「内閣支持率が30%を割り込むと危険水域だ」と主張していますが、NNNと毎日新聞の調査が正しければ、安倍内閣は危険水域近辺にいることになります。
しかし、図表1に示した調査のうち、この両社とニコニコ動画の調査を除けば、いずれも支持率は30%台後半から40%台にあります。これに対し、ニコニコ動画の調査を除くと、不支持率は50%前後で、軒並み支持率を上回っているものの、見方によっては支持・不支持が拮抗している状況にあります。
冷静に見ると色々おかしい
不自然なのはどっちだ!?
さて、当ウェブサイトで常に議論の俎上に載せているのは、ニコニコ動画のアンケート調査結果です。
視覚でわかるよう、図表1をグラフ化してみると、図表2のとおりです。
図表2 最新の内閣支持率(グラフ化・クリックで拡大)
(【出所】各社報道より著者作成)
棒グラフで、青が「支持」、赤が「不支持」を意味します。共同、読売、朝日、NNN、産経・FNN、毎日の調査では、いずれも不支持が支持を上回っているのですが、ニコニコ動画の場合は、支持率が不支持率を圧倒的に上回っています。
実は、ニコニコ動画の調査だと、こうした傾向は今回だけでなく、以前から続いています。常に支持率は50%を超えていて、不支持率は25%を割り込んでいる(つまり支持率は不支持率の2倍以上である)、という状況にあります(図表3)
図表3 ニコニコ動画のアンケート(クリックで拡大)
(【出所】ニコニコ動画より著者作成)
既存メディア(新聞社、テレビ局、通信社)による世論調査だと、「加計学園『問題』」の報道が過熱していた昨年7月と、「森友学園問題に関わる財務省文書偽造問題」「財務省事務次官セクハラ疑惑」などの報道が過熱していた今年3~4月に、支持率が急落し、不支持率が急上昇しています。
これに対し、ニコニコ動画のアンケートだと、確かに2017年7月と2018年4月に、不支持率が有意に上昇しているものの、それでも25%を超えておらず、これに対して支持率は50%を超えている状況にあります。
このことから、既存メディアとニコニコ動画の双方が日本国民の世論を正しく代弁していることは絶対にあり得ない、ということがわかります。もっと厳格にいえば、
- (A)既存メディアの方が正しく、ニコニコ動画が正しくない
- (B)ニコニコ動画の方が正しく、既存メディアが正しくない
- (C)既存メディア、ニコニコ動画のいずれも正しくない
の3択しかあり得ないのです。
世論調査を悪用してきたマスゴミ
果たして、日本国民は安倍晋三総理大臣に政権を担当し続けて欲しいと思っているか、それともすぐに退陣して欲しいと思っているか、そのいずれなのでしょうか?
既存メディアの調査を信じるならば、不支持率は共同通信とNNNで50%を超えているほか、軒並み40%台後半に達しています(朝日新聞調査を除く)。このことから、(A)説を取るならば、日本国民の半数前後が安倍政権を支持していない、ということになります。
もちろん、日本は「議院内閣制」という間接選挙の仕組みを採用しているため、「内閣総理大臣に相応しい人は安倍晋三」と書いて投票する、というものではありません。衆議院議員総選挙を制した政党の党首が、事実上、政権を担う、という仕組みです。
ただ、それと同時に、国民の過半数が支持していない人物が党首を務めていれば、その政党(=自民党)は次回総選挙で敗北するはずであり、そうならないよう、自民党内で自浄作用が働き、安倍晋三氏を総裁の座から引きずり下ろそうとする力学が働きます。
こうした力学こそが、マス・メディアが「キング・メーカー」として君臨してきたゆえんです。
以前、『RSFランキング最新版と倒産に向かうマスゴミ』のなかで、日本のマス・メディアは事実上、8社によって独占されていると指摘しました。つまり、インターネットが存在しなければ、この8社の談合により、政権の首をすげかえることも自由自在だったのです。
マス・メディアは報道を通じて、自分たちの主張を巧妙に混ぜ込みながら世論調査を誘導し、その結果、自民党に対しても、マス・メディアにとって都合が悪い総裁を出さないように、圧力を掛けてきた、というのが戦後日本政治の悪弊ではないでしょうか?
(※なお、「マスゴミ」とは、ゴミのような情報ばかり垂れ流しにするマス・メディアに対する、一般国民の怒りを伴った俗語ですが、最近ではすっかり人口に膾炙した感があります。)
最も正確な世論調査とは、選挙である!
私は、上記(A)~(C)のどれが正しいと単純に申し上げるつもりはありません。ニコニコ動画の調査にしたって、母集団は動画を視聴している人たちに限定されており、日本全体の年齢、性別、職業、居住地域などの特性を正確に代弁している保証などないからです。
ただし、「ニコニコ動画の調査結果が正しくないかもしれない」という命題が正しかったとしても、「既存メディアの調査が正しい」という命題の証明にはなりません。いや、むしろ、調査手法が電話調査などに偏っている既存メディアの調査にも、問題が多く含まれています。
いや、むしろ、マス・メディアが実施する世論調査は、調査結果をいかようにも誘導できてしまいます。これについては、私は別にマス・メディアを批判しているわけではありません。調査というものは、どういうものであっても、「必ず公正な結果にする」ということが難しいのです。
たとえば、ニコニコ動画の調査にしたって、すなおに内閣支持率を尋ねただけのものではなく、加計学園の獣医学部新設を巡る質問や、景気判断など、内閣支持率と関係がない調査項目も多く含まれているからです。
「加計学園」の獣医学部新設について、信用するのは「安倍首相の説明」37.1%(2018/5/24 21:20付 ニコニコ動画より)
もちろん、私個人的には、ニコニコ動画の調査については既存メディアの調査と比べ、はるかに信頼性が高いと考えています。しかし、やはり人為的に実施される調査である以上、どうしても限界はあります。
その意味で、日本国民の最も客観的で、最も正確な意見とは、選挙結果に他ならないのです。
世論を無視しているのは野党?
「いいかげんにしろ」は野党にこそ言いたい
さて、安倍政権にしつこく退陣を求める人たちがいます。その筆頭は野党の人たちですが、先週木曜日に東京・有楽町で、5野党が共同で「#いいかげんにしろ0524」と銘打った街頭演説会を開催したのだとか。
安倍政権いいかげんにしろ=モリカケ追及、街頭で訴え-5野党(2018/05/24-20:03付 時事通信より)
時事通信の記事によれば、参加したのは立憲民主党、国民民主党、日本共産党、自由党、社会民主党の5野党です。(わりとどうでも良い話かもしれませんが、希望の党は招かれなかったのでしょうか?)
私に言わせれば、「いいかげんにしろ」と言いたいのは国民の側です。「もりかけ・セクハラ・日報問題」で国会を20日間もサボり、やっと審議に出て来たと思ったら、いつものあの揚げ足取りに終始する連中は、本当に税金の無駄であり、国民の敵です。
支持率は合計して自民党の3分の1
ただ、この反日野党の皆さんにとっては最大の応援勢力であるはずの朝日新聞による世論調査によれば、5つの政党の支持率は、合計しても12%に過ぎません。
世論調査―質問と回答〈5月19、20日実施〉(2018年5月20日22時09分付 朝日新聞デジタル日本語版より)
政党支持率は、自民党が36%(前回33%)でトップとなり、次いで立憲民主党の9%(前回10%)、公明党3%(前回4%)・共産党3%(前回3%)などが続くのですが、国民民主党、日本維新の会が1%、それ以外の自由党、日本のこころ、社民党、希望の党などは0%です。
自由党、社民党、希望の党が支持率ゼロ%となっている理由は、朝日新聞調査だと、小数点未満が表示されていないためでしょう。このため、本当にこれらの政党の支持率がゼロ%なのではなく、本当は0.1~0.4%程度はあるのだと思います。
ただ、5野党の支持率を合計しても自民党の支持率の3分の1(しかも野党に有利な調査結果が出ているという疑いが濃厚な朝日新聞によるち調査で)というのは、私の目には説得力があるようには見えません。
枝野幸男代表の邪心
こうした中、私が最近、一番警戒している話題が、こちらです。
内閣不信任案を検討=枝野立憲代表「自信あるなら解散を」(2018/05/26-22:14付 時事通信より)
枝野幸男・立憲民主党代表が土曜日、訪問先の沖縄県宮古市で記者団に対し、安倍内閣に対する不信任決議案に言及。そのうえで、
「一刻も早く国民の信を問え、自信があるなら堂々と衆院を解散しろと思っている」
と述べたのだそうです。
枝野氏のこの自信と、今のタイミングでの解散総選挙は、いったい何を目的としたものなのでしょうか?
それはずばり、「野党全体での議席数が伸びることではなく、自分の政党の議席数さえ伸びれば良い」、という邪心です。主要メディアの世論調査によれば、立憲民主党が野党の中で最も高い支持率を得ています。また、日本共産党との選挙協力次第では、それなりに議席を伸ばすこともできるかもしれません。
ただ、理屈の上では、立憲民主党と国民民主党、希望の党、日本共産党などの「反日野党グループ」の合計獲得議席数は、現有議席数を割り込む可能性は非常に高いと思います。国民民主党などが壊滅状態に追い込まれたとしても、立憲民主党がむしろ議席を微増させれば、枝野氏としては満足なのです。
あくまでも私の見解に基づけば、立憲民主党の狙いは、とうてい実現できないような空絵事を主張し続け、政権与党の足を引っ張りながら、自分たちは絶対に政権の座に就かない、という立ち位置を確保することにあります。要するに、旧社会党の復活ですね。
こんな政党であっても、野党第一党の地位を確保すれば、副議長、皇室会議予備メンバーなどを輩出することもできますし、野党の質問時間配分を決める権利もあります。つまり、「野党第一党」で居られること自体が、立憲民主党にとっては1つの狙いなのです。
まともな野党が存在しないことが、現在の日本にとっての最大の不幸であるということは、ほぼ間違いないでしょう。
View Comments (1)
< 昼刊発信ありがとうございます。
< 不思議ですね〜各社の「世論調査」は。
だいたい支持率30%を切ったら危険水域というのが通り相場らしいですが、以前の首相で最初だけ40%台で、30%、20%台と落ちて最後に10%台の方も居ましたよ。末期は1桁も(笑)。だから『30%がボーダー』という事自体、勝手な線引きと思います。
< 今迄、支持率低くても、それでも『#いいかげんにしろ0524』なんて集会が行なわれた記憶無いです。5年以上首相やられて、クソメディアが30%台後半から40%台出さねばならぬというのは、ある意味凄い事です。
< よっぽど安倍総理が君臨してると、都合の悪い方がいらっしゃるようだ。逆にニコニコ動画以外は、内閣不支持率が40%台後半や50%超という方が気になりますね。というのもニコニコ動画以外は内閣支持と不支持を足せば80〜89%になる。設問にもよりますが、支持でも不支持でもない率が10.8%〜21%って、低すぎると思いませんか?
< 『どちらでもない』『分からない』『判断できない』『支持する時も支持しない時もある』という層は一定数いるでしょう。ニコニコ動画はその層が23%です(毎日も何故か21%だが)。いかがですか、これが妥当な範囲と思われませんか?
やはり、サンプルの取り方が偏ってますね。
< 枝野氏は野党第一党、反対派の頭領になりたい。そうすれば今なら得票が多少、他野党支持者から乗り換えで増えるかもしれない。
< 日本社会党ではないが、成田知巳、飛鳥田一雄、石橋正嗣、土井たか子、村山富市のように代表(委員長)として君臨できる。海外からの賓客にも会える、海外行っても待遇が良い。しかし、社会党と同じ運命を辿るのは目に見えてます。初回80議席ぐらい取って、右肩下がり。また党の名前変える(笑)。
< 失礼します。