【夕刊】シャークに触ったらごめんなさい――理解に苦しむ米国の「サメ映画愛」

米国を代表する「一流経済紙」とされ、マーケット関係者なら必読とされる米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ですが、ときどき、実に奇妙な記事が掲載されます。あまりにくだらなすぎて脱力してしまうのですが、こういう下らなさに全力を尽くせるのがアメリカ人という人たちなのかもしれません。

サメ愛に興ザメ

何ですか、この記事は?

米メディアのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に数日前、こんなヘンテコな記事が掲載されました。

It Wouldn’t Be Summer Without a Shark Movie(2018/05/10 09:30付 WSJより)

タイトルを直訳すれば、「サメ映画なしに夏は来ない」、といったところでしょうか?正直、内容としては脱力してしまうものです。記事の書き出しからして、こうです。

Here are some sharks that have broken into Hollywood: A swamp shark, a ghost shark, a two-headed shark, a snow shark, a sky shark, a toxic shark, a lake shark, a shark in Venice, a spring-break shark, a three-headed shark and a sharktopus.(意訳)さまざまなサメが、ハリウッドを侵略している。沼サメ、幽霊サメ、双頭サメ、雪サメ、空ザメ、毒ザメ、湖のサメ、ベネチアのサメ、春休みサメ、三頭サメ、そしてシャークトパス(サメ+タコ)…。

何ですか、シャークトパスって(苦笑)意味が分かりません。ただ、ベネチアザメや春休みサメについては、少し見てみたい気がする…(笑)

そして、延々とサメ映画について熱く語るWSJ。記事にはさまざまな種類のサメとその大きさが図示されており、あわせて同縮尺で人が書き込まれており、ある意味で参考になるようなならないような気がします。

ちなみに「双頭のサメ」とは、その名の通り、頭が2つあるサメのことでしょう。しかし、「三頭サメ」となるとやり過ぎですし、「六頭サメの攻撃」(“Six-Headed Shark Attack.” 、副題は“Don’t mix with the six!” )に至っては意味が分かりません。

なぜなら、サメ1匹に頭がいくつついていたとしても、胃袋は1つしか存在しないはずだからです。

ただ、調べていくと、どうもアメリカでは昨年、「5頭のサメ」がTV映画化されていて、今年はそれが「6頭」に増えたのだそうです。来年は「7頭」、再来年は「8頭」でしょうか?

空飛ぶサメに興ザメ

WSJ記事の中でも、とりわけ酷い(かつ興味深い)と思ったのは「シャークネード」(Sharknado)です。これは、サメ(shark)+トルネード(tornade、竜巻)の合成語で、いわば、竜巻に運ばれてきたサメと人類の戦いを描いた作品だそうです。

第1作では暴風と豪雨とともにLAに飛来したサメと戦うという設定であり、それだけでも荒唐無稽ですが、第2作目以降はだんだんエスカレートし、たとえばサメが航空機やニューヨーク市を襲ったり(同2)、ワシントンを襲ったり(同3)するというものです。

驚いたことに、このシャークネードは第6作まで製作されており、シネマ評価サイトで驚くほど低い評価を得ていながらも、ごく一部のマニアにはウケているという様子が見てとれます。

何が言いたいかわからないがサメ愛だけはよくわかる

いずれにせよ、WSJの記事については、CGのサメを撮影する映画制作サイドの苦悩や工夫、どうやってサメを爆発させるかという「ワンパターンからの脱却」などについて延々と熱く語られているのです。

また、WSJはサメに襲われる犠牲者役の俳優についても、「どうやれば本当にサメに襲われているように見えるか」を工夫し、浜で引っ張りまわされるとかの涙ぐましい努力について、延々と語ってくれます。砂まぁ、個人的には興味がないのでどうでもよい話ですが(笑)。

正直、何が言いたいのかよくわかりませんが、サメ愛だけはビシビシ伝わってきます。そうでなければ「サメなくば夏は来ない」という発想には行き着かないからです。

さらに、「sharktopus」(サメタコ)に至っては、意味不明です。これは、サメとタコの細胞を合成して生み出された「生物兵器」だそうで、海中でも陸上でも活動が可能であり、タコ墨を吐いて人間を捕食するのだとか。おおこわ(苦笑)

ついカッとなって…

B級映画よ、永遠なれ(笑)

米国・ハリウッドといえば、スターウォーズを初め、数々の名作映画で知られています。ただ、冷静になって考えてみるならば、1つの「超名作」が出現するまでに30の「名作」があるはずであり、1つの「名作」の裏には30の「駄作」があるはずです。

ということは、1つ「超名作」があれば、30×30=900の「駄作」が出現するはずです(根拠は全くありませんが、きっとそうに違いありません)。

サメ映画についてはもともと、1975年のスティーブン・スピルバーグ監督の名作「ジョーズ」(JAWS)がその皮切りとなったのですが、その名作が大量のB級・C級映画を生み出し、米国人を「サメのとりこ」にしたのですから、罪深い話です。

ちょっと調べてみたのですが、WSJが紹介した以外にも、「アトミックシャーク」(核爆発を引き起こすサメ)、「サメの惑星」(猿の惑星のパクリ?)、「ゾンビシャーク」(噛まれると、人もサメもゾンビ化してしまうというゾンビサメ)、「シン・ジョーズ」(「シン・ゴジラ」のパクリ?)、「ジュラシック・ジョーズ」や「ジュラシック・シャーク」、はたまた「シャーク・エクソシスト」(悪魔が憑りついたサメに十字架で戦いを挑むエクソシスト)…、とまぁ、よくぞここまでサメ作品が出現するものだと驚きます。

日本でもヒット作にあやかった変な作品が乱造されることもあるので、外国のことをとやかくいう権利があるのかと言われれば微妙ですが、それでもアメリカ人の強烈なサメ愛については、やはり私個人としては理解の範疇を超えたところにあるのかもしれません。

そんな私に申し上げられることは、ただヒトコト。「B級映画よ、永遠なれ」(笑)です。

オマケ:ムシャクシャしてやった、後悔先立たず

昨日、私はWSJの記事を読んで、思わずツイッターにとんでもない内容を投稿してしまいました。

すみません。ついムシャクシャしてやってしまいました。しかし、我ながら失言だと思いますが、もうツイートしてしまった以上、取り消すつもりもありません。もっとも、後悔していないといえばうそになるかもしれませんが…(「後悔先立たず」という言葉をこれほど痛感したことはないでしょう)。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 夕刊の配信ありがとうございます。
    < 「シャーク・エクソシスト」「ジュラシック・シャーク」「シン・シャーク」、、、(笑)
    一発大ヒットすると必ず2弾目3弾目、あるいはパートⅡ パートⅢが出ますね。たいがい一作目よりエゲツない、よりハードな場面を入れてます。また全く違う脚本家と俳優によって「似た者タイトル」B級が作られたりします。米国人ってホントにシャークが好きですね。よく飽きない事だ。
    < でも私は、香港映画のキテレツな作品よりマシかと(笑)。個人的には大枚かけて大物俳優女優を使った作品より、欧州特に、東欧の地味な映画が好きです。風景がとても絵になる。
    < 失礼します。

  2. シャークシャーク より:

    こんな下らん記事掲載しやがって、本当にシャークに触るぜ。自分のシャレがジョーズだとでも思ってんのか。興ザメもいーところだ。

  3. 一日本人 より:

    大変興味深いです
    ジョーズとアルマゲドンは何作も?出てるみたいですね

    B級というには大作すぎるかもしれませんが、ステルス、第9地区あたりも似た雰囲気があるように感じています

  4. 匿名 より:

    一瞬、「ムシャクシャしてやった」が「ムシャムシャしてやった」に見えた

    1. あいあい より:

      昔、2chのコピペで、
      「つい、ムシャムシャしてやってしまった」
      「今は反芻(はんすう)している」
      ってのを思い出しました。

  5. より:

    サメ映画の簡単な指標って「サメが映ったら良い映画」だそうです。この時点である程度察しがつきますよね(笑)
    レビュー動画をいくつか見たこと有りますけど、本編をレンタルしてみようとはとても思えませんでした。

  6. 匿名 より:

    おもしろい記事でした。
    アメリカは広いから、
    内陸部の人が本物の鮫を見に行く、だけでも作品が撮れそう。

    アメリカ映画の予告や選ぶ際には気にしてみます。

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