『「朝日新聞対財務省」は記者クラブ制度を破壊する?』の「続報」として、JBプレスのある記事を紹介してみたいと思います。
不正常を正常に
記者クラブ崩壊の予言
「テレビ朝日の女性記者に対するセクハラ疑惑の発生を受けて、オフレコ記者懇談会を中止する動きが相次ぐだろう」、という観測記事を、「JBプレス」に発見しました。
テレ朝の女性記者がつくった財務省セクハラ騒動/オフレコ情報を週刊誌に売り込む自殺行為(2018.4.20付 JBプレスより)
記事を執筆したのは経済学者の池田信夫氏です。同氏の主張の全文についてはリンク先の記事を直接読んでいただきたいのですが、ここでは池田氏の『オフレコ情報を週刊誌に売り込む背信行為』という小見出しの、次の文章に注目したいと思います。
「それより重大なのは、女性記者が事務次官の話を録音し、それを週刊誌に流したことだ。この会話はもちろんオフレコなので、無断録音である。テレ朝はこの点について「第三者に録音を渡したことは不適切な行為だった」と謝罪した。」
「テレビ朝日の女性記者が事務次官の話を録音し、週刊誌に流した」という点については、私は現段階でこれを「事実認定」するのは尚早だと思います。あくまでも「その疑惑が生じている」という状態に過ぎません。
ただ、そうした細かい点はひとまず脇に置くとして、池田氏は「無断録音と情報の横流しという2つの問題がある」と指摘。無断録音した内容を引用することは「ルール違反」であるとしつつ、
「録音の漏洩は、さらに重大な問題だ。事務次官がテレ朝の記者に話すことは、記者クラブの加盟社の暗黙のルールの中で使われるという前提なので、それ以外のメディアに横流しすると信頼関係は崩壊してしまう。」
と指摘します。
そもそもがおかしな関係
こうした文章は、池田氏が日本のマス・メディアにおける記者クラブ制度や取材慣行などに詳しいからこそ書ける内容なのでしょう。今回の事件は、現在の日本のマス・メディアにおいて、役所(あるいは記者クラブ)との「暗黙のルール」を破るものだったとする指摘は、なかなか興味深いところです。
ただ、この文章を執筆した池田氏の意図からは外れるかもしれませんが、私はそもそも、この「暗黙のルール」が存在していること自体がおかしいと考えています。というのも、どう考えても役所とマス・メディアとの「馴れ合い」の関係だからです。
池田氏はこれについて、
「これを不問に付したら、テレビ朝日の記者は「夜回り」などのオフレコ取材はできなくなるだろう。役所の広報以外の報道ができなくなるのは言論機関の自殺行為である。」
と述べていますが、そもそも「オフレコ取材」がなあなあの関係により許されていること自体がおかしな話です。「オフレコ取材がなくなった結果、役所の広報以外の報道ができなくなる」のだとすれば、それはマス・メディア関係者の取材力という問題に過ぎません。
この点、私は『「朝日新聞対財務省」は記者クラブ制度を破壊する?』の中で、今回の朝日グループによる情報漏洩疑惑が、記者クラブ制度を破壊しかねないものだと申し上げました。そして、むしろ記者クラブ制度など、私たち日本国民にとっては「百害あって一利なし」の制度であり、日本の民主主義の敵です。
いっそのこと、今回の「事件」をきっかけに、記者クラブ制度が音を立てて崩壊してくれた方がありがたいとすら思います。
事実と意見を分けることから
私の持論ですが、あらゆる記事には、客観的な事実関係と主観的な意見をきちんと分けることが必要です。あるいは、記事を読んだ人が、自分の頭で「これは事実関係」、「これは書き手の意見」、と、分けて捉えるべきだという言い方もできます。
この点、日本のマス・メディアは、客観的な事実関係と主観的な意見を混ぜて報道することが多いです。私が常日頃から批判しているとおり、朝日新聞においては特にそれが酷く、ときとして客観的な事実関係を歪曲・捏造して報じることもあります。
その意味で、日本の民主主義を歪めている犯人は、安倍政権ではなく、朝日新聞を筆頭とするマス・メディアであり、そのメディア報道を真に受けてしまう有権者たちです。ただ、よく考えてみれば、そもそも日本国民が客観的事実と主観的意見をきちんと峻別して考えることができれば、2009年の政権交代も発生しなかったのではないかと思います。
それはさておき、民主主義社会において何より必要なことは、事実と意見をきちんと分けて把握することです。そのためには、記事の書き手、記事の読み手がともに変わらなければなりません。
現在の日本は、インターネットを通じて欲しい情報をすぐに手に入れることができ、また、誰もが情報発信者になることができるようになりました。これは革命的な変化です。しかし、それと同時に、「既得権益」にあぐらをかいている勢力は、まだまだ跋扈しているのも事実でしょう。
現在は過渡期にあります。朝日グループが「安倍憎し」のあまり、倒閣運動が高じて記者クラブ制度が崩壊したのだとしたら、それはそれで彼らマス・メディア(あるいはマスゴミ)グループの自業自得であり、マスゴミ崩壊の一里塚となることは間違いありません。
朝日グループによる今回の不祥事件も、長い目で見れば日本が良い方向に変わるためのきっかけになるのであれば、結果オーライ、といったところでしょうか。
View Comments (3)
記者クラブ制度は外国からも批判されているみたいだね。だいたい、官庁の情報をそのまま流すマスコミに問題があると思う。官庁のいいなりになるからね。警察情報も警察側だけの情報なので冤罪事件のときはマスコミはまあ大変だよね。もうネットもあるし記者クラブがなくても官庁自身が情報発信する手段はある。日本の役所はそれなりに優秀で、各省庁のホームページの情報は有用な情報がいっぱいあるよ。この前の森友の会計検査院報告なんて本当によくできている。マスコミの情報をみるより、会計検査院の報告の方がよほど役に立つ。もう記者クラブはやめたらいい。
まあ、なくならないでしょうね、財務省にとって低脳な手下(=マスゴミ)は極めて都合が良いから。財務省が呟いた嘘をそのまま大新聞やTVが勝手に発表してくれるんですよ(今までは無断音声録音されてなかったから嘘がバレても何があっても呟いた官僚は知らんぷり、こんな低脳なマスゴミは便利でしょう。
(オフレコって 財務省自身は何も言ってない。勝手にマスゴミが思い付き(例:国民の借金1000兆円)を新聞に書きTVで放映してるだけ)ってことになるんですよね。
ただ、今や 官僚一人一人が用心しだしたでしょうね、転落したくない官僚は記者に近づかなくなる、ハニトラ記者(←男も女も)だけでなく近づく記者全てを無視し排除するでしょうね。それと記者クラブは別。
テレビ朝日のセクハラ問題は論点がずれていると思います。この話を聞いて感じるのは
1 食事のお金の出どころは? もしテレ朝が払ってたら、公務員としはセクハラ以上の大問題。
2 公の立場の人間がなぜ報道機関と個人的な食事を? 個人的に親しい人に情報を流す、そんなことしてもいいの?
公務員としての姿勢はもちろん、それを望むマスコミの姿勢にも問題あり。
そのような行為(特定の業者への利益誘導ですよね)を批判する立場のマスコミが、それをやっちゃうの?
3 公務員の情報リークは法律に違反していることをリークするのは許される。
夜回りで親しくなれば、法に違反していなくてもリークしてくれる、ってことが許される訳?
これってセクハラ以前の問題でしょ、財務省さん。