「夕刊」と呼ぶには遅すぎるかもしれませんが、興味深い記事を発見したので、自分自身のメモがてら、外交的な雑感を掲載しておきたいと思います。
目次
ビジネスマンが外交を論じる意味
当ウェブサイトは「独立系ビジネス評論サイト」と名乗っていながら、しばしば、外交について議論することがあります。実は、外交もビジネスの延長で議論することができます。
そもそも私自身は外交官でもジャーナリストでもありません。単なるビジネスマンです。しかし、以前、『ビジネスマンのセンスで外交青書を読む』でも申し上げましたが、ビジネスの世界ではお互いに「譲れる部分」「譲れない部分」をすり合わせながら合意を形成することが多く、外交と非常によく似ている部分があります。
もっとも、外交とビジネスの最大の違いとは、ビジネスの場合は「同じビジネスマン」という共通の認識を持って話をすることが多いのに対し、外交の世界だと、日本では考えられないような独裁国家を相手にタフ・ネゴシエーションを余儀なくされることもある、という点でしょうか。
ただ、ビジネスマンの場合も、本当に理屈の通じない相手とも円滑にビジネスを進めていかなければならないこともあるため、やはり外交とビジネスには共通点があるのだと言っても良いと思います。
日中外交と日韓外交の違い
外交カードの考え方
外交の世界では、「外交カード」という考え方があります。これは、相手と交渉するときに、こちらが譲歩したり、相手に譲歩させたりするための材料、というものです。これを感じさせる話題を、韓国メディア『中央日報』日本語版に発見しました。
理解しがたい強大国外交、中国が日本に8年ぶり「ハイレベル経済対話」要請(2018年04月10日13時43分付 中央日報日本語版より)
これは、中央日報が「日本メディアの報道」を引用する形で、今月16日に「日中ハイレベル経済対話」が行われると報じたものです。そして、中央日報が「理解しがたい」と述べている点は、今回の対話が(日本ではなく)中国の方からの要請により実現したものである、という点でしょう。
いや、もう少し正確に言えば、中国に対しては強く出られない韓国から見て、中国が一目を置く日本という存在の凄さを認めたくないという卑屈な気持ちかもしれません。ただ、中央日報の記者が理解していないのは、韓国の「属国外交」と、日本の「主体的外交」の在り方が根本的に異なる、という点です。
中央日報は「日本メディアの報道」を引用する形で、
「今回の経済対話で日本は中国側の東日本地域食品輸入禁止措置の解除とビザ発行要件の緩和なども要請する計画だ。これと共に中国側が推進中のシルクロード経済圏構想「一帯一路」と日本が主導する「自由で開かれたインド太平洋戦略」などについても意見交換があるだろうと、日本メディアは伝えた。」
と述べています。これは、日中両国がお互いに外交カードを持ち、丁々発止のやり取りをするであろう、という意味です。
もちろん、私自身は中国が主導する「一帯一路構想」や「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」に日本が積極的に関わることには反対です。ただ、それと同時に、中国が「一帯一路構想」に従ってインフラ整備を進めることで、結果的にアジアの交流が促進されるなら、それはそれで歓迎すべきです。
安倍政権の対中外交が優れているのは、こうした「相手(=中国)が欲しがるもの」をわかっていて、それをカードとして温存しておき、簡単にはそのカードを切らない、という点にあります。
中国は現在、日本固有の領土である尖閣諸島を奪おうと、虎視眈々と狙ってきています。そんな国が主導するインフラ整備構想におカネを出すなど、愚の骨頂です。ただ、それと同時に、中国が尖閣諸島を諦めたら、そのときにはAIIBに1%分くらいは出資してやっても良いかもしれません。
外交カードを理解しない国
ところが、こうした「外交カード」の考え方を、まったく理解していない国もあります。
韓国「福島産水産物の輸入禁止を継続」…WTOに上訴(2018年04月10日07時34分付 中央日報日本語版より)
同じく本日付の『中央日報』(日本語版)の記事によれば、韓国が2013年に打ち出した水産物の輸入禁止措置を継続する意向を明らかにしたのだとか。
問題の措置は、東日本大震災(2011年)から2年も経過した2013年になって韓国政府が突如として打ち出して来たもので、福島県を含めた8県(うち海のない県も含む)の水産物の輸入を禁止するという、むちゃくちゃな代物です。
もっとも、時期的に見て、韓国政府がこの措置を打ち出した日付は2020年の五輪招致会議の直前であり、要するに、単に東京五輪の妨害を目的にしたものです。科学的な根拠などまったくありませんから、WTOで上訴したところで韓国が敗北するのは目に見えています。
ただし、そもそも日本のWTO提訴の目的は、韓国という小さな市場に、ほとんど水産物を算出しない県の産品を売り込むためではないことは明らかです。もっといえば、今回の提訴は韓国に対する「意趣返し」と見るべきでしょう。
今年2月22日、WTOは日本の言い分をほぼ全面的に認め、韓国政府の措置がWTO協定違反だと断じました。いわば、「日本に対する不当な嫌がらせを仕掛けた場合、今後日本は容赦なく韓国を国際社会に引きずり出すぞ」、というメッセージになった格好です。
それなのに、勝ち目のない上訴に踏み切った韓国政府は、本当に冷静な判断力を欠いているとしかいいようがありません。
韓国は「友好国」としてはあてにならない
冷静になって判断すれば、中国は共産党軍事独裁国家であり、日本とも世界とも相容れない、きわめて異質な存在です。これに対して韓国といえば、米国流の自由と民主主義の陣営に属しており、表面的には日本とまったく同じ価値を共有しています。
こうした事情は韓国についてもまったく同じで、本来、韓国は危険な軍事独裁国家である中国や、中国よりもさらに前近代的な専制独裁体制を敷く北朝鮮に近づくべきではありません。自由と民主主義をこよなく愛する日本と仲良くするのが彼らにとっての本当の幸せであるはずです。
つまり、日韓両国が仲良くすることは、日韓両国自身のためにとって良いことです。こうした考え方から、私自身、以前は「日韓両国は一衣帯水の関係にあり、未来に向けて共に発展していく関係を目指すべきだ」と素直に考えていた時期もありました。
しかし、実際には、韓国は日本の友好国の仮面をかぶりながら、あらゆる手段を使い、全世界で日本の名誉と尊厳を傷つけ続けています。東京五輪の招致決定の直前に非科学的な理由で輸入禁止措置を導入するような国に、日本の友好国としての資格があろうはずなどないのです。
現在の私は「日韓断交論」に近い立場を採用しています(※ただし、これについてはもう少し論じるべき点があるので、近いうちに機会を見つけて改めて議論したいと思います)。
話が分かる中国
ところで、中国は政治体制面では日本と絶対に相容れない国ですが、少なくとも「外交カード」については、きちんと理解している国でもあります。言い換えれば、韓国と違って、のべつ幕なしに日本を国際社会で貶めようとする国ではなく、きちんとした戦略に基づいている、ということです。
ということは、日本が中国とお付き合いする際には、絶対に警戒を緩めてはならないことは事実ですが、それと同時に、話し合えるところでは話し合いをし、軍事的衝突を回避しつつ、経済的利益を最大化するという考え方が通用する相手でもあるのです。
中国の首相や外相、財相、産業相などの来日が相次ぐと見られるなかで、日本は中国に対する警戒心を決して解くことなく、しかし、お互いに得られるものは得るという関係になるのが良いと思います。実際、中国が相手だと、そのような交渉ができるのです。
ところで、先ほど紹介した「日中ハイレベル経済対話」と聞くと、私などは日本政府が2017年1月6日に打ち出した、事実上の対韓制裁の一環である「日韓ハイレベル経済対話の凍結」を思い出してしまいます。
私は、「無能な味方は有能な敵よりも大きな脅威」だと考えていますし、また、手ごわい相手であっても、外交カードの考え方を理解している相手であれば、少なくとも話し合いをする価値は十分にあると考えているのです。
AIIBはどうなった?
さて、ここまで書いて気付いたのですが、「外交カード」という意味では、中国が日本に参加を呼びかけ続けている国際開発銀行である「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」はいったいどうなったのか。気になるところです。
そこで、ここでは「外交カードは簡単に切ったりしないことが重要だ」とだけ申し上げておき、次の記事で、このAIIBについての現況をアップデートしておきたいと思います。
View Comments (2)
< お疲れ様です。再々度の更新ありがとうございます。
< AIIBはどうなったんですか(笑)。あと20分が待ちどおしい!
< 所詮蛮国の南北朝鮮は、外交というものの本質を理解していません。取るもの、貰うもの、ぶん取るもの、騙し、恫喝、甲乙論は得意でも、偽人間、ヒトもどきです。だから日報みたいな意味不明の記事が出ます。
< 本当は、日本がなぜ中国の風上に立てるか、羨ましくて仕方ない。その反動で日本には『ウリが上だ』と息巻いて見せる。見苦しいのう。いちおう中国は大国でオトナや。大阪領事の呉氏も日本に来るなら、鶴橋や生野や京都市の南側、神戸市の長田、兵庫辺り回ってみればよい。
< 半島の韓国人朝鮮人のする事に、どれだけ被害者意識が起こっているか知ってるか?彼らは、日韓、日朝の摩擦は、減らして欲しいんだよ!まあ、本国人は、在日と言って見下すだけだろうが。もうすぐ国も無くなるからどうでもいいけど、日本に大量流入だけはやめてくれ。
< 失礼します。
韓国は中国の属国になってもらった方がよい。日韓の問題は韓国と話し合うのではなく、中国と話し合うことにすればよい。中国の方がはるかにまとも。