昨日、『ニコニコ動画』が公表した内閣支持率は前月比で1.6％ポイント低下。不支持率は2.7％ポイントも上昇している状況です。安倍内閣も、もはやこれまでなのでしょうか？

内閣支持率の低下

マス・メディアの調査だと、再び危険水域に？

『【夕刊】危機にこそ本領は発揮される』でも触れましたが、マス・メディアの調査によれば、安倍内閣の支持率は、いまや30％台にまで低下しています（図表１）。

図表１　主要メディアによる2018年３月時点の内閣支持率

メディアと調査期間	支持率	不支持率
読売(3/9～11)	48％（▲６％）	42％（＋６％）
産経・ＦＮＮ(3/10～11)	45.0％（▲6.0％）	43.8％（＋4.8％）
毎日（3/17～18）	33％（▲12％）	47％（＋15％）
朝日（3/17～18）	31％（▲13％）	48％（＋11％）
時事（3/9～12）	39.3%（▲9.4％）	40.4％（＋8.5％）

（【出所】各メディアの報道より著者作成）

比較的「政権に近い」ととされるメディアである読売や産経の調査だと、内閣支持率はまだ40％台後半から50％近くを維持しています。しかし、不支持率は40％台を超えており、政権基盤は盤石とはいえません。

さらに、政権に敵対的な朝日、毎日、時事通信などの調査によれば、内閣支持率は軒並み30％台であり、一番極端な朝日新聞の調査によれば、不支持率が支持率を17％も上回っています。朝日新聞の調査を「信じるならば」、再び安倍政権の支持率は「危険水域」に達したといえるでしょう。

何と、ニコ動調査でも内閣支持率は低下！

こうした中、昨日、『ニコニコ動画』が内閣支持率を公表しました。

月例ネット世論調査2018年3月（2018/3/22 21:18付　ニコニコ動画より）

これによると、内閣支持率は前月比で1.6％ポイント低下。不支持率は2.7％ポイントも上昇している状況です。「もはや、安倍政権はこれまでなのか」と思ってしまいますが、では、支持率と不支持率は、いったい何％にまで低下したのでしょうか？

ニコニコ動画調査による内閣支持率

• 支持する…56.2％
• 支持しない…20.7％
• どちらとも言えない…23.0％

…あれ？依然として過半数が支持しているではないですか！しかも、「不支持率」は前月比2.7％ポイント上昇して、やっと20％を超えたというレベルです。

改めて、ニコニコ動画の支持率、不支持率を、先ほどの図表１と組み合わせてみましょう（図表２）。

図表２　主要メディア＋ニコ動調査

メディアと調査期間	支持率	不支持率
読売(3/9～11)	48％（▲６％）	42％（＋６％）
産経・ＦＮＮ(3/10～11)	45.0％（▲6.0％）	43.8％（＋4.8％）
毎日（3/17～18）	33％（▲12％）	47％（＋15％）
朝日（3/17～18）	31％（▲13％）	48％（＋11％）
時事（3/9～12）	39.3%（▲9.4％）	40.4％（＋8.5％）
ニコ動（3/22）	56.2%（▲1.6％）	20.7％（＋2.7％）

（【出所】各メディアの報道より著者作成）

こうやって一覧にしてみると、既存メディアであろうが、ニコニコ動画であろうが、内閣支持率が低下し、不支持率が上昇するという方向性についてはまったく同じであるものの、支持率・不支持率水準についても、上昇・低下幅についても、まったく異なります。

よって、既存メディアの調査結果、ニコニコ動画の調査結果の両方が、国民の内閣に対する意見を同時に正しく示しているということは、あり得ません。少なくともいずれかが、著しく偏っているはずです。

ここで、３つの仮説が成立します。

• 既存メディア（読売、産経、毎日、朝日、時事）の調査結果が著しく偏っている。
• ニコニコ動画の調査結果が著しく偏っている。
• 既存メディア、ニコニコ動画ともに、いずれの調査結果も偏っている。

もちろん、ニコニコ動画の調査とその他の調査の実施時期は微妙にずれているという点については、考慮する必要があるかもしれません。しかし、短期間に国民世論全体がコロコロ変わるというのも不自然であり、私はやはり、ここに挙げた３つの仮説のいずれかが正解だと考えています。

マスゴミ調査が偏るのはいつものこと？

実は、ニコニコ動画の調査結果が既存メディアの調査結果と比べて、内閣支持率がかなり高く出るという現象は、今回に始まったものではありません。「加計学園報道」で世間が大騒ぎしていた時期に行われた世論調査でも、調査結果に大きな偏りが見られたからです（図表３）。

図表３　昨年７月の世論調査

メディアと調査期間	支持率	不支持率
読売（7/7～9）	36%	52%
朝日（7/8～9）	33%	47%
毎日（7/22～23）	26%	56%
日経・テレ東（7/21～23）	39%	52%
ＮＨＫ（7/7～9）	35%	48%
共同（7/15～16）	35.8%	53.1%
産経・ＦＮＮ（7/22～23）	34.7%	56.1%
ニコニコ動画（7/20）	51.7%	24.1%
netgeek(7/19～7/26)	72％	28％

（【出所】ニコニコ動画《世論調査》安倍内閣支持微減５１．７％ 不支持微増２４．１％～ネット調査7月号～およびnetgeek記事より著者作成）

私は別にネット調査が全面的に正しくて、マス・メディアによる調査が全面的に間違っていると単純に決めつけることは、したくありません。しかし、現実に昨年７月の世論調査と、10月22日の総選挙で自民党が圧勝した事実を見比べるならば、偏っているのはマス・メディアの調査ではないかと思わざるを得ません。

低下しているのは「マスゴミ」の支持率では？

ところで、インターネット上で「マスゴミ」という表現を見かけることが増えて来ました。

私の理解だと、これはインターネット上で自然発生した「ネット・スラング」の一種であり、「ゴミのような情報ばかり垂れ流すマス・メディア」という意味で、視聴者・読者が怒りと揶揄が込められた表現です。

昨年、つまり2017年は、新聞社・テレビ局という、「国民から選ばれたわけでもない存在」が、民主的な選挙によって国民から選ばれた安倍政権を「報道テロ」により倒そうとして、失敗したという意味で、「報道テロ元年」というべきでしょう。

2009年８月の時点で、新聞・テレビによる常軌を逸した偏向報道の結果、民主党への政権交代が発生するという「惨劇」が発生しています。すでにこの時点で新聞・テレビの「マスゴミ化」は生じていたと見るべきですが、2017年の「加計学園報道事件」は、まさに新聞・テレビが「マスゴミ」であることを、みずから隠そうとしなくなったという意味では画期的だったと思います。

いずれにせよ、新聞・テレビが平気で偏向報道をする媒体であるということについては、すでに多くの国民が知っているのではないでしょうか？

「マスゴミ」のみなさんがこの手の世論誘導をしようとすればするほど、むしろ低下するのは政権支持率ではなく「マスゴミ」の支持率なのかもしれません。