韓国の観光統計を見ると、中国人の観光客の急減により、同国の観光産業が大打撃を受けていることが明らかになりました。当たり前の話ですが、どこかの国に依存し過ぎないこと、自分をしっかりと持つことが大事だということを、この観光統計から探ってみたいと思います。
目次
中国が本気で韓国を「制裁」
韓国への入国者数、2ヵ月連続で100万人割れ
韓国に入国する中国人観光者数が激減しています。
韓国観光公社が「韓国観光統計(※韓国語)」が7月24日に公表した統計によると、2017年6月における韓国に入国した外国人数は969,111人で、前月(954,509人)に続き2ヵ月連続で100万人の大台を割り込みました。韓国への入国者数が2カ月連続で100万人の大台を割り込んだのは、2015年2月以降で見ると、中東呼吸器症候群(MERS)の大流行で入国者数が激減した2015年6月(732,928人)と同7月(610,838人)以来のことです。
韓国に入国した外国人の数が激減した原因は明らかです。それは、中国人観光客の急減です(図表1)。
図表1 中国人と日本人の韓国入国者数推移(縦軸:千人)
(【出所】韓国観光統計より著者作成)
図表1は、中国人と日本人それぞれについて、韓国への入国者数の推移を取ったものです。ただし、月次(グラフ右軸)だと、変動が激しくてわかり辛いので、「その時点までの12か月間の合計値」を取って均すことでグラフを見やすくしたものが左軸に示した「12か月の数値」です。
これを見てみると、「中国人観光客の12か月合計値」は2017年2月でピークを打って、その後、急減し始めていることがわかります。一方で、日本人の入国者数は緩やかに横ばいとなっています。
また、2017年6月までの、日本人と中国人以外の国も含めた韓国への入国者全体を示すと、図表2のとおりです。
図表2 韓国への入国者数(全世界)(縦軸:百万人)
(【出所】韓国観光統計より著者作成)
当たり前の話ですが、中国人入国者数のシェアも急落しています。中国が現在、高高度ミサイル防衛システム(THAAD)への報復として、自国民の韓国旅行を厳しく制限しているという話は聞こえてきますが、ここまで極端に減少するというのも凄い話です。
「韓国大好き」な日本人は一定数、確実に存在する
余談ですが、私の主観的な感想です。
私は日本人の1人として、年間200万人を超える日本人が韓国に入国しているという事実に驚きます。北朝鮮情勢が緊迫化するなかで、あれほどまでに日本を侮辱する国に平気で入国する国に入国する日本人が、2017年6月までの1年間で236万人にも達していること自体、まだまだ「韓流大好き日本人」が根強く存在している証拠の1つと言わざるを得ません。
私は特定の国・民族を、「国単位で嫌う」「民族単位で嫌う」ということをしてはならないと考えています。インターネット上では韓国人・朝鮮人を民族として貶めるような書き込みを見かけることもありますが、このような「民族に対するヘイト」という態度は控えるべきでしょう。
しかし、それと同時に事実として、韓国が「慰安婦問題」「強制徴用工問題」など、歴史に存在しなかった事実を捏造してまで日本人の尊厳と名誉を貶めていることを無視してはなりません。「民族に対するヘイト」とは、むしろ捏造に基づいて日本人の名誉を傷つけている韓国国民と韓国政府のことを指すのです。
それはさておき、私自身は韓国人の血を引いている人間でもありますが、メンタリティはあの国に行きたいとは全く思いません。別に、どの人がどの国のことを好きになろうが自由だと思いますし、韓国側の統計では、韓国に渡航する日本人が1年間で236万人存在しているということです。「世の中には奇特な人もいるものだ」というのが、私の率直な感想です。
中国傾斜を強め過ぎた韓国で「悲鳴」も!
ところで、昨日、韓国メディア「中央日報」にこんな記事が掲載されました。
外国人観光客、2カ月連続100万人下回る…中国人観光客66.4%減=韓国(2017年07月25日07時24分付 中央日報日本語版より)
この記事の中では、韓国入国者数が2カ月連続で100万人を割り込んだことについて、
- 国別では中国人観光客の減少幅が大きかった
- 北朝鮮の核問題に関連する報道が続く中、欧米からの観光客も減った
と述べていますが、図表1と図表2で確認できる通り、訪韓旅客数の急減は中国人の観光客激減だけで説明が付きます。
私がこの統計から教訓を導き出すとすれば、それは、「特定の国に依存し過ぎることがいかに危険であるか」、という点にあります。
別に観光統計だけではありません。韓国の国内総生産(GDP)を見ると、輸出高はおおむねGDPの4割前後ですが、総輸出先の25%は中国で占められています。単純な掛け算をすると、韓国のGDPのざっくり10%は中国に握られている計算です(40%×25%=10%)。
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右往左往するだけの韓国、脱中国を進める日本
私は正直、今回の観光客激減を巡り、別に韓国に同情はしませんが、しかし、「教訓」としては極めて重要だと思います。そこで参考になるのが「レアメタル禁輸事件」です。
中国とは共産党の一党独裁国家であり、共産党の「鶴の一声」で他国に嫌がらせをするような国です。日本だって、2010年9月には、当時の菅直人政権が沖縄県石垣市の尖閣諸島沖合で発生した「中国漁船衝突事件」への対応を誤ったことをきっかけに、中国からレアメタルの禁輸措置を食らいました。
中国によるこの措置の狙いは簡単です。それは、日本企業にとっての「命綱」であるレアメタルを禁輸することで、経営に窮した日本企業・財界が政治に対して圧力を掛け、日本政府を中国政府の思い通りに動かそうとしたことにあります。
しかし、中国政府の狙いとは裏腹に、日本企業は「日本政府に対して圧力を掛ける」のではなく、むしろ、「中国リスク」を強く意識し、逆に「脱中国」の動きを加速してしまいました。私は、この「レアメタル事件」については、明らかに中国が日本を見くびっていた証拠だと思います。日本は韓国と違って、中国の言いなりにはならない国なのです。
それに対し、中国から現在進行形で「THAAD報復」を受けている韓国の対応は、あきらかに当時の日本とは異なります。中国からの観光客が激減しているのであれば、中国以外の国からの観光客を招致するとか、観光産業への依存度合を減らすとか、いくらでもやりようはあります。しかし、現在の韓国は、中国からの制裁に直面し、右往左往しているだけなのです。
バランス良い交易と確固たる自己を持つこと
私は、観光需要だけでなく、貿易、投資その他さまざまな面で、一定の国に依存し過ぎるのは危険だと考えています。GDPの10%を一定の国に握られてしまっている状況はどう考えても異常ですが、ここまでの規模になれば、単に経済の問題だけでなく、安全保障の問題にも直結します。
中国がちょっと韓国を制裁しようと思えばいくらでも制裁できてしまいますし、「制裁を解除して欲しければ米韓同盟を破棄しろ」と突き付けられれば、いずれ韓国がこの要求に応じてしまうのも時間の問題でしょう。
言葉は酷いのですが、私の率直な感想で申し上げるならば、現在の韓国は現在進行形で中国に取り込まれつつあると思わざるを得ません。もちろん、私が見たところ、韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領自身は「親北派」ではあるものの、前任者である朴槿恵(ぼく・きんけい)氏ほどの「親中派」ではなさそうです。しかし、「GDPの10%を握る国」から脅されれば、韓国は経済界が悲鳴を上げ、中国の言いなりになってしまう可能性も十分になるでしょう。
ここから考えられるシンプルな教訓とは、
- 経済でどこか特定の国に依存し過ぎないこと、
- 自国のアイデンティティをしっかりと持つこと、
の2点でしょう。
私は、韓国については、もはや中華属国化か北朝鮮主導での赤化統一のいずれかの未来は不可避だと考えています。経済構造から考えるならば当然でしょうが、歴史的に韓国は中華属国であったという事情もあり、韓国には「中国恐怖症」のようなものもあるのでしょう。
しかし、日本はこの韓国の迷走を「他山の石」としつつ、中国などの特定国に依存し過ぎず、日本としてのアイデンティティをしっかりと持って、歩んでいくことが重要だと考えているのです。
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韓国は中国に経済的に支配されてるのは良く分かるんですがモンゴルは如何なのでしょうか?
帝政ロシア・清・日本帝国、ソ連・日本帝国・中華民国、ソ連・中華人民共和国これを見てどうでしょうモンゴルはこの恐ろしい周辺国との間で失敗をしつつも独立だけは出来ています朝鮮半島とは大違い。
(内政干渉はしょっちゅうされてるけど、個人的にはロシアと中国の関係悪化はモンゴルを通して解ると思います地図を見ていただければ分かりますが)
普通朝鮮半島は中国と日本の間にあり日中関係が戦争にまで発展すれば嫌でも韓米同盟、日米同盟の影響で主戦場は海と朝鮮半島です。(陸は日本が憲法を改憲できればの話、米中の関係悪化も同様)
主戦場になるのを避けるのであればどちらかに着くのではなく両者の和解を叫び両者に己の存在価値を認めさせる筈です。無論両国との関係を悪化していない事が前提条件ですが今の状況はその真逆です、自国の運命を握っている国々との間で問題ばかりを引き起こし自ら主戦場にしてくださいと言ってる様な物です。
今のままでは韓国はそう遠く無い時期に血を持って対価を支払うことになるでしょう
何でもそうでしょうが、『◯◯すぎ』が付くと良くないですね。適度なバランスが必要なのは社会も国も同じである!という事なのでしょうか。
こちらは逆に、その7~8割の消費を何が因果か(笑)韓国に頼っていた宮城県の特産品ホヤの話。
・韓国の禁輸が解けねば、今年もホヤが大量廃棄に (2017/7/17日経ビジネス ON LINE)
ttp://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/279177/031600017/?P=2&prvArw
・三陸のホヤ、廃棄処分防げ 海外開拓や冷凍保存 (2017/7/17日経新聞)
ttp://www.nikkei.com/article/DGKKZO18887540U7A710C1ML0000/
震災と原発事故から2年半も経った2013年の9月に、韓国は突然日本の8県(海無し県の栃木と群馬も含む)の水産物の禁輸措置を宣言。それはまさに2020年オリンピックパラリンピック開催地決定直前のタイミングで、明らかに日本を「放射能汚染国」と印象づけ東京開催決定の妨害工作。
有料記事だったりするので要約すると
・韓国がお得意様だったホヤが禁輸措置で売れなくなった、さあ困った
・結果水揚げの6割を廃棄するはめに
・だがしかし廃棄する分は東電が補償してくれるので今年もなんくるないさで今年も養殖した
・とはいえさすがにもったいないので加工製品の新開発や販路拡大も考えてみるっちゃ、はーと
という牧歌的だがしぶとく生き延びる宮城県漁民の心温まる微笑ましいお話です。
まあ東電の補償たって我々の税金も電気料金もその原資なので、言ってみりゃ宮城県漁民が捨てるホヤの分首都圏住まいのおいらの電気代上がるのもいかがなものかと。
ホヤは個人的には大好きで、たまに殻付きのを近所の鮮魚店で見つけたら必ず買って自分でさばくし、仙台出張の帰りの新幹線は、駅地下で買った地酒とホヤの燻製で至福の時を味わうのがパターンなんですけどね、
毎日の更新、ありがとうございます。
日本人が年に、あの韓国へ236万人も旅立っているというのは、私も意外です。もっと100万人ぐらいにガタッと減っているのかと思いましたが、おかしいですね。この数字は信用できるのでしょうか?韓国観光統計の数字が私にはマユツバな気がしたのですが。あの国は一般の正規旅行客(入国客)以外に、旅客機の乗員PA、CP、FA、CAも入国客とカウントしているのではないでしょうか?ちなみに日本各地から韓国へは1日200本以上、飛んでいますが、仮に日本人の乗員が1機10人中半分の5人として、1日200機でのべ1000人。1年で36万5000人。これで「公式発表」から200万人に落ちます。さらに一時補給・乗客乗降(日本→ソウル→最終目的地国)などのトランジットも含んでいるそうです。これがいくらの数値かわかりませんが南鮮機、LCC、新興会社などではあるのではないでしょうか。そうすると、百数十万人にまで落ちます。
私自身は南鮮など今後一生行くこともないし、過去にも一度もありません。多くの日本人はそうでしょう。それなら残りで行く人は、事業の出張(これもあまりないと思うが)、里帰り、法事など姻戚関係のある人でしょう。旅行客は実際激減でしょ。私の周りでも以前は話題になりましたが、ここ5年ほど聞いたことありません。日本を陥れ、蔑み、嘘偽りを世界に喧伝した国へ、日本人が戻ることはありません。韓流も廃れました、同じような話ばかりで、第一あんなきれいごと、南鮮にはない。化粧品も日本市場から引き上げてます。本当に一発なんですね、なんでも。続くことがない。薄っぺらいのですぐ、飽きられる。
GDPで10%も中国に握られるなんて、異常です。南鮮はどうせ中国の属国なので、文などせっせせっせと進めてます。隣国ながら見ず、触らず、関わらずで行きましょう。日本はいっぽんどっこですが、西側には多くの友邦がいます。軸足は東南アジアから太平洋大西洋方面ですね。38度線?知りません(笑)。
続きです。日本人が韓国へ年に236万人だそうですが、これを空港で言うと、全国17位の242万人の石垣空港並みです(2016年実績、国際線4万人含む)。小さい空港ではないですが、中よりやや上(石垣に特に他意はないです)ですね。この数字を見て私は少し安心しました。以上です。
韓国トランジットって、ここのブログ主が過去に書いてるぞw
https://shinjukuacc.com/20160904-02/
https://shinjukuacc.com/20161006-01/
確か韓国がトランジット客を水増ししてるって、結局わかんなかったんじゃなかったっけ?めっちゃ疑わしいっていうだけで・・・。
匿名 様
ありがとうございます。
やはり、怪しいんですね。南鮮は、数字に関しては(も)本当にデタラメです。外国債(米ドル)など本人らも分からないのではないでしょうか。
年間に200万人も日本人が韓国に行っているけど、観光だけとは限らないのでは。電気代は日本の半分くらいなので電気を多く消費する産業は韓国に移転して、そのかわり出張等で管理するとかがあるのではないかな。土地、人件費、電気代が安ければ日本人はどこでも行くよ。約束をよく守らない国だけど、実績ベースで料金を払うなどやり方はいろいろある。
韓国ではないけど、ある国はネジの製造を依頼すると、最初はまじめにつくってくる。そのうち、ネジのドライバーの先端にはまるところがネジの中心からだんだんずれてくる。そこで文句をいうと、また中心にぴったりそろうのだが、また中心からだんだんずれてくる。ずれる、文句をいう、ずれなくなる、またずれる等を延々と続けるそうだ。面白いよね。