最近、睡眠不足に加え、私生活が何かと多忙で、なかなかウェブサイトを眺める時間が取れないのが悩みです。ただ、日本はゴールデンウィークに突入するとはいえ、様々な情勢は動いています。そこで、本日は政権与党内での「気になる不穏な動き」について、触れてみたいと思います。
目次
政権与党内からの工作活動
耳を疑う二階幹事長の発言
自民党の二階俊博幹事長が、「日本はAIIBに参加する可能性がある」と発言したようです。
日本のAIIB参加可能性、自民党の二階俊博幹事長が言及 「一帯一路」構想に「最大限の協力(2017.4.29 16:41付 産経ニュースより)
産経ニュースによると、二階幹事長は香港メディア「フェニックステレビ」の取材に応じ、中国が設立した国際開発銀行「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」について、日本が「参加する可能性がある」と述べたそうです。
二階氏がフェニックステレビのインタビューに応じた正確な日付は不明ですが、産経ニュースの報道をそのまま引用すると、
- 二階氏は「一帯一路」構想について、日本として今後「最大限の協力をしていく」と強調し、その上で、「日中友好を心から願っており、その道に間違いはない。妨害は許されない」とまで発言した
- 二階氏は5月14、15両日に北京で開かれる「一帯一路」国際フォーラムに出席する予定で、安倍晋三首相から習近平国家主席にあてた親書を届けることも検討している
としています。産経ニュースはフェニックステレビの報道を転載しているため、私の記事では「孫引き」となりますが、本当に二階氏がそのように発言したのかについては確認が取れません。ただ、仮に二階氏が本当にこのように発言したのだとしたら、私は二階氏に、こう申し上げたいと思います。
「ご自身の立場を理解してください」
と。
二階氏は自転車事故で負傷した谷垣禎一氏の後任として、昨年9月に自民党幹事長に就任しました。総理大臣として多忙を極める安倍晋三・自民党総裁に代わって自民党を統括する立場にあるわけですから、こういう迂闊な発言については慎んで頂きたいものです。
ただ、二階氏がこのような「失言」を行うのは、今回が最初ではありません。
例えば、韓国で昨年12月末に日本を侮辱する目的の「慰安婦像」が釜山にある日本総領事館前の公道上に違法設置され、これに対する対抗措置として長嶺安政駐韓大使らが1月9日に日本に一時帰国しました。しかし、二階氏は今年2月の時点で、「駐韓大使らの帰任はできるだけ早い方が良い」などと発言。さらに4月3日に駐韓大使らを韓国に帰任させる際も、「そもそも日本に帰す必要はあったのか」などと述べています。
幹事長の「立場」が問題
誤解なきように申し上げておきますと、私は二階氏の発言が「間違っている」と申し上げるつもりはありません。
たとえば、中国が主導するAIIBにしたって、「日本が積極的に出資し、内部からAIIBの動向を監視する」という選択肢を取るのであれば、それはそれで一つの考え方です(私はその考えに同調しませんが…)。
また、同じ理由で、駐韓大使の帰任を巡っても、「大使不在があまりにも長引くのはいかがなものか」といった発言をすることも自由です。
ただ、二階氏は(負傷した谷垣氏の代替であるとはいえ)、仮にも自民党総裁の代理人たる自民党幹事長という地位にあります。安倍政権と自民党は「別物」ですが、二階氏の発言は「政権に極めて近い場所からの情報発信」と受け止められるリスクが極めて高いのです。
ということは、二階氏が「日本はAIIBへの出資に前向きである」などと発言すれば、それだけでも「安倍政権がそのように考えている」と受け取られかねません。
その意味で、問題視しなければならないのは、二階氏が「幹事長という立場で」、迂闊な発言を行っていることなのです。
今村前復興相の失言問題
さて、この二階俊博氏には何かと問題が多いように思えるのですが、つい最近も、「類は友を呼ぶ」という格言の正しさを痛感する事件が発生しました。それは、二階派に所属する今村雅弘・前復興大臣です。
報道によれば、今村氏は4月25日に行われた自民党二階派のパーティーで、東日本大震災について、次のように発言しました。
「まだ東北だったからよかった。これが首都圏に近かったりすると莫大な被害があった」
東北だろうがどこだろうが、多くの方々が巻き込まれた未曽有の大災害が「首都圏ではなくて良かった」などと、よく発言したものです。政治家としてのセンスを疑います。
今村氏の失言は、これだけではありません。4月4日に行われた記者会見で、自称フリージャーナリストの西中誠一郎氏の挑発に乗せられ、次のような暴言を吐いています。
「(発言を)撤回しなさい。出ていきなさい。もう二度と来ないでください、あなたは。」
当日の質疑を見ると、西中氏の質問はジャーナリストとしての範疇を明らかに逸脱しており、極左活動家のそれと極めて類似しています。ただ、だからといって、大臣という立場にある者が、民間人に対してこのような暴言を吐いて良いはずがありません。
政権中枢にいれば、反社会的・極左活動家らからの「揚げ足取り」に遭う可能性が高いわけですから、今村氏には政治家としての自覚が足りなかったことは明らかです。
影響はいまのところ軽微だが…
報道各社による最新の世論調査によれば、安倍政権に対する支持率は横ばい、あるいは微増となっています。
内閣支持率横ばい60% 失言・不祥事の影響軽微 本社世論調査(2017/4/30 22:00付 日本経済新聞電子版より)
「安倍政権に緩み」73% 内閣支持率上昇58% 共同通信世論調査(2017.4.23 21:45付 産経ニュースより)
「政権に緩み」73% 共謀罪「市民運動萎縮も」51% 共同世論調査(2017年4月24日付 東京新聞朝刊より)
今村復興相の辞任直後に行われた日経の調査では、4月の内閣支持率は60%で、3月(62%)と比べて2%の低下となっていますが、この程度であれば日経の報道通り、「不祥事の影響は軽微だ」と評価して差し支えないでしょう。
また、産経ニュースが報じた共同通信による世論調査は、今村氏の辞任(4月26日)以前に行われたものですが、内閣支持率は58.7%と、前月と比べて6.3ポイントも上昇しています(もっとも、共同通信の調査は、従来の固定電話に加え、今回から携帯電話も対象とされたため、「単純比較はできない」と記載されています)。
つまり、今のところ閣僚・政権幹部らの失言・暴言・問題行動は、政権支持率の低下につながっていないとみてよさそうです。
ただ、安倍政権に対する支持率が横ばいで推移している最大の理由は、「村田民進党」がダメすぎるという「敵失」によるものであるとみるべきであって、国民は安倍政権のことを無条件に支持している訳ではないと思います。
与党内部からの「工作員」が厄介
こういう私自身は、(今のところは)安倍政権を支持しています。といっても、「今のところは」、ですが…。
私の理解だと、安倍政権は「中国リスク」に全力で対処しています。ここでいう「中国リスク」とは、「偉大なる中華帝国の再興」を掲げる習近平(しゅう・きんぺい)政権や中国人民解放軍が暴走することです。
具体的には、中国は南シナ海で、相次いで人工島を造成し、この海域への支配を着々と強化しています。また、東シナ海でも、わが国の固有の領土である沖縄県石垣市尖閣諸島周辺海域を自国領と宣言し、中国人漁民らの違法操業や中国当局者による船舶の領海侵入が常態化している状況にあります。
それだけではありません。習近平政権が掲げる「一帯一路構想」は、ユーラシア大陸や南アジアなどを中国の影響圏に置こうとするものであり、日本にとっての国益である「自由と繁栄の弧」構想とは真正面からぶつかります。
その意味で、日本は世界中で「味方を増やす」必要があります。こうした中、安倍政権が掲げる「地球儀外交」と、安倍晋三総理大臣自身の精力的な外国出張は、間違いなく日本の国益に寄与しています。
ただ、日本の国益に反する可能性がある「一帯一路構想」に、日本が参加すべきだと主張した二階幹事長の発言は、あまりにも迂闊であり、立場をわきまえていません。そして、このような人物が自民党の幹事長職を務めているということは、日本よりも中国の国益を重視する政治家が、少なからず自民党内に存在する証拠でしょう。
「村田民進党は泳がせておけ」?
私は、安倍政権の政策については、緊縮財政方針を含め、賛同できない部分も多々あります。ただ、現在のところ、安倍政権が倒れてしまうと、直ちに日本の安全保障に危機が生じます。その意味で、「安倍外交」には、100%完璧とまでは言えないまでも、私としては支持せざるを得ないのです。
こうした中、「野党第一党」である民進党が冴えません。
民進党は前身の民主党時代に、3年3カ月、政権を担当したことがあるのですから、オーストラリアや英国のように、国会論戦でも舌鋒鋭い質疑を国民は期待しています。しかし、実際に民進党が行っていることといえば、揚げ足取りばかりです。最近も、北朝鮮情勢が緊迫する中であるにも関わらず、3カ月も国会を空転させて、結局は「森友学園問題」に終始しました。
現在の民進党は人材難なのでしょうか、村田蓮舫代表と野田佳彦幹事長の体制は、あまりにもお粗末です。森友学園問題も結局、辻元清美議員(詐欺罪の前科あり)が豊中市の国有地売却に深く関わっていた疑惑が生じ、民進党があわててマス・メディア各社に圧力を掛け、火消しに乗り出したというオチもつきました。
では、「村田民進党」は、こうした揚げ足取りで安倍政権の支持率を劇的に引き下げることに成功したのでしょうか?その答えは、上記で引用した各種メディアの世論調査が物語っているとおり、国民の民進党に対する深い不信感として跳ね返っているのです。
ただ、政権与党内で、「村田蓮舫(氏)が代表を務めている限りは、民進党が国民の支持を集めることはあるまい」といった、妙な「安心感」が生じているのだとしたら、それはそれで大きな問題でしょう。そして、中国や北朝鮮、韓国の工作員は、民進党や共産党などの野党だけでなく、与党・自民党にも入り込んでいると考えるべきです。
「工作員」の一例を挙げれば、「パチンコ・マネー」があります。日本のパチンコ産業は北朝鮮と密接な関係があり、外為法の不備を突く形で違法送金が行われ、北朝鮮の核武装を許してしまったという意味で、これを取り締まらなかった歴代自民党政権の罪は重いです。
今のところは自民党以外に政権を担うことができる政党がないため、私も「仕方なしに」自民党に投票しているのですが、「健全な野党が存在しない」という状況が長引けば、政権与党の腐敗を加速させることにつながりかねません。
次回総選挙では、まずは有権者の健全な判断を期待したいところです。