迷走する韓国に日本はどう対処すべきか?
相変わらず隣国が迷走しています。最悪の場合、朴槿恵政権は迷走の末、「下野」する可能性すら出てきました。こうした韓国社会の混乱も、我々日本人にとっては、しょせんは「対岸の火事」ですから、インターネットでは「エンターテイメント的に眺めて楽しむ」というスタンスの人も多いようです。ただ、韓国で政府が機能停止状態となると、「眺めて楽しむ」状態でもなくなってきます。そこで、本日はこの事態に対し、日本として重要なことについて考えてみました。
目次
近況報告:「ネタは待ってくれない!」
疲れ目と戦う管理人(笑)
当ウェブサイトの管理人「新宿会計士」は、現在、既に締切が過ぎている専門書の原稿と格闘しており、これに加えてセミナーの資料を2本抱え、さらに自分の会社の決算処理(現状、全くの手つかず!)をしなければならないという、「危機的な」(?)状況に陥っています。PCを見つめすぎたためでしょうか、最近は慢性的な目の疲れに悩まされています。このため、メガネを外して、画面を大きな表示にして、何とか原稿を執筆しているという状況です。
ただ、こうした状況であっても、「ネタ」の方は待ってくれません。ウェブサイトの更新頻度を少しずつ落としていこうと思うものの、次から次へと「書きたい内容」が出て来てしまうため、結局はこうして毎日のように記事を投稿している状況です。
読み返すとネタに偏りも…
ところで、当ウェブサイトはもともと、「政治経済評論」を標榜(ひょうぼう)していますが、今になって読み返すと、時期に応じて特定のテーマに偏っています。たとえば、今年9月から10月にかけて、中国の通貨「人民元」が国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)に加えられました。マス・メディアは、「これにより人民元が国際的な『主要通貨』になった!」などの、極めて不適切な報道を繰り返していますが(特に朝日新聞やNHK)、これらの記事に反論するために、私は
「人民元がSDRの構成通貨になったからといって、人民元が国際的な通用力を備えるに至ったとは言えない」
という趣旨の反論文を寄稿しました。また、8月末には韓国国内で、「日韓通貨スワップ協定が再開される」「スワップ協定は日本にもメリットがあるものだ」といった報道が流れていましたが、これについても、
「日韓スワップの本質は日本から韓国への金融支援であり、基本的に日本にメリットがある協定ではない」
と主張しました。
この「人民元のハード・カレンシー化」「日韓スワップ」という二つのテーマは、「金融規制の専門家」である私ならではの視点だったと思いますが、おかげさまで先日、検索エンジンで調べたところ、朝日新聞よりも私の記事の方が上位に表示されているようです。朝日新聞の記事がいろいろと間違っている以上、当然のことだと思いますが、その代わり、当ウェブサイトの記事のジャンルはどうしても偏ってしまうのです。
この点についてはどうかご了解くださると幸いです。
不安定化する隣国の意味
さて、今申し上げた事情があるため、当ウェブサイトの記事には、ジャンルとして相当の偏りが生じることについてはご理解ください。そのうえで、本日取り上げるのは、ますます不安定化する隣国について、です。
「崔順実」事件の波紋
韓国の朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領は現在、新興宗教団体の関係者である「崔順実(さい・じゅんじつ)」と名乗る女性に対し、政府の機密情報を漏洩(ろうえい)していたとして、国民から厳しく糾弾されています。「中央日報日本語版」の記事によると、政権支持率がついに「5%」と、日本の消費税等率(国税・地方税合計8%)よりも下がってしまいました。
朴槿恵大統領支持率5%…歴代最低(2016年11月04日11時32分付 中央日報日本語版より)
その韓国では、検察当局が「渦中の人物」である崔順実氏の身柄を拘束して取り調べ中だそうですが、同氏に国政機密情報を漏らしていた方の人物である、朴槿恵大統領については、韓国の国内法で逮捕・拘束をすることができません。しかし、韓国国内では、大統領に対する国民の退陣要求デモが相次いでいるそうです。
こうした中、実に奇妙な記事が出てきました。
<崔氏韓国国政壟断>朴大統領「検察の捜査を受ける」…きょう国民向け談話(2016年11月04日07時48分付 中央日報日本語版より)
<崔順実ゲート>朴大統領、「崔順実国政介入」疑惑で国民向け談話(2016年11月04日11時07分付 中央日報日本語版より)
朴大統領は昨日、この事件を巡って「改めて(韓国)国民に謝罪」するとともに、真相究明のための「捜査」にも協力する、などと話しました。また、これと並行して出て来ている報道によると、
- 金秉準(きん・へいじゅん)氏を「責任首相」に任命し、経済・社会分野の全権を与え、自らは外交・安保に専念する
- 金氏を中心に「国会に常設協議機構を作り、挙国中立内閣を構成する」
などの構想も示されているものの、朴大統領が新たな首相指名について、与野党はおろか、与党内、あるいは政府内でも全く調整を行っていなかったことが判明。韓国の政府・国会は完全に機能を停止した状況となっています。
任期をあと1年半近く残している朴政権が、ここまで早く「レームダック化」し、全く動けなくなるとは、おそらく多くの人は予想していなかったのではないでしょうか?
北朝鮮有事の発生可能性が高まる
この数か月における東アジア・朝鮮半島情勢を眺めていて、懸案は二つあります。
一つは、中国の軍事的台頭リスクです。南シナ海で「国際法に反し」て人工島の埋め立て等を進める中国の行為は、ASEAN主要国を含め、周辺国に多大な不安を与えています。
もう一つは、北朝鮮の核武装リスクであり、こちらの方は、より差し迫ったリスクです。既に北朝鮮は(原始的な)核弾頭を保有している可能性が高く、SLBMなどのミサイル発射能力を着々と開発しつつあります。
まさに、米国が「韓国の頭ごなしに」、北朝鮮に先制攻撃を仕掛ける可能性が高まっています。「北朝鮮が核武装を完了させる前に叩いておく」という行動に出る合理性があるからですが、こうした重要な事態にあって、韓国政府が機能不全に陥っていることの意味は重大です。
つまり、「韓国が動けない状況」だと、「在韓米軍も動けないから朝鮮半島有事は発生しない」、という状況ではありません。韓国軍の戦時統制権は米国が保有していますから、韓国政府が機能不全に陥っている状況だと、米国が実際に、韓国との調整を「無視」して軍事行動に出るかもしれません。
もっとも、米軍が北朝鮮という国家を「殲滅」すれば、朝鮮半島の核武装問題や日本人拉致問題が一挙に解決する可能性もあるため、我々日本人にとっては歓迎すべきことだといえますが…。
慰安婦合意の履行などに不安
もう一つ、より現実的な問題は、日本との関係です。
安倍政権は昨年12月に、韓国との「慰安婦合意」に踏み切りました。この合意は、当ウェブサイトでも何度も触れてきたとおり、いわば
「過去の日本人の『名誉』を犠牲に、短期的な日韓関係の改善を図った合意」
であると位置づけることができるでしょう。ただ、朴槿恵政権が完全にレームダック化し、場合によっては「下野」の可能性まで出て来たことで、日本の対韓戦略が完全に狂ったことは間違いありません。
私の理解では、安倍政権が「日韓慰安婦合意」を行った理由は、韓国の「反日外交」を完全に封殺し、朴槿恵政権をほぼコントロール下に置くためだったはずです。当然、「日韓通貨スワップの再開」や「GSOMIAの締結」も、これと同じ文脈に位置付けられるべきでしょう。
ただ、日韓通貨スワップもGSOMIAも、再開が決定していない段階で朴槿恵政権が「下野」してしまうと、日本が「金融」「軍事」両面から韓国を「完全なコントロール下に置く」、という戦略も、機能しなくなってしまうのです。
安倍政権は慰安婦問題の「蒸し返し」を許すな!
これに関連し、菅義偉(すが・よしひで)官房長官は、今回の韓国の事態に対し、「日韓関係に何ら影響はない」と述べたそうです。
菅義偉長官、朴槿恵大統領の捜査受け入れ「日韓関係に何ら影響ない」(2016/11/04 ?12:57付 Yahoo!ニュースより【産経新聞配信】)
産経新聞の報道によれば、菅官房長官は今回の事態に対し、
「韓国の内政にかかる事項なのでコメントは控えたい」
としつつも、朴政権の求心力低下が日韓関係に与える影響や日韓合意について、
「何ら影響はない」
「日韓がそれぞれ責任を持って実施することは両国にとって極めて重要だ」
と述べました。
しかし、今回の事態に「影響がない」はずはありません。実際、韓国国内では、「慰安婦合意の蒸し返し」という動きも生じています。
元慰安婦らが日韓合意の破棄訴え 「崔順実氏に操られたのではないか?」(2016.11.4 00:00付 産経ニュースより)
いずれにせよ、朴政権がこうなってしまった以上は、せっかくの「日韓慰安婦合意」も、安倍政権が「日本国民の名誉を売り渡した」だけで終わってしまう可能性が高そうです。ただ、それでも「日韓慰安婦合意」に基づき、日本側は国民の血税から10億円を韓国に「くれてやった」のですから、この「慰安婦合意」を覆そうとする韓国国内の動きは許容できません。
もちろん、韓国側が本当に「慰安婦合意の破棄」を望むのであれば、日本政府としては、それを契機に、今度こそ米国などの国際社会を証人にして、
- 慰安婦問題は朝日新聞社と植村隆が捏造した問題であること
- その捏造問題に肉付けしてきたのは韓国政府と韓国国民のウソであること
- 日本としては真相の究明を行い、韓国政府と韓国国民がウソツキであることを国際社会で明らかにすること
を図っても良いとは思います。ただ、現状では、日本側から慰安婦合意を覆すことは控えるべきでしょう。
「日韓慰安婦合意」は、いわば「日本人の名誉」を短期的な日韓関係改善のために「売り渡した」問題であり、全責任を負う安倍政権には、きっちりと「落とし前」をつけてもらわなければなりません。
この問題を巡る安倍政権の「手腕」を、じっくりと拝見したいと思います。
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