目的合理性を持った社会人

私が過去に運営していた「楽天ブログ」で投稿した記事の中で、自分でも比較的「気に入っている」記事が、「目的合理性」に関する議論です。本日は、「楽天ブログ」に投稿した記事の中で、今から約5年半前に投稿したものを、原則として当時のままで当ウェブサイトに「再録」しておきたいと思います(ただし、書式等については一部、崩れてしまっていますが、どうかご了解ください)。

オリジナル記事 投稿日時:2011/05/22 07:29:16 AM

目的合理性、という言葉がある。仕事に例えて簡単に言うと、今自分がやっている仕事は何のためのものか、ということを踏まえた上で、その目的に沿って合理的なことをしていなければならない、という考え方だ。具体的に言えば、「業務日誌」(あるいは「業務報告書」)を書くことは、自分が会社内で行っている業務の方針や成果を報告するためのものだが、上司に対して自分の今行っていることを報告するという意味合いもあるだろうし、自分が後でそれを読み返して、業務の改善に役立てるという意味合いもあるだろう。あるいは、若いビジネスマンにとっては、「業務日誌」を書くこと自体が、自分のコミュニケーション能力を向上させる訓練という意味合いもある。

得てして外資系証券会社などでは、「いくら利益を上げたか」、「どんな案件をこなしたか」といった営業上の成果しか業務報告書に記載できないという話を聞いたことがある。本当かどうかわからないが、その場の収益だけが大事で、顧客の収益になることなどは二の次だというスタンスの人も多い。とにかく自分の利益だけを考えるということが目的であれば、社内の新人を育てることも必要ないし、会社の長期的収益を考えるよりも短期的収益を重視するというスタンスが正しいのかもしれない(残念ながら当職はこのような考え方には全く賛同しないが)。

会社法に定める会社の目的とは、「対外的活動を通じて利益を獲得し、それを社員(株式会社の場合は株主の意味)に分配すること」である。従って、毎年株主に対し還元する利益が稼げなければ意味がないのである。会社はボランティア組織ではない。利益を計上することが社会に対する最大の貢献である。

だからといって、利益を上げさえすれば、何をやっても良い、ということではない。毎年利益を上げていた会社が、お粗末な原子力発電所の安全管理体制により社会に莫大な損害を与えるといったことは許されない。逆に、JR東日本のように、寸断された交通インフラをいち早く復旧させるという、尊敬に値する会社も存在する。また、残念だが「社会に貢献する会社」=「利益を沢山稼いでいる会社」、ではない。マスゴミのように、存在そのものが日本に害悪を与えている業態も存在する。

だが、それでも資本主義社会という大前提に立てば、やはり利益を計上することこそが会社の目的であり、会社で働く人間は自分の会社に利益をもたらすことを意識して仕事をすべきであろう。これこそが、当職の考える「目的合理性を持った社会人論」のスタート地点である。

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当職はこのブログで今後、「社会人論」を不定期だがシリーズとして論じてみようと思う。とはいっても、当職は社会人経験が20年にも満たない「青二才」だ。それに心理学者や経営管理修士といった組織論の「プロフェッショナル」でもない。偉そうに「社会人論」をぶち上げるという意味では、資格も経験も十分ではないという自覚はある。それでも、一人の社会人として、実際に働いていて感じることをブログに書き留めるということは重要な試みに違いない。また、当職はこのブログで過去にも何回か社会人論を掲載したことがあるが、それは「論じた」というよりも、その場で思いついたことを自分なりに記載したものに過ぎない。今後も「論じる」というよりも、「思いを書き綴る」という側面が強くなるかもしれないが、それはそれで面白いだろう。このブログを現時点のいろんな世代の方が読んでいただければ面白いだろうし、将来時点で自分がこのブログを読み返してみて、どう感じるだろうかと思うと楽しみでもある。

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