「国の財政も本当に仔細に見なくても、相当に厳しい」。これ、信じられない話ですが、首相の発言です。この発言だけで石破茂首相が国の財政を「仔細に」見ていないことがバレバレですが、首相という立場にある人物がこれだと本当に困ります。昨年9月の自民党総裁選で、高市早苗氏にではなく石破茂氏に投票したすべての自民党議員に、「こんな首相で本当に良いのか」、と、改めて問いただしたいところです。
目次
増税、制度改悪…官僚機構の専横を止められない石破自民党
いい加減、うんざりすることがあるとしたら、「国の財政は危機的状況」という虚偽の主張がいまだになされていることです。
昨年秋の衆院選で国民民主党が勢力を4倍に増やすなどの大躍進を遂げたことで、(とりわけSNSを使う)国民の間では「手取りを増やす」が流行語となり、それとあわせて税金や社会保険料が高すぎるという点に気づく国民が激増。
おりしも現役世代に「治療を諦めて死ね」とでもいわんばかりの健康保険の高額療養費の異常な引き上げや、あるいはただでさえ高額で割に合わない厚年保険料のさらなる増額などが相次いで話題となり、官僚機構の専横とそれを止められない石破自民党に対する失望が広がっているのではないかと思います。
この点、SNS上ではもちろん、反対意見もあり、たとえば「現在の日本では現在はできない」、などとする主張を見かけることもあります。こうした減税反対派の言い分としては、次のようなものがあります。
減税反対派などの言い分の例
- その①「国の借金はGDPの2倍で財政再建が必要」
- その②「日本は毎年度財政赤字で減税の余裕はない」
- その③「基礎控除引上げには複雑な制度変更が必要」
- その④「国の借金はいつか全額税金での返済が必要」
- その⑤「国の借金を国民1人に換算すると一千万円」
- その⑥「多くの著名財政学者が減税に反対している」
©新宿会計士の政治経済評論
減税反対派の言い分は大部分が詭弁
これらの「国家財政はすべて税金の範囲で賄え」、「国債発行は絶対悪だ」、「国の借金はすべて税金で返せ」などの主張も乱暴です。これらはいずれも、スタンダードな経済理論からも、現在の日本の資金循環構造からも、正当化できるものではないからです。
ただ、これらの中には、⑥のように、非常に低レベルすぎて反論する気力も起きないようなものも含まれている反面、①や④、⑤などのように、経済理論や複式簿記の概念を理解していない人たち、あるいは国家の資金循環構造を知らない人たちが騙されやすい詭弁もあります。
だからこそ、当ウェブサイトではこれらのひとつひとつについて、スタンダードな経済理論(乗数効果や貨幣論など)や会計、金融の知識に加え、現実の統計データなどをもとに、これらの①~⑤に代表される詭弁の誤りを指摘してきたつもりですし、これからもそうやっていくつもりです。
(※ただし、⑥のように、あまりにもレベルが低すぎるものについては、正直、詳しく触れる予定はありませんが…。)
なお、これについての詳細は、本稿の末尾に参考として挙げておきますので、どうかご参照ください。
なぜ安倍総理は選挙で勝てていたのか、そして最近の自民党は…?
それよりも、これらの詭弁を地で行くような政治家がいまだに後を絶たないことに驚きます。
著者自身の私見ですが、故・安倍晋三総理大臣があれほどまでに長期政権をつくり、自身が再登板するきっかけとなった2012年12月の衆院選を含めると、大型国政選挙で6回連続して自民党に勝利をもたらしたのも、やはり、今でいう「リフレ派」的な思考を理解していたからではないでしょうか。
その安倍総理も2度に及ぶ消費増税(※法案を提出したのは安倍総理ではなく野田佳彦元首相ですが)を回避することができませんでした。
とりわけ2度目の増税については結果的に4年遅らせるとともに、軽減税率を盛り込むなど、増税には強く抵抗したのですが、やはり霞が関(とくに財務官僚)や自民党内の増税派(当時の宏池会あたりでしょうか?)の力は強かったのかもしれません。
しかし、現実に安倍政権下で増税が行われたことは事実ですがこうした安倍総理の姿勢からもわかるとおり、当時の安倍政権は、少なくとも増税には否定的であろうと努力していたことは間違いありません。
ところが、現在の自民党は、どうでしょうか。
政権幹部、あるいはそれに近い人物から、税や社保の引き上げなどに関する発言が次々と出てきていますし、また、最近だと基礎控除引上げを巡る「複雑で支離滅裂な4枚の壁」(『年収の壁を巡る与党案で観測される「奇妙なデコボコ」』等参照)案が出てきていたりもします。
(※奇しくもこの案を出してきたのは旧宏池会所属で岸田文雄・前首相の従兄でもある宮沢洋一税調会長だったりもします。)
国民民主党が掲げたシンプルな「基礎控除一律引上げ」による減税を期待していた(おそらくはSNS層を中心とする)多くの国民は、こうした案を見せつけられて深く落胆したのではないかと思いますし、実際、SNSなどでもそのような声を多く目にします。
石破首相「国の財政も仔細に見なくても相当に厳しい」
そして、非常に残念なことに、現在の自民党執行部は、「国の財政が危機的だ」、などとする誤った俗説に完全に染まっているフシがあります。
その典型例が、これかもしれません。
ぼやく石破総理「みんなウケること言いたがる」 新年度予算案めぐり「減税」要求相次ぐ
―――2025年3月6日 18:23付 TBS NEWS DIG Powred by JNNより
TBSが配信した記事によれば、石破首相は(おそらくは6日の国会で)次のように発言したのだそうです。
「日々、大変苦しい方が大勢いらっしゃるってことは報道でも承知いたしておりますし、買い物現場に行けば、そのことは実感するところでございます。国民の皆様方も苦しいのですが、国の財政も本当に仔細に見なくても、相当に厳しい」。
ちょっと何を言っているのか理解できません。
「子細に見なくても相当に厳しい」って、いったい何ですか?
自民党さん、こんな首相で、本当に大丈夫ですか?
正直、昨年9月の自民党総裁選の決選投票で、高市早苗氏ではなく石破氏に票を投じたすべての自民党議員の正気を疑います。
やはり、こうした言葉の端々に、その政治家の人間性の本性などが出てくるものなのかもしれません。
石破首相は「仔細に見なくても」、と言いましたが、むしろ首相なのだから、仔細に見てほしいと思いますし、財務省系の御用学者ではなく、スタンダードな経済学を理解しているまともな経済学者の意見をもっとちゃんと聞いてほしいところです。
いや、あるいは石破氏本人に改善の見込みがないのであれば、自民党議員に適切な行動をしていただきたいところですし、それを期待するのが無理だという話であれば、最終的には私たち有権者が適切に行動しなければならないのかもしれませんが…。
参考記事:減税反対派への反論
以下は、参考記事集です。
本文中で触れた「減税反対派などの言い分」6つのうち、あまりに低レベルすぎる「その⑥」を除く5つの論点についての反論と、わが国が減税を必要とする理由に関する参考記事のリンクをまとめております。ご興味があれば、いま一度、ご確認ください。
減税反対派などの言い分の例
- その①「国の借金はGDPの2倍で財政再建が必要」
- その②「日本は毎年度財政赤字で減税の余裕はない」
- その③「基礎控除引上げには複雑な制度変更が必要」
- その④「国の借金はいつか全額税金での返済が必要」
- その⑤「国の借金を国民1人に換算すると一千万円」
- その⑥「多くの著名財政学者が減税に反対している」
©新宿会計士の政治経済評論
その①「国の借金はGDPの2倍で財政再建が必要」
- 国家の債務を個人の債務を同じ感覚で論じるな
- 負債の額だけで議論するな、資産を無視するな
- 自国通貨国債の発行可能額は資金循環で決まる
- 経済成長でGDPが2倍になれば良いのでは?
→『【総論】「国の借金」説は、どこがどう誤っているのか』等参照
3番目の外貨準備組入れ通貨…これのいったいどこが「信頼を失っている通貨」なのでしょうか?巷間で最近よく見かける「国の借金」プロパガンダは、たいていの場合、その冒頭から間違っています。というのも、そもそも「国の借金」などという概念は、存在しないからです。本稿では大事な「総論」として、この「国の借金」論のどこがどう不適切なのか、改めて詳細に論じてみたいと思います。そのうえで、私たち国民が有権者として懸命に振る舞うことが必要だ、という点についても、あわせて指摘しておきたいと思う次第です。プロローグ:... 【総論】「国の借金」説は、どこがどう誤っているのか - 新宿会計士の政治経済評論 |
その②「日本は毎年度財政赤字で減税の余裕はない」
- 一般会計は少なくとも2009年以降剰余金を計上
- 7~8兆円税収減とする主張の根拠自体乏しい
- 減税で乗数効果により経済成長し税収も増える
- 財務官僚が主張する「税収弾性値1.1」は間違い
→『財源論者に不都合な事実…来年度税収見通しは過去最高』等参照
最近、減税反対派は「減税派は財源を示していない」、とする主張に終始しているようです。減税に反対する理由がひとつひとつ論破されたためでしょうか。ただ、この「財源論者」にとって、またしても不都合な事実が出てきました。一般会計では毎年のように巨額の剰余金が計上されています(しかも毎年のように、公債の発行が中断されていながら、です)が、それだけではありません。先日の補正予算で2024年の税収見通しが上方修正されたばかりですが、報道等によると、27日にも閣議決定される来年の税収見積もりが70兆円台後半と過去最... 財源論者に不都合な事実…来年度税収見通しは過去最高 - 新宿会計士の政治経済評論 |
その③「基礎控除引上げには複雑な制度変更が必要」
- 基礎控除引上げるだけなら計算ロジックは不変
- 源泉徴収票のフォーマット変更なども必要ない
- 法改正は所税法と地税法の2条文と甲欄表のみ
- この手の変更であれば民間の負担は非常に軽い
→『否が応でもSNSと付き合わなければならない時代到来』等参照
兵庫県知事選はデマの勝利だったのか?「SNS上では事実に反するデマや誹謗中傷が拡散し、脅迫まがいの行為を撮影した映像が流れるなど、『無法地帯』と言って良い状況が続いた」。こんな主張が出てきました。兵庫県知事選で再選した斎藤元彦氏に投票した人が、まるでこれらの「デマや誹謗中傷、脅迫まがいの行為」を参考にしたかの言いぶりに見えてしまいますが、斎藤氏の陣営がデマや誹謗中傷、脅迫まがいの行為を行ったという事実は、ちょっと記憶にありません。Xアカウントのフォロワーが1.6万人間近ちょっとした報告があります... 否が応でもSNSと付き合わなければならない時代到来 - 新宿会計士の政治経済評論 |
その④「国の借金はいつか全額税金での返済が必要」
- 自国通貨建ての政府債務は基本的に借換が可能
- 政府には寿命がないため半永久的な借換も可能
- 経済成長でGDPが拡大すれば返済負担も軽減
- 国債は必ずしも税金「だけ」で返す必要はない
→『減税巡るショボすぎる自公案…国民に喧嘩売った財務省』等参照
例の「年収の壁」を巡って、自公側は現行の103万円を123万円に引き上げる、とする方針を固めた―――。こんな報道が相次いでいます。たとえば年収750万円のそうだと、国民民主党が主張する178万円と比べて、年間で下手をすると減税額が16万円以上減ってしまう計算です。これ、財務省(≒自民党税調)が国民に対して喧嘩を売ってしまったようなものではないでしょうか?自公が減税額を押し切る?自公は123万円で押し切りか:玉木氏は強い不満表明当ウェブサイトでも連日のように取り上げて来た「年収103万円の壁」を巡っては、国民民主党が1... 減税巡るショボすぎる自公案…国民に喧嘩売った財務省 - 新宿会計士の政治経済評論 |
その⑤「国の借金を国民1人に換算すると一千万円」
- 政府債務の返済義務があるのは国民でなく政府
- 返済には増税だけでなく借換や資産売却も可能
- 企業債務も「従業員1人あたり」で評価しない
- 銀行の債務も「従業員あたり」で議論する気か
→『「SNSで財務省に誹謗中傷」自体が悪質なデマでは?』等参照
最近、「SNSで財務省に対する誹謗中傷が相次いでいる」、などとする主張が増えてきたように見受けられます。しかし、現実には、SNSなどネットで流れる批判にはきちんとした根拠が付されているものも多く、これらを「誹謗中傷」と決めつけるのは、さすがに乱暴ですし、それ自体が悪質なデマかもしれません。そして、財務省自身が長年、「財政破綻論」という虚偽の主張を繰り返し、新聞、テレビなどのオールドメディアがその主張に加担して来たわけですから、デマという意味ではSNSよりも官僚やオールドメディアの方でしょう。... 「SNSで財務省に誹謗中傷」自体が悪質なデマでは? - 新宿会計士の政治経済評論 |
わが国が減税を必要とする理由
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仔細に見なくても >
この人物には、そもそもデータを子細に見る能力そのものが、致命的なまでに欠落しているのではないでしょうか?
総理大臣就任時の所信表明中、2020年代に最低賃金を1500円実現云々の文言を盛り込こませていた時に、私は確信的にそう考えました。2020年代というスケジュールからいえば、残り5年間しか残されていません。その時点での最低賃金は1050円程度だったと思います(2023年度全国加重平均値)。
つまり彼はたった5年で最低賃金を約1.5倍にすると云ったわけです。
これを実現するためには、最低でも年率8%近い賃金上昇を毎年行わなければなりません。
因みにこんな施策過去に一度も実現できた試しはありません。
こんな意味不明で実行不可能な妄言を、所信表明をやってしまうこの石破茂という人物に、データを子細に見ることなど到底期待できる筈もありません。
2023年度も4年連続で税収が伸び、予算に対して2.5兆円上振れて72兆円。
繰り越しが11兆円とか。
どこが苦しいの??
それにしても石破総理の顔を見ると気分が悪くなります。品が無いと、強く感じます。
そもそも、仮に「国の財政が厳しい」が仔細に見ても正だったと仮定しても、論理として
国の財政が厳しい → 減税できない(増税する)
ではないはずですが、こういう答弁をしてしまうところが、大雑把というか短絡的というか少なくとも首相相当の思考力が足りていないように感じました。
一義的には、国の財政が厳しいかどうかを「仔細に」見ていない、ということが伝わりますし、
さらに仮に国の財政が厳しいと仮定しても、この変更をして本当に税収が減るのかどうかを「仔細に」検討していない(そもそも考えてもいない?)ことがわかりますし、
さらに仮に税収が減ると仮定しても、国の財政が厳しいということに対応する解は税収だけではないはずで、今回の記事の答弁の文脈でいうならば、格差とか地方負担の是正と両立させることができるかを「仔細に」考えたうえでの応答ではない、ということが伝わってきます。
そういう部分をきちんと理詰めで説明しない・できないことの問題は、結論ありきで適当な言葉を並べているように聞こえること、要するに「国民の皆様が苦しいことは承知している」という言葉が軽くなり、問題に真摯に取り合っている感じがしないことだと思います。
「(高市早苗でなければ)誰でもよかった」。
「後のことはそれから考える」。
これが総裁選の決選投票時の石破投票を指示した連中の考えだったのでしょう。
彼らが実現したい日本社会、彼らが守りたかったもの。
この世を去る前にゲロって懺悔してもらいたいものです。
だからといって贖罪されるものではないですが。
それにしても、小野寺さん。。。
防衛大臣としての誠実な仕事に結構期待していたのですが、今回の社畜ならぬ派閥畜っぷりにはガッカリさせられました。
組織の一員として働くのは勿論大事ですが、小野寺さんならではの「付加価値」を見たかったです。
>ぼやく石破総理「みんなウケること言いたがる」
おまゆう。
何も考え無しに世間にウケることばかりを言ってきた人がよくもまぁ、と思います。
「子細を見なくても」ってのは、要は「私は根拠無しにそう結論づけています」といっているということなのでしょう。
意外性もないですが、いつまでこんなの続けるんでしょうね。自民党は。
「皆ウケることを言いたがるが、私はウケの悪いことも言える優秀な総理なのだ」
「さすが石破総理!!」
というウケを狙っての発言でしょうから、ブレていないのかなぁと。結果ウケないのも含めて。
首相が「我が国の財政ほんま厳しいです」なんて言ったら、無駄に為替や株価にケチをつけそうなもので、無知自慢のみならず、影響についてあまりに浅薄な発言ですが。これで何の影響も出なかったら、日本国経済の信用がよほど高いという傍証になっちゃいますね。それか石破総理の信用がよほど低いということですけど。
まったくブレてないですよね。(笑)
人は環境変化で豹変する可能性もありますから、一応どっちかなと思って見てましたけど、サプライズなほどに今まで通りの延長の人でした。
ここまで変化しないってことはある意味サプライズでしたが。
株価は為替はとっくに織り込んでいて、就任後の彼の発言ごときではもう変化しないんでしょう。
だいたい毎年恒例の年度予算が通せるかどうかが注目点になっちゃってるんですよね。優しいこと。
データ見ないで言ったのなら、それ、ただの石破の感想やん。
ひろゆきにはぜひ突っ込んで欲しいところ。
マジで国民を馬鹿にしてますね。
まあ石破首相の意見は大半が岸田前首相の台本なのでしょうけどね。二人とも国会議員としても資質が怪しい人物。
参議院選挙惨敗の席で「続投宣言」をするんだろうなあ
今の日本を導けるのは俺しかいない
とかなんとか
ついていくのは「野田立憲維新公明」かあ
20年ほど前でしょうか。
自民党をぶっ壊すと言った政治家がいました。
何の皮肉でしょうか。
自民党を壊すなどということを一欠片も考えてすらいなさそうなのに、勝手に壊していく政治家が出現するとは思いませんでした。
空前の税収増で財政厳しいなら予算がおかしかっただけ
財務省が無能なんじゃないか?