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インバウンド急増で日本の食品需要が海外にも急拡大か

今から3年前の東京五輪では、選手村では味の素食品の冷凍餃子が大人気となったほか、冷凍食品、カップラ、アイスチョコモナカジャンボといった日本の食品が、外国人の選手やメディア関係者らによってSNSに広範囲に投稿されました。こうしたなか、最近だとアイスの輸出が増えているそうですが、これも「インバウンド効果」といえるかもしれません。

いろいろ残念だった東京五輪

東京五輪、今から4年前の2020年に開催される予定でしたが、コロナ禍のために1年延期され、結局、2021年に無観客で実施されました。

当時、日本は海外からの一般旅行者を受け入れておらず、せっかくの東京五輪にも関わらず、日本政府観光局(JNTO)データによれば、日本に入国した外国人は2021年7月が51,055人、8月が25,916人に留まりました(ちなみに2024年5月の入国者数【速報値】は3,040,100人)。

想像するに、外国人入国者の多くは選手か報道関係者だったのでしょうが、五輪を誘致した当初、日本政府がもくろんでいたとされる「2020年までに訪日外国人4000万人」という目標は達成されずに終わっています。

東京五輪はほかにも、個人的になにかと残念に思える点が多々ありましたが(とくに開会式など)、当ウェブサイトは「スポーツ評論サイト」ではありませんので、この点については割愛します。

あるいは当時、菅義偉総理大臣は「東京五輪を中止すべき」と主張するマスメディアなどの攻撃に連日晒され、大変にやつれていたという印象があります。

東京五輪は結果的に大成功だった!?

ただ、「スポーツの祭典」「、あるいはおもてなし」、といった観点からは、東京五輪は間違いなく大成功だったというのが、著者自身の考え方です。

とりわけ五輪の公式スポンサーでありながら社説で五輪中止を訴えた某新聞のダブル・スタンダードぶり(『「五輪はダメだが高校野球はOK」の首尾一貫性のなさ』、『東京五輪でオールドメディアが見せる「手のひら返し」』等参照)には呆れます。

しかし、『国民の過半数「五輪を開催して良かった」=読売・朝日』などでも取り上げたとおり、五輪に反対の論陣を張った新聞社の調査でさえ、少なくとも国民の大多数は東京五輪を大成功だと考えていましたし、また、主要国メディアの取り上げ方も、かなり好意的だったことは間違いありません。

こうしたなか、改めて振り返っておきたいのが、『選手村で大人気の餃子は「味の素の冷凍食品」だった!』などでも取り上げた、「日本の食品のクオリティ」という論点です。

これは、東京五輪の選手村で提供されていた、日本五輪委(JOC)オフィシャル・パートナーである味の素が提供している冷凍餃子が、外国人選手らに大人気だった、とするものです。

じっさい、ツイッター(現X)やインスタグラムなどでも、外国人選手、外国人記者らが日本で食べた食品(冷凍食品、カップラ、チョコモナカジャンボなど)が世界中で大いに話題となっていました。

コロナ禍があけ、日本に入国する外国人がうなぎ上りに増えており、2024年は3月、4月、5月と3ヵ月連続して訪日外国人が300万人を超える大盛況となっている要因のひとつは、想像するに、こうした日本の食品ではないでしょうか。

もちろん、円安などの特殊要因もあるかもしれませんが、航空運賃が高止まりするなかで、わざわざ日本を旅行先に選ぶ外国人(とくに米国人)が急増しているのは、円安だけではない「なにか」があると考えた方が自然でしょう(それが何であるかはともかくとして)。

インバウンドの影響で日本のアイスが海外でも人気=読売

こうしたなかで、インバウンドに関連し、読売新聞が12日付で報じた、こんな話題を紹介しておきましょう。

日本のアイスが海外でも人気、訪日客が帰国後も買い求める…輸送費などコスト上乗せ「現地では高級アイスの部類」

―――2024/07/12 07:05付 Yahoo!ニュースより【読売新聞オンラインより】

読売の報道によると、日本アイスクリーム協会が発表した2023年度販売額は前年比+9.9%となる6082億円で、読売はその背景として、メーカーの需要予測の精度が上がっていることに加え、アジアを中心に海外でも人気を集めていることなどを挙げています。

とりわけ財務省貿易統計では、アイス類の2023年の輸出は前年比+23.5%と過去最高を記録した、などとしつつ、こう述べます。

メーカーなどによると、輸出の伸びには訪日客が影響しているようだ。味や形で様々な商品があり、小豆や抹茶といった和風の商品は根強い人気がある。旅行者が帰国後も日本の味を求めることから、現地の小売業者が輸入を増やしているとみられる」。

この点、食品の輸出額が日本の貿易額に占める比率は(現在のところは)微々たるものです。

財務省貿易統計をもとに、2023年における輸出品概況を確認すると、輸出額100兆8817億円のうち自動車などが17兆2652億円で全体の17.11%を占めるほか、材料・半製品などが全体の7割を占めるなど、日本はれっきとした「工業国」であることがわかります。

ただ、食品、マンガ、音楽、ゲームといった文化に関しては、決して侮れません。

金額的には微々たるものだったとしても、日本が世界の人々を魅了することになるのだとしたら、結果的に「防衛費が削減できる」(かもしれない)からです。日本の侵略をもくろむ国にとっては、日本のファンが世界中にいるという事実は、日本への侵攻をためらわせる要因となり得ます。

(※あたりまですが、だからといって当ウェブサイトは防衛費を増額しなくてよい、などと指摘するつもりはありませんし、むしろ防衛費を増額するという岸田文雄・現首相の方針については、当ウェブサイトとしては全面的に支持しているつもりですので、念のため申し添えます)。

インバウンドが伸びれば防衛費が削減できる…!?

いずれにせよ、「インバウンド観光を振興することによる日本経済への直接的な効果」については、当ウェブサイトとしてはかなり懐疑的です。現状、入国者が特定国に偏っていることに加え、観光産業自体が労働集約産業であるためです。

ただ、それと同時にインバウンドには「世界中に日本のファンを増やす」という大きな効果があることは間違いありません。

過去にずいぶんと多くの国を訪れたことがある、山手線の駅名を冠する怪しい自称会計士の経験だけで申し上げるなら、やはりさまざまな国に出掛ける中で、「最も安全で快適な国」は間違いなく日本だと断言することができます。

もちろん、日本人の目から見て、日本が一番暮らしやすい国であるのは当たり前ですが、ただ、客観的・公正な目で見て、外国人にとって「英語が通じ辛い」、「街中に英語標識が少ない」などの欠点はあるにせよ、食事は美味しくて安全・安価であり、鉄道などの公共交通手段も時間に正確で快適です。

多くの外国人が日本に押し寄せるという時代になれば、その分、日本を直接に体験する外国人が増えるということでもありますし、それらのなかにはリピーターとして何度も日本にやってくる人や、本国に帰ってからも日本の食品などを買い求める人も出てくることが期待できるでしょう。

そして、訪日外国人は、かつてなら中国、韓国、台湾、香港という「近隣4ヵ国・地域」に偏っていたフシもありますが、最近だと米国、豪州、欧州などからの訪問者が増えるなど、訪日外国人の出身国が多様化し始めていることも事実です。

このように考えていくと、日本にやってくる外国人が増えているのも、結局のところ、「日本政府が観光客を誘致しているから」ではなく、「外国人に日本の魅力が伝わり始めているから」という可能性も高いと思うのですが、いかがでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (9)

  • >金額的には微々たるものだったとしても、日本が世界の人々を魅了することになるのだとしたら、結果的に「防衛費が削減できる」(かもしれない)からです。日本の侵略をもくろむ国にとっては、日本のファンが世界中にいるという事実は、日本への侵攻をためらわせる要因となり得ます。

    欲しい物は交易で手に入れるのではなく産地を手に入れるのが大陸流だから、

    日本を手に入れればファンが落とす金も自国に落ちる金になる、

    と考えるかも。

  • 必死にネガティブキャンペーンを張っていた
    段ボールベッドですが、パリ五輪でも使用されるようです。

    いつも思うのですが、マスコミは自分たちが言っていた主張を顧みないのでしょうか?

    • そんな事をしたらマスコミ内では「裏切り者」として「報い」を受けるかと。
      あれだけ身内の庇いあいが酷い業界なんだから、その逆方向に行こうとすれば
      当然……と言う訳です。

  • 東京五輪のときに幕張メッセ近くのイオンでデッケェ外人おっちゃん3人が美味しそうにアイス食べてたのを思い出しました。
    (会場から外出して大丈夫だったんか…?)

  • Nikkei Asia が6月19日付けでこんな記事を公開しているようです。
    https://asia.nikkei.com/Business/Food-Beverage/Japanese-ice-cream-melts-hearts-in-Asia-with-record-exports
    Japanese ice cream melts hearts in Asia with record exports
    (日本のアイスクリーム、記録的輸出でアジアのココロを溶かす)
    Taiwan is top overseas market, with Malaysia emerging as new battleground
    (海外向けトップは台湾、マレーシアがそれに続く新興市場に)

  • 海外旅行者が気づく 究極の旨いものは 米、ご飯に行きつくと思います。
    もちろん、ごはんだけでも旨い ジャポニカ米です。
    米は保存性がよく、炊飯器を使えば 家庭で毎朝自動で出来立てが食べられます。
    外国の朝食では パン、コーンフレーク、じゃがいもが食べられているようです。家の中で自動で主食が出来上がる米は 大きな魅力と思います。
    ジャポニカ米は 満州、朝鮮、日本およびカリフォルニアが主産地らしいです。
    中国南部、東南アジア、インド、南欧は インディカ米で 世界のコメ生産の大部分らしいです。
    ジャポニカ米の需要が増えるとインディカ米からの転作も増えるかもしれませんが 日本産米の海外へのアピールのいい機会と思います。
    ごはんとふりかけだけでも、朝食が成り立ちますから。

    一方懸念は 日本人が堪能している さかなのうまさが 世界にバレてしまったことです。
    さらに ほぼ日本人しか食べていなかった タコ、牛タンの認識がかわったこと。
    生産量に限界があるものが 日本に入ってこなくなることが 心配です(内陸国の人たちまで海水魚のうまさに気づかれてしまいました)。

    まあ 日本での刺身、寿司がうまいから 自国でやってもうまいか というと、きっと、流通経路、コールドチェーンが未発達で 生臭い刺身、寿司しかできないと思います。
    日本で当たり前のように食されてる生卵やフグを、自国でも同じようにできるかといかがなものか。
    某半島では 日本にできるものは我々もできるという 思い込みが激しいようです。日本では食べることのできない「生牛レバーおいしかった」と インフルエンサーが 無責任にふれまわっていました。
    ご無事でありますように。
    イギリスでは特別規格ができ生食可能卵も流通しだしたそうです。
    和食が世界の食文化をかえている といってもいいとおもいます。

    • 日本にない香米が国内生産されるといいと思います。気温上昇で産地に適した品種も違ってくるでしょう。高く売れる評判のいい米は一通りでないはず。