ロシアによるウクライナ侵攻に関連し、米国のセカンダリー・サンクション(二次的制裁)が中国など第三国の銀行に対して発動され、これによって間接的にロシア企業などが締め上げられ、ロシアの戦争遂行能力が低下するならば、歓迎すべき話です。もちろん、制裁逃れの能力に長けた国が相手であるため、あまり楽観はできませんが、それと同時に台湾海峡危機のリスクを抱える私たち日本にとって、ウクライナの勝利は国益につながることは、重要な背景情報として、十分に認識しておくべき論点でもあります。
目次
国際与信統計と日本
日本は世界最大の債権国
先日の『国際与信統計でまたもや日本が「世界最大の債権国」に』などでも取り上げて来ている通り、民間金融機関の国境をまたいだ与信状況を示す『国際与信統計』によれば、日本は8年半連続して、世界最大の債権国」であり続けています。
日本は「債権国」としてみると、「最終リスクベース」で5兆0435億ドル、「所在地ベース」で5兆1738億ドルのおカネを外国に貸し付けている(図表1)計算です(※しかも、これは邦銀の投融資に限定されており、政府系金融機関等や生損保、社会保障基金や外貨準備の投融資を含まないベースで、です)。
図表1 日本から外国への債権(2023年12月)
区分 | 金額 | 備考 |
日本から外国への債権 | 5兆0435億ドル | 最終リスクベース |
日本から外国への債権 | 5兆1738億ドル | 所在地ベース |
うち(相手国から見た)外国通貨建て | 4兆0346億ドル | 所在地ベース |
うち(相手国から見た)自国通貨建て | 1兆1392億ドル | 所在地ベース |
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
日本の対外債務は債権と比べて約4分の1に過ぎない
こうした日本の対外与信構造を見るうえで、もうひとつのポイントは、経済規模と比べた対外債務の少なさです。
日本の外国からの債務は、「最終リスクベース」では1兆2681億ドル、「所在地ベース」では1兆3256億ドルと、それぞれ対外債権の4分の1ほどであり、さらに債務のうちのざっと6割弱が自国通貨建てで、外国通貨建ての債務は5658億ドルに過ぎません(図表2)。
図表2 外国から日本への債権(2023年12月)
区分 | 金額 | 備考 |
外国から日本への債権 | 1兆2681億ドル | 最終リスクベース |
外国から日本への債権 | 1兆3256億ドル | 所在地ベース |
うち外貨建て | 5658億ドル | 所在地ベース |
うち円建て | 7597億ドル | 所在地ベース |
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
余談ですが、こうした状況を踏まえると、債権債務関係「だけ」で見て、円安が日本にいかに大きな恩恵を与えているかは明らかでしょう。
とりわけ米ドルなどの外貨建ての債権は、円換算したら巨額の含み益を生じるからであり、また、利率・配当利回りが変わらなくても、受取利息配当金が増える効果も得られるからです(これがいわゆる「円安の資産効果」です)。
これに対し、円安になれば外貨建ての債務も膨らみ、外貨でおカネを借りている企業などにとっては返済負担が大きくなるはずですが(いわゆる「円安の負債効果」)、そもそも国全体において外貨建債務が円建債務よりも遥かに少ないわけですから、負債効果が日本経済にもたらすマイナス影響も限定的です。
「円安が日本経済に悪影響(のみ)をもたらしている」と主張する人たちは、なぜかこうした「数値に基づく議論」を頑なに避ける傾向があるのですが、気のせいでしょうか?
ロシアに関するいくつかのデータの確認
外貨準備に占める人民元の割合の増減とロシア要因
さて、国際金融という論点に関し、確認しておきたいのが、ロシアの状況です。
以前の『世界各国の外貨準備で日本円の金額と比率が過去最高に』では、国際通貨基金(IMF)が公表する統計データによると、世界の外貨準備に占める人民元の比率が、ウクライナ戦争以降、下がる一方だ、とする話題を取り上げました。図表3がその具体的な証拠です。
図表3 世界の外貨準備に占める人民元建ての資産とその割合
(【出所】International Monetary Fund, Currency Composition of Official Foreign Exchange Reserves データをもとに作成)
この図表は国際通貨基金(IMF)が公表する『COFER』と呼ばれる統計をもとに、世界の外貨準備のうち人民元の金額と構成割合の推移を示したものです。
人民元のデータは2016年12月分以降のものしか存在しませんが、その理由はおそらく、それ以前は人民元の外貨準備構成通貨としての重要性がさほど高くなかったからでしょう。
それはともかくとして、人民元が統計データに上がってきて以降の動きが、ある意味で非常にわかりやすいものです。
金額、世界の外貨準備高全体に占める割合ともに、2021年12月にかけて急伸しましたが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻(2022年2月)直前のタイミングである2021年12月が人民元の外貨準備のピークとなり、その後は減少し続けているのです。
このことから、こんな仮説が成り立つのです。
- ウクライナへの軍事侵攻を理由に、ロシアは2022年2月、西側諸国から外貨準備高の凍結処分を喰らった
- ロシア中銀からロシア下院向けに提出された報告書などを手掛かりにすると、ロシアの外貨準備高のうち、西側諸国通貨建ての3500~4000億ドル程度が凍結されてしまったと考えられる
- ロシアの外貨準備(2021年12月末時点において6306億ドル)のうち、ロシアが自由に使用できるのは、ロシア中銀の金庫の金塊約1300億ドル相当と、人民元が1078.37億ドルに過ぎなかった
- ロシアは主要な貿易決済通貨として人民元を用いているため、必然的に人民元建ての資産を取り崩さなければならず、ロシアの人民元建て外貨準備が減り続けている
国際与信統計では対露融資がピークの5分の1に!
この仮説が正しいかどうかはわかりません。
ただ、少なくとも国際与信統計を使えば、外国銀行からのロシアへの債権が、ウクライナ侵攻の前後で顕著に減っていることがわかります。
図表4はロシア向けの債権が過去最大となった2013年3月末時点、ウクライナ戦争直前の2021年12月末時点、そして直近、すなわち2023年12月末時点のデータを比較したものです。
図表4-1 外国銀行からロシアへの債権(2013年3月)
区分 | 金額 | 備考 |
外国からロシアへの債権 | 2586億ドル | 最終リスクベース |
外国からロシアへの債権 | 2746億ドル | 所在地ベース |
うち外国通貨建て | 2044億ドル | 所在地ベース |
うち自国通貨建て | 702億ドル | 所在地ベース |
図表4-2 外国銀行からロシアへの債権(2021年12月)
区分 | 金額 | 備考 |
外国からロシアへの債権 | 1052億ドル | 最終リスクベース |
外国からロシアへの債権 | 1213億ドル | 所在地ベース |
うち外国通貨建て | 650億ドル | 所在地ベース |
うち自国通貨建て | 563億ドル | 所在地ベース |
図表4-2 外国銀行からロシアへの債権(2023年12月)
区分 | 金額 | 備考 |
外国からロシアへの債権 | 503億ドル | 最終リスクベース |
外国からロシアへの債権 | 591億ドル | 所在地ベース |
うち外国通貨建て | 238億ドル | 所在地ベース |
うち自国通貨建て | 353億ドル | 所在地ベース |
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
この3枚の図表、CTスキャンのようにロシアへの与信状況を浮き彫りにしてくれます。
ロシアと国際社会(とくに西側諸国)との関係が現在よりも良好だった2013年3月末時点で、外国銀行からロシアへの債権は、最終リスクベースで2586億ドル、所在地ベースで2746億ドルで、とりわけ外貨建ての債務が2044億ドルに達していました。
ところが軍事侵攻直前だと、ロシア向けの債権は最終リスクベースで1052億ドル、所在地ベースで1213億ドルと、その半額以下に減少。直近ではこれが最終リスクベースで503億ドル、所在地ベースで591億ドルへと、それぞれさらに半分以下に減っていることが確認できるでしょう。
わかりやすくいえば、現在のロシア向けの与信は、ピーク時の約5分の1に減ってしまった、ということです。ロシアが外国からの資金調達にかなり苦慮しているであろうことは、想像に難くないところです。
人民元利用でセカンダリー・サンクションか?
ただ、ロシアが外貨(とりわけ米ドル、ユーロ、日本円、英ポンドなど西側主要国通貨)の入手に支障を来していることは間違いないにせよ、少なくとも各種統計で見る限りは、人民元などを利用することで、経済制裁対象国以外の国との取引は順調に継続しているようにも見受けられます。
これについては、どう考えれば良いのか――。
こうしたなかで先日の『中国の銀行が「二次的制裁」恐れロシアとの取引中断か』などでは、「どうやら中国などの銀行が米国からのセカンダリー・サンクション(二次的制裁)を懸念し、ロシア関連の取引を断り始めているらしい」、とする話題を取り上げました。
ロシアに対するカネの流れを止めるべし!先般より、一部の外国の銀行がロシアへの輸出代金の送金を拒み始めている、などとする話題を、当ウェブサイトで取り上げることが増えています。こうしたなかで、VOAやロシアのベドモスチなどは今年2月頃から、複数の中国の銀行が米国などからの二次的制裁(セカンダリー・サンクション)を恐れ、ロシアとの取引を取り止めている、などと報じています。これについてどう考えるべきでしょうか。RMBトラッカーで見る「人民元のシェア急増」当ウェブサイトの長所なのか、それとも欠点なのか... 中国の銀行が「二次的制裁」恐れロシアとの取引中断か - 新宿会計士の政治経済評論 |
この「ロシア関連のセカンダリー・サンクション」に関しては、現時点において、SWIFTなどのデータでハッキリ確認できるわけではありません。むしろ国際送金通貨としての人民元の地位は高まっているのが現状であり、また、人民元はロシアにとっての主要な国際的送金手段となっている可能性が高いからです。
ただ、先ほど紹介した各種国際統計、出揃って来るまでは多少のタイムラグが存在するのですが、先行していくつか気になる報道が出て来ていることもまた事実です。
ロシア苦慮の証拠?それとも…
ウェッジ・オンラインの興味深い記事
こうしたなか、ウェブ評論サイト『ウェッジ・オンライン』に8日、ちょっと気になる記事が配信されました。
【牙を剥くロシアへの二次制裁】「プーチンの戦争」支えた対中貿易に異変、禁輸分野からふさがれる“抜け穴”
―――2024年5月8日付 Wedge ONLINEより
執筆したのは経済ジャーナリストの佐藤俊介氏で、プロフィール欄には「ロシアでも長年取材した経済ジャーナリスト」とあります。
記事は、こんな記述で始まります。
「ウクライナ侵攻を続けるロシアを経済面から支えてきた中国との貿易関係に異変が起きている。米国のバイデン政権が昨年末、対ロシア貿易にかかわる中国の銀行に対する制裁圧力を高めたことをうけ、彼らがロシアとの取引から次々と手を引き始めているためだ」。
佐藤氏によると、米バイデン政権は最近、ロシアへの金融分野における締め付けを強化しており、その影響でロシアの企業が中国・浙江省の銀行に保有している外貨預金口座などが続々と凍結される、といった事態が生じているのだそうです。
どうして米国はこのような動きに出ているのでしょうか。
これについて佐藤氏は、2022年2月にウクライナ戦争が始まった当初、欧米や日本などがロシア制裁に参加したものの、それらが「当初狙った成果」を上げることに失敗したと指摘します。その理由はもちろん、中国、インド、トルコ、UAEなどが、ロシアの主力輸出品である原油を大量に買い付けたからです。
この点は、じつはウクライナ戦争の当初から指摘されていた問題です。BRICSやいわゆるグローバル・サウスなどのうち、中国、インドなどの主要国がロシア向け制裁に参加していなかったがために、折角の西側諸国の制裁が部分的に無効化されていたことは間違いないでしょう。
佐藤氏は、こう続けます。
「特に中国は、原油の大量購入のみならず、ロシアに対し半導体や電子回路、工作機械など、軍事転用が可能な民生用製品の輸出を継続したとされる」。
ロシアが防衛産業の立て直しに成功し、ロシア軍の戦争継続能力が維持されたのには、こうした背景があったというのが佐藤氏の指摘です。
米国の二次的制裁
ただ、こうした状況も、米国がロシアによる制裁回避に関与した第三国の銀行に対し、セカンダリー・サンクションを課す方針を表明したことなどによって、大きく変わりつつあるようです。というのも、この制裁は、米国内で事業を営む第三国の銀行にとっては「命取り」となりかねないものだからです。
佐藤氏の記事ではその具体的な事例に加え、米国のG7外相会合での言動などにも言及があるのですが、詳しく知りたい方は原文を直接閲覧していただきたいと思います。
ちなみに記事では、こうした一連の制裁は中国以外の国の金融機関にも影響を及ぼしており、たとえば「トルコの銀行が24年初頭からロシアとの金融分野でのつながりをほぼ完全に解消した」とする米シンクタンクの分析や、「UAEの銀行もろしアからの撤退を開始した」、などの情報が掲載されています。
さらにはロシア企業のビジネス拠点として知られるキプロスが米FBIとの金融分野の捜査で協力を開始したほか、インドでもロシアからの現輸入の減少が指摘されている、といった話題もあるようです。
統計データはまだ不十分だが…
ただし、惜しむらくは、これらの「ロシアが総統に苦慮している」などとする情報については、それを裏付ける公的な統計などのデータが、現時点で必ずしも十分に整っているとはいえないことにあります。
また、米国のセカンダリー・サンクションはたしかに強力ではありますが、何かにつけて狡猾な中国が、制裁逃れのすべを編み出さないわけがないとも考えられますし、ロシアに対する締め付けが今後も順調に成果を上げる、などと楽観視すべきでもありません。
しかし、それと同時にロシアが勝利してしまうことは私たち自由主義社会にとっても大きな脅威であること、とりわけ台湾海峡危機のリスクを抱える私たち日本にとって、ウクライナの勝利は国益につながることは、重要な背景情報として、十分に認識しておくべき論点でもあります。
いずれにせよ、今般のウクライナ戦争ではロシアが完敗し、ウクライナが勝利を手にすることを願いたいところです。
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ロシア(軍)の当初戦略は、短期決戦だったはずです。経済的負担が出る前に決着をという戦略ではなく、単純に数日での停戦を見込んでいたという楽観からに見えますが。また、外部からの"停戦を願う声"は、真意はともあれ「何がなんでも戦争は悪い事」「どうせロシアが勝つのなら人命の優先を」といった論調が目立ちました。
しかし、どうも戦争の長期化によって、経済・国家の体力という観点では"ロシアにとって都合が悪く、西側にとって都合が良い"面が徐々に浮き出てきているように感じます。当記事はそれを裏付ける、まではいかずとも、より印象を強めるものです。
「戦争を長引かせ当事者達が血を流すことによって他国が利を得る」と書くとものすごく印象が悪いのですが。そういった事実がある以上は、各国はそれぞれの思惑を遂行しなければなりません。岸田総理としての意思・思惑はともかく、日本は比較的良い立ち位置を占めているのではないでしょうか。当然、ウクライナ国民にとってはたまったものではないでしょうが、当事者たちの選択は「どちらがマシか」という点。ゼレンシキー大統領は賭けに出たのでしょう。
現代においても泥臭い総力戦で粘るのが有効な状況がある。そしてそれは同盟や価値観の共有によってもたらされ、経済が決定打になる。そういった事を証明していくような戦争です。ドンパチしてから酒飲んだってねぇ。
逆に革新政党・左翼活動家の言うことはほとんどが逆効果ですらあり、ロシアに肩入れするのであればそう言うわなという面も……
ウクライナ応援団の皆様はロシアへの制裁に参加している国・地域がいくつあるかご存じですか?
なんと西側を中心としたたった48カ国・地域しかありません。
ロシアは170の国・地域と交流を持っています。
BRICSを通じて高性能半導体以外のすべてをドロ・ユーロ非決済で入手できます。
いろいろやっているみたいですが、たった48カ国でロシアを締め上げるとの考えは西側の自分自身への過大評価でしかないでしょう。
ロシアへの制裁に参加しているのはたった48カ国。
これは西側以外の世界がどちらに正義があると考えているのかを如実に示します。
ウクライナ応援団の皆様もこれをぜひご理解ください。
闘いは数だよ兄者ということですね。小学生にも分かる自明の理。数理的リテラシーの低い者にはそれが分からんのです。
しかし昔の教育を受けた者からすると世界の国の数もずいぶん増えたものです。
インドとモルジブを同じ比重でカウントしてる統計数値にどんな意味があるのか、僕にはわかりません。
まるで韓国系の「PV再生回数が世界最高!」みたいな空疎な臭いがしますね。
米国英国日本スイスが金融締め付けに参加してることは、例えばアフリカから4か国が制裁に不参加してる事と等価なのですかね?
・22年3月、ロシアのウクライナ侵攻への非難決議:賛成141
・23年2月、ロシア軍の撤退、戦闘停止、平和実現を求める決議案:賛成141
「中立」と呼ばれる国の全てが露支持というわけでもなく。
ここで有志国がウクライナを見捨てれば、明日は我が身の中立国には有志国を見限る動きも出てくるでしょうね。
小国・遠国でも、いくらか貿易をしたり関係を持っている以上は「我が国が意味もなく大国を怒らせても利益など何も無い」として関与しない、つまり中立。……という指摘は開戦当初からすでにありましたね。
とにかく、勝者当てゲームなど誰もしておらず、ウクライナ応援団とやらを"しなければならない"状況だという話なのですが、何万回すりゃ良いのでしょうね。なんなら「真実ではロシアが正義」だって別にかまやしない。関係ないですから。
"西側"でひとくくりはチト荒いンちゃいますかね?
ヤな見方ですが、軍事支援の遅延はじめ"現時点"では"結果的"にアメちゃんの"総意(底意?)"としては「ウクライナはイカサズコロサズ」状態に置いているワケですし、『長引かせるダケ長引かせてロシアの国力に長期にわたり響くダメージを与える』がアメちゃん総体としての目的なら"成功"してるンちゃいますか? ?
西欧諸国は各々また違う目論見底に敷いてるかもしれやへんですし、北欧バルトにウクライナのすぐ西なんかも各々でせうし
まーロシアを経済的にボコッといたら"戦後"に資源買い叩けるかもしれんし、そがなメが見えてきたら中印もまた振舞い変えてきよるんちゃいます???
あーセーカク悪!な見方でっけど
日本に住んでいて、総理大臣の悪口を言っても、明日も明後日もその後も、毎日朝日が拝めるが、ロシアでトップの事を尊崇しておりません、と言えばどうなるか?
まあ、ウクライナ問題とは、そういうこと。
ウクライナ応援団の問題点は大きく2つ
・1次情報を見ずに第3者に加工された2次情報ばかり見る
・自分に都合のいい情報ばかり見てそうでないのは見ない
この戦争ではロ、ウの双方のミルブロガー(軍事ブロガー)が現地から生の情報を提供していて、双方を追えばほぼ正確な戦況がつかめます。
またロ、ウの双方の兵士が直接Xなりテレグラムで意見を述べています。
私から見るに応援団はこういう1次情報を分析しているようには見えません。
第3者により加工された「リンク」ばかり見ているようです。
1次情報の偏向、捏造による加工はここの住人にとって釈迦に説法でしょう。
次に取得情報の恣意性です。
少し前に私は応援団の方と「ウの戦意」についてやり取りしました。
私は「ウに戦意などない」と主張。
この方はキーフの調査のリンクを示して「ウに戦意がある」とし、私に戦意がないリンクを出すよう求めました。
これの何が問題なのか?
それはこの方が見たい情報しか見ていないということです。
まずリンクです。
https://twitter.com/nhk_kurogen/status/1760107820907639210
この番組は大きな反響を呼んだのですが、この方は知らなかったのでしょう。
自分に都合のいい情報ばかり集める、都合の悪い情報は見ない、あるいは入ってこないようになっている。
だから「ウクライナに戦意がある」などと錯覚してしまう。
大統領警護役の大佐がロに寝返っています。
これで一般の兵士や国民に戦意があるというのは説得力を持ちえません。
戦意だけでなくすべての面においてこの傾向があります。
・1次情報を丹念に取得、精査
・加工された2次情報を恣意的に取得
私とウ応援団の意見が合わないのはこういうところにありそうです。
>私とウ応援団の意見が合わないのはこういうところにありそうです。
あ、違いますね。わかりやすいように身近なもので例えましょうか。
農「今度の町のサッカー大会楽しみだね、ご近所の草チームを応援しようか。」
ア「ちゃんと戦力分析ができていない。勝つのは隣町の準プロチームに決まっているのにご近所応援団はそんなこともわからないのか。」
農「そりゃまぁ準プロなら勝つんじゃない?でも友達も出るから草チームを応援しなきゃね。」
ア「噛み合わないな。準プロチームが敗けるわけないし草チームはもう戦意喪失してるじゃないか。戦意がある証拠を出せよ。」
農「いや多分ご近所さん負けるけど。隣町評判悪いし、勝敗予想とは関係無いんだって。」
ア「何を錯覚しているんだ、目を覚ませ隣町チームをみんなが応援しているんだ。」
意見のぶつけあいすら出来てないんですよ。
農民さん、鬼舞辻無惨を相手に議論しようとしているようなもんですよ。
茶化す意図もあるものの、実は私も"議論"するつもりはあまり無くて。上記の例えに
・無反応:私の発言など興味も無いか読んですらいない
└議論する価値なし。
・さらにロシア擁護を被せてくる:読みはするが伝わっていない
└議論する価値なし。
・文意をきちんと理解してくれて修正してくる
└やっとこ議論が出来るけどもまず無いと予想。
と、ウ応援団が正しいとか彼が正しいとかの以前の段階を固めて、主に他の不特定多数読者様方に「さぁどうよコレ」て示す方が目的ですかね。どう動いても彼の演説(not議論)は価値を失っていくのではないかと思いますがどうだろう。一晩あけて見てみたら案の定でした。
怨霊みたいなもんです。
なぜ怒ってるのか誰にも分かりません。
ウクライナを支持しようとすると出現するみたいです。
良かったですねえ、沢山レスもらえて。
「長文を書いて反論ポイントを増やす」
「レッテルを張り付けて自分の価値を下げる」
基本に忠実ですね。
ちなみに私はあなたの言う”ウクライナ応援団”とやらには所属していませんよ。
「戦況に関して素人が正しい情報を得るのは難しく、かといって”専門家”を
妄信するのも良くないから、とりあえず”ウクライナが当初の予想を超えて
長く持ちこたえている”と言う現実だけを見る」と割り切っています。
なので別に”都合のいい情報だけ見ている”訳ではありません。
あなたの主張を否定しませんが、肯定もしません。
分からない事は分からないで済ませ、分かる部分で分析します。
あなたは他人のコメントの意図を汲み取って論点をすり合わせる意思がありません。コミュニケーションの基盤が成立しません。なので、最後の返信以降あなたのコメントは読む価値がないと思って基本的には読んでいませんでした。あなたのコメントへの他の方の返信は読むこともあります。
話の噛み合わなさ具合は、農民さんがうまく表現してくださっている通りです。
たまたスクロール中の一次停止時にふと目にとまった箇所で、「この方は」としてどうも私のことを書いていることに気づいたので、一応反応します。あなたが意図を理解するとは思えませんが、他の方への誤解を広げないことも目的として書きます。
>この方はキーフの調査のリンクを示して「ウに戦意がある」とし、私に戦意がないリンクを出すよう求めました。
>(映像のリンク)
>この番組は大きな反響を呼んだのですが、この方は知らなかったのでしょう。
「この方は」って私のことですよね。
では、当時のあなたのコメントを引用しましょう。
https://shinjukuacc.com/20240425-03/#comment-313430
>ウクライナの一部政治家や軍、官僚の上層部以外にはもう戦意などない。
これに対して私は、昨年12月時点でも74%の国民が「領土を諦めることを容認しない」と答えた世論調査を例として挙げ、また総動員令下でこれらの国民が兵士としても動員されている状況で、高い士気を持った兵士が一人もいないという仮定には無理があると指摘しました。
その上で、あなたが戦意が無いと判断した根拠を求めましたが、当時あなたはそれを拒否しました。
今ごろになってそれを示す根拠を出したつもりなのでしょう。それが上のNHKクロ現の映像1本。徴兵拒否の事例を示したもののようです。ですがこれは徴兵拒否の事例の一部を示すものでしかありません。
徴兵者全体に対する拒否率など、「定量的に」判断できる情報でもあれば別ですが、これでは「一部政治家や軍、官僚の上層部以外にはもう戦意などない」ことを示す証拠としては不十分です。
たったこれだけの情報を基に「ウクライナ軍には戦意は無い」と判断したとしたら、それこそ見たい情報だけを見て結論を出している、といわれてしまっても仕方が無いです。
定量的な情報。
まあ、情報リテラシーの基本の「き」です。
>これに対して私は、昨年12月時点でも74%の国民が「領土を諦めることを容認しない」と答えた世論調査を例として挙げ、また総動員令下でこれらの国民が兵士としても動員されている状況で、高い士気を持った兵士が一人もいないという仮定には無理があると指摘しました。
何でそれがプロパガンダであると分からないのですか?
今でもウ国民、ウ兵士に戦意があると考えるのですか?
今年中に結果が出ることでしょう。
ウクライナ応援団の皆様は震えいぇ眠ることでしょう。
まー、あなたを説得する意図で返信するわけではないですが。
情報を流した者の意図はどうあれ(プロパガンダであろうがなかろうが)、そこにある情報が事実であると確認できるなら、事実として受け入れるしかないんですよ。好き嫌いの問題じゃない。
「いや、これはプロパガンダだから事実として認めない」
なんて言ってたら自分の認知が歪んでいることを宣言するようなもんです。およそ科学とはかけ離れた姿勢です。あなたの言う"軍事科学"とやらが、砂上の楼閣であると言ってるようなもんです。
プロパガンダであるかどうかを問題とするなら、あなたが挙げた映像がプロパガンダでない証拠もない。
>今年中に結果が出ることでしょう。
>ウクライナ応援団の皆様は震えいぇ眠ることでしょう
結果は問題ではないです。結果は後から付いてくるだけの話。プロセスが大事です。
勝ち馬を探す行為は見透かされて日本が信頼を失うだけです。目の前のニンジンを負って断崖に向かって突撃する行為。
私が「ウクライナ軍の士気は高い」とは言っていないのに気づいていますか?
私はあなたの「一部の(略)もう戦意などない」の仮定に無理があると指摘しています。あなたはあなたが提示した仮定の正しさを証明しなければならない、と言う土俵にいるんです。そして、その仮定の正しさを示す根拠を提示できていないのが現状です。
私はウクライナ軍の士気が高いのか低いのかはわかりません。
そして士気が高かろうが低かろうが、ウ政府が闘う意思を示す以上支援する以外の選択肢はないので、それそもそも関係ないと思います。
なぜそんな回りくどいことをしたか。
"軍事科学"を標榜するあなたの情報リテラシーを確認するためです。
そしてあなたは見事にそれを証明しました。
一次情報を見るものと二次情報を見るもの。
この結果が明らかになるでしょう。
答え合わせを楽しみにしていてください(*^^)v
だから、結果はどうでもよくてプロセスだって言ってるでしょ。
ホント話が噛み合いませんね。
根拠に基づかない予言がたまたま当たったって知的好奇心の欠片も感じません。
挑発ゲームに乗ってあなたの返信に反応しておきましょう。それにはその目線で応じるのが礼儀くらいに思ってますが、できるだけ丁寧に。これで最後です。
一次情報と二次情報の使い方がちょっとヘンですのでその言葉は使いません。
あなたが挙げた映像はおそらく本物だと思います。私もあの手の映像はたくさん見ました。露軍ウ軍にかかわらず。
でも、徴兵拒否なんて、徴兵制を敷いてる国ならどこでもあることです。ウ軍の「全ての」徴兵者がそうであることを定量的に評価できる情報はそこにはない。その一例があったからといって「ウ軍の兵士の士気が全くない」とまでは言えないです。(士気は「ある/ない」ではなく「高い/低い」だと思いますが)
加えて言うと「徴兵拒否者が多い=ウ軍の士気がない」も直接的には意味しません。士気に影響する要素は他にもある。
さらに言うと、「そもそも士気って何?」まであります。が、そこは別にいいです。
次に私の挙げた世論調査。量的な評価ができる一方、集計者の意図で捻じ曲げられる可能性は否定しません。ありえると思います。だから、私の指摘の根拠は「世論調査が正しいなら」という前提です。
それを崩したいなら、世論調査が正しくない証拠を出せばいいんです。
「プロパガンダに違いない」というあなたの思い込みでは証拠にはなりません。
ここまではあなたの根拠のおかしさを指摘しているに過ぎません。言葉遊びの範疇です。
あなたは「ウ軍の士気がない」ことを「ウクライナを支援すべきでない」ことの根拠の一つとしています。
私は最初から言ってて繰り返しませんが、ウクライナを支援する理由は他にあります。仮にウ軍の士気が低かったからと言って、それを支援しない理由にならないんですよ。
なので、あなたがいくら「ウ軍の士気がない」ことを頑張って証明したとしても、そもそも説得されないんです。
「でもそれって、ウクライナを支援をやめる理由にならないよね」で終わりなんです。
あなたが「ウクライナを支援すべきでない」ことを納得させたいのなら、他にある「支援すべき理由」を崩すしかないんですよ。論点が噛み合わないって、そのことを言ってるんです。
多分あなたが論点を修正することはないでしょうし、よほど気が向かない限り今後は返信はしません。
>ウクライナ応援団の皆様は震えいぇ眠ることでしょう。
>答え合わせを楽しみにしていてください(*^^)v
「震えいぇ」る理由がないので、震えません。
「捨て台詞」は論理による説得を諦めたことを示す「撃墜章」だと思っていますが、同じ人から2つもらっても価値は下がるばかりなんですよね。
老婆心ながら、私の個人的解釈では
一次情報=軍の命令書や政権内レポートなど客観的で信憑性の高い情報。
二次情報=軍関係者の話として~などで報道される情報
自分に都合の良い二次情報を一次情報って呼んでません?かなり恥ずかしく眺めておりました。政権内関係者の方で一次情報リーク目的であれば私の勘違いでしすので失礼しました。
>折角の西側諸国の制裁が部分的に無効化されていたことは間違いないでしょう
抜け道を探そうとするのは別にロシア中国に限った話ではないですし、手足を縛ろうとする側とそうはさせじと抜け道を探そうとする側の知恵比べの面があるでしょうから、パッと効果の出る簡単な方法はないのでしょうね。
効果の出具合を見ながら地道に抜け道を塞いでいくことに尽きると思います。
この話で思い出すのは、開戦後に制裁が議論され始めた頃に一部の人が言ってた「制裁で戦争は止められないからやる意味がない」の極端な主張。
1か0かの話ではなく何か策を打てば何らかロシア側の自由度が減ってその分やりづらくなるわけで、決定打にはならなくとも彼らが解除してほしいと願うモノには違いないので、後の交渉材料が一つ増えることが無意味とは言えませんね。代償の一つでしょう。
フリーハンドを与えるほうがおかしくて。
>1か0かの話ではなく何か策を打てば
バイデンさんも、あなたのような中途半端な考えで、制裁をやったんですね。
制裁は、1の効果を狙ってやるものです。
中印が、露との貿易を活発化することは分かり切っているのだから、西側主体の表の金融取引きだけを止めても効果が無いことは、初めから予想出来たこと。
少なくとも、この制裁発動は、1年遅い。
どうも、アメリカは、自分の力を過信するのか、戦争にせても制裁にしても、実行するときに緻密さに欠ける所がある。
今回は徹底的にやるべき。徹底的にやらない制裁なんて効果があるはずがない。
バイデンにそう言う意図があったかどうか私はわかりませんけど、別に制裁はバイデン一人で決めたわけではなく、G7を中心とした各国の協議で決めています。協議過程を見ればわかりますが、制裁項目ごとに推進・抑制の各国の思惑の濃淡がありました。エネルギー関連の制裁などは当初欧州はとても抑制的でした。
例えば、制裁を発動した後に日本の中古車輸出も露の継戦能力に資すると指摘があり、後に追加で輸出規制が実施されました。これは別にバイデンの意図とは関係ありません。
いろいろな事情があり、そう単純な話ではないと思いますよ。
意図はどうあれ現実は結果的にそうなっていますが、状況を追いながらのエスカレーションも制裁のやり方の一つでもあります。
横槍(たけひご製)失礼
昔みたマンガで、
仕事の会話に割り込んで断じたドヤ顔上司に、部下が上空の航空機を指差し「アレは何ですか?」と
上司「飛行機に決まってるだろ」
部下「私にはここからではアレがエアバスA320なのかボーイング737なのかはたまた、判断出来ないのでアレが何か断言できません」
部下「課長には"飛行機"しか選択肢が無いので断言された」
部下「それだけのことです」
てのがありまして、なんかそれを思い出してしまいました
そのマンガの教訓は「無知の知」が大事ってことですかね。
『気分は形而上』だったかな?
4コマか8コマみたいなマンガでした
(ぅぁぁ)
テツガク的なインテリゲンチアを笑い飛ばすという自虐ネタに諧謔があるとして受けたマンガでした。当方は今でも大好きです。
もう一つ指摘しておきます。
>あなたのような中途半端な考えで、
相手との会話においてですね、相手の意見を批判したり議論することと、相手の人物そのものを批判したり議論することって全然意味が違うんですが、おわかりです?
「制裁とはどうあるべきか」を議論したいのでしょう?
それを議論するのに「私の考えが中途半端であるかどうか」って関係ありますか?
仮に、「私の考えが中途半端だった」としましょう。だとしても、ロシアへの制裁がこうあるべきという結論に関係しないですよね。敢えて触れる意味がわからない。
その上あなたは「匿名」で、過去の発言を追跡不能で、人格として認識できない。コテハンとは違い、あなたがどんな人物なのかこちらにはわからない。相手の人物そのものを議論する上で立場が非対称なんですよ。
簡単に言うと、安全圏から言いたいことを言っている、ということです。アンフェアな行為です。
あなたのこの返信自体はそれほど目くじら立てるようなもんでもないのですが、最近、コテハンのコメンターさんを捕まえて「あなたは○○でダメな人だ」と難癖をつける匿名さんが頻発しているので、とても気になっていました。
なので、そう言う匿名さん向けに敢えて書きました。卑怯な行為ですよ。
意見は批判すれど人物そのもののことには触れないってのは、サロンみたいな場所で自由な議論を成り立たせる上でのたしなみだと思います。
御気に障るような書き方で済みませんでした。
今回の表現については、寧ろ、バイデン大統領そのものが、中途半端なやり方をしている、ということを言いたかったので、そのような表現になりました。実際、
>状況を追いながらのエスカレーションも制裁のやり方の一つでもあります。
と言われるその、エスカレーションそのものが、中途半端なやり方なのです。
ですから、そのやり方を、止む無し、と見ておられる、このコテハンの方も中途半端であると感じるのですから、そのような表現になりました。
このコテハン様は、人格はしっかりした方だと感じます。
が、このコテハン名で書かれているコメントの内容は、自分が遠くから見ている「傍観者的な意見」のように感じることが多いです。というより、殆どそう感じるコメントです。済みませんが、そう感じるのです。決して、人格を否定しているのではありません。
匿名さんへ
匿名さんは、自らの個性や人格を特定できる情報を敢えて隠蔽する存在です。簡単にいうと意図的に正体を隠した存在。そんな人と、私の個性に関することを話題にすること自体が不愉快である、と敢えて前置きをします。
「傍観者的な意見」。まあ確かに概して私はそんなスタンスであることが多いです。ここは仕事場じゃないですしね。
ただ、この件では私は制裁決定の関係者でもないし、客観的な立場で事実を基に個人の意見を述べているつもりです。それを傍観者と捉えるのは別に構いませんが、そうおっしゃるあなたの傍観者でない立場とは一体なんですか、と問いたくなります。別に結構ですけど。
それは置いといて、意図が正しく伝わっていないと思いました。
あまりしつこくあれこれ言いたくはないですが、滅多にない機会ですし私の意図を正確に伝えるために補足します。
あなたが再び私に投げかけた言葉は、
「あなたの○○という意見は傍観者的だ」ではなく、
「あなたは傍観者的な意見を述べる人だ」です。私の発した言葉を取り上げずに一般論として述べていますのでそう解釈します。相手の人物評価そのものです。評価の良しは関係ありません。
会社にお勤めかどうかはわかりませんが、会社の上司やお客さんとの雑談の最中に「傍観者的な意見を述べる人だ」と思ったとして、口に出して言いますか? 言わなきゃ業務に支障が出るなどでもない限り、気分を害する可能性があることを敢えて言いませんよね。部下に対しては雑談とはいえ指導の一環でそういうことを言う場面もあるでしょう。
ポジティブな評価のケースで極端な例も挙げます。仮に天皇陛下と面と向かって話す場面があったとして、「あなた頭のいい人ですね」と言いいますか? 私はそんな恐れ多いことは言えません。一定の距離感と敬意をもって良好な関係を維持したい相手には、そんなことは敢えて言わない。「いや、私はいいますけど」と言う人なら価値観の相違で話は終わりです。
必要性があれば言います。ここは政治経済ブログのコメント欄です。政治経済に関する議論は忌憚なくやる場所です。言う必要性がある。でも、その発言者自身がどうであるかは本来関係ありませんよね。
敢えて触れるべきでないというのも私個人の価値観でしかないので「少なくとも私には言って欲しくない」という言い方に留めておきます。
せっかくですので、制裁についても。
どれだけ強い制裁を課したとしても、ロシアの戦争を止めるのは無理だったと思います。逆にあなたは、どんな制裁だったら止められたと思いますか? 私にはわからない。
開戦直後の制裁検討時、制裁の強さを加減する要素はいくつかありました。
欧州の過剰なエネルギーのロシア依存、制裁による世界の金融安定に対する影響、国際法との整合性、各国が足並みを揃えられる合意が得られるか。また、強すぎる制裁へのロシアの核反撃の懸念が最も深刻なものとしてありました(今となっては相当下がりましたが)。制裁は自国に悪影響がありますが、制裁を協議する各国政府は国内で悪影響の及ぶ利害関係者に責任を負う立場でもあります。これらの条件を天秤にかけざるを得なかった事情を考えると、一概にあの制裁が中途半端だったと断じることはできないと私は思います。後知恵で外野が好き勝手言うのは簡単です。
具体的な制裁項目や決定経緯への指摘の上で中途半端だというのであればまた議論の余地はあるでしょうが、十把一絡げにしてお気持ちとして中途半端だというのであれば、私はあまり議論することに関心が持てません。
ロシアは先進工業国としての地位を失いかけています。
生産設備の老朽劣化により中間製品を作るのがやっと。ロシア製武器がおそらく最後の工業商品だったのですが、実力は全世界が知るところとなりました。
ノルニッケルという採掘会社があります。ノルニッケル社が持っている精錬施設は時代遅れであり、操業により重大な公害を地域にまき散らしてもいるそうですが、中国はノルニッケル社に対し精錬はいいから採掘資源だけ北極海経由で回送しろと通知して来たらしいです。Barents Observer 紙が書いています。ロシアは raw material(非精錬鉱物資源)輸出の国になりかけている。ガソリンスタンドのようなものです。国際社会との関係を決定的にダメにして、先進産業機械を輸入操業できなくなった段階で詰んでしまった。ロシアの未来は中国の機嫌次第です。
工作機械関連はソ連崩壊でがた落ちした後、プーチンロシアで多少は回復したものの、資源輸出で潤う中、比較優位の国際分業の文脈の中で十分爪を磨くことをしてこなかったようです。
露宇戦争開始後はさらに後退し、中国の支援で兵器製造などは多少維持できているそうですが、劣化は著しいようです。
比較優位の国際分業の道を選んだのに世界を敵に回す愚を犯した。
今後のロシアの立ち位置は中国のジュニアパートナー、がせいぜいなのでしょうね。
資源大国食糧大国といばったところで、ツルハシも鎌も外国製ですから。
「道具なら渡すよ、ただしサブスクな、年払いだよ。ところで5月分から値上げだ」
ロシア街頭インタビューでジャーナリスティックな腕前を発揮している Daniil Orain くんの 1420 Rusia チャネル、以前話題にも乗せましたが、Daniil くんが道行くロシア人にこう尋ねる回が傑作でした。
「あなたが今身に着けているもの携行しているもので、ロシア製品・ロシアブランドがあったら見せてくれ」
結果は見事にゼロ。おしゃれな流行服も靴もスマホもすべて外国ブランド輸入品。ロシアの品はただひとつもない。付け刃の国産化に舵を切ろうにも資源モノカルチャー国してしまった産業構造はもう元に戻せない。何を今さら感が。