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    Categories: 金融

「悪い円安」論は物差し自体が誤っているトンデモ論説

悪い円安論を突き詰めていけば、それは「物差し自体が誤っているトンデモ論説」ではないか――。円安がなぜ、「現在の」日本経済に対し、「総合的に見て良い影響をもたらす」といえるのかについては、当ウェブサイトではこれまでさんざん議論して来たつもりです。ただ、それでも新聞・テレビを中心に、「悪い円安」論の主張は留まるところを知りません。いずれにせよ、何を議論するにしても、まずは事実関係がどうなのか・現実の数字がどうなっているのか・理論的にはどのようなことがいえるのか、などについての初歩的な点を頭に叩き込んでおきたいものです。

悪い円安論の間違い

「5つのステップ」で否定する「悪い円安論」

いわゆる「悪い円安論」を巡っては、当ウェブサイトではこれまで、ずいぶんと話題として取り上げてきました。

ただ、何度も話題として取り上げているわりには、当ウェブサイトの主張は、基本的にはワンパターンです。それを振り返っておくと、こんな具合です。

  • 円安が日本経済に与える効果には、大きく次の5つがある。
  • 1、輸出競争力の強化。円安になれば、(関税や輸送コストなどを無視すれば)日本製品が海外で安く売られることとなるなど輸出競争力が伸びるため、日本経済にプラスの効果がもたらされる
  • 2、輸入購買力の低下。円安になれば、(関税や輸送コストなどを無視すれば)海外製品が日本で高く売られることになるなど輸入品価格が上昇するため、日本経済にマイナスの効果がもたらされる
  • 3、輸入代替効果の発生。円安で上記2の輸入購買力低下が生じた場合、海外製品に対する需要が低下し、国産品に対する需要が伸びるため、日本経済にプラスの効果がもたらされる
  • 4、資産効果。円安になれば、外貨建ての資産を日本円に換算した価値が上昇するほか、受け取る利息や配当金の円換算額が増えるため、日本経済にプラスの効果がもたらされる
  • 5、負債効果。円安になれば、外貨建ての債務を日本円に換算した負担額が上昇してしまうため、元利金の支払い負担が増えることとなり、日本経済にマイナスの効果がもたらされる
  • 現在の日本では「川下産業」(とくに単純な組立産業など)が多くないため、1のプラス効果はさほど生じず、また、原発稼働停止などの影響でエネルギーの輸入が多いため、2のマイナス効果が大きく出てしまう可能性があるなど、これらの要因は、短期的には円安が日本経済に悪影響を与える可能性はある
  • しかし、日本には「川上産業」がしっかり残っているため、川下産業が復活する可能性も相応に高いほか、3の輸入代替効果は時間差を伴って生じるものであるため、円安が長期化すれば、日本経済に良い影響が生じる可能性が高い
  • ただし、原発再稼働が順調に進まないなかで電力不足懸念が再燃しているほか、労働力不足の問題も徐々に深刻化しつつあるため、1や3の効果が十分に生じない可能性には留意が必要である
  • なお、日本は外貨建ての資産が非常に多い反面、外貨建ての債務が少ないため、4のプラス効果が非常に大きく出る反面、5のマイナス効果は大して生じないと考えられる

…。

数字的・理論的な論拠を伴っているつもりだが…

これが、『【総論】円安が「現在の日本にとっては」望ましい理由』でも触れた、「現在の」、の意味です。

つまり、現在の日本経済にとっては、円安は総合的に見て日本経済に良い影響を与える可能性が高い反面、電力不足などの問題が長期化するようであれば、そのメリットが十分に生かせないかもしれない、というものであり、こうした判断に至るには、いちおう、きちんとした数字的・理論的な論拠を伴っているつもりです。

一部の読者の方からは当ウェブサイトに対し、「円安教の総本山」だという称号を授けてくださっていますが(ありがたい称号、身に余る光栄です)、正直、そのような方から当ウェブサイトの主張のどこがどう間違っているのかに関する個別具体的な指摘がなされることはありません。

その代わり、最近増えてきたのが、こんな趣旨の「反論」です。

1、輸出競争力について。現在の日本では輸出産業が廃れていて、円安の恩恵は経済全体に及ばない。また、円安の恩恵が及ぶのはごく一部の大企業に限られており、庶民が勤めるような中小零細企業には、こうした恩恵は及ばない。海外旅行に行くと海外の物価の高さに驚く。日本は貧しくなった

2、輸入購買力について。ガソリン、石油価格などが上昇しているため、庶民には大きな悪影響がある。また、食料自給率が低いわが国では、輸入された食品の価格が上昇するため、庶民にとっての生活費が上昇するという悪影響がある

4、資産効果について。投資をしている人でなければ外貨建資産の恩恵は及ばないから、庶民にとっては無縁

…。

データを無視して印象で語るな!

論点の3番目(輸入代替効果)や5番目(債務効果)についての反論が見当たらない、という点については、この際脇に置きましょう(余談ですが、反論がないのは、おそらく「悪い円安」論者の方々がこれら3、5などの論点を理解できないからでしょう)。

正直、ここに挙げた1、2、4への反論、どれも一見するともっともらしい説明かもしれませんが、非常に残念ながら当ウェブサイト主張への反論はおろか、「悪い円安」論の具体的な説明にすらなっていません。

それどころか、酷いものになると、「データを無視して印象で語っている」というものもあったりします。

輸出競争力が及ぶのは「ごく一部の大企業に限られれている」、とは、いったい何を論拠にしている主張なのでしょう?なにかそういう統計でも存在するのでしょうか?それともマスコミ報道をもとに、単なる印象だけでそう述べているだけなのでしょうか?

「輸入品価格が上昇して生活が全体的に苦しくなっている」、というのは、なにかそういうデータでもあるのでしょうか?

ガソリン価格や電気代、ガス代などに関しては、たしかに最近、価格が上昇傾向にあります。この点については間違いありません。

ただし、これについては当ウェブサイトでしばしば指摘している、「原発の再稼働が進まなければ電気代などは高止まりする」、という論点とも通じるものであり、「だからこそ、原発の再稼働を急がねばならない」、という主張を補強するものでもあります。

その一方で、「日本は食料自給率が低い」などと述べる人は、食品などの輸入額が具体的にいくらなのか、といった点について、具体的な数値を述べたりしません。

この点、日本の食料自給率が高くない、という点については、「カロリーベース」で議論しているのか、「生産額ベース」で議論しているのか、注意が必要です。

たとえば農林水産省の2023年8月7日付『令和4年度食料自給率・食料自給力指標について』によれば、食料自給率は「カロリーベース」では38%と低いのが実情です(※ただし、飼料自給率を反映しない「食料国産率」は47%です)。

しかし、これを「生産額ベース」で見てみると、たしかに国際的な穀物価格上昇などの影響を受けているものの、それでも58%(※前年度比▲5ポイント)であり、生産額ベース食料国産率は65%(前年比▲4ポイント)です。

「日本の食料自給率は低い」、などと述べている人は、たいていの場合、この「生産額ベースの自給率」ではなく、「カロリーベース」で議論しているので注意が必要です。物価への影響を議論するのであれば、カロリーベースではなく、生産額ベースの数値を使わなければ、意味がないからです。

食料輸入が輸入全体に占める割合は10%以下?

ちなみにせっかく「食料自給率」についての議論を呈示したので、この論点でもう少し数値を紹介しておきましょう。食品の輸入額自体が日本の輸入全体に占める割合が低い、という統計的事実についても、「円安の経済への影響」を議論するうえで、最低限、知っておくべきだからです。

財務省『普通貿易統計』によると、2023年を通じた輸入額は110兆1711億円でしたが、このうち「食料品及び動物」の輸入額は8兆2616億円で全体の7.50%に過ぎません。「飲料及びたばこ」の1兆0741億円とあわせても10兆1429億円で、全体の9.21%です。

この点、農水省の昨年12月22日付『令和4年 農業産出額及び生産農業所得(都道府県別)』によると、国内の農業産出額は2022年度で9兆0147億円ですので、農業・食料供給全体に占める輸入品の割合が50%前後です。

(単純な「食料自給率」「食料国産率」と数値が異なるのは、比較のベース、集計対象品目、データの時点などが異なるためです。)

このため、米国産の牛肉などを使用しているお店では、仕入れ値が高騰している可能性がありますが(『また出た「悪い円安論」…どうしてTVは悲観的なのか』等参照)、裏を返せば、ここでも「国産品に切り替えられるならば切り替えよう」という動きにつながる可能性は濃厚です。

科学を無視する人たち

年金基金などでの巨額含み益は我々庶民にも恩恵をもたらす

さらに理解に苦しむのは、「資産効果」の否定です。つまり、「悪い円安」論者の皆さまからは、「資産効果は一部の海外投資をやっている人にしか恩恵が及ばない」、などとする主張も聞こえてくるのです。

申し訳ないのですが、完璧に誤っています。

20歳以上の通常の日本国民であれば、誰しも、国民年金か厚生年金に加入しているはずです(いわゆる3号被保険者などを除きます)。

そして、GPIFをはじめとする社会保障基金、生損保、年金基金などは、巨額の外貨建有価証券(いわゆる対外証券投資)で資産を運用しており、円安になれば、それだけでポートフォリオにそれなりの含み益が生じます(厳密にいえば金利上昇での「やられ分」もあるのですが、このあたりの細かい論点は割愛します)。

年金運用が3年連続黒字、GPIF収益率1.5% 円安で外貨建てに含みも

―――2023年7月7日16:00 GMT+9付 ロイターより

当然、これらの機関投資家の運用益は、巡り巡って、受給者である私たち一般国民の老後の生活を潤すためなどに使われます。

「円安により生じる資産効果が我々一般庶民に及ばない」と主張する方々は、いったい何を見て、そう判断なさっているのでしょうか?それとも(まさかとは思いますが)その手の人たちは、払わなければならない年金保険料を、払っていないのでしょうか?

不思議だと言わざるを得ません。

いちおう、繰り返しになり恐縮ですが、円安は一部の輸入企業にはそれなりの打撃を与える可能性がある反面、輸出競争力向上や輸入代替効果の恩恵は、日本全体に及びます。

もちろん、直接的には輸出で潤っている企業の業績を大きく押し上げるわけですが、それだけではありません。

たとえば、外国人観光客が増えてくれば、たとえば飲食業を営んでいる人たちにもさまざまな恩恵が及んできます。外国人観光客が相手であれば、少々値上げしても、ちゃんと経営が成り立つといわれているからです(その分、私たち日本の庶民にとっては、安く飲食できる店が減る、という意味でもありますが…)。

また、「海外旅行が高くて、海外に行けなくなった」という人や、「同じコストを払うなら、海外よりも国内の方が良い」という人が増えてくれば、海外旅行の代わりに国内旅行に出かけるという需要が増えてくるはずです。これも典型的な輸入代替効果です。

なぜか自説に都合が悪いことは無視されてしまう

こうした事例は枚挙にいとまがありませんが、それらを総合的に取りまとめているのが、当ウェブサイトで以前から何度も引用している、この図表なのです。

図表 為替変動のメリット・デメリット

©新宿会計士の政治経済評論/出所を示したうえでの引用・転載は自由

当ウェブサイトの主張に反論していただくのはまったく問題ないのですが、「悪い円安」論者の皆さまは、自説に都合が悪い論点については完全に無視するか、トンチンカンな反論をするか、そのいずれかであるように見えてなりません。

願わくば、この図表のどこがどう間違っているのか、「定量的」かつ「経済学的」に論駁(ろんばく)していただきたいところですが…。

いずれにせよ、メディア報道などを眺めていても、円安のデメリットとして真っ先に挙がってくるのは、「海外旅行に行けなくなった」、「外国産食材を使った飲食店の値上げ」、などの話題、そしてそこからの「貧しくなった日本人」、といったものです。

正直、「円安のデメリットを挙げよ」といわれても、挙げられるのは「エネルギー価格の高騰」か、せいぜいはこれらの「海外旅行」「外国産食品価格の上昇」くらいしかないわけですが、それを針小棒大に誇張し、円安のメリットについては頑なに触れないというのは、メディアの印象操作の典型例でしょう。

突き詰めていくと…「物差しが誤っている」問題に!

こうした印象操作を突き詰めていくと、それは「学問としての物差し自体が間違っている」、という問題点に繋がります。

【読者投稿】悪い円安論をビッグマック指数で検証する』では、当ウェブサイトを長らくご愛読いただいているだけでなく、興味深い論考を当ウェブサイトに寄せてくださる伊江太様という読者の方からいただいた、貴重な論考を取り上げました。

ビッグマック指数自体が購買力を測定する指数として、どこまで信頼に値するかどうか、といった論点は、とりあえず本稿では脇に置きます。ここで興味深いのが、『「悪い円安」を唱える経済評論家連と「リベラル」勢力の共通点』という一節にある、こんな趣旨の記載です。

物差しにすべきでないものを使って事物を測り、誤った結論を導き出す。これはドル-円に限ったはなしではないに思えます。

  • 地球環境の破壊に繋がるエネルギー利用はすべて悪。再生可能エネルギー一択であるべきところ、エネルギーミックスなどと妄言を吐く日本は、ケシカラ~ン!
  • 地球上に暮らす人間は皆兄弟。困った人達を温かく迎え入れるべきところを、難民の受入れに極めて冷淡な日本は、ケシカラ~ン!

<中略>

こんなの、リベラル左派の面々が常々主張する日本下げ議論のほんの一部ですが、美辞麗句で飾り立ててはいても、いずれもアタマの中に出来上がった(吹き込まれた)想念を真理と思い込むことでしか成立しない論理。社会の成り立ちへの冷静な分析と洞察を経て出てきたものではありません。

なんだか、このあたりの説明を読むと、「悪い円安」論や「悪い株高」論、さらには「悪い雇用増大」論、「悪い賃上げ」論などのトンデモ論説が一網打尽に説明できてしまっているように思えてなりません。

反ワク・親露・反原発・親太陽光の非科学性

これについて伊江太様は、畳みかけるかのように、こう指摘します。

そんな独りよがりを以て、間違っているのは社会の方だと決めつける。目盛りの精度すら怪しげな物差しを当てて事物を測るという点では、『悪い円安』論と相通ずるところがあるように思えます」。

「悪い円安」論だけではありません。

あくまでも著者自身の私見も交えて、ではありますが、最近だと「反ワクチン」、「反マスク」、「親ロシア」、「反自民党」、「反原発」、「太陽光発電大好き」などの政治的傾向・思想的傾向を持つ人たちの主張内容を委細に眺めてみると、多くの場合は客観的証拠、数値や理論を無視しているように見えてなりません。

少し前であれば、福島第一原発の処理水海洋放出を巡って、科学的に安全性が確認されているにも関わらず、どこかの某大新聞が「科学を振りかざすな」だの、「科学を隠れ蓑にするな」だのと述べて、これを強く批判した、という「事件」もありました(『福島処理水論争の正体は「科学vs非科学」の代理戦争』等参照)。

そして、「悪い円安」論の出所をたぐっていくと、たいていの場合、新聞・テレビに代表されるマスメディア報道に行きつきます。

マスメディアは最近、やたらと「悪い円安」を強調しているフシがありますが、彼らも正直、科学的な思考を極端に苦手としている人たちですので(※私見)、「円安は悪い」という「結論ありき」で、それに合致するように記事を組み立てているのかもしれません。

そういえば、先日の『読売新聞記者が記事捏造…「自分のイメージと違った」』でも取り上げたとおり、読売新聞の記者がインタビューを記事にする際、「社会部が求めているものと違った」などの理由で、相手が言ってもいないことを勝手に捏造して記事として掲載した、という事件がありました。

想像するに、この「自分たちが作ったストーリーに合致しない事実があれば、無視する」、「自分たちが求めているものがなければ捏造する」といったカルチャーは、日本の新聞・テレビ業界ではかなり深く浸透し切ってしまっているのではないでしょうか。

そして、「事実関係の無視」、「専門性の欠如」は、日本のマスメディアを象徴する特徴ともいえるのでしょう。

ちゃんと公正に議論しては?

いずれにせよ、何を議論するにしても、まずは事実関係がどうなのか・現実の数字がどうなっているのか・理論的にはどのようなことがいえるのか、などについての初歩的な点を頭に叩き込んでおきたいものです。

悪い円安論が100%間違いだと断じるつもりはありませんが(というか、当ウェブサイトでは一貫して、円安が日本経済にもたらす悪影響についても公正に取り上げて来たつもりです)、もし円安の悪い側面を見るならば、良い側面についても同様に、ちゃんと取り上げなければならないはずです。

そして、こうした客観的な統計数値、経済理論などで見る限りにおいては、「現在の」日本経済にとっての円安は、悪い効果よりも良い効果の方が大きい――、といった結論は、さほどおかしなものではないと思うのですが、いかがでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (35)

  • 自分もブログ主様と同様に、円安であれ円高であれ「悪い」ものは基本的に無いと考えています。
    為替相場は需給とファンダメンタルで決まるものなので。

    ただ現下の円安は、このトピックで紹介されているような「悪い円安論者」の言とは違う意味で、悪い円安だとも考えています。
    それはここ数週間での為替の動きが、需給やファンダメンタルを離れた投機的なものであるからで(5年MA等からの乖離を見れば明らかです)、こうした投機的な円安(円高)はやはり是正が必要でしょう。
    先月29日に政府・日銀による介入と思われる動きがありましたが、適切だと思います。

    • >投機的なものであるからで

      投機筋は、常に、投機的に動く隙を探している訳です。今回は、ジャブを少し出して流れの方向性を見たか、流れを作れるか、を見たのだろうと思います。提灯が付いて、雪崩が起こる地合いかも見たのかもしれません。ここで、介入しなかったら、一気に仕掛けて来たかもしれません。
      しかし、未だ、その時期ではないでしょうね。

    • そういうときは、
      「悪い円安」
      という日本語の使い方ではなくて、
      「悪い投機筋」
      と言うべきかと。

      論旨から離れてミクロだけ切り取った揚げ足取りに近いですね。

  •  よく為替相場が激しく変動すると、通貨当局やマスコミは「投機筋の動き」と、彼らを悪者にしたてあげようとしますが、彼らは市場参加者の動き(円ドルの実需、各国政策金利などなど)を先読みしているだけです。悪者を作り上げても解決にはなりません。
     先日の日本の通貨当局による介入を、私も支持しますが、「介入資金の限度」を指摘されており、加えて米国がこの種の動きを歓迎しないこともあって、早くも効果に疑問が持たれている状態です。
     「”現在の”日本経済にとっての円安は、悪い効果よりも良い効果の方が大きい――、といった結論は、さほどおかしなものではない」という新宿会計士さんの結論には賛同致します(中長期的には円高を望みますが)。また物事のメリット・デメリットを双方論じずに、デメリットばかり採り上げたがるマスコミに問題があることも、ご指摘の通りかと、存じます。

    • 投機筋とは、古来より、悪者ポジションをとって利鞘を稼ぐ筋を言うのです。ですから、悪者に仕立て上げなくても、悪者なのです。
      takuさんに庇ってもらっても、投機筋は喜びませんよ。

  • >このため、米国産の牛肉などを使用しているお店では、仕入れ値が高騰している可能性がありますが(『また出た「悪い円安論」…どうしてTVは悲観的なのか』等参照)、裏を返せば、ここでも「国産品に切り替えられるならば切り替えよう」という動きにつながる可能性は濃厚です。

    国産品に切り替えられる「ならば」であって、切り替えられないお店では店を畳む流れに繋がりえます。

    >そして、GPIFをはじめとする社会保障基金、生損保、年金基金などは、巨額の外貨建有価証券(いわゆる対外証券投資)で資産を運用しており、円安になれば、それだけでポートフォリオにそれなりの含み益が生じます(厳密にいえば金利上昇での「やられ分」もあるのですが、このあたりの細かい論点は割愛します)。
    >当然、これらの機関投資家の運用益は、巡り巡って、受給者である私たち一般国民の老後の生活を潤すためなどに使われます。

    この点については、以前「現役世代の負担額軽減につながらなければ今苦しい人達は苦しいなのでは?」と指摘しました。

    何はともあれ、以下のコメントの流れで書いた通り、…

    クロワッサン より:2024/05/01 23:08
    https://shinjukuacc.com/20240430-01/#comment-314353

    いま得られている円安のメリットを元手に、いま発生しているデメリットの縮小と、まだ得られていないメリットを得る時期の前倒しが急がれますね。

    • 誤記訂正

      誤>この点については、以前「現役世代の負担額軽減につながらなければ今苦しい人達は苦しいなのでは?」と指摘しました。

      正>この点については、以前「現役世代の負担額軽減につながらなければ今苦しい人達は苦しいままなのでは?」と指摘しました。

  • 2023年の貿易収支は5兆9000億円の赤字。

    「プライム市場」の上場企業を中心とする1430社の2024年3月期の純利益合計額が47兆円を突破し、過去最高の見通し。

    https://news.yahoo.co.jp/articles/2c5b9deeb0dc5a84cf885a72227b53f9ae19b7de

    一方2023年度の直接投資収益(主に海外子会社等からの受取配当金)26.5兆円。

    日本企業は海外で500万人を雇用しているという。

    こういう数字を見てると日本企業、日本経済は昔と比べて大きく変わってるんじゃないか。

    • 今頃、何を仰っておられるのですか?
      どう変わって、それがどう日本経済と国民生活に影響したかを書かれることが、sqsqさんのようなベテランのやることでしょう。

      • アホですかね。

        今日はじめて新宿さんのブログに来たような人にも、わかるようなスタンスのコメントを混ぜておくことも大事でしょうに。

        暗い暗いと不平を言うなら、自分で明かりをつけましょう。

        • またいらんケンカ売ってる
          ほんとここの住民は血の気が多いというかなんというか(呆れ)

  • 自分たちは日本で誰よりも経済と産業を理解しているつもりの日本経済新聞社、あれを覚醒させないうちは駄目じゃんないですかね。

  • 瓦版の時代から新聞TVの時代でも、号外や速報や特種など、マスコミは騒いでこそ、ニュースが売れます。騒ぐことがなければ、騒ぐ程でもない事を増幅します。
    今回の円安も何故こんなに騒ぐのか分かりません。恰も、この国の経済と国民生活が奈落の底に落ちるがごとく騒ぐ、しかし、これで、当面記事は売れる、有り難いなあ、と、今日も円安批判ポジションから記事を書く、何故なら、不安をアジった方が記事が売れるから、という図式ですね。
    そう思っているから、そんな記事は読みません。このサイトも、円安批判を批判するポジションをとっているのか、円安に関する記事が多いですね。旬の話題なのか、旬の話題にしているのか?
    ただ、このサイトの記事は、その主張にちゃんとバックグラウンドの説明がいろんな角度から書かれています。
    それで、この機会に為替と経済の関係が勉強できると思うので、このサイトの記事を読んで勉強させて貰っています。
    円安批判・円安容認、どちらでもいいですが、ちゃんとした論理性のあるものでなければ勉強の材料にはなりませんからね。

  • >年金運用が3年連続黒字、GPIF収益率1.5% 円安で外貨建てに含みも
    GPIFは時価会計なので、売却損益と時価差額差損益の増減にわけて記載しているが、「外貨建てに含み」は、ロイターさんは、非常に誤解を招くような書き方ですね。GPIFは、時価差額差損益が増加と表示しており、「含み」は無い。

  • 円安になれば「悪い円安」。円高になれば「悪い円高」。
    メディアが発するのは「批判の声」ばかりなんですよね。

    報道者の立ち位置として、「やや否定的なスタンス」なのは在りだと思うのです。
    ですが事象を計る物差しが「”弱者?の見方”一辺倒」ってのはどうなのでしょうね?

    (とくに、メディア・特定野党)
    ための批判者は、「寄せられるネットの声だけを聞いているんじゃ?」ってこと。
    一般的に「ご意見頂戴すれば困ってる人が声を上げる」としたものなんですものね。

    *ネットの声(ノイジー・マイノリティ)に踊らされてる感も否めないんですよね・・。

  • >当然、これらの機関投資家の運用益は、巡り巡って、受給者である私たち一般国民の老後の生活を潤すためなどに使われます。

    反論になってるかわかんないけど・・・
    GPIFの説明だと、100年くらいの間は、年金給付の財源のうち積立金から賄ってるのは1割くらいで、短期的な市場変動の影響はないそうなのです
    円高とか円安ってのは、160円以上だったら円安で140円以下だったら円高って感じでしきい値との比較じゃなくて、為替の動いてる方向性のことだと思うのです
    だから、100年先の将来はともかくとして、今の年金には、円安の効果はあんまし関係ないと思うのです♪

    >年金給付の財源(財政検証で前提としている概ね100年間の平均)は、その年の保険料収入と国庫負担で9割程度がまかなわれており、積立金から得られる財源は1割程度です。年金給付に必要な積立金は充分に保有しており、積立金の運用に伴う短期的な市場変動は年金給付に影響を与えません。

    https://www.gpif.go.jp/gpif/pension-finance.html

    • 年金基金だけではないですが、本来、基金と名の付くものは、投資で基金の元金を増やす為に行うものではなく、インフレによる基金の目減りをヘッジするために行うものです。又、基金の全額を投資運用する訳ではないので、インフレ率+αの運用実績を目指せばよく、リスキーな投資はしないでしょう。
      この事を前提として、市場環境が良くて想定以上の運用益が出れば、尚可、ということですね。
      年金基金などの機関投資家のスタンスは、こういうものです。リスキーなスタンスで投資して基金の元金を割り込んだら、運用の意味がないですからね。

      >当然、これらの機関投資家の運用益は、巡り巡って、受給者である私たち一般国民の老後の生活を潤すためなどに使われます。

      という本文の意味する所は、こういうことです。
      運用しなければ、基金の目減りが生じたり、インフレに対応して物価にスライドした年金額の増額も出来ないですからね。

      基金の運用とは、どういう事かという基本を知らなければ、文章の意味を正しく読み取ることが出来ないことがあります。
      それでは、筆者に申し訳ないですね。

      • 匿名様

        返信ありがとうございます♪

        基金の運用は、インフレによる目減りをヘッジすることを目的にしてるものだと説明いただき、その意義がよくわかりました。

        • 少なくとも、日本では、基金とファンドは、別の意味で使っているんじゃないですか?
          後は、ご自分でじっくり調べて下さい。

  • そういえば、伊江太さんの(秀逸な)論考のコメント欄、ご新規さんが多かったように見えました。歓迎です。

    >「悪い円安」論は物差し自体が誤っている
    そもそも物差しがあるんだかないんだか・・・

    国ごとの物差し(価値観)の特徴、ネットでまことしやかに囁かれていましたので貼ってみます。

    米国…正義か否か
    日本…正直か否か、公平か否か
    韓国…日本より上か下か
    中国…中国に大人しく従うか否か
    関西…おもろいかおもろくないか

    妙に腑に落ちました。

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