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川勝氏「私の心も傷ついている」

報道によると、川勝平太・静岡県知事は3日の会見で、「人を傷つけたことには私の心も傷ついている」と述べたそうです。あれでしょうか?他人を殴ったら自分の拳も傷ついた、といった主張でしょうか?なかなかに印象的です。それはともかく、リニア建設の遅れは痛いところですが、その反面、リニアを巡っては超電導磁石の技術に進歩もあったようです。

川勝氏の目的は、やはりリニア妨害にあったのか

今月1日の新入職員向け訓示で職業差別的な発言を行ったなどとされる静岡県の川勝平太知事が2日、「6月の議会をもって職を辞そうと思っている」と述べた、とする話題については、当ウェブサイトでは『職業差別発言の川勝静岡知事が辞意:JR東海株価急騰』で「速報」的に取り上げています。

川勝氏が本当に6月で辞めるのかはわかりませんが、もしそうであるならば、後任の県知事次第では、川勝氏が妨害したとされる東海道リニア新幹線の着工にゴーサインが出る可能性も高く、夢のリニア新幹線は実現に向けてさらに一歩前進するかもしれません。

(※もっとも、くどいようですが、川勝氏が本当に辞めるのかどうかもわかりませんし、リニア建設が遅延している理由は静岡県知事による妨害のみが理由ではないようですので、「川勝知事が辞めたらリニアが完成する」、と確定しているわけではありません。)

そんな川勝氏を巡っては、いくつかの続報も出てきました。

県議会議長「嫌がらせが成就した…役目は終わったという感じだった」 川勝知事から辞職報告受け 静岡

―――2024/04/03 13:15付 Yahoo!ニュースより【テレビ静岡配信】

テレビ静岡によると静岡県議会の中沢公彦議長が取材に対し、川勝知事から県議会6月定例会の開会日である6月19日に辞める意向が伝達された際、「JR東海が2027年のリニアの開業断念を発表したことから『自分の役割は終わった』と話した」と明らかにしたのだそうです。

あながちピント外れではない

まさに、「語るに落ちる」、でしょうか。

これだと、川勝知事にとってはリニア建設の妨害が自己目的化していたことを、本人自らが認めたようなものとも受け取られかねません。

テレビ静岡によると、中沢議長は「なんでそれが任期途中で辞めないといけないことにつながるのか、さっぱり意味がわからなかった」と疑問を呈したうえで、こう述べたそうです。

説明の受け止めとしては嫌がらせが成就したので私の役目は終わったという感じだった。辞めるのは職業差別にまつわる不規則発言が理由ではなさそう。どうやらリニアが上手くいかなかったこと(2027年の開業断念)について目途が立った」。

つまり、川勝氏自身が辞める意向を示した理由は、「自身の職業差別的な発言」(後述)によるものではなく、「リニアの2027年開業を阻止する」という目的が成就したからだ、とするのが、中沢氏がテレビ静岡に述べた内容です。

もちろん、これはあくまでも中沢氏の見解ではありますが、その一方で産経ニュースが3日夕方に報じた次の記事を読むと、あながち見当外れでもなさそうに見えます。

「人を傷つけて私の心も傷ついた」不適切発言で辞意の静岡・川勝知事が謝罪 撤回はせず

―――2024/04/03 17:55付 産経ニュースより

産経によると川勝氏は3日午後3時半からの会見で、辞意表明理由について、JR東海が2027年リニア開業を断念したことで「大きな区切りを迎えた」ことなどを挙げたそうですので、やはり「リニア開業を妨害する」という明確な目標を持っていたのではないか、といった疑いは払拭できません。

川勝氏の発言巡る逆ギレ

ただ、それ以上に強烈なのは、川勝氏の逆ギレでしょう。

川勝氏の発言にみる「全体を台無しにした」たった1%』でも紹介したとおり、川勝氏を巡ってリニア問題とは別に浮上しているのが、さきほども少し述べた「暴言」、「差別発言」などを巡る波紋です。

これは川勝氏が1日、新入職員に対する訓示で職業差別的なないように言及した、とするもので、訓示全体は文字起こしすると約7000文字程度、このうち問題となった次の趣旨の発言は、分量にして、全体の1%程度に過ぎません。

毎日毎日野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいはモノを作ったりとかということと違って、基本的に、その、皆さま方は頭脳、知性の高い方たちです」。

しかし、この短い部分だけでも、明らかに職業差別意識が丸出しであると断じざるを得ません。

しかも川勝氏自身はこれを(読売新聞による)「切り取りだ」、などと発言していたそうですが、映像等で確認する限り、川勝氏は間違いなくこのように発言しています。したがって、川勝氏の発言が「メディアによる切り取りだ」、とする言い訳は成り立ちません。

ただ、それ以上に驚くのが、自身の問題発言に対する「逆ギレ」ではないでしょうか。

先ほどの産経の記事によると、川勝氏は「第1次産業<中略>は(川勝氏が)最も大事にしてきた産業」としつつ、「そういった方たちの心を傷つけたとすれば誠に申し訳なく、心からおわびする」と頭を下げたというのですが、これに続けてこうも発言したのだそうです。

人を傷つけたことには私の心も傷ついている

…。

あれでしょうか?

「他人を殴ったら自分の手が傷ついた」、というようなものでしょうか?

加害者の逆ギレというのもなかなかに強烈です。

JR東海の新技術

さて、ここでリニアの話題に戻りましょう。

JR東海のリニア建設遅延が日本経済にとって悪い話だったのかといえば、そう決めつけるのも少し尚早かもしれません。そのヒントが、l『ニュースイッチ』というウェブサイトに昨年11月27日付で掲載された、こんな記事です。

リニア中央新幹線、液体ヘリウム不要に…JR東海が「高温超電導磁石」を実用段階に近づけた意義

―――2023年11月27日付 ニュースイッチより【2023/11/24付・日刊工業新聞記事転載】

この記事は日刊工業新聞の掲載記事を転載したものだそうですが、これによるとJR東海はリニア中央新幹線の浮上や移動に必要な超電導磁石で、液体ヘリウムを使用しない「高温超電導磁石」を実用段階に近づけた、とあります。

リニアの原理は超電導磁石を使い浮上走行する、というものですが、記事によるとこのうち超電導磁石は従来の鉄道における車輪に相当する重要な部品で、車体を浮かせる強力な磁力を発生させるために、冷却によって電気抵抗をゼロとする超電導現象を利用し、大電流を流します。

従来の「低温超電導磁石」は電流が流れるコイルをマイナス269度以下に冷却するために液体ヘリウムを使用していたそうですが、この液体ヘリウムは輸入に頼っており、「調達できなくなるリスクはゼロではない」うえに、ヘリウム価格は最近高騰しているとの問題点もあります。

しかし、今回の新たな「高温超電導磁石」はマイナス255度で良いため、液体ヘリウムではなく冷凍機による冷却が可能となるうえ、消費電力の低減にだけでなく、ヘリウムのタンクや複雑な配管などが不要となるため、「構造が簡素になる利点」燃えられるのだそうです。

ちなみに私たち素人が「マイナス269度」だ、「マイナス255度」だと聞かされても、「なんだ、たった14度しか変わらないじゃないか」、などと思うかもしれませんが、マイナス269度とマイナス255度を「絶対温度(K=ケルビン)」で示すと、それぞれ4.15K、18.15Kです。

これが実現すれば、技術的には大変大きな進歩でしょう。

リニアが「夢の超特急」といえるのかは微妙だが…

もちろん、「川勝氏がリニアの建設を妨害したからこれが実現した」、「だから結果的に川勝氏の公道は正解だった」、という話にはなりません。「知事の妨害によるリニア建設の遅れ」という要因に見合うメリットとまではいえないからです。

いずれにせよ、リニア開発・建設で日中がしのぎを削るなか、「日本は中国に先駆けて、超電導リニアを商業的に運行できるか注目される」という状況ではありますが、個人的にはJR東海のリニア建設には頑張ってもらいたい気持ちがあります。

なんといっても、1964年の開業以来今年で60周年を迎える東海道新幹線は、1日当たり500本近くも運行されており、まさに日本の大動脈の役割を担っている格好ですが、大規模修繕や来るべき地震への備えを考えると、代替路線の建設は喫緊の課題です。

現在は北陸新幹線を使えば東京から敦賀まで到達可能ですが、移動には3時間少々を要するほか、敦賀以遠の新大阪までの区間については未着工です。

こうした状況を踏まえるならば、リニアの完成を急ぐ必要があることは明らかでしょう。

(※もっとも、リニアは1編成当たりの輸送力が東海道新幹線と比べて低いこと、東京側の起点が東京駅でなく品川駅の地下深くで不便であると懸念されること、いきなり大阪まで開業するわけではないことなどを考えると、リニアを「夢の超特急」と持ち上げるのはいささか性急な気もしますが…。)

いずれにせよ、川勝氏が本当に辞職するのかどうか、そしてこれによりリニアが完成に向けて動き出すのかどうかについては、しばらく注目に値する論点であることは間違いないでしょう。

新宿会計士:

View Comments (18)

  • 川勝は「給与賞与を返上する」と言いながら「職務に邁進することでお返しする」などと言った実績もある人間。「6月で辞めるつもり」も信用できないね。
    武士の情けなどと言っていてはダメ。きちんと今回の失言についてリコールを起こすべき。

    • 過去のリコール潰しとか見てても静岡県民にはあまり期待できないかと

  • 川勝の支離滅裂な発言や一貫性のなさを見聞きしていれば、彼の目的がリニアの妨害であることは明らかでしょう。嫌がらせ以外の何者でもないです。誰かに命令(依頼)されてやったかどうかはわかりませんが。

    「私の心も傷ついている」は、左派特有の被害者ポジションを狙ったものじゃないですかね。
    とにかく彼らは被害者になりたがる、『可哀そうな私』を演じようとします。会見を見ても、何の同情の余地もないです。一刻も早く辞めて頂きたい。

      • 我が家はお茶を
        長年の静岡茶から熊本茶に変えてますが
        農家を蔑む川勝なのでもし静岡茶でも
        「リニア早期実現応援する 静岡茶です!」との
        まともな農家の方の表記のお茶なら
        迷わずそっち買います。

        そうした当たり前の動きが
        なぜか表にでてこれないのは、
        川勝や韓流がいかに
        静岡にせこく汚く汚染しているのかなあ
        とその問題の根深さが感じられます。

  • まー云うて「現計画のリニア工事待った!」は静岡県民の大意であるかの如き世論調査結果も有る様に聞き及びますし、川勝氏を4度県知事に"選んだ"静岡県の選挙民が次にどの様な政策を掲げる首長を据えるのか、
    静岡県民ナラヌ我が身ナレバなまらあたたかくヲチするくらいが最低限にて最大限かしらん!?

    …モットキョーレツナ人材モッテキタリシテ

  • 静岡県民総出の嫌がらせもこれで終わるのかな?
    県民曰く、候補の中でも川勝知事が一番マトモだったとのことなので、今後も不安ですけどね。

  • 雪印集団食中毒事件での、社長の歴史に残る有名な「迷言」を思い出した。
    どんな時にも、自分のことしか考えられない人間がトップになってはいけないですね。

    →2000年の雪印乳業の集団食中毒事件では、石川哲郎社長が会見を打ち切った後、記者に詰め寄られて「私は寝てないんですよ」と言い放った。この失言が猛烈な批判を浴びた。

    ・「社員は悪くありませんから」「私は寝てないんですよ」…企業イメージ、トップの謝罪次第で一変
    https://www.yomiuri.co.jp/national/20230116-OYT1T50171/#

    ホント、何でこんな人物がトップになれたの?という組織団体が多い。

    日本の政治家は、与野党とも慢性的にそんな状況が続いているような・・・。

  •  ちなみに多くの農家は、「県の農政の職員とかは頭でっかちで全然農業現場のことわかってねぇわ」というのが定番です。
     川勝知事あらため川勝サンも、暇になったら畑でもやってみてその傷ついた心を癒やしてください。天下の知事職にはとてもとても敵いませぬが、そこそこは頭脳知性を使いますよ。

     近所の酪農家に未熟堆肥投げられても知らんけど。

    • 普段、農民様が投稿されるコメントの内容から、知性が高いはずの役人風情なんかより、遥かに知性が高いと思います。私は。

  • スズキと川勝知事の関係がマスコミが取り上げるようになって,そろそろ限界かなとは思っていた矢先の辞任でした。失言は軽いけど,特定企業に便宜を与えたりすると罪は重いですから。
    リニア工事に関しては,JRが情報を断片的にしか出さないのでよくわかりませんが,静岡工区のような山岳トンネルより,首都圏トンネルや中京圏トンネルのようにシールド工法で掘っているトンネルのほうが,トラブル多発で,最終的な完成は遅れそうな気がします。外環より早く完成することはないでしょう。

  • いや〜、加害者なのに被害者ポジションにするする〜っと回り込んで被害者面する“お隣さん”を連想しますね笑

  • 川勝氏はこのままだと元首相の鳩山氏の様な扱いに収まりそうですね。
    本人はそれで幸せなんだろうか……?

    • 全国の他県の知事から「あいつは頭がおかしい」「非常に迷惑」と言われているらしいね

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