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関西電力が原発再稼働理由に火力発電所建設中止=報道

怪しげなNGOから「化石賞」を受賞した国・日本は、じつは、火力発電のゼロ・エミッション化などにも精力的に取り組んでいる環境先進国だったりしますが、そもそも原発の再稼働などが進めば、火力発電所を増設する必要自体がなくなるのかもしれません。こうしたなか、時事通信は19日、運転可能な原発すべてが再稼働したことを背景に、関西電力が大規模火力発電所の建設を中止する方針を固めたと報じています。

怪しげな団体が「化石賞」を日本に授与

以前の『世界最大の排出国・中国ではなく、日本が受賞=化石賞』でも取り上げたとおり、日本は今年も、「世界最大のNGOネットワーク」とされる「CANインターナショナル」などとする怪しげな団体から、「不名誉な賞」とされる「化石賞」を授与されました。

ただ、日本はべつに世界最大のCO2排出国ではありません。

総務省統計局『世界の統計2023』【※PDF】の第16章『環境』(P281)によると、2020年における「燃料燃焼による二酸化炭素排出量」は、日本が輩出しているのは約10億トンで、これは世界全体のざっと3%少々。これに対し中国はその約10倍です(図表)。

図表 燃料燃焼による二酸化炭素排出量(2020年)
CO2排出量 構成割合
全世界 316.65億トン 100.00%
1位:中国 100.81億トン 31.84%
2位:アメリカ合衆国 42.58億トン 13.45%
3位:インド 20.75億トン 6.55%
4位:ロシア 15.52億トン 4.90%
5位:日本 9.90億トン 3.13%
6位:ドイツ 5.90億トン 1.86%
7位:韓国 5.47億トン 1.73%
8位:カナダ 5.08億トン 1.60%
9位:ブラジル 3.89億トン 1.23%
10位:オーストラリア 3.74億トン 1.18%

(【出所】総務省統計局『世界の統計2023』の『図表16-4 燃料燃焼による二酸化炭素排出量』を参考に作成)

どうして中国に授与しないのか

これだけを見ると、なぜ中国ではなく、日本が化石賞を受賞するのか、意味がわかりません。

ただ、中国が受賞しない理由を巡って、このNGOとやらの関係者は、「中国がこの賞を受賞したら中国国内のNGOが弾圧されるかもしれないからだ」と述べた、とする話題もありました(『中国が化石賞を受賞しない理由は「弾圧される可能性」』等参照)。

その反面、その日本は「化石賞」受賞しているわりには、火力発電所のゼロ・エミッション化などにも精力的に取り組んできたことでも知られる、環境先進国でもあります。

火力発電を“ゼロ・エミッション”に!日本が開発・実施事業に取り組む最新技術を世界へ発信

―――2022-08-25付 資源エネルギー庁HPより

なんだか、めちゃくちゃな理屈です。

日本が受賞した理由は、「日本ではNGOが弾圧されるリスクがないから」、という意味であり、言い換えれば、「絶対に殴り返してこない相手を殴っているだけ」です。環境保護団体とやらも、パフォーマンスだけのために殴りやすい相手を選んで殴っていると吐露したようなものでしょう。

このインターネット時代に、環境保護団体とかいう偽善者らの底の浅さが続々と露呈していくのは、興味深い現象といわざるを得ません。

原発再稼働進む関電が火力発電所建設中止=時事通信

もっとも、火力発電所のゼロ・エミッションを今すぐ実現するのが難しいのもまた間違いなく、こうした困難な状況でのCO2排出量削減という観点から急がれるのは、現実的には原発の再稼働・新増設です。

こうしたなかで、興味深い話題があるとしたら、関西電力の取り組みでしょう。

時事通信ニュースが19日に配信した次の記事によれば、関西電力は和歌山市で計画していた火力発電所の建設を中止することにしたのだそうです。

和歌山での火力建設を中止=脱炭素、原発稼働で―関西電力

―――2023-12-19 10:01付 時事通信ニュースより

これについて時事通信はこう述べます。

運転可能な原発すべてが再稼働したのを背景に、大規模な火力発電所の新設は不要と判断したもようだ」。

つまり、この「原発再稼働に伴う火力発電所の建設中止」、は、関西電力の公式発表というよりは、時事通信による見解です。

現実問題として、東京電力福島第一原発事故などもあったため、世の中では原発に対しアレルギー反応のような拒絶感を示す人が多いことも事実でしょう。いったん事故が発生すると悲惨なことになりかねないがために、原発をすべてやめ、再生可能エネルギーなどにシフトすべき、などとする主張する人はいるのです。

「事故が怖いから飛行機でなく自動車を使う」ようなもの

ただ、先般より指摘している通り、原発再稼働・新増設は手っ取り早くCO2削減量をもっと減らす手段でもあります。

また、世の中には「落ちるかもしれないから飛行機には絶対に乗らない」、「どんなに時間がかかっても自動車を使う」という主義の人もいるようですが、「反原発」もこの「飛行機嫌い」と似ているかもしれません(統計学的には、飛行機は自動車よりも安全な乗り物なのですが…)。

これに加えて昨今の電気・ガス料金高騰などの事情も踏まえるならば、安全基準を満たした原発の再稼働が急がれることは論をまちません。世の中全体で、原発再稼働・新増設に向けた動きが加速することを期待したいところです。

新宿会計士:

View Comments (13)

    • 変容していったIWCミタイナ "正義" (←誰の?)ゴリ押し国際枠組みと化しとるんやナイデスカ?
      各国 "枠組み" 使うてオノレの国益追求しとるダケやのに、日本だけアイカワラズおぼこいことしててエエカモになっとんちゃうンすかね??
      知らんけど

      •  IWCも同じ構図だと思います
        IWCの場合
        ①価値観のおしつけ
        ②仕事をしないだけでなく仕事の妨害
        ③中立性・未来ビジョンの欠如
        ※クジラの過剰増加により漁獲量の減少が懸念される

        破綻はカウントダウン段階なので国際機関として「恥」を曝すのをたのしみにまってます

    • すごくシニカルなショートコメントにお茶をこぼしそうになりましたw

    • 言われてみれば確かにそうかもしれませんね(笑)
      原発が全部再開するまで毎年受賞したいかも。

  • 原発って出力調整が難しいから、蓄電の技術が開発・普及しないと、ベース電源にはなっても、それだけでは足りないって話を聞いたことがあるのです♪

    だから、火力を含めた安定的な電力供給体制をどう作るのか?ってのが、それなりにややこしパズルを解くようなものなんだと感じるのです♪

    その上で、CO2の排出削減も考えるってのが、電気に頼る今の社会には必要で、CO2の排出をゼロにしさえすればバラ色の未来が来るみたいな考えは、あんまし現実をみてない気がするのです♪

    あたしみたいな素人が感覚的に思うことだけど、そんな気がするのです♪

    • 昔から、原発はベース電源として、必要電力量の30%を賄うということになっておりました。原発は稼働し放しで、出力調整は火力で行うという方式です。電気は貯蔵出来ないので、常時、消費電力量を見ながら、火力での発電量を調整しているということです。今は、原発が止まっているので、火力発電所はフル稼働状態のようです。

    • >原発って出力調整が難しいから、蓄電の技術が開発・普及しないと、
      >ベース電源にはなっても、それだけでは足りないって話を聞いたことがあるのです♪

      原発の出力調整は、技術的には可能ですが、政治的な問題があるため
      日本では、実施していないだけです。
      (海外、特にフランスでは、日常的に出力調整しています)
      参考:

    • 原発を稼働している関電管内は、電気代が割安でありがたい。ただ、原発はまた何かあると止まるかもしれないので、火力発電の改良も引き続き進めてほしい。

  • IWCと同様に、「日本に冷たい視線を向けられる」「日本に見限られる」事が
    どうなるのかわかっていない組織なんでしょうかね?CANインターナショナルとやらは。

    それとも分かった上で「今が良ければそれでいい」「日本の世論なんざ最初から敵」
    「ダメになったら別の組織と別の活動内容を作る」「どうにもならなくなったら夜逃げする」
    「もちろん責任なんぞ断固として取らない」と最初から開き直っているタイプかな?
    だとしたらある意味厄介な”実力者”ではありますが……