時事通信が12日付で配信した記事によれば、カナダ、豪州、欧州連合(EU)などで、大手のSNSや検索エンジンに対し、報道機関の記事を引用する際の記事対価の見直しが相次いでいるのだそうです。こうした動きは一時的にマスコミ各社の収益を改善させることに寄与するかもしれませんが、長い目で見たら、自分で自分のクビを絞めているようなものでもあります。
目次
新聞業界はあと10年内に終焉する可能性も!
新聞社の経営が傾いていくのは、時代の流れとしては必然です。各種データで見て、新聞の部数は近年、減ることはあっても、増えることはほとんどないからです。
たとえば一般社団法人日本新聞協会が公表している新聞は早ければ5年以内に夕刊がほぼ絶滅し、朝刊ですら、下手をすると10年以内にはその社会的役割を終えてご臨終を迎える可能性が濃厚です(図表)。
図表 新聞部数の推移(実績値と予測値)
(【出所】一般社団法人日本新聞協会『新聞の発行部数と世帯数の推移』データをもとに作成。「朝刊部数」は元データの「セット部数」と「朝刊単独部数」の、「夕刊部数」は元データの「セット部数」と「夕刊単独部数」の、それぞれ合計。なお、「予測値」は2017年から22年までの5年間の平均減少部数が今後も続くと仮定した場合の部数推移)
ネットとの競争に負ける新聞:自業自得
先週の『テレビ業界の下請け業者は座して死を待つ必要などない』などを含め、これまでもしばしば指摘してきたとおり、日本の新聞社の未来が真っ暗である理由は、大きく2つあります。それは①紙媒体自体の未来がないことに加え、②日本の新聞社は「情報を正しく伝える」という使命を果たしていないからです。
前者については今さら指摘する必要はないでしょう。
スマートフォン1台あれば新しい情報がリアルタイムでどんどん配信されてくるわけですから、1日1回か2回しか自宅に配達されない、しかも記載された情報が古いものばかりであるという新聞が、ネットに太刀打ちできるわけなどありません。
ただ、後者については少し深刻です。日本の新聞社はときとして、明らかに誤った情報を垂れ流すからです(単純に日本の新聞記者が不勉強だからなのか、それとも何らかの悪意をもってわざとそうやっているのかについては存じ上げませんが…)。
そして、なぜ新聞記事がデタラメだと気付くのかといえば、ネット環境が発達したことで、新聞記者よりも遥かに知識を持っている市井の専門家が気軽にその誤りを指摘するようになり始めたからです。
「国の借金」論――「日本には国の借金がたくさんあって、財政再建しなければ日本は財政破綻する」、といった珍説――などは、その典型例でしょう。
日本では官庁がメディアを支配していた
さて、ここでちょっとだけ寄り道します。
先日、とある知り合いの方からのメールで、とある官庁が国民の反対を押し切って何らかの政策を実行した際、数百件を超える電話がかかってきて、そのほとんどが「反対」だった、という事例があったとの裏話を聞くことができました(官庁名や具体的な政策については伏せます)。
ひと昔前であれば、たとえばスマホが急激に普及し始めた2012年頃までであれば、官庁といえば新聞社やテレビ局などの「マスコミ」を抑えていれば、それで国民からの多少の反対があっても押し切れていたのかもしれません。
しかし、おそらく現在、「官庁にとって都合がよい情報を御用メディアに書かせて国民世論を抑え込む」という手法は、もう通用しなくなっています。今年3月以降、「ウソツキ外務省」が「日韓関係改善」をゴリ押ししていますが、SNSなどで見る限り、国民の目は冷ややかです。
たとえば経産省による韓国の「ホワイト国戻し」の際には、想像するに、パブリックコメントのおそらく9割超が経産省決定に反対だったのではないでしょうか(『ホワイト国復帰パブコメ賛成23個・反対78個の転載』等参照)。
(※なお、もしこの決定について、納得がいかない、あるいは意見がある、などの方は、経済産業省・貿易経済協力局・貿易管理課の黒田課長、担当の平山氏・稲葉氏らに対し、その理由を直接確認してください。電話番号は03-3501-1511・内線 3295、メールbzl-boeki-kanri-inquiry@meti.go.jpです。)
カナダ、豪州、EUで相次ぐ記事配信対価見直しの動き
さて、マスメディアの問題は結局、官庁が作った記者クラブを通じ、「非民主主義勢力」が日本を支配してきたという問題とも直結しますし、こうした官庁とメディアの癒着の件などについては書きたい話がまだたくさんあるのですが、本稿とは直接の関係がないため、機会を見てまた別稿にてじっくり議論したいと思います。
それよりも、本稿では改めて、新聞を中心とするマスメディアの社会的影響力が後退している証拠をひとつ、紹介しておきたいと思います。時事通信のシリコンバレー発の記事によると、「巨大IT企業に対し、報道機関への公正な対価の支払いを求める規制が世界で広がっている」のだそうです。
記事対価見直し、世界で拡大 民主主義衰退に懸念―巨大ITに収益分配要求・ニュースポータルサイト
―――2023年11月12日06時52分付 時事通信より
時事通信が列挙しているのは、こんな事例です(なお、記事ではニューズのことを「ニュース」と表記していますが、本稿では原文の「ニュース」という表現を訂正して引用しています)。
①カナダではフェイスブックなどで記事が読めなくなる
時事通信によるとカナダ議会が6月、巨大IT企業に対し報道機関への対価支払いを義務付ける「オンラインニューズ法」を成立させたところ、フェイスブックなどのSNSがニューズ配信を停止。検索サービスのグーグルなどもこれに追随する構えなのだそうです。
②豪州での2021年の事例
一方、時事通信によると、今回のカナダと同様の法案を2021年に通した豪州でも、フェイスブックなどを運用するメタは可決直前、ニューズ配信を1週間制限する措置で対抗し、豪州議会や政府は法案を修正することで対処したことがあったのだそうです。
③欧州連合(EU)の著作権指令
さらに、欧州連合(EU)の場合、2019年に著作権指令が改正され、報道機関が金融度合ITに記事使用料を要求できるようになった、などとしています。
結局はメディア自身のクビを絞めることになる
問題は、どうして時事通信がこんな記事を配信したか、でしょう。
想像するに、日本の場合だと『Yahoo!ニュース』など、少なくないプラットフォームが大手メディアなどの記事を転載しており、逆に新聞社としては、読者をこれらのプラットフォームに奪われてしまっている格好なのではないでしょうか。
時事通信によると、カナダでは2008年以降、経営難により470超の報道機関などが閉鎖に追い込まれるなどの状況のなか、SNSへの記事リンクの貼り付けや検索によるニューズ表示による閲覧に見合った収益分配がなされるべきとの批判が高まっているのだそうですが、なんとなく、このあたりに答えがありそうです。
要するに、新聞、テレビなどが情報伝達を担っていた時代が終わり、ネット時代の本格化を迎え、ひと昔前であれば存続できていたような弱小新聞社・弱小テレビ局が相次いで経営難に陥っているだけの話ではないでしょうか。
このように考えると、ネット規制は、結局はメディア自身のクビを絞めることになります。
というのも、現代社会では『Yahoo!ニュース』などのニューズ・プラットフォーム上、新聞社の配信記事と、個人ウェブサイトの配信記事などが混在しており、私たち一般人としても、かつてと比べて情報源がはるかに多様化しているからです。
もしもポータルサイト、検索エンジン、SNSなどからオールドメディアの記事が現期限するようになれば、むしろ社会から排除されるのはオールドメディアの側だからです。
もしも日本でもニューズ・ポータルサイトや検索エンジンなどに対し、ニューズ配信を制限するような法律が適用されるようなことがあれば、それは一時的に新聞社やテレビ局の損益を改善することにつながる可能性はあるものの、長い目で見たら、それはマスコミ各社自身のクビを絞めることになることは間違いないでしょう。
いずれにせよ、カナダ、豪州、EUなどの法制は、そのまま日本の近未来の姿を見せてくれているのかもしれません。
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よくわかんないけど、配信元の新聞社は『Yahoo!ニュース』などのニューズ・プラットフォームと配信契約を結んでないのかな?
紹介された記事を読むと
>報道機関への公正な対価の支払いを求める規制が世界で広がっている。
ってあるから不公正な契約を結ばされてるってことなのかな?
ただ、巨大とはいえ単なる一民間企業に対して、「第四の権力」と自称するほどの強大な権力者が、その力を振るって自分に都合の良い契約を強制しようとするのは、 横暴に思えるのです♪
テレビのキー局は新聞社が大株主で自分たちのコントロール下に置けた。
日本テレビ=読売新聞 NNNニュース系列
TBS=毎日(経営危機でとっくにTBSの株は売ってしまっている)JNNニュース系列
フジテレビ=サンケイ FNNニュース系列
テレビ朝日=朝日新聞 ANNニュース系列
テレビ東京=日本経済新聞 TXNニュース系列
ネットはこのフレームワークからはずれる。ニュースを作っているのは俺たちだ。もっと金払えと言っているのだろう。
不案内なことについて少し書きますと。
ニュース・報道の世界(機能)は、
1.取材・配信
2.伝達媒体(メディア)=放送(TV等)・報道(新聞・雑誌)
の2つの機能に大別されるのではないか?
今、そこに、
3.ネット配信
という新しいメディア機能が生まれて来た。
そして、2は今、オールドメディアと呼ばれ、今後、「お呼びで無い」存在になって行くと見られている。(お呼びで無いとは、存在そのものが無くなって行くということ。)
所が、今、この「お呼びで無くなる」メディアを保護するようなことをやろうとしている、というのが、各国の規制政策のように見える。
しかし、何のことはない、媒体(メディア)が新陳代謝するだけのことだから、騒ぐことでもないと見えてしまうのだが。
2のオールドメディアは、自分たちで碌に取材もせず、情報を買ったりしてそれを物理的に流すだけのことをやって来ていた面が強い。
今後の2の進むべき道は、
1.1の取材機能の強化の道にシフトする
2.自分たちで、ネット配信の道を作る
スマートニュースのように、独自のサイトを作ってそれを周知させればいいだけのことだと思うのだが。
今のうちに、資本を出し合って、早々に独自サイトを作った方がいいと思うけれど。政府に泣きついていないで。
そのように自分たちの力を付けた上で、SNS等と、有利な交渉をした方がいいと思う。
実際、スマホでは、スマートニュースのサイトでニュースを見ることが多い。
ただ、今の所、ニュースのネタ元が未だ少ないようなので、少し物足りないが。
時代の流れに、棹(さお)挿しても、流されるだけだとは、漱石の草枕にも書いてある。
速報性、確実性。件の神田財務副大臣の辞任の件もネットで知った。新聞なら夕刊か、もしくは明日の朝刊か。テレビなら字幕スーパーでリアルタイムで知る事は出来るだろうが詳細はプライベートタイムに放映がなければ、わからない。受難もなにも速報性で太刀打ちできない。新しい業態を造り出さねば生き残りはない。課題は速報性と正確性。紙媒体は余程の信頼がなければ生きられない。
読ませたくないなら、記事を読まないだけだ。
ネットにおける露出が減ったら人目に触れなくなり報道記事の値打ちが棄損する。何より金を産まなくなる。分かっていないんですよね。
決定的なのは
ネットのおかげで売り上げになる
記者がネットに飼ってもらう構図=生殺与奪は配信アルゴリズム次第
を動かせないものとしてしまう危険です。白旗を揚げたようなものです。
何にどれだけお金を払ってもらえるかはすべての商売の本質であって、適正価格がいくらであるのかを含めて時代変化に応じて追及され続けないと行けない。お金を払ってもらう「理屈を考える」ことを放棄した報道産業は思考停止の段階に近づいているのではないでしょうか。
オールドメディア「俺たちに世の中の流れとか需要なんてものがわかるようなら、そもそもこんな状況になってるわけがない!」
もし日本で規制をするなら、記者クラブ制度は撤廃してもらわないとダメですね。
情報を独占したうえ規制するなんて、許されるはずがありません。
いずれにしても、この時代、どんな業界でも「仲卸業者」は廃れていくようです。
情報産業だけ規制して延命なんて、ナンセンスな事この上ないように思います。
そうですね、
カナダ、豪州、EUは「記者クラブ」がないけど、日本には「記者クラブ」がありますね。
「国境なき記者団」の報道の自由度ランキングで日本67位の理由は「記者クラブ」の存在
もしネットニュースでの記事が制限されたら、報道の自由度100位突破でしょうか・・・
いつまで官庁は社会的影響力が低い団体に相手に説明、統制かけ続けるのでしょうか?
官庁がネット企業を利用し、国民に直接説明・アピールしたほうがやりがい感じるのでは
しかし、時事通信!!オールドメディアが官公庁の情報独占してるんだよ!!
カナダ、豪州、EUののメディアも「記者クラブ」にいれろ!!
ついでに、Yahoo!もアゴラもニコニコもいれろ!!
白状します。当方はトランプ支持者です。いわゆる悪趣味指向です。
しかし支持の理由はいくら彼がろくでなしであったにしろ(それが本当だとして)メディア産業による総攻撃・暴力行為は看過ならないと考えるからです。
トランプ氏をして馬鹿検出器との評判がありました。同じことがイーロンマスク氏に言えると当方は考えています。彼に苦情を言うのは筋違いなことに気が付かない。産軍ロケット産業相手に戦い、自動車産業相手に戦って成果実績を上げて来た彼は、言葉にできない陥れをこれまで経験して来たに違いありませんが、マスクはそれを表には出さない。代わりに辛辣な趣旨返しをそっと仕掛けて、気が付かないでいる批判者たちを見ている。当方は今もそれが起きていると考え舞うs。
はなわファクトリー様。
じつはわたしもトランプ派でして一連の騒動もネガティブキャンペーンと捉えております。決して主流派とはいえない彼は主流派からは煙たい存在と認識しております。今度のアメリカ合衆国大統領選挙はバイデンも高齢化していますが幾らも年が変わらないトランプの方がしっかりとしている様におもいます。故安倍晋三総理が健在ならと思います。いづれにせよ超大国アメリカ合衆国大統領選挙には勝利してもらいたいと思います。トランプ氏がどういう意趣返しをするか、楽しみです。
私もトランプ擁護寄りです。
威勢のよい言動や自国第一主義が注目されがちですが。氏の強み、当選にこぎ着けた本質は、彼こそが「声なき声を拾った」からだと思っています。
アメリカ人、というかキリスト教圏・白人にありがちな、ええかっこしいの(20世紀までさんざ悪逆を尽くしたくせにの)今更の人権主義に覆われて、アメリカでは「不法入国とはいえ困った人達を助けなきゃ!」が表面ではびこりつつも、本音では「低質な移民なんて本当は嫌だ邪魔だ送り返せば良い」という当然の人間が多かったのでしょう。メディアへの不満、海外への富の流出への不満、僅かな努力で成功した者が相当数の努力をしない者へ分け与えなければならない不満、そういったものに啖呵を切ったのがトランプですから。
それらを成し遂げたかはまた別問題ですけども、偽善を明らかにしたのは功績かと。綺麗事を並べつつも何もできないでいる政権よりは良いんじゃないですかね。
私もトランプに対して割と好意的です。
「ウクライナから兵を引くべき」と言った方針には賛同できないものの、
「America First!」のスローガンは気に入っていました。
また、マスコミの異常な叩きっぷりは逆説的にマスコミを破壊してくれるのではと
期待もしています。日本では第二次安倍政権をどうやってもつぶせなかった事が
オールドメディアのトラウマになり、あれ以来ずっと意気消沈したままに見えますし。
選挙の不正疑惑に関しては「結局何も出てこなかった」から
①本当に何もなかった
②あったけど、出したらアメリカがとんでもない事になるから隠した
の2択で真相が明らかになる事はない、と割り切っています。
今のところ、アメリカでは同様の動きは起きていないようなので、EU・カナダ・オーストラリアには 「本来は自国企業が得るべきニューズ記事の対価が、アメリカの大手IT企業に吸い取られている」 という意識もあるんでしょう。それに本来は 「取材して記事にする」 という労働に対しても、音楽作品や映像作品と同じように正当な対価が支払われるべきだと思います。
ただ、日本のオールドメディアの場合は、「新規参入には高いハードル」 があって、「記者クラブ制度によって少数のメディアが情報を独占」 している。更には 「下請けの編集プロダクションや制作プロダクションに奴隷労働」 をさせていて、文字どおり搾取しています。それで自由競争を繰り広げているIT企業に 「正当な対価を支払え」 と主張しても、「何言ってんだ?コイツ」 ですよね。
テレビ制作会社の残酷物語『TBSサンモニ』が報じたフェイク画像自体がフェイクだった - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=7i1lVG-tpNE
ほかの日本のオールドメディアも、海外のこうした動きを積極的に報じるのか、注視したいと思います。ノーベル経済学賞も受賞した 「電波オークション」 については報道しないのに、この動きについては大きく報じるなら、完全にダブスタだし。
「電波オークション」 ノーベル経済学賞でも日本の民放はコッソリ… | アゴラ 言論プラットフォーム
https://agora-web.jp/archives/2048500.html
オールドメディアはまだ己の立場が理解できていないようですが
いよいよ
オールドメディアがネットのプラットフォームに
「お願いですから記事を買ってください」
と懇願する時代が近づいてきた様ですね