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実売8割以上を証明できなければ第三種郵便物承認取消

過激派などの市民団体の機関紙が「最三種郵便物」の承認を取り消されたらしい、とする話題を目にしました。どうも実売部数が8割以上であるという点について、明確なエビデンスを示すことができなかったことが原因であるようです。ただ、この報道を見ていると、疑問もわきます。一部の大新聞では「押し紙」などの疑惑が以前から浮上しているのですが、もしこれらの大新聞も「実売部数8割以上」を証明できなければ、第三種郵便物承認を取り消されるのでしょうか?

第三種郵便物とは?

第三種郵便物というカテゴリーがあります。

新聞の上部を見ると「昭和●年●月●日第三種郵便物認可」などとする表記を見かけることもありますが、この認可を取っている定期刊行物については、安い値段で送ることができます。

郵便事業の実施主体は過去に逓信省、郵政省と変わっていき、現在は日本郵便株式会社が担っていますが、現在のルールでは「毎年4回以上、定期刊行されていること」、「1回の発行部数が500部以上であること」、「1回の発行部数に占める発売部数割合が8割以上であること」、などの条件を満たす必要があります。

(※これについては郵便局の『承認条件について』というページに詳しく触れられています。)

では、この「第三種郵便物」の認可があれば、いったいどんなメリットがあるのでしょうか。

考えられるメリットは、刊行物を郵送する際に、その送料を安くあげることができる、という点ですが、それだけではありません。公職選挙法では、新聞や雑誌などについては、「選挙運動の制限」の規定が部分的に緩和されているのですが、その条件のひとつに「第三種郵便物認可」が含まれている(同第148条第3項)のです。

具体的には、公選法では「選挙に関する文書図画の配布」が制限されているのですが、第三種郵便物の認可を得ているなどの条件を満たしている場合には、選挙運動の期間中と選挙当日においても、「報道及び評論を掲載する」ことが可能(第148条第1項・第2項等)なのです。

ということは、第三種郵便物の認可が取り消されるような事態となれば、新聞社としては、選挙報道ができなくなってしまう、という事態にも陥りかねません。

このあたりは、新聞部数があと10年後にはゼロになってしまう(かもしれない)というなかで、新聞業界がどう対処しようとするか(あるいは対処できないか)が気になるところです。

市民団体の取消相次ぐ

こうしたなかで、数日前、こんな話題が報じられているのを発見しました。

過激派機関紙の郵送料優遇取り消し、日本郵便 革労協主流派「弾劾する」

―――2023/10/21 10:51付 産経ニュースより

機関紙優遇取り消し相次ぐ 日本郵便、団体側は反発

―――2023/10/21 03:57付 Yahoo!ニュースより【共同通信配信】

産経ニュースや共同通信などによれば、過激派などの団体の機関紙について、日本郵便が相次いで第三種郵便物の承認を取り消したのだそうです(どうでも良い話ですが、産経と共同の記事は文言がほぼ同じなので、産経ニュースの記事は共同通信が配信したものかもしれません)。

これらのメディアによると、「革労協主流派」の機関紙については今年9月、別の市民団体については6月、それぞれ日本郵便側から第三種郵便物の承認を取り消された、としています。

また、このうちとくに「革労協主流派」に関しては、日本郵便側からここ数年、「発行部数のうち8割以上が販売されていることを裏付ける会計報告や入金資料」の提出を要求していたものの、団体側は「購読者の名前を明らかにすることはできない」と拒否。

代わりに販売部数や入金状況などの資料を提出したものの、日本郵便側は9月21日付で「承認取消書」を送付した、などとしています。

つまり、今回のケースだと「毎号500部以上を発行している」、の要件は満たしていたのかもしれませんが、「8割以上が発売されている」の部分については、どうも怪しかった、ということなのでしょう。

押し紙問題も同じ?

ただ、この報道を読むと、単純に疑問もわきます。

一部報道等によれば、日本を代表する大新聞についても、「押し紙」が横行しており、「実売部数」はその3分の2程度だ、とする噂は絶えないからです(これについてはたとえば『FACTA「朝日新聞84万部超押し紙」が事実なら?』などもご参照ください)。

もちろん、新聞のすべてが「押し紙」問題を抱えている、などと短絡的に決めつけることは控えたいとは思いますが、それと同時に、新聞の実売部数を巡っては、データ面でもいろいろと不自然な点があることは事実です。

たとえば、朝刊部数の減り方が夕刊部数やセット部数などと比べ、非常に緩慢に見えることは、「新聞各社が朝刊の部数を不当に釣り上げているからではないか」、といった疑念を惹起させる材料のひとつでしょう(図表)。

図表 新聞部数とその予測値

(【出所】一般社団法人日本新聞協会のデータをもとに著者作成。「予測値」は2017年から22年までの部数変化が今後も続くと仮定した場合のもの)

いずれにせよ、「仮定の議論」ですが、日本を代表する大新聞のひとつが、今回の「実売部数データの不備」を理由に第三種郵便物の承認を取り消されたと仮定したら、これはこれで興味深い現象といえるかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (8)

  • 毎度、ばかばかしいお話しを。
    新聞社:「第三種郵便物の条件の実売8割以上を満たしていなくても、新聞は第三種郵便物である。なぜなら、それは新聞の問題でなく、国民の問題だからだ」
    既得権を守るために言いそうだな。

  • 引っ掛かったオタク@ナンテコトヲソースのリンク踏む前に書いてしまたヌケサクでゴザイ says:

    ん~"押し紙"って確か「新聞販売店」が「新聞社」から「購入」するカタチじゃなかったっけ?
    「新聞社」的には押し紙分コミで販売部数だった気がす
    日本郵便が「新聞販売店」を「新聞社」の「客」と看做すかどーか、なんかな??
    クルマバイクは登録があるからメーカーがディーラーに卸してんのは「実売」ちゃ云わんやろーけど、第三種~の「実売」の定義はどんなかな???

    • 自己レス
      「新聞社」から「新聞販売店」だと"あまねく販売"にならんからアウト!
      なんやね

      • さらに自己レス
        『あまねく発売』でごさんしたorz

  • 言論機関の政治棍棒こと新聞紙の存在感が町から消えていき、職業尊厳が棄損されてくやしい新聞記者たちはテクノロジー相手のラッダイト、すなわち機械相手の逆切れ打ち壊しに余念がない。老化産業の末期に他なりません。

  •  ホテルのような不特定多数が読む新聞などは無料なのであり、置いて貰うだけでも宣伝になるから新聞社としてはお金を貰わなくても良いのでしょう。だから実売8割以上などと言う条件は満たせないのかも。そうなると新聞代ももっと高額にしないと売ることができないから益々部数が減り、紙資源の無駄遣いも減ってくると言うことでしょうかね。

     今時新聞の宅配を取る心境も理解不能ですが、宅配を取っている人は例え月に1万円になっても契約解除する人は少ないと思われるので、新聞代を値上げしても固定読者はさして減らないでしょう。

     従って第三種郵便物の指定が解除されてもどうせやがては消滅する新聞のこと、決定的なダメージにはならないかも知れないという気がしますが。

     マスコミもスキャンダル記事の報道を止めると同時に、お上に忖度した記事を隠蔽するという方針を撤廃したら、もっと買う人がいるように思いますけどね。

     そこまでいかなくても「糞めがね税金泥棒」と言われる人物のインチキをドンドン公表したら発行部数も増えると思うが。現実にユーチューブではドンドン公表されているのですけどね。

  • 新聞社は部数詐欺はバレていないと思っているでしょうが、日本国民は知ってる押し紙。
    不正追求が使命の新聞社が、読まれない新聞をどう処理しているのか?

    インフレにも環境にも配慮を前提で妄想すると

    押し紙分は輪転機から出さない→紙代、インク代、電気代等々節約
    (おいおいペーパーレスの新聞紙???)
    押し紙分は輸送・配達しない→ガス代、運転手の負荷軽減
    押し紙分は実態がないので古紙回収がない→リサイクル費用の節約

    物は存在しないけど、販売店の注文はあるし、お金のやり取りはある。
    でも通報虚偽表示ではないが、広告主に対しては詐欺になる可能性もある。

    う~~ん、そんな危ない橋は不正追求の使命の新聞社は渡らないよね。
    押し紙は発行輸送などの費用はかかるし環境負荷かかるけど、全部印刷してますよね・・

    まあ第三種郵便物の条件はクリアしてるでしょ・・・

    • >広告主に対しては詐欺になる可能性もある
       これは第三種郵便の条件には関係しないでしょう。「販売店の注文はあるし、お金のやり取りはある」なら一応完売の形にはなるでしょうよ。でも販売先まで明記させられるとグルだということがばれるけど。でも、押し紙なんて学校とか施設とかに無料で配ってしまえば喜ばれるし、販売店だって無駄な紙をゴミとして始末をしなくて済むし、販売店が代金を払うのが不合理だが、宅配で儲けているのだから皆がハッピーということでしょう。