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    Categories: 外交

ロシア訪問の届け出「秘書が提出遅れた」=鈴木宗男氏

まさに保身の塊、といったところでしょうか。鈴木宗男氏が所属する日本維新の会にも無断で、渡航中止勧告が出ているロシアに出掛け、ロシア側の要人らと面会したとされる問題で、鈴木氏は「(党への届け出は)秘書が遅れた」、などとムチャクチャな言い訳をしたそうです。これに加え鈴木氏は自身のフェイスブックに「私は国益の観点から日露関係の重要性を誰よりも考えてきた政治家と自負しており、特にこんな時だからこそ対話が必要と考えている」と書き込んだようです。

鈴木宗男氏、所属政党にも無断でロシア訪問

昨日の『せっかくの鈴木宗男氏訪露も…ロシアが敗戦なら無駄に』でも紹介したとおり、日本維新の会の鈴木宗男・参議院議員が所属する日本維新の会などに無断でロシアに渡航し、前駐日大使でもあるミハイル・ガルージン外務次官らロシア側の要人らと面会した模様です。

鈴木宗男・参議院議員が所属する日本維新の会に無断でロシアを訪問したようです。元島民らの北方領土墓参など、停滞する日露関係についての意見を交わすなどの目的があるとする報道もありますが、いずれにせよ、日本全体の国益という観点からは望ましい話ではありません。ただ、鈴木氏がスタンドプレーに興じる間に、クリミア半島を巡る戦況が、意外とウクライナにとってかなり優位に進んでいるとの指摘も出てきました。なにもこちらから関係改善などしなくても、放っておけばロシアのプーチン政権自体が崩壊するかもしれません。鈴木...
せっかくの鈴木宗男氏訪露も…ロシアが敗戦なら無駄に - 新宿会計士の政治経済評論

報道等によれば、鈴木氏は今回の訪問について、元島民らの北方領土墓参などを巡り、ロシア側と「停滞する日露関係について意見を交わすこと」があった、などとされていますが、言い訳になるはずなどありません。

鈴木氏自身が日本維新の会という(自称)「次の最大野党」に所属していて、その議員団の副代表を務めているという立場にあることを踏まえると、今回の訪問自体がロシアに対し、誤ったメッセージを伝える可能性が非常に濃厚だからです。

ロシアには渡航中止勧告も!

鈴木氏が自由にロシアに出掛けたいというのなら、最低でも日本維新の会を離党するか、理想をいえば、議員辞職なさったうえで、私人として行くべきでしょう。

ちなみに外務省は『海外安全ホームページ』の『ロシアの危険情報【危険レベルの継続】』で、ロシアへの渡航を「止めてください」と呼び掛けています(いわゆる「渡航中止勧告」)。

もちろん、先日の『北朝鮮が外国人の入国を許可:日本人が渡航すると…?』でも指摘しましたが、この渡航中止勧告自体には、法的強制力はありません。したがって、日本人がロシアに渡航しようが、北朝鮮に渡航しようが、罰せられることはありません。

しかし、「渡航しても罰せられない」からといって、「渡航しても良い」という意味ではありません。

とりわけ国会議員という、通常の社会人と比べて高い倫理観が求められる立場にある人物が、公人という立場でスタンドプレー的にロシアに渡航することが何を意味するか、鈴木氏は自覚が足りなすぎます。

「(届け出は)秘書が遅れた」

しかし、それよりももっと驚くのは、鈴木氏のこんな発言でしょう。

「こんな時こそ対話が必要」ロシア訪問の鈴木宗男参院議員が意義強調 届け出遅れは「秘書が」

―――2023/10/04 00:22付 Yahoo!ニュースより【FNNプライムオンライン配信】

FNNプライムによると鈴木氏はモスクワで取材に応じ、「党への届け出が遅れた」ことについては「秘書が遅れた」と述べた、というのです。

メチャクチャな言い分です。

現実に党に届けが出ていない以上、「遅れた」という言い訳など成立しません。所属国会議員の外遊に関する維新の内部ルールについては必ずしも明らかではないものの、常識的に考えて、届け出る前の時点で党本部からは止められるはずでしょう。

ただ、それ以上に驚くのは、鈴木氏本人が日本時間3日深夜にフェイスブックに投稿した、こんな発言です。

私のモスクワ訪問について日本国内ではいろいろな発言があるようだが、私は国益の観点から日露関係の重要性を誰よりも考えてきた政治家と自負しており、特にこんな時だからこそ対話が必要と考えている」。

驚いたことに、今回の行動を含め、鈴木氏はこれまでのご自身の活動が「国益の観点から」、日露関係の重要性を誰よりも考えてきたものであると認識しているようなのです。

しかし、少なくとも鈴木氏の今回の訪露は、明らかに日本の国益に反する行為です。

国際社会が一致団結してロシアによるウクライナ侵略という蛮行を失敗に終わらせようと努力しているなかで、日本の国会議員としてウクライナ戦争勃発以来初めてロシアを訪問したという鈴木氏の今回の行動が、ロシアだけでなく国際社会に対しても誤ったメッセージを送った、ともいえるからです。

実務能力のなさは罪

さて、ここからはちょっとした余談です。

鈴木氏が日露関係に人生を捧げてきたことは鈴木氏自身の選択であり、そのこと自体は咎められるものではありません。その意味では、鈴木氏なりに「志(こころざし)」は高かったのかもしれません。

ただ、『弁が立つ、しかし実務能力がない者ほど始末に負えない』や『政治家の実務能力の本質は「妥協で理念を実現させる」』などでも指摘してきたとおり、実務能力がない政治家ほど始末に負えない者はありません。

図表 政治家の資質に関する4分類
実務能力がある 実務能力がない
志がある ①志がある・実務能力がある ②志がある・実務能力がない
志がない ③志がない・実務能力がある ④志がない・実務能力がない

(【出所】著者作成)

政治家の資質を、「志の有無」と「実務能力の有無」で4分類したら、妙な志(あるいは信念?)を持っているわりに、国益に照らして本当に必要なことが何なのか理解しておらず、したがって現実に対し誤ったソリューションを適用してしまうという意味では、鈴木氏は間違いなく②のカテゴリーの政治家ではないかと思うのです。

いや、もちろん、ここでいう「実務能力」を「日本政府の予算をロシアの意に添うように使わせる」という意味で捉えるならば、ある意味で鈴木氏の実務能力は高いのだ、という屁理屈も成り立つかもしれません。。ただ、この場合はそもそも鈴木氏の「志」が高いのか、という問題に発展するようにも思えます。

いずれにせよ、日本維新の会としても、今回の鈴木氏の行動については「一介の議員の暴走」と捉えるべきではなく、除名を含めた適切な処分を下すことが求められますし、もし維新がそれをやらないのであれば、私たち有権者の側も選挙を通じ、適切に行動しなければならないことに関しては、言うまでもないでしょう。

新宿会計士:

View Comments (31)

  • 素朴な疑問ですけど、鈴木宗男議員の秘書のことを、自民党と(日本の)ロシア融和派はどう言うのでしょうか。

    • 朝日新聞は「ロシアとの対話も重要だ。これは鈴木宗男議員の責任ではなく、提出を忘れた秘書の責任だ」と言うのでしょうか。

    • 毎度、ばかばかしいお話を。
      朝日新聞社説:「確かに鈴木宗男議員のロシア訪問は問題だ。だが待って欲しい。対話によって問題解決をはかるのは正しいのではないだろうか」
      ありそうだな。

  • ムネオは実は維新潰しのための立件共産党からの刺客だった?w

  • 中国に太いパイプがあると言われていた二階でさえ、中国の汚染水問題で何もすることができませんでした。(たぶん)
    前はパイプって大事なんだろうな、と思ってましたが、最近は本当にパイプって必要なのかな、って思うようになりました。まぁ、パイプは大事なんでしょうけど、それよりも原理原則を曲げない姿勢がもっと大事だ、という事を安部総理に教えて頂いたように思います。

    • パイプはパイプでも中国が日本を操ろうとするためのパイプなんでしょう。鈴木議員はそのロシア版?

      • > 中国が日本を操ろうとするためのパイプ
        そっち!? ((((;゚д゚))))アワワワワ

    • 鈴木宗男は先の参議院会議で、東京新聞の活動家に一括した、最近には珍しい、気骨のある議員だと思ってましたがね。今回の件は残念です。

        •  >中国の汚染水問題

           「処理水」では?誤解を与える誤記には気を付けてください。
           それとも「中国の日本のそれより放射能度の高い処理水」の事でしょうか。

    •  はい、二階氏の訪中は不発だったみたいですね(笑)。林元外相も中国のパイプと目されていたのに何の成果も出すことはできませんでした(爆笑)
       もともと「パイプ役」というのは閉鎖的だった旧ソ連や中国側が心を許した数少ない外交関係者ということですから、中国やロシアにとって都合のいいことしか言わないし、彼らにとって都合のいい外交しかしません(そうしないと嫌われてしまうからです)。その結果nagaさんのご指摘通り、中国やロシアが日本を操るためのバックドアのようになってしまっていました(本人が気づいていないだけで)。今までは先進国たる日本の技術や経済力を吸い取る窓口となっていましたが、技術力も経済力も中国が追い抜きつつある今日ではだんだんと用済みになりつつあるような気がします。ロシアも中国に頼ればいいので宗男の利用価値があると言ったら、日本人としてウクライナ侵攻を全肯定してもらうことくらいでしょうか?

  •  私などは「維新は勢いは有るし、政策への姿勢は是々非々として立憲らのような批判のための批判とまではいかないから、一応候補に留め置く」というギリギリな評価で、まさに分岐点が「ロシアに物言えるか」なわけです。同様の維新評をする方が一般にどれくらい居るかはわかりませんが、少なくとも私は本件を以って「やっぱ維新は無いかな」となってしまった。……まぁ逆にこれを以って維新に入れるぞという方も居るのかも知れませんけど。
     道理を無視した親露は鈴木氏だけではありませんからね、しかも上層部(や裏オーナー)に特に見受けられますから。
     「露骨な親露行為は票が逃げる」のを飲んででも今回の義挙に走った、とでも言うのであれば、高いというか強い志ではあります。合わない方向への志は、評価の余地を奪いますねぇ。

    •  過去に維新の一議員が「北方領土は戦争しないと取り返せない」と発言して幹部が大慌てでロシア大使に謝罪した経緯があります。つまり「ロシアにものを言えるか」についてはとっくに答えが出ております。

  • 鈴木宗男議員の唯一の資産がロシアコネクションなのでしょう。この人は、まだその資産に価値があると主張したいのでしょうけど、最近のウクライナの戦況を考慮すれば、残念ながらその価値は最早無いと思いますので、未練はあると思いますが、早々に減損処理すべきです。唯一の資産を減損したら債務超過になりそうですが。
    また維新は、組織の方針から大きく逸脱する行動を平然と行う議員に対しては、除名か離党勧告をすべきだと思います。
    ところで日本政府は、プーチン政権内部や反プーチン派の動向など把握しているのでしょうかね?

    • >ところで日本政府は、プーチン政権内部や反プーチン派の動向など把握しているのでしょうかね?

       してないでしょう。日本に海外をスパイする機関はないのですから。

  • ひとなっこい顔にだまされてはいけない。ロシア通をきどっても、成果らしきものはみあたらない。我が国の国富を流出させて、はじめてロシアに褒めてもらえたのが「ムネオハウス」なのだ。松山千春が同郷だという。なにがよくて応援しているのかしらないが広く国民に知られた歌手なのだ。無責任にも程がある。踊らされる有権者に問題がある。鈴木ムネオは究極の売国議員である。

    • 維新は好ましい政党と考えているが、宗男が蟠踞している北海道では投票する気が起きない。ムネオハウス建設の頃のニュースを見ると虫酸がはしる。
      道民より。

  • 鈴木氏の志が,実は日露友好ではなくて日本を混乱させることでロシア(などを含む周辺諸国)を利するというものであれば,「今の岸田自民党では駄目だ」と考えている保守系有権者の受け皿となるべく第二自民党たらんとしている日本維新の会のイメージを多少なりとも失墜させる効果を実際に生み出せているのですから,鈴木氏は無視できない実務能力も持ち合わせていることになりますが.

    それは立民党全体についても同様ですね.彼らが口先で言っている政策が本当に彼らの志であるならば野党第一党として国政に参加している党としての実務能力はゼロ同然ですが,日本を駄目にすることで韓国や中共を利するのが彼らの本当の目的であり志であるならば,彼らの実務能力は決して侮れない.

    特に内閣を握るのが対立を恐れない安倍ー菅ラインから何も決めたくないし何も争いたくない(要するに自分が権力の座に居座ること以外は何もしたくない)岸田氏になってからは.

    鈴木氏の本当の志が何かについてはさて措くとして,立民党や共産党の党としての本当の志は,彼らの言葉とはかけ離れたところにあるというのが私の考えです.ラップを歌い踊って簡単にシールズに乗っかっちゃうような頭の軽い人達は彼らの言葉を鵜呑みにして信じてしまい中にか結果的に人生を棒に振ったりもしてそうですが.

    政治家やその集団としての政党の「志」が何かを我々国民が理解する際には,口先やパンフレット等で表明している言葉が本当の彼らの目標・目的なのか否かを我々国民の側が良く観察して判断することが不可欠だと考える次第です.

    「嘘をつくのも政治家の仕事のうち」と考えておくべきですね,与野党問わず.

  • 鈴木議員は一体何がしたかったんでしょう?

    愛するロシアの大ピンチに居ても立っても居られなくなった?
    自分が馬鹿にされ続けているのに耐えられなくなった?
    何でも良いから目立ちたくなった?
    維新内で自分が軽んじられていると感じて暴挙に出た?

    う~ん、意図が分からない。

    •  鳩山由紀夫と似たような感じです。とにかく目立ちたいということと、長年ロシアのパイプ役を自称してきたプライドからです。
       昨年4月の参院外交防衛委員会の参考人として招かれたグレンコ・アンドリーさんが維新議員に対して「残念ながらあなたがたの党にロシアの侵略を明らかに弁明している人がいる」と指摘されて以来、維新の中で腫物を触るような扱いになってたんだと思います。それが宗男本人には「軽んじられている」とフラストレーションが溜まっていたのでしょう。

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