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「行政の無駄:有識者会議は多すぎ」=浜田聡参院議員

NHKから国民を守る党の参議院議員である浜田聡氏が興味深い調査結果を公表しています。日本の省庁に設けられた有識者会議がじつに873個にも達するというのです。冷静に考えてみたら、ありそうでなかったデータです。こうしたデータを調べ上げて国民に報告してくれるという浜田氏の仕事は高く評価するに値するでしょう。

少数政党の限界

当ウェブサイトでは「少数政党が国会に数議席を獲得したところで、できることには限界がある」、「少数政党が国政の場で存在感を示すには、よっぽどの工夫が必要だ」、と申し上げてきました。

政治家には高い志(こころざし)も必要ですが、なにより高い実務能力が求められます。そして、日本は議院内閣制を採用する国ですから、実務能力を発揮するためには、一般には少数政党ではなく、多数政党に所属していた方が好都合だからです。

先日の『弁が立つ、しかし実務能力がない者ほど始末に負えない』については、「志の有無」、「実務能力の有無」という2つの軸から政治家の資質について検討したものです。正直、威勢の良いことを述べて数議席を得たところで、その政党や議員に相応の実務能力がなければ意味がありません。

国民民主党の事例

ただ、「国会で多数を得ているわけではないが、それなりに存在感を示す」という方法が、ないわけではありません。

昨日の『「玉木首相」構想だけでない、少数政党としての動き方』でも論じたとおり、それなりに高い実務能力があれば、少数政党なりに巨大政党とうまく交渉し、自党の政策を部分的に予算や法案に折り込ませたりすることもできるかもしれないからです。

その際のポイントのひとつは、インターネットをうまく活用し、うまく世論を味方につけていくことにあります。

たとえば玉木雄一郎・国民民主党代表は、X(旧・ツイッター)などを活用し、国政の問題点を有権者に向けて訴えかける手法に長けており、自公両党などにもうまくプレッシャーをかけることで、中途半端ながらも自党の主張をある程度は政策に折り込ませることに成功しているフシもあります。

また、自民党の側にとっても、連立相手である公明党を牽制するなどの都合上、国民民主党との連立構想をうまく利用しているフシがあります。とりわけ自国両党は「国防に関する考え方が近い」という点については、複数の自民党議員からも出て来る意見でもあります。

こうした事例を踏まえるならば、少数政党であっても、地に足が付いた現実的な政策提言を続けていれば、国会においてそれなりの存在感を示すことができるのです。

現在話題の某新党も、実務能力のある政治家を集めて国会に送り込むことができるならば、もしかしたら現在の国民民主党のような立ち位置を獲得することができるかもしれません(もちろん、某極右政党や某カルト政党のような状況になってしまう可能性もありますが…)。

浜田聡氏の興味深いブログ記事

さて、こうした「実務的に地道な仕事をする」という意味において、個人的に注目しているのが、浜田聡・参議院議員です。

浜田氏といえば、「NHKから国民を守る党」に所属する参議院議員として知られています。その政党の党首自体は派手なパフォーマンスばかりすることで知られており、正直、政治家としての「動き方」としては落第点でしょうが、浜田氏の場合は、どうやらそうではないようです。

浜田氏は、もともとは医師であり、現在も「日本医学放射線学会放射線科専門医」を名乗っていますが、X(@satoshi_hamada)やYouTube『参議院議員 浜田 聡』、自身のブログ『参議院議員 浜田聡のブログ』などを通じ、日々、精力的に情報発信を行っている人物でもあります。

こうしたなかで、浜田氏が11日付で自身のブログに掲載した内容が、大変興味深いものです。

日本政府の有識者会議はどれくらいあるのか調べてみた

―――2023/9/11付 参議院議員 浜田聡のブログより

ブログによると浜田氏は、参議院調査室や国立国会図書館の協力を得て、日本政府の有識者会議がどれくらいあるかを調べてみたのだそうです。もちろん目的は、「行政の無駄をあぶりだすため」、です。

浜田氏は「どういう会議を有識者会議に含めるかによって調査結果での数字が異なってくる」としつつも、大まかな数を省庁ごとにカウントし、その結果を公表しているのです(データは上記ブログでも閲覧できるほか、PDFファイルでも結果がまとめられています)。

日本の有識者会議の個数はなんと873個も!

ただし、元データは少し見辛いので、当ウェブサイト側にてサマリーを一覧にしたものを作ってみました。そのままだと長くなるので、2段組にしています(図表)。

図表 日本政府の有識者会議の数(省庁別・上位順)
省庁 個数 省庁 個数
国土交通省 182 水産庁 12
厚生労働省 174 防衛省 11
文部科学省 89 消費者庁 10
環境省 75 気象庁 10
総務省 72 警察庁 9
内閣官房 36 こども家庭庁 8
法務省 31 国税庁 8
内閣府 30 スポーツ庁 6
経済産業省 19 林野庁 5
デジタル庁 16 観光庁 4
財務省 15 公正取引委員会 3
農林水産省 15 外務省 3
金融庁 14 国土地理院 2
文化庁 14 合計 873

(【出所】浜田氏の個人ブログデータの記載をもとに著者加工。省庁の区分やカウントは浜田氏による)

なんと、総数、873個です。

これについて浜田氏は、こう述べます。

厚生労働省174個、国土交通省182個というのはいくら何でも多すぎるのではないでしょうか?半分くらいなくしても全く問題ないのではないでしょうか?

数が多過ぎて、政策評価ができないほどではないでしょうか。減らしましょう。

ありそうでなかったデータ

正直、省庁にとっては、こうした浜田氏の行動は、いまいましいのではないでしょうか。

当ウェブサイトでも過去にしばしば指摘してきましたが、省庁が設置する「有識者」会議の多くは、政府(というか官僚)にとって都合が良い人物を集めているケースが見られます。

昨日の『NHK出演者「日本には選択と集中が必要」→批判殺到』でも紹介した、「選択と集中」発言が批判された経済財政諮問会議の民間議員の事例もそうですが、そもそも「有識者」会議のメンバー自体の選定基準がよくわからないのです。

いずれにせよ、官僚機構が有識者会議をうまく悪用し、消費税等の増税、レジ袋有料化など、明らかに間違っている(あるいは不適切なものである)可能性が高い政策を強引に推し進めてきたのではないか、という点については、きちんとした精査が行われても良いかもしれません。

今回、浜田氏が自身のブログで報告してくれた内容は、良い意味で参議院議員らしいものでもあります。一見地味ではありますが、「ありそうでなかったデータ」であり、国政の在り方を見直すための議論のたたき台となり得るものだからです。

その意味で、国会関連機関の助力を得つつも、こうした「ありそうでなかったデータ」を調べ上げてくれたことは、仕事としてのクオリティが極めて高いといえますし、これを国民に報告してくれた浜田氏の仕事も、評価に値するといえるでしょう。

新宿会計士:

View Comments (11)

  • #猪瀬直樹 #日本維新の会の国会質問もいいね
      https://www.youtube.com/watch?v=GKWBPVUTNPo
    ざっくばらんですっきりした。

  • 有識者会議を隠れ蓑にした、利権が有りそうだな。テレビでいくら、雑誌でいくら、新聞でいくら、、というように際限がない。複数組織に属していれば、旨味は倍加する。マスゴミも承知だから、茶番が成立する。800を越える有識者会議?幾らなんでも多すぎだろ。どんな議題がありどんな成果があるのか、一つ一つ説明するべきだ。メンバーを公表し経費を公表する。当たり前の話ではないだろうか。こういう地味な提言をする人物こそ政治家だろう。国会で舟をこいているのは仕事ではない。

  • 官僚のポジショントークを追認するだけの会に、これだけムダな経費が使われているのは寒気がする。

  • こういう官の仕事すると勲章もらう時レベルがぐっと上がるんじゃないかな。

    誰か詳しい人いる?

  • 毎度、ばかばかしいお話しを。
    「有識者会議の提言が上手く行かなった時に、誰が責任をとるのか」を有識者会議で協議しよう。

    蛇足ですが、そのうち、有識者会議で「どうやって、有識者会議を減らすのか」を協議するのでしょうか。(結局のところ、政治家は、恨みを買わないように弾除けが必要なのでしょう)

    • 有識者会議にマスゴミのお友達がいれば、マスゴミは有識者会議の存在を批判しないでしょう。

    • 毎度、ばかばかしいお話しを。
      議員&マスゴミ:「浜田聡議員め。snsで国民に余計なことを暴露しやがって。少数政党のくせに生意気な」
      ありそうだな。

  • 有識者会議は、公務員が行政の主導権を握りつつ、責任を負わない事を目的とした仕組みですね。
    有識者の人選をガラス張りにする必要がありますね。
    また、会議の数も絞り込む必要がありますね。
    会議をしただけで仕事をしたような気になっているのではないでしょうか?

    •  >会議をしただけで仕事をしたような気になっているのではないでしょうか?

       どっかの野党もそうですね。取るに足らない週刊誌ネタでも「〇〇追及チーム」を立ち上げて仕事した気になってる政治ゴロの集団が。

    • 現役会社員の時 自分は「一級会議士」だと自嘲と自慢半々で言っていた人がいました。

  • 国土交通省は、過去に補助制度の数を減らせと言われたのか、陸上交通(鉄道とバス)も船舶も航空も全部一つにまとめた前禍があるからなぁ・・・
    国としての、話の筋として交通を守るという観点では一貫性があるのだろうが、それはそれとして要綱要領はものすごく読みづらい
    各省庁とも、これらにぶら下がってる分科会の数を数えたらもっと爆発したり、順位が逆転したり色々ありそうな気がします