X
    Categories: 外交

ノージャパン忘却の韓国…「殴られた日本」は忘れない

「4年前の『ノージャパン』は最近の日韓関係改善に伴い雲散霧消した」。こんな俗説がウソであることは、数字で見れば一発でわかります。宏池会政権が「日韓関係改善」を騙りだす前から、すでに韓国ではノージャパンが雲散霧消していたからです。そのことを如実に示す「数字」があるとしたら、日本政府観光局(JNTO)が公表している訪日外国人データでしょう。

今から4年前のノージャパン

今からちょうど4年前、2019年7月といえば、韓国で「ノージャパン」の嵐が吹き荒れ始めた時期であり、翌・8月以降、訪日韓国人が激減し始めました。日本政府観光局(JNTO)のデータをもとに、2018年と2019年の訪日韓国人のデータを並べてみると、図表1のような具合です。

図表1 日本を訪問した韓国人(2018年vs2019年)

(【出所】JNTOデータをもとに著者作成)

コロナ禍で2020年3月以降、日本を訪れる外国人が激減していたことは記憶に新しいところですが、じつは訪日韓国人に関していえば、それに先立つ2019年8月頃から激減し始めていたことがよくわかります。

ノージャパンはいずこへ…?

ところが、これに2022年・23年のデータを重ね合わせてみると、再び驚くかもしれません(図表2)。

図表2 日本を訪問した韓国人(2018年~19年、2022~23年)

(【出所】JNTOデータをもとに著者作成)

これで見ると、最盛期の2018年ないし2019年ごろにはまだ届かないにせよ、訪日韓国人数は非常に高水準で推移していることがわかるからです。

行き詰った日韓関係

2019年の訪日客激減は、同年、日本政府が韓国を輸出管理上の「(旧)ホワイト国」から除外するなどの適正化措置を実施したことに対し、韓国で「ノージャパン(NO JAPAN)」運動が吹き荒れたことに伴うものであるとされています。

韓国からの旅行客が日本で落とすカネの少なさを考慮に入れるならば、日本にやってくる韓国人観光客が激減したところで、日本経済になにか打撃があったのかどうかは疑問ですが、その点は脇に置くとして、韓国人のノージャパン、象徴的には大きなインパクトがあったことことは間違いありません。

もちろん、日本政府のこれまでの説明をもとにわかりやすくいえば、日本政府が韓国に対する輸出管理を適正化したのは、「韓国における輸出管理がずさんだった」という正当な理由があったからですが、残念ながら韓国国民や韓国メディア、あるいは当時の韓国政府にはその説明は通じませんでした。

前年10月と11月の自称元徴用工判決、12月の火器管制(FC)レーダー照射事件、同年2月の国会議長による天皇陛下侮辱発言、5月の自称元徴用工問題に関する国際仲裁手続付託など、日韓間には緊張関係が高まる要因がいくつもありました。

これに日本政府による輸出管理適正化措置、そして翌・8月の韓国政府による日韓GSOMIA破棄通告もあいまって、日韓関係は完全に滞ってしまった格好です。

コロナがあけたらいきなりノージャパンが消えた

ところが、これらの諸懸案がまったく片付いていなかったにもかかわらず、コロナがあけたらいきなり「ノージャパン」がどこかに行ってしまったようです。

「日韓関係が改善されたから韓国人が日本にやってくるようになった」のでしょうか?

これは、事実関係が正しくありません。

いちおう、宏池会政権や外務省、メディアなどの言い分に基づけば、3月に韓国政府が自称元徴用工問題の「解決策」(※「解決」になっていない)を打ち出したことを皮切りに、日韓関係が「改善」されたことになっています。

「日韓の緊張が解けたことで、日韓相互往来が復活した」、といった見方は、非常にわかりやすい説明ですが、図表2を見ていただければ、これがウソだということはすぐにわかります。なぜなら、昨年10月に日本政府が外国人観光客の受け入れを再開して以降、訪日韓国人の人数は、うなぎ上りに増え始めているからです。

受入が正常化した翌月の2022年11月の時点で、訪日韓国人はすでに32万人に達しており、「ノージャパン」のころの2019年11月の21万人を大きく上回っていることに注意してください。

「日韓関係が改善されたから日韓の往来が正常化した」という説明がウソであることがよくわかるでしょう。

「日本」目線がない記事

こうした客観的なデータを踏まえたうえで、メディアの皆さんにひとつ、苦言を呈しておきたいと思います。

よく日韓関係について議論する記事を読んでいると、「韓国で日本に対する反発が強まっている」、「韓国で日本に対する反発が和らいでいる」、といった具合に、「相手国目線」に立った記事が多く目につくのですが、こうした記事の構成、考え直した方が良いと思います。

そうした記事の典型例がありました。

韓国で「NO JAPAN」が再燃する可能性はあるのか 日本製品の不買運動から4年、「敵対国」の意識は減少、拭い切れない「繰り返し」のリスク

―――2023/07/28 10:02付 Yahoo!ニュースより【共同通信配信】

これは、共同通信が28日に配信した記事ですが、韓国で「ノージャパン」の雰囲気が消え、「日韓関係は改善に向かい、ソウルの街から不買運動の面影は姿を消した」、などとする記事です。

記事ではJNTOの統計データをもとに、韓国では祝日となっている「3・1節」を含め、連日のように日本生きの便が満席になっているほどに、韓国で日本旅行が人気だと説明する――、といった記事です。

ただ、正直、この記事を読んでいても、「なぜノージャパンが雲散霧消したのか」という部分に関する突っ込んだ分析はありません。韓国ウォッチング記事であれば、そこが最も重要ではないかと思ってしまうのですが…。

日韓関係「改善」を冷ややかに眺める日本人

そして、なによりも重要なことがあるとすれば、この記事についた読者コメントなどから垣間見える日本の側の世論です。これらのうち、高い評価を得ているコメントの多くが、日韓関係の「改善」には否定的な見方を示しているからです。

たとえば、こんな具合です。

日本とまったく利害関係がない高校生までもが、何の疑いもなくプラカードを掲げてデモに参加している写真を見ると、やるせなくなる。歪曲された教育によって世代を超えて日本への嫌悪が刷り込まれ続けている限り、この国との最終的な和解は永遠に訪れないだろう」。

韓国のコスメや整形、グルメなどで韓国をとりあげる番組がまた増えてきたけど、正直あんまり見たくない。実際に韓国旅行に行く人も増えてるんだろうけど、こういう現実を知った上で行ってるのかな」。

じつは、こんなコメントが、一般の日本人の心理を示しているのではないでしょうか。

日韓のメディアは「ノージャパン」などの反日について、きちんと突っ込んだ分析をしていませんが、むしろ日本の読者コメントから垣間見えるのは、韓国に対する嫌悪感です。

メディアや宏池会政権がいっしょうけんめいに「日韓関係は改善された」、などと喧伝していることは事実ですが、多くの日本国民は、やはり4年前に「ノージャパン」で思い切り殴られたことを、忘れていません。

そういえばむかし、どこかの国の大統領が、「加害者と被害者の関係は千年経っても変わらない」、などとする名言(?)を述べましたが、これは日韓関係に関しても、まったく同じことが言えます。

もちろん「加害者」は韓国、「被害者」は日本です。

いずれにせよ、加害者の側が勝手に「ノージャパン」を展開し、勝手に「ノージャパン」を忘れ去っているわけですが、被害者たる日本人のマジョリティが韓国に対し、良い印象を抱くのは難しいのが実情ではないでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (26)

  •  Twitterやってても、在日韓国・朝鮮人(+左翼日本人)に質の悪いのが目立ちますね。未だに、「ドイツは謝ったのに日本は謝っていない」とか叫び、史実を教えてやると「お前では、私に対抗できない」と上から目線で逆噴射。在日でこうなんだから、半島ではもっと質の悪い勢力がいるでしょう。
     韓国在住のジャーナリスト(鈴置氏だったか?)によると、韓国人は2割が日本好き、2割が半日、残り6割が日本に無関心だそうですが、どうしたって2割の反日分子で、我が国の韓国に対する認識は作られてしまいますよね。それは、日本人の責任ではない。

  •  「思い切り殴ってきた割には全然痛くなかった」という事で、憤るとか許すとかの前に、軽蔑と言うか憐憫というか……なんともいえない対韓感情になった気もします。
     何にせよプラス要素は皆無ですね。そして韓国に何かをしてもらえたらななんて期待要素も思いつきません。対中戦争の先鋒になってくれとすら思えません。
     ほんと価値も希望も無いなぁ……

  • >「殴られた日本」は忘れない

    過去にも同様なタイトルの記事があったような気がしますが、

    もうこのタイトル止めませんか?

    日本国が”条約・合意を守らない、嘘つき、コソ泥推奨”国レベルに堕ちた様
    で居心地の悪さを感じます。
    まあ、そんな国と”価値観を共有する”と話した痴呆と見まがう首相が居るとはいえ、国民は違うと思っています。

    どちらかと言うと
           **  ***
    「殴られた日本国民」は見ている

    の方が適切ではないかと思います。

  • 1. 考えてから走り出す
    2. 走りながら考える
    3. 考えもなく、走り出したら、後はニュートン運動の第一法則(慣性の法則)

    どれが一番国民性に合ってるかと言ったら、まあ、その国その国なんでしょうね。

    ノージャパンから日本大好きへ、
    息切れして、立ち止まって、その後、見当を失って全然別の方向に走り出しても、
    結局、走りの中身に違いはない、ってことなんだと思うんですがね(笑い)。

  • 謝罪があれば水に流すのもやぶさかではない。
    我々は千年逆恨むような気の狂った民族ではないですから。
    でも向こうが誤りもしないうちに日本政府が許してしまっているのでもう表立っては何も起きないのでしょう。

    しかし一日本国民としては、向こうが勝手に逆恨みで反日不買しておいて、飽きたからやーめたでは無かったことに出来ないですね。
    相手が謝罪をし、それを受け入れるという、本来あるべき道筋が無いままでは心がついていきません。

  • 「「殴られた日本」は忘れない」をもう一歩進め、「「殴られた日本」は忘れないし殴り返す」となるべきと考えます。
    少なくとも、今でも反日を行っている進歩・左派系の反日活動家には一切のメリットを与えるべきではないと考えます。進歩・左派と関係がある団体・政治家・個人に対する許認可を厳しくする、入国制限を行う、日本における就労制限を行う等々。韓国の実情に詳しいプロの方が考えればもっといろいろありそうな気がします。日本の国益を害する国外の外国人にまで便益を与える必要はないのでは?
    尹大統領を支援するのであれば、経済的メリット等を与えるという方法だけではなく、進歩・左派に対する制限も支援になるのではないでしょうか?

  • どこかの国の...♪
    欅の「サイレントマジョリティー」ですね。
    カラオケで歌います。

  • 竹島も仏像もレーザーも瀬取りも何一つ解決、謝罪がないままにホワイト国に戻し、スワップを結び自らカードを手離した岸田文雄政権には失望しかない。裏でカネでも動いたか?って考えてしまう。救いはスワップの額がかつての民主党時代の700億ドルから100億ドルに縮小したくらいか。野党は反対の声を挙げないのか?いづれ追加のスワップをいってくる。これ以上の譲歩はさせない様注意しなくては!

    • スワップ・ホワイト国復帰の話が出た時
      てっきり あれは「ニンジンぶらさげて 韓国に躾する」為の ニンジンだろう
      本当にやるわけねーじゃん 岸田もそこまでバカじゃねーだろ 
      と 思っていたら・・・躾する前に食わせやがった

      岸田は鳩山と変わらん
      もう自民はダメだ

  • 「教えず、助けず、関わらず」との非韓三原則の堅持、これが日本の大原則。我国にとってのメリットがある限りにおいて、最低限の付き合いをしていく。これが韓国(及び中共、北朝鮮)との関係の基本でしょう。
    未だに慰安婦像一つ撤去出来ず、レーダー照射を事実として認めず、謝罪せず、相変わらずの捏造、妄想した歴史事実、認識に基づく反日歴史教育の継続等々、考えてもみれば、外ずら、みてくれと序列に異常にこだわり、謙虚に事実と向き合えぬ彼らの国民性に何ら変化なし。
    それにしても腐臭芬々たるバイデン米国民主党の意向にただただ盲従しての無原則、無制限の対韓譲歩を繰り返してきた岸田首相及びその取り巻き(例えば木原)、林外相、早々の退場して頂きたい。

1 2 3