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イタリア在住者「3年ぶり帰国で気付いたヤバい日本」

環境問題を熱心に主張する人は、得てして「数字」を軽視ないし無視する傾向があるようです。東洋経済オンラインに16日、「3年ぶりに帰国した日本人が驚いた『ヤバい日本』」と題し、「外国人が日本愛をキープしたまま帰国してくれるかどうかが不安だ」と主張する記事が掲載されていたのですが、「ヤバい」などというわりに具体的な数字はほとんど出て来ず、論旨も途中から記事の主題との関連性がよくわからなくなります。

旅の思い出

海外旅行に行く意味:欧州ドライブツアーの思い出

著者自身の主観的な考え方で恐縮ですが、私たち日本人が海外旅行をする大きなメリット、あるいは旅の醍醐味は、ひとえに「異文化を知ること」にあります。そして、異文化を知ることは日本を再発見することでもあります。

とりわけ島国に暮らす私たちにとっては、日本語が通じない、あるいは日本の常識も通用しない、日本円も使えないという地域に出掛けるのは、まさに非日常そのものであり、大部分の外国は飛行機などに乗らなければ辿り着くことはできません。

ところが、そんな私たち日本人にとって、とくに新鮮なカルチャー・ショックを受けるのは、「国境」を越える瞬間ではないでしょうか。

東京・山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士は、『地球の歩き方』シリーズの『ヨーロッパ・ドライブ旅行』という、2003年に刊行された書籍を、現在でも大切に持っています。

【参考】ヨーロッパ・ドライブ旅行(地球の歩き方プラス・ワン)

(【出所】アマゾンアフィリエイトリンクより)

怪しい自称会計士はかつて、転職のドサクサに紛れて1ヵ月の長期休暇を取得した際に、このガイドブックを読んで、ドイツ・ベルリンで3週間ほどレンタカーを借り(乗り捨て料金を含め、当時のレートで約15万円ほどでした)、欧州ドライビング・ツアーを楽しんだことがあるのです。

高速道路の表示、食事の味、そして言語

当時はまだポーランドがシェンゲン協定外で、国境を越えたら、言語を含め、ガラッと雰囲気が変わったのを、昨日のように覚えています。

また、欧州では高速道路を通行していると、「出口」を意味する表現が “Ausfahrt” (ドイツ)から “Wyjście” (ポーランド)、 “Výstup” (チェコ)、などと目まぐるしく変わり、スイスに入国すると同じ国内なのに “Uscita” (イタリア語圏)、 “Sortie” (フランス語圏)、などと表記が変わります。

また、ある街ではフランス語が通じたのに、他の街ではフランス語で話すときょとんとされ、ドイツ語でなければ通じない、といった事例もあり、はたまたルクセンブルクやベルギーのようにドイツ語、フランス語がいずれも通じる、といった事例もあり、興味深かった記憶があります。

なお、この怪しげな自称会計士、食に関してはさほどのこだわりはないつもりなのですが、拙い経験と独断と偏見で申し上げるならば、言語圏とメシの美味さは関係していると思います。食に関して「大雑把な国」は徹底的に大雑把であり、細部にまでこだわる国は徹底して美味です(※主観です)。

たとえば同じ欧州であっても、「一般論」ですが、ゲルマン系の国々はさほど食にこだわらない一方、ラテン系の国々は食にかなり気を遣っているように見受けられるのです。

たとえばベルギー国内のオランダ語圏のとある街で食したパスタ、面もフニャフニャで味付けも大変強烈でしたが、フランス語圏のとあるドライブインで食したラザニアが大変に美味であり、その違いに驚いたことがあります(どちらの料理も値段はほぼ同じくらいでした)。

したがって、たとえば同じベルギーという国であっても、食を通じてオランダ語圏とフランス語圏の境界線をクッキリと感じることができるのではないか、というのは著者自身の持論です(べつにゲルマン語圏をディスっているわけではありませんが…)。

円高の時期には海外旅行に行きやすくなる

さて、この自称会計士は、かつて、毎年のように海外旅行に出かけていた時期がありました。今になって手元メモをひっくり返してみると、最も頻繁に海外に出掛けていた時期は、ちょうど民主党政権時代の2009年9月から12月までの期間です。

偶然でしょうか、この時期の円は非常に強く、対米ドルでは2011年10月28日に1ドル=75.77円、対ユーロでは2012年7月24日に1ユーロ=94.63円という、それぞれ記録的な高値を更新しています(図表1)。それだけ海外旅行には行きやすかったのです。

図表1-1 USDJPY

図表1-2 EURJPY

(【出所】The Bank for International Settlements, “Download BIS statistics in a single file”, US dollar exchange rates (daily, vertical time axis) をもとに著者作成)

民主党政権禍が終わり、安倍晋三総理大臣が「アベノミクス」を引っ提げて再登板して以降、さすがに対ドルで1ドル=100円を、対ユーロで1ユーロ=120円を割り込むことはさほど多くなくなり、最近だとユーロ、ドルのいずれに対しても、円が非常に下落していることがわかります。

さすがに1ドル=75円、1ユーロ=95円の時代を知っていると、いま、海外旅行に出かけるには少し勇気が必要かもしれません。

インバウンドの時代到来

円高、円安のメリットとデメリット

ただ、普段から当ウェブサイトで指摘している通り、円高には円高の、円安には円安の、それぞれメリットとデメリットがあります。円高と円安のメリット、デメリットをまとめると図表2のとおりであり、詳しくは『円建て資産の円換算額は円高でも円安でも変わりません』でも触れたとおりです。

図表2 円高と円安のメリットとデメリット
区分 円高 円安
輸出競争力 ×輸出競争力は下がる 〇輸出競争力は上がる
輸入購買力 〇輸入購買力は上がる ×輸入購買力は下がる
国産品需要 ×輸入品に押され需要減 〇輸入代替効果で需要増
製造拠点 ×海外で作った方が有利になる 〇国内で作った方が有利になる
海外旅行 〇海外旅行に行きやすくなる ×海外旅行に行き辛くなる
国内旅行 ×海外旅行に押され需要減 〇海外旅行の代替で需要増
訪日観光客 ×外国人は来づらくなる 〇外国人が来やすくなる
外貨建資産 ×為替評価損が生じる 〇為替評価益が生じる
外貨建負債 〇為替評価益が生じる ×為替評価損が生じる

©『新宿会計士の政治経済評論』/出所を示したうえでの引用・転載は自由

海外旅行という意味では、たしかに円高のときには、日本人にとっては大変に行きやすいというメリットがあったのですが(「海外旅行」の項目を円高で「〇」と表記しているのはそういう意味です)、現在のような円安局面だと、海外旅行ファンにとっては受難の時代です。

しかし、現在の状況は、旅行客として日本を訪問したいと思っている外国人にとっては、とても好ましいといえます。『訪日外国人は189万人:「インバウンド大国」の日本』などでも取り上げたとおり、日本はすでに、立派な「インバウンド大国」なのです。

おそらく私たち日本人が望むと望まざるにかかわらず、今後はより多くの外国人が、日本を目指してやってくるのではないかと思います(個人的には日本は「観光産業」ではなく「半導体産業」を振興すべきだとは思うのですが、この点についてはとりあえず本稿では触れません)。

日本人が感じるであろう衝撃①チップ

そうなってくると、私たち日本人が外国に出かけたときに感じるさまざまな衝撃と「逆」のことを、彼ら外国人も痛感するのではないでしょうか。

その典型例を2つ挙げておきましょう。「チップ」と「トイレ」です。

まず、チップに関しては、私たち日本人が外国に出かけると戸惑う慣習のひとつでしょう。日本の場合、チップというカルチャー自体がほとんど存在しません。一部の老舗旅館などを別とすれば、ホテルやレストランなどで請求された以上の金額を支払う必要などないのです。

これに対し、米国などでは、チップは事実上、一部のレストランにとっては従業員の生活の糧となっており、食事代に加えてチップを支払うことが「当然」とされているようです(実際、ニューヨークの某有名店では、メニューに「米国ではチップが必要です」と日本語で注意書きが記載されています)。

もちろん、「外国」といっても単一ではありません。

同じ欧州でも英国、南欧、フランス語圏、ドイツ語圏、北欧、中・東欧、ギリシャ語圏などでは、文化も料理も習慣も大きく異なるようです(個人的体験ですが、たとえばチップは南欧やギリシャなどでは広く受け取ってもらえますが、英国、北欧、ドイツなどでは、あまり受け取ってもらえなかった記憶があります)。

ただ、私たち日本人が米国(や一部の欧州諸国)に出掛けて、当たり前のようにチップを要求されるカルチャーに直面して驚くのと同様、おそらくチップ文化圏から日本にやってくる外国人観光客は、チップが存在しない日本に、新鮮な衝撃を受けるのではないでしょうか。

日本人が感じるであろう衝撃②トイレ

続いて「トイレ」です。

最近、日本ではどこのトイレに出掛けても、たいていの場合、便座には温水洗浄機能が付いています。しかし、著者自身が海外旅行に出かけていた2010年代までに限定していえば、海外でこうした温水洗浄機能が付いているトイレを見かけることは稀です(一度だけ、香港の中級ホテルで見かけたのみです)。

人間、難儀なもので、いちど便利なカルチャーに慣れてしまうと、そこから「後退」することが難しいという生き物です。そうなると、海外旅行中にウォシュレットが懐かしくなるものです。

そんなときに役立つのが、「携帯ウォシュレット」です。

【参考】携帯ウォシュレット

(【出所】アマゾンアフィリエイトリンクより)

乾電池1本で動くものもあるなど、大変便利です(ただし、うっかり冷たい水を使うと大惨事となることもありますので要注意です)。

また、日本から外国に出かけるなら、日本製のちょっとした高級トイレットペーパーを持参することを強くお勧めしております。その理由は、国によっては下水設備が貧弱であり、トイペの紙質も悪いため、うっかり流すとトイレで詰まってしまうことがあるからです。

ことに、一部の国では、「トイレに紙を流さないでください」と日本語で注意書きがなされているケースがありますが、これは紙をトイレに流して詰まらせる日本人が多いことの証拠なのかもしれません(実際、そのような国から日本にやって来た旅行者がトイペを流さずゴミ箱に捨てて問題となっているケースもあるようです)。

外国人が過剰アナウンスに辟易?

いずれにせよ、海外旅行の醍醐味は異文化交流にあるのだと思いますし、良いこと、悪いことを含めてその国の特徴です。

こうしたなか、以前の『外国人が過剰アナウンスに辟易?郷に入れば郷に従え!』では、「駅での過剰アナウンス」について話題として取り上げたことがあります。

日本では電車でさまざまなアナウンスが流れますが、これについて「過剰アナウンスだ」、「うるさい」、などと感じる人もいることは事実です。また、とくに欧米系の人たちを中心に、日本の過剰アナウンスが「苦痛でならない」という人もいるようです。ただ、この手のアナウンスが流れるには、やはり「理由」があると考えるべきでしょう。また、「郷に入れば郷に従え」ということわざは、もともとは西欧のものだったようです。外国の鉄道著者自身、学生時代、あるいは社会人になって以降もしばらくの間は、格安航空券を買い求めてはあち...
外国人が過剰アナウンスに辟易?郷に入れば郷に従え! - 新宿会計士の政治経済評論

これは、日本の鉄道で流れるさまざまなアナウンスを巡って、とくに欧米系の人たちを中心に「アナウンスが過剰」、「苦痛でならない」とする苦情が出ている、とするものですが、ただ、この手のアナウンスが流れるには、やはり「理由」があると考えるべきでしょう。

たとえば、「席を詰めてください」、「ドア付近ではいったんホームに降りてください」は、とくに東京、大阪などの満員電車では必要なアナウンスでもあります。なぜなら、それを「守らない」人たちがいるからです。同じ理由で、「ドアを閉めます」、「駆け込み乗車はやめてください」も、安全のためには絶対に必要なアナウンスです。

実際、海外旅行に出かけて日本の大都会のような超満員電車を経験することは稀ですが、それは日本の大都市圏が、世界でもあまり例がないほどに巨大な人口を抱えているからです(たとえば大阪都市圏の人口は、欧州最大のパリ都市圏と、ほぼ同じです)。

東京・新宿駅が乗降客数で世界最大であるというのは有名な話ですが(たとえばギネスブックでも「新宿駅の利用者は1日あたり359万人」との趣旨の記載があります)、パリ交通公団(RATP)によると、欧州最大の乗降客数を誇るパリ北駅の乗降客数はコロナ前の2019年でも100万人に満たなかったそうです。

すなわち、例の「過剰アナウンス」問題に関しても、背景の事情、前提条件などがまったく異なるのに、表層だけを見ていると、実態を大きく見誤る(かもしれない)、という典型例ではないでしょうか。

「数字」があまり出てこない記事

「ヤバい日本」

こうしたなか、例の「過剰アナウンス問題」以上に印象的な記事を発見したかもしれません。

3年ぶりに帰国した日本人が驚いた「ヤバい日本」/日本は「海外旅行先」として人気沸騰中だが…

―――2023/07/16 11:00付 東洋経済オンラインより

ウェブ評論サイト『東洋経済オンライン』に16日付で掲載されたもので、執筆したのはイタリア・トリノに在住する日本人の「フードライター」の方です。

記事冒頭では、「欧州の人々の間でも海外旅行地としての日本人気はとどまるところを知らない」などとして、イタリアに暮らす著者の方の周囲でも、「日本旅行のチケットを予約した」などとする話題が盛んだというのです。

ただ、この方は「大きな期待を持ってやってくる旅行者たちが、期待通り満足し、日本への愛をキープしたまま帰国の途についてくれるだろうか」と心配している、というのです。

ただ、何がどう「ヤバい」のか、記事を読んでもよくわからないというのが正直な感想です。

記事全体で5000文字以上にも達する長文なのですが、この「日本を訪れる旅行者たちが日本への愛をキープしたまま帰国してくれるかどうか」という主題との関連性がよくわからない主張が展開されるからです。

冒頭からして、こんな具合です。

  • インバウンドを期待し、観光立国たろうとするなら、日本の公共交通機関などの案内表示は、とてもお粗末で不親切だという気がした」。
  • 東京でSuicaを使って乗車し地方まで行ったら、降車駅ではSuicaが使えず、違反切符を買わされるなんていう落とし穴もあるらしい」。
  • 「(日本人は親切だが)そういう個人レベルの親切さで、サービスの不備をカバーするのは限度がある。各企業や団体で、外国人受け入れのためのシステムをもっと見直すべきではないだろうか」。

…。

品川駅の表示が「わかり辛い」

いかがでしょうか。

「気がした」、「~らしい」など、感想や伝聞系などが多いことからもわかるとおり、なぜ「外国人が日本愛をキープしたまま帰国してくれるかどうかが不安」なのか、という点に対する説明になっていません。

ちなみに京急品川駅に関し、この著者の方は、次のように主張します。

何色もの色できれいに塗り分けられていて、xx行きはここへ並んで、◯○に止まる列車は何両編成の列車の何号車で、と小さな文字でこと細かく書かれている。その脇に、付け足し程度の英語も添えられている。だが、その色分けの意味やら、何かを示しているらしい数字(おそらく電車の車両数)やら、英語やらが複雑に、縦横入り混じって書かれた案内は、じっくり時間をかけて解読しなければわからない」。

論旨不明です。

そもそも京急品川駅は、コロナ禍最中の2020年においてさえ、1日当たり168,324人が利用した巨大駅です。京急ウェブサイトによると列車種別は行き先別に羽田空港行き、三崎口行きなどさまざまなものがあり、エアポート快特、快特、特急、エアポート急行、普通など、停車駅の種別もさまざまです。

もちろん、初見の外国人から見て、決してわかりやすいものではありませんが、京急だけでなく都営浅草線、京成、北総鉄道など、さまざまな社の車両が乗り入れる品川駅で、乗り間違えを防ぎ、整列乗車を実現するという意味では、必要な案内です。

このような複雑な案内、地下鉄が1本しか走っていないトリノ市には必要ないのかもしれませんが、100を超える路線を有し、数十社をまたいだ相互直通運転が行われている東京で、案内をシンプルにできるわけがありません(現在の路線図でも十分にシンプル化していると思いますが…)。

具体的な数字が不足・欠如

さらに、この記事を読んでいて気付くのは、「数字」の不足ないしは欠如です。

たとえば著者の方は日本について「環境問題についての意識が低すぎる」、などとして、イタリアでは一般的なセントラルヒーティング暖房方式が日本ではほとんど採用されておらず、冬場の暖房も「暑くて暑くて、もはや快適を通り越し不快でしかなかった」、などと述べているのですが、それがこんな具合です。

エネルギー不足、そして環境問題が大きく心配される今、あんなふうにエネルギーを贅沢に、無駄に使うのは、思い切り意識が低すぎるとしか言いようがない」。

ただ、もしそのように主張なさるのならば、「イタリア方式」とやらと東京方式で、電力消費量が具体的に何kWh異なるのか、エネルギー効率を含めて数字を出していただきたいものです。

同じことは、クリスマスにイチゴを食べたがる日本人」のくだりに関しても指摘できるかもしれません。

食糧生産などにも深刻な影響を与えている今、クリスマスに真っ赤なイチゴがたっぷり乗ったショートケーキを食べることのほうを優先し、環境問題は見てみないふりをする日本人の自分勝手さを知ったら、欧米の人々はどう思うだろう」。

当初の主題は「外国人が日本愛をキープしたまま帰国してくれるかどうかが不安」、だったはずです。

なぜそれに「クリスマスにイチゴショートを食べる日本人」が関係しているのでしょうか?

それとも著者の方は、「クリスマスにイチゴショートを食べる日本人」を批判したいという一心でこの記事を執筆なさったのでしょうか?

今後の「数字」が証明する

この「環境問題への意識」に関しては、こんなくだりもあります。

日本人は優しくて親切で、地震などの災害が起きても暴動は起きないし、忘れ物をしても必ず帰ってくる天国のような国と思い込んでいる外国人は多い。実際、本当にそういう部分もある。しかし世界中が深刻に環境問題を心配し、努力している時に、経済と消費者最優先の日本は、あまりにも遅れていると軽蔑されてしまうのではないかと、心配になるのだ」。

さすがにそれは「外国人が日本を旅行した結果、日本のことを嫌いになることへの懸念」という記事の主題と論理的に結び付くには、かなり苦しいのではないでしょうか。

この記事では、さらに「日本ではプラスチックと過剰包装が多すぎる」、などとする記述を延々と続けたうえで、こう結論付けます。

日本が大好きで何度も日本を旅しているイタリアの友人も『日本のお菓子のパッケージなどは本当に素敵で美しいけれど、全然サステイナブルじゃないよね』と残念そうに、しかしズバッと、私に言った。こんなふうに思われて、日本から離れていく人が増える、日本を軽蔑する人が増える。それを私はとても心配しているのだ」。

「全然サステイナブルじゃない」という意味では、日本よりも米国の方が問題ではないか、などとする疑念が頭をよぎるのですが、それ以上に「イタリア人に軽蔑されないよう、過剰包装を止めること」に、いったいいかなる意味があるのかが疑問です。

日本では官僚機構の暴走の一環でしょうか、コロナ禍の最中の2020年7月からレジ袋の有料化が強行されましたが(※著者自身、これについては違法行政だと考えています)、それによって地球温暖化ガスの排出量が年間何トン削減されたのか、信頼ある測定結果は一切出て来ていません。

この手の「環境問題」について語る人たちに限って、「数字」を出してこないように見えるのは、気のせいでしょうか?

それに、環境活動家の世界では、日本を軽蔑する人は一定数は存在するようですが(なぜか中国には絶対に文句を付けないことで知られる、スウェーデンのあの有名な環境活動家などがその典型例でしょうか?)、それによって日本に具体的な実害があるものなのでしょうか?

むしろ記事タイトルの「ヤバい日本」という表現を見た瞬間、「治安も運転マナーも極端に悪く、旅行中にサイフをすられたり、身の危険を感じたりするイタリアという国の方が遥かに『ヤバい』のではないか」、という疑念が頭をよぎるのは、ここだけの話です。

いずれにせよ、「イタリア人が環境にやさしくない日本を軽蔑し、日本を嫌いになり、日本に来なくなる」かどうかについては、今後、「数字」が証明することになるでしょう。

新宿会計士:

View Comments (45)

  • 日本人は海外に住むと往々にしてその国の代弁者(信奉者?)になる傾向がありますね。
    外交官も親○派と言われる人は大体その国への利益誘導派になる。
    自国を卑下して他国を持ち上げることを友好と勘違いする輩が多すぎると感じます。

  • セントラルヒーティング方式のエアコンを設置してるお客様って、故障の際には部屋ごとの個別システムに切り替えることが多いんですよね。
    空調設備の技術革新(省エネ化)もあり、不要な部屋まで暖めずとも、使用頻度の高い部屋だけで個別制御したほうが家計に優しいからですね。

    •  私が利用できるお値打ちなホテルは。部屋ごとにエアコンが付いているところが、多いです。

  • 「ヤバい〇〇」というタイトルで閲覧数を稼ごうという魂胆、つられて読んでみると内容は大してヤバくないグダグダ、羊頭狗肉という熟語を思い浮かべました。
    日本でも外国でも、改善点はいくらでもあるでしょうし住み慣れた環境から異国に旅するわけですから、不便や不満というより「えっ、この国ではこうなんだ、へぇ。」という驚きや文化として受け止め、よく言えば異国情緒を味わいに行くことも目的の一つと思います。
    まあ、違った視点から見た日本への感想を述べたもので学術を目的としていないview稼ぎ、娯楽目的の読み物ととらえました。
    他国旅行客の感想では、「女性が夜間独り歩きできる」という点で、途上国や他の先進国を圧倒しているらしいです(数的裏付けは、犯罪統計に表れていると思います)。

  • マチュピチュ観光でペルーに入国し、ホテルに向かうバスの中でガイドから最初に言われるのは「ペルーではトイレに紙を流さないでください」
    ペルーのトイレは排水管が細く、紙を流すと詰まってしまうことが多いのだ。じゃあ、使用済みのトイレットペーパーはどこに捨てるのか。トイレの中にあるプラスチックの容器に捨てる。
    バスの中が静まりかえる。トイレに紙を流せない国は多く、韓国もその一つ。トイレ内に紙を捨てる容器があり、不潔。これがSARS、MARS、コロナが多かった原因かもしれない。

    • 途上国はだいたい便器の脇に小さなゴミ箱があって紙はそちらに捨てるのが一般的ですね。便器にそのまま流せる国はかなり少数派かと思います。トイレだけでなく、ペーパーの質も悪いので日本のように水にあまり溶けないから余計に詰まりやすいように思います。

  • 東洋経済オンラインは何年か前に読者コメント欄を廃止していますが、もし今もあれば異論が山ほど出ているでしょうね。
    私もこの記事を読みましたが主張に納得できる部分はほぼありませんでした。
    私見ではイタリアだってツッコミどころは多いですよ。
    鉄道の案内は日本の方が観光者に対して多様だし、観光地ではボッタクリがあるし。
    個人として気になる部分があるのはわかりますが、異国で暮らしているにしては視野が狭いのではと思いました。
    この人が中国に行ったらどう反応するのでしょうか。

  •  「ヤバい」という言葉はもともとは「危険がある」という意味の俗語で主に反社や不良少年の間で使われていたが、一般化するにつれてさまざまな意味合いを含むようになり、肯定的な意味まで持つようになった。(2000年頃にモーニング娘のメンバーが「ものすごく美味しい」という意味で「ヤバい」を使っている。)
     もちろん文脈でどういうニュアンスかを推測することは難しいことではないが、もっと具体的な言葉を使うべきではないだろうか(こういった逆説的な主張においては特に)。

    • 漫画(アニメ化されている)「GUNSLINGER GIRL」
       イタリア政府は障害者への支援を行う組織「社会福祉公社」を設立する。
       しかしその実態は身体に障害を持つ少女に肉体改造と洗脳を行い、反政府組織に対する暗殺をはじめとする超法規的活動を行わせる闇の組織だった。
       少女たちは「義体」と呼ばれる人工の肉体と引き換えに、時に危険すら顧みられることなく銃を手に戦う運命を背負わされた。

       よくこんな設定を思いつくものだよね。イタリア政府はショッカーか。

      漫画(アニメ化されている)「Axis powers ヘタリア」
       国家を擬人化したコメディ作品らしい(実はやまいぬはよく知らない)
       「ヘタリア」は「ヘタレなイタリア」を意味するネットスラングだそうな。

      アメリカンジョーク的な何か
       北アフリカで戦うドイツ軍(DAK)にイタリア軍から「緊急だ、水が足りない。」という連絡が入った。DAKが駆けつけると連中は砂漠の真ん中でパスタを茹でていた。

       作り話だが信じちゃった人が結構いるらしい。

       うん、大丈夫だ。日本はイタリアが大好きだ。

      • 「ガンスリンガーガール」
        は、飛び抜けた怪作でしたね。

        あんまりにも正論すぎるテーマ設定が、過激なので、こういう堅気の人が多い場所では詳しく書けませんわ。

        でも、あのサイボーグ化された少女たちをして
        「洗脳」
        と言いきってしまうのは、事故した高速鉄道を穴掘って埋めた中国共産党みたいに、乱暴だと思いますね。

        個人の健康とか人生を担保にして、刑法による秩序が保たれているのだとしたら、社会福祉公社はその枠組みの外側に居る「無敵の人」です。

        個人的に、かけてあげられる言葉を僕は思いつかないし、フィクションとわいえあんなエゲツナイ設定を思いついた原作者はスゲーなあと、今でも思ってます。

        •  あ、オタクが以下略。

           劇中に何度も出てくる「条件付け」という言葉、あれが「洗脳」なんです。

           余談ですが某所で「ときどき取り出して洗脳すると気持ちいいですよ。」というボケをかましたのは私です。

  • この東洋経済オンラインの偏った見方オンパレードな記事を読んでいると、この筆者の仕事は大丈夫なのか?と思えて来ます。先ず、この人がライターとして書いた記事が公平な信頼できるものか?という疑念が生じます。次にこんな偏った見方をする人に仕事を頼んで良いものか?とも思います。挙げられている点は、一つ一つはどうでも良い事で、こんな事は、国毎の事情でどの国でもあり得ることだと感じる事ばかりです。
    それは兎も角、日本のように凡ゆる所・ものにきめ細やかさや思い遣りが浸透している国から、外国に行くと、野蛮国にやって来たように感じたものです。
    凡ゆるものの作りが雑、サービスが雑、サービスする人間が雑で笑顔無し、不親切。丁寧さというものを感じる事無し。
    全体的社会システムとしては、効率的に作られているという面は感じるが、その反面、その中で動く人は、そのシステムの中でベルトコンベヤーで運ばれるごとく動くだけという感じで、個人の意識無しだな、と感じたものです。これは、サービスをする人も、サービスを受ける方も、システムの中で動けばいいのだから、システムから外れた事をする必要はない、される事を要求する必要もない、と思っているのだ、と感じたものです。言うなれば、社会全体と人間個人の中にまで、契約意識が浸透しているんだな、と感じました。個人生活まで、全て契約で動いている社会と言う感じですか。
    こういう国の外国人が日本に来ると、日本人が皆親切で優しくてきめ細かい思い遣りがあるように見えるのは、当たり前のように思います。
    米国で、国内線の飛行機に乗った時、女性CAのグローブのような手で、座席前の台上に、野菜サラダのボウルを投げ付けるように置かれた時は、日本の航空会社のCAのサービスの仕方との違いに大いに驚いたものです。そんなこんなで、凡ゆるサービスが雑な米国内から帰る為に、ロスでJALの飛行機に乗り込み、日本人CAの落ち着いたおもてなし心に満ちたゆったりとした立居振る舞いを見た時は、CA全員が天女のように見えて、あゝ漸く天国に戻って来た!と安堵感に満たされました。本当に、日本は天国なのかもしれません。
    こんな天国を味わいにやって来る外国人が途切れる事は無いでしょう。

  • この記事の筆者が、如何なる主観をお持ちであっても他者に害を成すものでなければ勝手にすれば?と思います。
    しかし、このようなクズ同然の記事を掲載することにした東洋経済オンラインは問題あり。
    当座のページビューを稼げれば良い。と考え中長期的な価値毀損を無視しているのであればそれなりの未来が来るだけでしょう。
    私自身、鈴置さん記事が掲載されなくなった日経ビジネスオンラインは滅多にみにいかなくなったように、その手のHPにおいて記事は生命線だと思うのですが。

    • この手の作文レベルの記事を載せるのは、東洋経済の信頼性を損ねるものだと同感です。
      どうしちゅったの?東洋経済、と感じました。近年、専門雑誌社の劣化も感じられますので、日本の言論界、大丈夫なのかなと心配になります。
      あと、海外在住日本人女性の寄稿が増えているようにも感じます。それが、しっかりとした思考力に基づいた考察の裏付けがあるものであれば良いのですが、内容が浅いなと感じられるものも多いように感じられます。

  • 日本がやばいと言いたくて警鐘を鳴らしているつもりなんでしょうね
    旅行云々も枝葉末節
    典型的なマスコミ構文

  • 最近Youtubeで日本を褒める外国人インタビューなどが多いですが(多すぎて辟易しますが)、普通日本人を相手に話してりゃ、日本のよかった探しをするのは人として普通の反応だと思います。
    昔のマスコミに登場する外国人の話は、概して日本ディスるものが多かった。
    今の日本賛美傾向は反動もあるんだろうと感じてます。
    それを利用して日本でマウント取りたい人、日本がディスられて安心する人、要素はいろいろある気がします。

    という意味で言うと、東洋経済のこの記事は旧来手法ですね。世界の中で遅れた日本、特殊な日本、外国ではこう。

    フードライター・宮本さやか? ミドルネームに「出羽守」って付けるのをお勧めしますよ。誤解がなくなってお互いハッピーです。
    食い物のことだけ書いてりゃいいのにね。

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