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岸田自民体制を必死に擁護する支離滅裂な読者コメント

先日、大阪自民で支部長の更迭と候補者の公募がなされるとする件に関し、「惜敗率が低いはずの岸田派の候補2名が更迭されなかった」とする話題を取り上げたところ、当ウェブサイトには「前回衆院選での惜敗率は2年『も』前の数値」だ、などとして、岸田体制を必死に擁護する支離滅裂なコメントが寄せられました。よっぽど図星を突かれたのでしょう。こうしたなか、この「惜敗率逆転」に関する続報もあったようです。

大阪自民の公募状況

以前の『小選挙区と比例代表の票差に着目:数字で見る選挙協力』の冒頭では、こんな図表を紹介しました。

図表 大阪自民の公募状況
選挙区 前回立候補者 得票と惜敗率
(×)第1区 大西 宏幸 (岸田派) 67,145票(60.974%)
(×)第2区 左藤 章(岸田派) 80,937票(66.938%)
(◎)第4区 中山 泰秀 (安倍派) 72,835票(67.700%)
(×)第7区 渡嘉敷 奈緒美(茂木派) 71,592票(69.855%)
(◎)第8区 高麗啓一郎(不明) 53,877票(51.276%)
(◎)第9区 原田 憲治(茂木派) 83,776票(62.920%)
(◎)第10区 大隈 和英(麻生派) 52,843票(65.293%)
(◎)第11区 佐藤 ゆかり(二階派) 70,568票(66.733%)
(◎)第12区 北川 晋平(麻生派?) 59,304票(63.087%)
(×)第13区 宗清 皇一(安倍派) 85,321票(83.765%)
(◎)第14区 長尾 敬(安倍派) 70,029票(55.443%)
(◎)第15区 加納 陽之助(安倍派) 67,887票(59.104%)
(◎)第17区 岡下 昌平(二階派) 56,061票(59.388%)
(◎)第18区 神谷 昇(二階派) 61,597票(52.015%)
(×)第19区 谷川 とむ(安倍派) 52,052票(76.313%)

(【出所】自民党『自民党大阪刷新本部衆議院大阪府小選挙区候補者公募実施要項』、総務省『令和3年10月31日執行 衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報結果』などをもとに著者調べ)

これは、自民党が先日打ち出した、大阪での立候補者「公募」の対象選挙区を示したものです。

自民党は大阪府下の全19小選挙区のうち、公明党が立候補している4選挙区を除く15選挙区で候補者を立てたのですが、いずれの選挙区でも維新に敗北し、全滅しました。これを受けて、自民党は10の選挙区で候補者の公募を始めたのです。

惜敗率の逆転と支離滅裂なコメント

図表中「×」で示した5つの選挙区は、公募対象外です。

19区の谷川とむ氏、13区の宗清皇一氏の両名が更迭対象から外されているのは、両名が比例復活しているためでしょう。

ただ、それ以外の3名については、よくわかりません。

いちおう7区の渡嘉敷奈緒美氏(茂木派)については「惜敗率が高かったため」という説明ができなくなありませんが、1区の大西宏幸、2区の左藤章の両氏に関しては、どうも合理的な説明がつきません。

左藤章氏の惜敗率は66.94%で4区の中山泰秀氏の67.70%より低く、惜敗率が左藤氏より高いはずの中山氏が公認から外されており、大西宏幸氏に至っては、惜敗率は60.97%で15人中10番目という低さだからです。

ちなみにこのことを先日の当ウェブサイトの記事で指摘したところ、匿名コメント主による、こんな支離滅裂なコメントが付きました。

前回衆院選での惜敗率は2年『も』前の数値。/来るべき解散総選挙で戦うために、例えるなら、2年前の健康診断と直近の医師による診察とで、いったいどちらが現在の健康状態をより正確に把握できますか?という話で、それが、谷川府連会長がメディアに語った【ただ数字(情勢調査)は嘘をつかないので、やっぱり相当悪いところが今回公募の対象となった。】にも表れている。/根拠も示さず岸田総理の露骨な優遇が間違いないとか、疑惑をふっかけ安倍が~!していた勢力とやってることが同じ」。

なかなかに、強烈なコメントです。

まさかとは思いますが、コメントを打ち込んだ人物は、「当事者」でしょうか?当ウェブサイトで引用した惜敗率は「2年前の数値」ですが、入手し得る最新の惜敗率でもありますので、よっぽど痛いところを突かれたのでしょうか?

やはり岸田自民体制を必死に擁護するには、このくらい支離滅裂でないと難しいのかもしれません。

関テレ「本部にくすぶる不満」

さて、この「惜敗率の逆転」という論点が、改めてメディアに取り上げられていました。報じたのは関西テレビです。

大阪自民はどこへ…異例の支部長“更迭” 本部の「断行」にくすぶる不満 「血を流す」覚悟で臨む刷新の行方は

―――2023/07/15 17:32付 Yahoo!ニュースより【FNNプライムオンライン配信】

前回衆院選や統一地方選における大阪自民の「惨状」については、記事に詳しく触れられているのですが、それ以上に注目しておきたいのが、今回の更迭劇に関するこんな記述です。

どの支部をこの措置の対象にするかは、数回の情勢調査のほか、6月に党員に対して行った実態調査を踏まえ総合的に勘案して党本部が決定した。/しかし、その具体的な判断基準は示されず、“更迭”となった支部長からは、不明瞭な“線引き”に納得がいかないという声が上がったという」。

これに関し府連会長の谷川とむ氏は、こう述べているそうです。

(公募対象となった選挙区の支部長は)名前は知られていると思うので、差し替えたところで(新たな支部長が)選挙に勝てるのかというような思いもあるだろうし、自分たちの活動というのを自負しているところがある。ただ数字(情勢調査)は嘘をつかないので、やっぱり相当悪いところが今回公募の対象となった。どの方法が一番いいのかっていうのは僕も分からないです。非常につらいですよね」。

そのうえで、公募に納得のいかない支部長6人が党本部を訪れ、茂木敏充幹事長と森山裕選対委員長に直訴したものの、「決定が覆ることはなかった」、などとしています。中山泰秀氏の発言は、こんな具合です。

私より惜敗率が下回る佐藤章氏とか、大西宏幸氏、1区、2区の支部長が対象にならないのはなぜのか。ここは非常に理解に苦しむ、今でも合点がいかないところです」。

ほかにも、佐藤ゆかり氏が「判断基準となるデータの開示」を求めたものの、それには応じてもらえなかった、といった情報も記載されています。

このあたり、正直、大阪自民党のこれまでの行動を見ると、支部長の事実上の「更迭」が行われたことについては「仕方がない」話ではあります。しかし、その誰もが納得できる判断基準が示されていないという時点で、「岸田・茂木体制」の党運営の底が知れる、といったところなのかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (21)

  • 大阪自民のこの話は、正直どうでもいいことです。敗者が、敗北の真の原因も精査せずによくやる弥縫策としか見えません。斯くして、敗北は続くことになります。
    ただ、これが話題・ニュースになるのは、これが、政権与党の体質を物語ることになるからです。
    こんな感じで、国政・外交をやられたのでは、国民は不安でなりません。
    今の政権のやっていることを見ていると、この大阪自民でやっていることとダブって見えるので、益々不安になりますね。
    今回の中東歴訪、何のためのなのか?又、援助という名目でお金ばらまいてくるのか?お金持ちにお金を上げてどうする?

  • 我々が自民党の「情勢調査」の有無や正確性や運用の正しさを伺い知れる術は今のところないんですよね。ただ疑念を持つ根拠はいくらでもある。そこで挙げられたのが2年前の惜敗率。
    匿名氏が挙げておられるのが、谷川氏の発言とされる「ただ数字(情勢調査)は嘘をつかないので」のみなので、その疑念を晴らす根拠としては十分とはいえないですね。
    しかも谷川氏は、処分を受ける当事者なので、殊勝な物言いになる可能性は高いと思います。名前も出てますしね。

    自分が評価されなくて評価に文句を付ける例としては、学術会議の落選候補を最近見た記憶がありますが・・・

  • 岸田政権の判断は、後付けの整合性も取れないようなゴリ押しのオンパレードですね。
    無理を通せば道理は引っ込むもの。無理を通した総理も引っ込むとしたものなのかと。
    ・・。

  • キシダを見ていると、曾て見た古くて腐った派閥政治の傲慢さが目に付きます。折角、安倍第二次政権で暗黒の民主党政権から脱出して異次元の金融緩和政策で企業活動が活発し求人倍率上昇して外交では日本のプレセンスが上がり自民党内部の話等話題にも昇らなかったのに‼️キシダの無定見に呆れます‼️

  • 岸田、茂木両氏は腐臭漂う自民党派閥の中では老獪なのでしょうが、日本国民・大阪府民(市民はあえて使わず)の審判を仰ぐという立場が分かっていない。

    支部長を替えて当選しなかった場合、変えなかった支部長が当選しなかった場合は責任を取って辞める覚悟なら良し。どこぞのシイさんと同じ様に厚顔無恥にも居座るようなら次の次の選挙では自民党は下野することになるでしょう。

    まあ、次の次の選挙に憲法9条2項廃止を争点に戦えばまだ首は繋がるかもしれませんが。
    (但し、衆議院議員の任期特別延長などと言う民主主義の自殺案を出すようなら9条2項廃止を出してもダメ。)

    • >>変えなかった支部長が当選しなかった場合は責任を取って辞める覚悟なら

       全く仰る通りです。これは、是非、責任を取って貰わなければ。
      大阪府民だけではなく、国民の前に、自分達の強権体質と無能力さを露呈することになりますから、辞めるのが当然ですね。それが、民主主義というものです。

    • 話の構図は簡単です。
      ブラック企業(自由民主党)のブラック幹部(党首・幹事長)が、まずい飯を出し続けた結果客足の遠のいたチェーン店加盟店を売り上げ伸ばせと恫喝している。

  • あーいっぺん投票直前に選挙区シャッフルしてくれないかなー

    他所の選挙区楽しそう…

    なんとかしてくれ神奈川選挙区…

  •  事実を基に議論をするのは大切ですし、こちらでは特に重視されていると思うのですが。コロナ禍、ウクライナ情勢の話題などから特に考えさせられたのが、事実とはどこまで確認できれば事実なのか、という点です。
     ウクライナに関しては「西側報道はデタラメで真実は~」と語る方もおられました。きっとウクライナ国内のロシア系住民が大変な中で現地の見聞を書き込んでらっしゃるのかなと思ったものですが。
     今回の匿名さんの「決めつけへの非難」と推測できる言い分も、一見なんとかわからなくはないのです。新宿会計士様は直接岸田総理に「候補者の件って岸田派優遇ですよね?」と訊いて、岸田総理が「そうですよ」と応じたわけではないでしょう。それをやってすら嘘を言われたら終わり。
     しかし根拠もなくなどと書かれたものの、根拠と証拠は異なるものであり、新宿会計士様は根拠(論拠)はどっさりあげてから、この状況を説明するにはこうでないとおかしい、という意味で間違いないという表現を使ったであろうことは読み取れます。アベガーにそんな努力は一度も見たことはありませんし、むしろ明言は卑怯にも避け(違法や敗訴に繋がる)、疑惑というに留めていたはずです。反証し放題でしたし。つい先日も東京新聞のエースがIAEAで「疑念」とかやってましたか。
     2年「も」前の"最新データ"に噛み付いた点も理解しかねますが……反証材料は当事者のメディア取材コメントなんかではなく、別の信頼性の高い情報、可能であれば数字のデータを出すべきでした。
     先週発表の最新惜敗率とかあれば良かったですね。惜敗率とは一体(錯乱)

    • 農民様

      いつも乍ら、論点整理が、素晴らしいですね。

      >>事実とはどこまで確認できれば事実なのか

      これも急所をついた考察だと思います。
      現代の最先端の科学と言われる量子力学(確率論)では、「事実は、起こって初めて事実になる」ということらしいですから、昔から言われている通り、「物事・事実は起こってみなければ分からない」ということです。
      人間が経験則で言っていたことと、現代科学の研究が一致しつつあるようです。

      >>根拠と証拠は異なるものであり、新宿会計士様は根拠(論拠)はどっさりあげてから

      これも、素晴らしいです。
      根拠、証拠、論拠、という3つの議論の前提となるものをちゃんと列挙されていますので感心しました。
      今回の会計士様の論稿においては、「論拠」だけがあれば良いですので、会計士様は、いつも乍ら、論拠は考えられる限り提示されています。勿論、「論拠」とは、論を論じる人が自分の論旨に適合すると考えるものを自分で持ち出してきて良いものですから、どのような論拠を持って来るかは、論者の自由です。
      もし、それに「異見」を唱えるのであれば、その論拠を攻めることもありですが、ただし、その攻めるための論拠も示さなければなりません。
      今回は、2年前も前の古いデータであると攻めた訳ですが、それが最新データであることということには気が付いていなかったらしいです。
      ですから、この反論者の主張は、論拠と論点がズレていることになるので、せっかくの反論も、論拠も論点もハチャメチャに感じられてしまうので、何を言いたいのかがさっぱりわからない、ただ、論稿が自分の思いと違うからというだけで書いて突きつけたとしか取られないものになってしまっているのです。

      (反)論者は、しっかり、論理の構造構築の方法を勉強するべきなのですが、これは、現在の左翼的な記事を書く自称マスコミ人が、このような論拠と論点がズレた記事を書きまくっていたり、そもそも、客観的な論拠を示さない記事を「自分の思い込みこそ真理・真実」だということを「論拠」にして、記事を書きなぐっています。

      怖い時代ですね。こんな記事が、クオリティペーパーだとか言って垂れ流され続けいるのですから。早く、こんな時代が終わって欲しいものです。

      •  恐縮です、実際には仰るほど深く考えておらず、超買いかぶりでございます。

        >論考が自分の思いと違う!
         というのは大いなる出発点であり、そこから自分側の論拠を固め、ぶつけてみる過程で自分の考えをさらに整理するという楽しみがあるので、反論は尊重されるべき行動だとは思うのですが、ネットの書捨てであっても責任が伴う点は肝に銘じたいですね。私もいつボッコボコにされるかと冷や冷やしつつ書き込んでいます。

         >論理の構造構築の方法を勉強するべき
         全く実践に達していませんが、藤原かずえ氏のコラムはとても勉強になります。読んだだけで賢くなった気分になれます(笑)言葉の定義から解釈までが非常にスッキリするというか。そして例文を用いて論破するのが、いつも決まって左翼論者(社)の駄文という悲哀。
         「こんな時代」が終わる下地は、着々と出来てきているのではないでしょうか。

  • 負けてもともと勝てればラッキーくらいに考えていれば、執行部の言うことを聞きそうな人を候補者にするのは自然な考えだと思うのです♪

    >左藤章氏の惜敗率は66.94%で4区の中山泰秀氏の67.70%より低く、
    1%にも満たない僅かな差にかけて奇跡の1勝を目指すよりも、買っても負けても言うことを聞く、執行部子飼いの者を候補者にした方が良いってことだと思うのです♪

    まぁ、そうやって内部の異見を排除することが、長い目でみて組織のためになるかは別問題だとは思うのですが・・・・

  • この【岸田氏援護派】と見られる匿名サマは、明らかに岸田氏を擁護し、しかし書いてる内容は支離滅裂で、このサイトにはおよそ似合わぬ低級なアタマの持ち主かと思われます。ま、私も「お仲間」かも知れませんが(失笑)。

    私が少し知っている、大阪4区の中山泰秀前国会議員は、5期務めた中堅から大物になりかけ中の政治家です。

    父が中山 正暉元建設大臣、叔父が中山太郎大臣(医師、外務大臣、今年逝去)の、いわゆる政治家のサラブレッドです。泰秀氏は安倍派に属してました。父は江藤派でした。

    何故5期務めた有力議員が惜敗したのか?あの地盤で(大阪西部)。やはり大阪府の地方議連、党員、支持者らにまずは責任があると思います。中央とのパイプは心細い限り。府民のハートは維新に根刮ぎしゃぶられている。前選挙では、そこを突かれた自民党候補が日本維新の会に負け続けました。

    しかし、岸田派は落ちても再出馬(再チャレンジ)、他は干された。何も他に疑いを差し挟む余地は有りません。安倍派なんて当選しなくていい、宏池会だけが伸びれば良いと悪巧みしているのでしょう。

  • メディア調査で30%ですから、実際はもっと下がってるんでしょうねえ。まあ言ってる事と真逆の事しかやってないから当然か

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