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ポスト設置しただけで「新聞契約結べ」≒NHK受信料

NHKネット事業批判も…どこか歯切れが悪い新聞協会

仮に――あくまでも「仮に」、ですが――、あなたのご自宅にポストが設置されていることを理由に、国が法律で「ポストを設置したすべての家庭は少なくとも1社以上の新聞社と購読契約を結ばなければならない」と義務付けたら、どうなるでしょうか?たいていの人は、「ふざけるな」と思うでしょう。現在のNHKがやっているのは、じつはこれとまったく同じことでもあります。こうしたなか、新聞協会がNHKのネット事業に対して牽制したそうですが、やはりどこか歯切れが悪いようで…。

NHKの理不尽さ

「ポストを設置したら新聞購読義務を課せ」

以前の『【インチキ論説】日本の文化を守るため新聞に補助金を』では、「旧宿会計士」なる怪しげな者が執筆した、「日本の文化を守るために、インターネット上でのニューズサイト開設を制限し、紙の新聞に補助金を導入するなどの抜本的対策が必要だ」とする「論考(?)」を紹介しました。

部数の急減、夕刊の廃止、購読料の相次ぐ値上げ、そして新聞報道に対する止まらない一般人からの批判――。正直、個人的には新聞業界の苦境は自業自得ではないかとの気もしないではないのですが、最近、新聞業界の苦境を知らせる話題には事欠きません。こうしたなか、本日は再び、例の「インチキ論説」の奇行…、じゃなかった、寄稿を受けました。今回のテーマは「新聞購読クーポンの配布などを通じた新聞社への補助金の提言」だそうです。論旨もムチャクチャですが、どんなことが書かれているのでしょうか?文化を守れ~先週の『「文化守...
【インチキ論説】日本の文化を守るため新聞に補助金を - 新宿会計士の政治経済評論

いや、「論考」と呼べるレベルではありません。

論旨は支離滅裂で、正直、きょうび新聞でもここまで酷い社説は書かないだろうと思えるほどの代物です。

ただ、自分自身で掲載しておいて何ですが、どうせやるならば、もっと強烈な主張を展開しても良かったかもしれない、などと思うようになりました。

たとえば、こんな具合です。

ポスト設置家庭のすべてに購読契約義務化を!

戦後日本において、新聞は一貫して、正確で確たる報道を通じ、この民主主義社会を支え続けて来た。軍事独裁国家だった日本が敗戦により日本国憲法を制定し、そしてその平和憲法の精神のもとに、民主主義が機能しているのは、新聞、テレビが正確な情報を報じ続けて来たからだ。

ところが、昨今はブログだ、ツイッターだといった代物が普及しており、その結果、知的訓練を受けていない素人がインターネットで情報発信する楽しみを覚えてしまった。これによって大衆社会がより悪くなることが懸念される。新聞や書籍の軽視につながりかねないからだ。

マスメディア、とりわけ新聞には、「責任を持って情報を選択する編集」という社会的役割がある。国民の知的低下や関心範囲の矮小化を避けるためには、このネット社会においても、責任あるマスコミが権を持つ社会にしていく必要がある。

そのためにはやはり、個別の新聞社に対する補助金だけでは不十分だ。

あなたがた市民の自宅を見てほしい。

一戸建てでもマンションでも、たいていの家には、必ずポストがあるはずだ。

集合ポストであれ、ドアポストであれ、ポストを設置すれば、あなたの家はいつでも新聞を受け入れることができる、ということになる。ということは、この民主主義社会の基盤である新聞産業を支えるために、ポストを設置したすべての家庭に、少なくとも1つ以上の新聞社との購読契約を締結する義務を課すべきだ。

もちろん、なかには「新聞を読まない」という家庭もあるかもしれない。

それはもちろん自由だ。購読料さえ払えば、べつに配達された新聞を読む必要などない。この場合、新聞購読料は、新聞記事の対価ではなく、あくまでも新聞産業を支えるための「特殊な負担金」だからだ。

健全で文化的な民主主義社会のためには、責任ある社会の公器としての新聞の存在が不可欠であり、国民の代表である新聞記者の生活を保障する意味でも、その新聞の発行を支える「特殊な負担金」として、ポストを設置したすべての家庭に新聞購読を義務付けることを、今こそ検討しなければならないのである。

…。

「新聞は社会の公器・記者は国民の代表」…?

正直、自分でも何を言っているのかわからないほどに支離滅裂です。

そもそもただの民間企業である新聞社を「社会の公器である」、などと言われても困惑する限りですし、その民間企業に雇われているだけの存在である新聞記者が、「国民の代表」などであるはずもありません。

たしかに新聞記者らは「記者クラブ」制度などを通じ、官公庁を我が物顔で闊歩していますが、そもそもその「記者クラブ」制度自体がフランスに本部を置く「国境なき記者団」(RSF)などから批判されています(『「報道の自由度はG7最低」に一般人のツッコミが多数』等参照)。

「国境なき記者団(RSF)」が公表したのは「報道の自由度ランキング」ではなく、「報道の正確性」ランキングだったのかもしれません。ゴールデンウィーク中にも話題として取り上げた「報道の自由度」ランキング、日本は今年68位と「G7で最低」を記録しましたが、改めて眺めてみると、ツッコミどころだらけでもありますし、「第四の権力」であるメディアのことを当ウェブサイトで堂々と批判することができるということ自体、日本が本当に自由な社会であるという証拠でもあります。報道の自由度はG7で最低ゴールデンウィーク中の...
「報道の自由度はG7最低」に一般人のツッコミが多数 - 新宿会計士の政治経済評論

もっとも、この「新聞は社会の公器だ」、「新聞記者は国民の代表だ」なる主張は、いずれも実例があります。

このうち「社会の公器」については、たとえば青森県津軽の『陸奥新報』に2021年5月30日付で掲載された『「社会の公器」五輪で揺らぐ全国紙の信用』という記事に、こんな趣旨の記述が出ています。

利潤の追求だけでなく、公共のためになり、国民の“知る権利”に応える存在であることから、新聞社は『社会の公器』と呼ばれる」。

また、「国民の代表」については、新聞労連(日本新聞労働組合連合)の2019年2月5日付の『首相官邸の質問制限に抗議する』という記事に、こんなくだりがあります。

府との間に圧倒的な情報量の差があるなか、国民を代表する記者が事実関係を一つも間違えることなく質問することは不可能で、本来は官房長官が間違いを正し、理解を求めていくべきです」(※下線部は引用者による加工)。

つまり、「新聞は社会の公器であり、新聞記者は国民の代表である」とする認識は、新聞業界のなかではわりと一般的なものなのかもしれません。

ただ、ここで重要なのは、新聞が「社会の公器」であるかどうか、あるいは新聞記者が「国民の代表」であるかどうか、ではありません。「新聞に公共性がある」と考える発想を突き詰めていくと、新聞購読料を半強制化する、という発想に辿り着く可能性がある、という思考の流れです。

「なにをおバカなことを主張しているんですか」。

そういうお叱りが来るのは当然のことです。たしかにこの「新聞には公共性があるから、国民は広く新聞購読料を強制的に払わなければならない」などとする主張は、メチャクチャだからです。

いずれにせよ、「ポストを設置したら新聞をいつでも受け入れることができる」、「だから新聞社と契約しろ」、「新聞購読料は新聞記事の対価ではなく、新聞産業を支える『特殊な負担金』だ」、などと言われて、「はい、そのとおりですね」と賛同する人は、おそらくはかなりの少数派でしょう。

じつはNHKの主張そのものでした

もっとも、このメチャクチャな主張でピンときた方は鋭いと思います。

じつは、この「ポストを設置したら新聞社にカネを払え」、「購読料は特殊な負担金だ」、とするロジック、「ポスト」を「テレビ」に、「購読料」を「受信料」に、そして「新聞社」を「NHK」に変えれば、そのまま、NHKや総務省が主張している内容になってしまうのです。

カネ持ちNHK、1人あたり人件費は1550万円以上』などでも繰り返し主張してきましたが、自由・民主主義を是とする日本社会において、その自由主義、民主主義のルールから極めて逸脱している存在です。

NHKが保有する金融資産の額は1.3兆円を突破。相変わらず、職員1人あたりの人件費水準は1550万円を超過。これがNHKの現状です。果たしてこんな組織、日本に必要なのか――。NHKの経営実態については、なぜか新聞、テレビはほとんど報じませんが、NHKが公表した財務諸表、連結財務諸表などをじっくり読みこんでいけば、いろいろとツッコミどころだらけでもあります。NHKの金融資産の額は1.3兆円を突破NHKは28日までに、『経営に関する情報』のページで、2023年3月期の連結財務諸表・単体財務諸表などを公表しました。...
カネ持ちNHK、1人あたり人件費は1550万円以上 - 新宿会計士の政治経済評論

そもそも論として、日本国民にはテレビを設置した場合、NHK受信料の支払いを断るという手段がありませんし、もしも日本国民の多くがテレビを所持し続けるならば、NHKそのものを倒産させる手段もありません。

通常の民間企業ならば、その企業の売上高は、その企業が提供する製品・サービスの対価として発生するものですが、NHKの場合は違います。テレビを設置した国民は事実上、受信料の支払いを「法律で」義務付けられているからです。

しかも、NHKや総務省が持ち出すロジックというものがメチャクチャで、受信料自体は「放送の対価ではなく、あくまでもNHKを支えるための特殊な負担金だ」、とするものです。

「特殊な負担金」といいますが、平たくいえば「NHK職員らが貴族のような生活をするための原資」です。

なぜNHKに対してのみ、そんなコストを日本国民が負担しなければならないのでしょうか?

テレビといえばNHK以外にも民放がありますし、映像・動画サービスという意味では、衛星放送事業者もあれば、YouTubeやニコニコ動画、VODなどのネット動画配信サイトもあります。なぜNHK「だけを」特別扱いする必要があるのでしょうか?

NHKに「公共性」はあるのか?

これに対するNHKとしての答えは、「NHK自身が公共放送だから」、というものでしょう。しかし、そのNHKは明らかに反社会的なドラマを制作している(『とうとう不法滞在を正当化するドラマを制作したNHK』等参照)など、「公共性」を満たさない組織です。

NHKはついに一線を越えたようです。不法滞在を正当化する立場からドラマを作ったというのです。しかも、NHKという組織は民間の新聞社やテレビ局と異なり、どんなにくだらない番組を作ろうが、受信料を半強制的に徴収できるという利権組織です。テレビを設置する人がいなくならない限り、NHKはこの手の番組を作り続けるのかもしれません。NHKの問題点NHKといえば、視聴者の皆さまから受け取ったカネで、豪奢な社屋を建設したり、1万人前後とされる職員らに対し、1人あたり単純計算で1573万円の人件費を計上したり、金...
とうとう不法滞在を正当化するドラマを制作したNHK - 新宿会計士の政治経済評論

公的組織であるならば、人件費は国家公務員並みに抑えるべきですし、現在のように在京民放の10倍近い職員を擁するなど肥大化しているのも明らかに問題です。地上波2チャンネル、ラジオ3チャンネル、衛星4チャンネルの合計9チャンネルを保持しているのも、明らかに業務が過大でしょう。

「公共放送」を騙るのであれば、「本当に公共性の高い放送」に限定すべきでしょう。

といっても、民業圧迫を避ける観点から、ドラマ、お笑い、クイズ、アニメ、音楽番組などからは撤退すべきです。教育番組は文部科学行政の予算から制作すべきもので、国会中継はインターネット審議中継にてすでに全審議の中継が実現しています。

その観点からは、「本当に公共性の高い放送」というものがあるのかどうか、よくわかりませんが、少なくとも現在のNHKの体制が不必要に大きすぎることは間違いありません。

新聞vsNHK

新聞協会もどこか歯切れが悪いようで…

こうしたなか、最近だとNHKがネット業務の拡大を目論んでいる、などと指摘されることも増えてきました。

もちろん、現時点において、NHKが番組のネット配信を行い、それを視聴した人から受信料を取り立てる、といった事例は報告されていませんが、テレビ視聴者が減り、NHK受信契約が減っていく流れの中で、NHKがネット進出を視野に入れていることは間違いないでしょう。

これに関連し、共同通信が12日、こんな記事を配信しました。

日本新聞協会が強い懸念 NHKのネット業務拡大

―――2023/07/12 19:25付 Yahoo!ニュースより【共同通信配信】

記事によると、NHKのネット業務拡大を巡り、自民党・情報通信戦略調査会が12日、日本新聞協会と民放連にヒアリングをしたところ、新聞協会はNHKのネット業務の拡大により「地方メディアは衰退し、地方からの言論の多様性が失われかねない」との「強い懸念」を示したのだそうです。

このあたり、新聞協会の主張には、なかなかに苦しいものがあります。

もちろん、NHKがスクランブル化などを通じ、受信料を半強制的に徴収するのをやめれば、その分の費用が浮くため、家計としては新聞の購読を継続しやすくなる、という側面はあるのかもしれません。

ただ、正直、新聞業界の苦境はNHKの受信料制度と、さほど深く関係しているようにも思えません。

新聞の部数が減っている理由は、当ウェブサイトにいわせれば、「紙媒体」としての新聞の魅力が低下していることに加え、日本の新聞には総じて「事実を正確に伝える力」が決定的に欠如しているからです(『「事実を正確に伝える力」、日本の新聞に決定的に欠如』等参照)。

日本の新聞の部数が急激に減っており、業界全体としても10年前後で紙媒体の新聞の多くは廃刊に追い込まれると考えられます。ただ、日本の新聞業界の苦境の原因は、日本の新聞に「批判精神が欠如している」ことである、などと主張するツイートがありました。正直、この見解には賛同できません。日本の新聞に決定的に欠如しているのは「批判精神」などではなく、「事実を正確に伝える能力」だからです。新聞部数の凋落新聞の「寿命」「新聞部数の凋落が止まらない」――。こんな話を、当ウェブサイトではずいぶんと繰り返してきました。一...
「事実を正確に伝える力」、日本の新聞に決定的に欠如 - 新宿会計士の政治経済評論

コンテンツのレベルが低いという意味では、NHKも民放も新聞も似たようなものでしょう。

新聞業界の追及の矛先はどこか鈍い

しかも、日本の場合、新聞社の多くはテレビ局と同一の資本関係にあります。

在京キー局、在阪準キー局に関していえば、次のような具合です。

  • 読売新聞―日テレ―よみうりテレビ
  • 朝日新聞―テレ朝―朝日放送テレビ
  • 毎日新聞―TBS―毎日放送テレビ
  • 産経新聞―フジ―関西テレビ
  • 日経新聞―テレ東―テレビ大阪

新聞社がテレビ局の親会社、というパターンもあれば、それと逆にテレビ局(あるいは放送持株会社)が新聞社の株式を持っている側、というパターンもありますが、いずれにせよ、日本にはメディアのクロスオーナーシップを規制する法律がないため、新聞とテレビが同一資本系列に支配されるという状況が生じているのです。

新聞協会から「そもそもテレビを見てもいない人からも、NHKが受信料を半強制的に取り立てるのはおかしいじゃないか」、といった主張が出てこないのも、もしかすると、NHKが得ている受信料がテレビ業界全体を潤しているという事情もあるのかもしれません。

NHKがぶっ壊す!

もっとも、NHKとの受信契約の締結義務(≒受信料の支払い義務)が生じるのは、あくまでもNHKが映るテレビを設置した場合に限られます。

そして、『「NHK解約」に的を絞り、淡々と解説する記事が人気』でも指摘したとおり、最近だとNHKと解約する方法について、あくまでも事務的に淡々と説明する記事も人気を博し始めているようです。

あなたの家の前で歌を歌っている人がいます。「いま、私の歌を聴きましたね?1,000円です」と代金を請求されました。「毎月のことですので振替が便利でお得ですよ」、「これは特殊な負担金です」。これと同じような屁理屈が、NHKの存在でしょう。ただ、NHKの受信料制度に理不尽さを感じる人が増えているためでしょうか、最近だと「チューナーレステレビに切り替え、NHK受信契約を解除する方法」を粛々と説明する記事も出て来ています。NHKの受信料制度現代の日本に残る理不尽な仕組みのひとつといえば、それはNHKの受信...
「NHK解約」に的を絞り、淡々と解説する記事が人気 - 新宿会計士の政治経済評論

このあたり、チューナーレステレビが現時点において、薄型テレビ市場で圧倒的なシェアを占めるといった状況は、おそらくまだ生じません。そもそもチューナーレステレビ自体、高級品・高品質なものがまだあまり市場に供給されていないからです。

しかし、世の中には「需要」があれば、それが違法なものではない限り、「供給」が生じるのは経済学の道理でもあります。最近だとグーグルやアップルなどがテレビ事業を本格化するという兆しもあり、これらの企業がそれこそネットを通じて動画を配信するようになれば、地上波が映る必要などなくなるかもしれません。

そうなると、「NHKと受信契約を結ぶ義務が生じない」。という触れ込みで、チューナーレステレビが今後、爆発的に普及していく素地が、少しずつ出来上がりつつあるのです。

かたやNHKは割増受信料制度などを使い、なかば強引に受信料利権を維持しようと必死になっているフシがありますが、NHKが頑張って受信料制度を守ろうとすればするほど、徐々に、しかし確実に、一般国民のNHK離れは進んでいくのです。

これが本当の、「NHKが(テレビ業界を)ぶっ壊す」、です。

新聞業界は値上げだけでなく努力が足りない

翻って、新聞業界にも大きな問題があります。

今度は産経新聞が500円値上げ』などでも指摘しましたが、業界全体として新聞部数が急激に落ち込むなかで、ウクライナ戦争などの要因もあってか、燃料代や原料費(たとえばインク代や用紙代)などが高騰し、「売上減」と「費用増」のダブルパンチに直面しているからです。

ついに産経新聞も値上げに踏み切るそうです。用紙代やインク代の価格高騰に加え、配達に必要な燃料費などが上昇したためだそうです。ただ、新聞自体のビジネスモデルがすでに完全に時代遅れとなっているなかでの各紙の相次ぐ値上げは、新聞業界にいかなる影響を与えるのでしょうか。今年12月前後にも公表されるであろう新聞部数のデータが、いまから待ち遠しくてなりません。産経が500円の値上げついに、産経新聞が値上げに踏み切るようです。産経新聞、8月に500円値上げ 用紙やインキの価格高騰―――2023/07/12 10:57付 Yahoo!ニュー...
今度は産経新聞が500円値上げ - 新宿会計士の政治経済評論

このうち「紙媒体の新聞が売れなくなっていること」に関していえば、日本だけでなく、おそらくは世界共通の構造にあると考えられます。紙媒体自体、情報のアップデートができない、重くてかさばる、印刷されてから販売されるまでに時間がかかり過ぎる、読み終わったらゴミになる、といった「デメリット」しかないからです。

ただ、日本の新聞に関していえば、部数の急減の理由は、単なるネット化だけではありません。

先ほども指摘したとおり、「事実を事実のままで報じる能力」が、決定的に足りていないからです。

もともと紙媒体そのものが行き詰まりを見せているなかで、主要紙がほぼ横並びで500円~800円の値上げに踏み切ったこと自体、読者を置き去りにした行為であり、読者を舐めているとしか言いようがありません。

個人的には、日本新聞協会に関しては、「NHKに文句をつけるよりも、良い記事を執筆するように努力する方が先ではないか」、という気がしてならないのです。

結局、どっちもどっち

このように考えていくと、結局、NHKも新聞も、記者クラブなどの「既得権」にあぐらをかいて、国民のための仕事をしてこなかったという意味では、「どっちもどっち」であり、同じようなものなのかもしれません。

違う点があるとしたら、NHKが「法律」という「国家の統制」を利用し、受信料で潤い続けている一方、新聞業界はネットの台頭により、これまでの利権が崩れかかっている、ということに尽きるのだと思います。

新聞は環境破壊しながらレベルの低いコンテンツを垂れ流していますし、NHKは受信料制度を悪用し、職員に異常な高給を支払うとともに、反社会的な番組を垂れ流し続けているという意味で、どちらも日本社会にとっては有害、という共通点があります。

個人的には、新聞業界はあと10年前後で今とすっかり様変わりしていると予想しますし、NHKを含めたテレビ業界も安泰ではないと考えています。

おりしも、つい先日はツイッターに事実上の「ファクトチェック」機能が付きました(『ファクトチェック大幅強化するツイッター新機能の衝撃』等参照)。すでに大手新聞社のツイートには「背景情報」の注記がなされるようになり始めています。

また、ごく近い将来、こうした「背景情報」は、NHKを含めた大手テレビ局のツイートに対しても付されるようになる可能性が高いと思います。

「責任あるマスコミが権威を持つ社会」。

そんなものが到来しなくて、本当に良かったと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (8)

  • ポストで閃いたのですが、「ポストを設置したら新聞契約」よりも「配送インフラ契約(仮称)」ではないでしょうか。2025年問題の乗り切りという大義を掲げて、新聞もこの配送インフラに乗っかり、一日一回の配達を任せてしまえば新聞配送網の維持が不要となります。既に新聞において速報性は無くなっているのですから。

  • 毎度、ばかばかしいお話を。
    新聞協会:「憲法改正して、「新聞とNHKは社会の公器、新聞記者とNHK職員は国民の代表」と書き込もう」
    これって、笑い話ですよね。

  • 「ポストは新聞を取るために設置したのではない!」
    って言い訳が無駄なところも同じですねw

    NHKが今やるべきことは、ネット進出などの事業拡大ではなく、肥大した事業をコンパクトにまとめて事業を縮小し、受信料を下げる努力。(だと思う)

    • >> 「ポストは新聞を取るために設置したのではない!」って言い訳が無駄
      →新聞税を払いたくなければ日本郵便の配達する信書もネコポスも飛脚メール便も町内会の回覧板も受け取るな、ってことになりますね....NHK以上に"何様だっ!"と怒り狂いそうです。

      • 相次ぐ減ページで新聞のほうがポストに合わせこんできたりして。定型最大どころか長4封筒に収まる大きさに、果ては名刺新聞とか....

  • NHK が模倣してきた BBC ですが、勃発した特大級のスキャンダルはいい具合に炎上拡大中のようです。表沙汰になっていないことがまだ他にもありそうです。