いったいどこの国の議員なのか

立憲民主党などの野党議員は韓国の「ともに民主党」所属の野党議員らと共同で、福島第一原発の処理水の海洋放出に反対する声明を出したのだそうです。いったいどこの国の議員なのでしょうか。あるいは立憲民主党自身も党名を再び変更し、「ともに民主党」にしてしまうというのは、ひとつのアイデアかもしれません。

党名ロンダリング史

社会党が社会民主党になり、民主党になり、民進党になって、現在は立憲民主党――。

政党名をコロコロと変えている人たちのことが信頼できるのかどうかという問題もさることながら、やはり「野党でいること」自体を利権化しているような政党に「最大野党」としての地位をいつまで与え続けるのかについては、少し深刻に考えた方が良いテーマではないかと思います。

（※社会党から立憲民主党まで、完全に同一の政党というわけではありませんが、著者自身はほぼ連綿とした一体性を保っているのではないかと考えています。）

当ウェブサイトではこれまで何度となく指摘してきましたが、日本の憲政上、最大野党には非常に大きな「権力」がいくつか与えられます。そのひとつが、国会における質問時間の配分でしょう。

国会では、与党よりも野党の方に、より多くの質問時間が配分されます。時期などによっても異なりますが、最近だと与野党の時間配分は「３対７」とされているようであり、その「７」の部分に関しては最大野党、すなわち現在は立憲民主党が采配しています。

最大野党利権は質問時間の采配にあり

これについては時事通信に昨年６月に掲載された次の記事も参考になるかもしれません。

野党に厚く、与党は少なめ 　国会質問時間、割り当てのしきたり【政界Ｗｅｂ】

―――2022年06月03日付　時事通信より

時事通信によれば、たとえば衆院予算委員会では、50人の委員のうち与党（自公）が32人、割合にして64％であるのに対し、野党や18人で全体の36％に過ぎません。しかし、とくにテレビ中継されている場合の質問時間は、だいたい「与党３対野党７」だそうです。

「決めているのは事実上、自民党と野党第１党である立民の予算委筆頭理事だ」。

これについて時事通信は、野党に多くの質問時間が割かれている理由を、こう説明します。

「それは予算委が国会の中でも花形の委員会と言われ、特に野党にとっては数少ない『見せ場』となっているためだ。与党側は野党への配慮を示すことで、審議日程などで譲歩を引き出すことを期待する。長年続いている慣例だ」。

こうした「見せ場」を勘違いし、最近だと特定野党が、本当にくだらないスキャンダル追及などで国会質疑を潰してしまっているのは、本当に残念です。

衆院予算委員会ではありませんが、参議院では今年４月、立憲民主党の宮口治子議員が谷公一・国家公安委員長を「うな丼大臣」などと批判したうえで、即刻更迭を求めるという「事件」もありました（『自分に甘いメディアと野党：次は「うな丼大臣」問題視』等参照）。

「うな丼をしっかり食べた」などとする発言のいったいどこがどう問題なのか理解に苦しみますが、それ以上にそれを追及することが国民の利益に適っていると、宮口議員が本気で思っていらっしゃるのか、疑問です。

野党議員は１日やるとやめられない！

それはともかく、どうして立憲民主党を含めた特定野党が劣化しているのかといえば、やはりそれが「利権構造」だからでしょう。

国会議員になれば高額の歳費に加え、期末手当、非課税の文書通信交通滞在費などが支給され、ＪＲのグリーン車は乗り放題となり、公設秘書２人、政策秘書１人を国費で雇ったうえ、議員会館に個室を与えられるなどの恩恵があります。

そのうえ「野党合同ヒアリング」などと称し、霞が関から多忙な官僚を呼び付け、腕組みしてどやしつけるなど、王様気分を味わうことだって可能です。

これが与党議員だったら、１年生議員のときからさまざまな「勉強会」に出ることが求められます。そのうち政務官や副大臣、閣僚などに任命される可能性もあるからです。野党議員は国政を担当する可能性が非常に低いため、そうした勉強会に出る必要はありません。

まさに野党議員は１回やれば、やめられないのでしょう。

韓国野党議員とともに処理水放出に反対

こうしたなかで、なかなかに驚く記事を発見しました。

「日本政府は海洋放流計画中止を」日韓野党の有志議員が処理水放出反対で共同声明

―――2023/07/12 14:44付　Yahoo!ニュースより【TBS NEWS DIG配信】

立憲民主党やれいわ新選組などの野党議員８人は、韓国の最大野党「ともに民主党」の議員ら11人と共同で、福島第一原発のＡＬＰＳ処理水の海洋放出計画に反対する共同声明を出したというのです。

ちなみにＴＢＳによると、立憲民主党の阿部知子衆院議員は「日本人だけではなく、韓国人やアジアの島国の人々にとっても処理水の放出は何のメリットもない」と訴えたのだとか。さすがに韓国の議員と協力して処理水放出を妨害しようとする態度、「いったいどこの国の議員なのか」と驚く人も多いに違いありません。

日本政府や東京電力が説明を尽くし、国際原子力機関（ＩＡＥＡ）が事実上の「お墨付き」を出しているなかで、科学的根拠も示さず、処理水排出に反対するというのは、さすがに意味不明です。

いずれにせよ、次回の衆院選がいつ行われるのかはわかりませんし、日本維新の会が大躍進した場合、そのことが日本にとって本当に良いことなのかどうかはよくわかりませんが、少なくとも立憲民主党が最大野党の地位から転落した場合、同党にとっては「スキャンダル追及で注目される」という手法は使い辛くなるでしょう。

あるいはいっそのこと、党名をもう１度変更し、今度は「ともに民主党」でいかがでしょうか？