安倍総理の1周忌を前に、普段、痛感していることをメモ的に記しておきます。安倍総理が狂信者により暗殺され、明日で1年が経過します。日本が良い方向に向かっているとは限りませんし、とりわけ宏池会政権が日本の舵取りを行っていること自体は非常に懸念される状況ではありますが、だからといって「悪い方向に向かっている」とばかり悲観すべきでもありません。
安倍総理の功績は第1の矢にあり
安倍晋三総理大臣が狂信者により暗殺され、明日で1年が経過します。
安倍総理の死を日本人がどう受け止めるかについては、人により感想はさまざであろうと思われるため、まだ深く議論することはしません。
著者自身も、安倍総理については「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)を筆頭に、本当にさまざまな功績を残したとは考えている反面で、やはり「日本改革」は道半ばに終わり、それどころか岸田文雄首相率いる「宏池会政権」は、政治を官邸主導から官僚主導に戻そうとしているとすら考えています。
また、安倍総理には外交、安保面で多大な功績があったことは間違いないものの、経済という面では、じつに中途半端に終わりました。
経済面における安倍総理の置き土産という意味では、最大の成果は、安倍総理が任命した黒田東彦・日銀総裁(当時)による異次元緩和があります。10年に及ぶ金融緩和の効果により、日本経済はデフレ脱却間近であり、また、フィリップス曲線の教え通り、ほとんどの都道府県で有効求人倍率は1倍を超えています。
ちなみに「フィリップス曲線」はインフレ率と失業率に存在する逆相関を示したグラフですが、一般にインフレ率が上昇するほど失業率は低下するとされており、経験則に照らし、インフレ率2%前後、失業率3%前後が、経済が最もうまく機能する水準とされます(※国によってそれらの水準は微妙に異なります)。
総務省統計局から先月23日に公表された消費者物価指数は、総合指数が3.2%、生鮮食品除く総合指数(コア)が3.2%、生鮮食品とエネルギーを除く「コアコア」が4.3%となっており、これだけを見るならば、すでにデフレからの脱却がほぼ実現しつつあります。
その意味で、アベノミクスの「第1の矢」、すなわち「大胆な金融緩和を通じたデフレ脱却」については、ほぼ達成できているという言い方もできるでしょう。
第2、第3の矢は不十分、そして官僚支配は続く
しかし、「第2の矢」、すなわち「機動的な財政政策」に関しては、安倍総理就任以降、野田佳彦元首相の置き土産である「消費増税」などの影響もあり失速。むしろ財政については増税に次ぐ増税で、10年前と比べて状況は大きく悪化しています。
さらに「第3の矢」、すなわち規制緩和等を通じた民間企業の活力増強については、非常に残念ながら、むしろ「レジ袋有料化」など、官僚主導の無意味な政策の数々を通じ、腰折れしているというのが実情に近いかもしれません。
『【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」』などでも指摘してきたとおり、日本社会において、自由・民主主義の手続から大きく逸脱し、異常に大きな社会的影響力ないし権力を握ってしまっている勢力の典型例が、官僚機構、オールドメディア、特定野党です。
社会のネット化が進展して、一番困る人たちは新聞・テレビを中心とするオールドメディア産業関係者であることは間違いありませんが、それだけではありません。官僚・役人や野党議員なども、かなりの割を食うことが予想されます。いったいどういうロジックでしょうか。ここで考えておきたいのが「腐敗トライアングル」という重要な論点です。腐敗トライアングル昨日の『騙せなくなる日本:「自称徴用工」年内妥結は困難に?』では、自称元徴用工問題に見せかけて、当ウェブサイトなりのちょっとした「問題意識」を展開しました。それが... 【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
安倍総理自身がこうした腐敗利権に斬り込んだことは事実ですが、やはり10年弱の安倍政権で、それらのすべてを変えることはできませんでした。
インターネット世論が日本を良い方向に変える!
ただ、10年前と比べ、確実に良くなっている分野がひとつあります。
それは、新聞、テレビなどのオールドメディアの社会的影響力が急落し、その代わりにインターネットを通じて人々が自由闊達に意見を取り交わせるようになったことです。
たとえば、ツイッター上では新聞、テレビ、特定野党などの公式アカウントが発した情報に対し、一般人が健全な常識に従い、手厳しい反応を示すことも増えていますが、こうした一般人による反応は、いずれも大変に高レベルです。
これに対し、NHK、民放各局、大手新聞社といったマスメディア各社、日本共産党や立憲民主党などの特定野党、はたまた財務省や総務省、外務省といった官僚組織、といった具合に、「既得権」を保有している側の情報発信を見ていると、正直、あまりインテリジェンスはありません。
これに対し、一般の日本国民は総じてレベルが高く、「利権トライアングル」が作り出す屁理屈に対しても、一貫して距離を置き、批判を続けているのです。
これこそ、日本の将来に期待が持てる最大の理由なのです。
鉄道工事理論
ここで思い出しておきたいのが、例の「鉄道工事理論」です。
たとえば、首都圏では長らく、通勤電車は超満員で沿線住民は非常に苦しい思いをしてきましたし、過密ダイヤで「開かずの踏切」も各所で出現しているという状況にあります。
しかし、東武、東急、小田急などの私鉄各社は、鉄道の過密ダイヤを維持しつつ、安全かつ慎重な工事を通じ、鉄道の高架化、部分的な複々線化などを達成してきました。
これなども、鉄道会社の努力に加え、通勤電車の大混雑や「開かずの踏切」問題などの不便に加え、長引く工事を辛抱強く我慢し続けるなどの、沿線住民の協力があったからです。
国の改革もこれと同じで、一朝一夕には終わりません。
NHK、財務省、日本共産党など、あきらかに問題の多い組織が日本社会を悪くしようとしているなかですが、それと同時にこのインターネット化社会の到来により、国民の審判を受けていない組織・政治家などは、少しずつ、しかし着実に、この世から影響力を喪失していくことは間違いないのです。
三歩進んで二歩下がる:それでも一歩進んでいる
ここで、ひとつ、思い出しておきたいことがあります。
その昔、とある人気歌手が「一日一歩」、「三日で三歩」、「三歩進んで二歩下がる」と歌い、多くの人の共感を得たことがあります。ある政権が三歩前に進め、その後の政権が二歩後退したとしても、トータルで一歩進んでいるのなら、それはそれで良しとすべきです。
国を良くする過程は、まさにこの「三歩進んでも二歩下がる」、の繰り返しです。
安倍政権や、384日という短命に終わった菅政権に続いて出現したのは現在の宏池会政権ですが、その宏池会政権はLGBT法、増税、対韓譲歩など、明らかに民意に背くことを堂々と推進するような愚かな政権であると断じざるを得ません。
この点、自民党は選挙に強いため、次の選挙で自民党が政権を失う可能性はさほど高くないとは思いますが、それでも岩盤保守層の自民離れが続くようなら、次の選挙では自民党が(政権を失わないまでも)大敗を喫し、政治がしばらく不安定化する、といった事態も生じるかもしれません。
ただ、政府は国民のレベルを越えることができないというのはひとつの真理ですが、それと同時に国民のレベルが高ければ、政府が国民のレベルに追いついてくるのを辛抱強く待っても良いかもしれません。事実、安倍総理の遺産は確実に、各所で芽吹き始めているからです。
その意味では、まだ現時点では「悲観」すべき局面ではないことだけは間違いないでしょう。
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政治家としてのスケールの違いが如実に出ていると思います、インド太平洋の未来を見据えて政治をしていた人間といまだに派閥の原理で宏池会第一主義で派閥を中心に政治をしている人間。
社会環境がこれだけ変化しているのに2020年代に宏池会にこだわる派閥政治が帰ってきたのは興味深いと思いました。
菅前首相が率いる経済訪問団がインドを訪れています。
本日 Twitter 投稿があり、菅氏はビジネス環境の改善を求める日本企業の声について記しています。これについて当方は意見があるのですのが長くなりますし、今でなくても別段構わない。日本企業が陥りがちな海外進出時の勘違い見込み違いの話です。新聞記者どのにあってはもっと勉強して欲しいのですが、巷間で入手可能な新書を舐めるのではものごとの本質へ効率よく接近することはできません。
本邦にあっては外患内憂嘆かわしいところではありますが、高品質オンラインコミュニティーこそ各界の専門家の智慧を出し合い、教え合う唯一の場に{なる|とっくになっている}のは間違いないところです。こっそり黙って新聞記者が「取材」しているやも知れませんね(It's behind you ...)
既得権は既に弱いところから崩れはじめています。あちこちから音が聞こえています。ネットの力によるところは大だと思います。
力の移転は着実に進んでいると思います。過渡期です
安倍氏の代わりが現れることはありませんが、安倍氏の示した首相のロールモデルは大なり小なり、今後の首相の行動にも影響を与えることでしょう。
安倍氏の一周忌を前に、またぞろ「統一協会ガー」と火病るパヨクとマスゴミ。「安倍は統一協会とズブズブだった」と言う完全なデマを未だに盲信してるネット情弱を見るにつけ、狂信者の思い込みは遺伝子治療でも治らないでしょうね。
事件当初マスゴミは山上被告が「元自衛隊員」と言う過去を持つ事を強調していましたが、いつの間にかそれはフェードアウトし、次に出てきた背景が「母が統一教会の信者」でした。しかしそれは被告の一方的な供述であり、普通なら裏取りをしなければならないモノを、マスゴミは警察が一方的にリークする情報を垂れ流すだけでした。普通なら「他にも動機があるのでは?」と疑問を持つところを、死人に何とかとばかりに再び「安倍は協会とズブズブ」と言うデマを拡散させています。既に往年の勢いなど影も形もない統一協会をスケープゴートにして〇体蹴りをするマスゴミとパヨクの外道ぶりは悪性遺伝子の為せる業としか思えません。
警備の不手際を非難されるのを何とか逃れたい奈良県警とマスゴミの利害が一致したからこそのデマ拡散なんでしょうね。
山上被告の母が破産したのは事件から20年も前の話。この間に被告は何も行動を起こしていません。こう言うタイムラグに疑問を感じる事無く「統一協会が安倍暗殺の一因」と決めつけるネット情弱も脳味噌の欠片もないようです。
そもそも、そのタイムラグを重要視する考え方が妥当なの?ってとこですね。
紆余曲折とか模索とかモラトリアムとか、どうとでも解釈出来ますし。
所詮は人の心なんて分からないもの。
言葉と行動で判断するのみです。
安倍総理が進めた三歩から二歩下がる岸田…。
安倍総理の存在の大きさを感じた一年でした。
そして総理がボンクラに変わると外交がここまでおかしくなるというのを痛感しました。
ていうか安倍総理という偉人が3歩進めたのを愚鈍な者が2歩も下げられるという時点で凄いという…。
型にハマった考え方が典型的な日本人の中で、
安倍元首相は本当に柔軟な思考、思想の持ち主でした、
日本を遠くから、
下手すると地球の外から客観的に見れるような視野を持つ
そして常に
名より実を取る、
有難いことに、
隣の指導者は
逆の、実より名を異様に欲しがる大統領だっただけに
余計にその違いが際立ってました、
安倍元首相の本質は戦術家ではなく
戦略家、
目の前の相手にどう勝つかと躍起になることより
人を上手く使ってどう勝たせるか、
最初は叩かれていても
後の結果をみて、
そうだったのかという
凡人には及びもつかない
常に二手三手先を読める方でした、
そうなると、
どうしても現総理と比較しちゃいますね、
ロシアへの非難、反抗のリーダーと持ち上げられ、ウクライナ支援、G7辺りが岸田さんのボーナスステージ、
、しかし
あの御自身へのテロ未遂事件以降、
急に中国韓国に柔軟?な態度を取り始めたのは
命を狙われることに恐ろしさを覚えたから?。
同感です。安倍総理には確かな国家観といかにして中国と対峙しながら東アジアの秩序を維持するかという大戦略がありました。それに基づいて、FOIP、CPTTP、クアッド、安保法制、憲法解釈の変更と着実に手を打っていった。そして憲法改正を成し遂げる前にお亡くなりになったのが残念でなりません。
下がらずに済めばそれにこしたことはない
10mの井戸に落ちたカタツムリが
昼間に3m上るけど夜中に2mずり落ちる
さて何日で外に出らるでしょうというクイズを思い出した
10日ではないです
はい、関係ないですね
1日目…3m-2m=1m
2日目…4m-2m=2m
3日目…5m-2m=3m
4日目…6m-2m=4m
5日目…7m-2m=5m
6日目…8m-2m=6m
7日目…9m-2m=7m
8日目…10メートル達成!
…ですか?
お見事でございます
おつきあいありがとうございました
夜の間に後退して前進を帳消しにする
今は夜なのだ、岸田文雄政権は夜の間に咲き誇る大輪のあだ花なのだ
タイムマガジンの表紙を見よ
だが、夜明けは近い。カタツムリの教訓はこれこのとおりですね
ふつうに真面目に生きる大多数の国民にとって
山上・安重根などのテロリスなどは
当たり前にアウトの存在です。
また、
「韓流カルト宗教統一教会」 問題は
与野党ともに蝕まれていた除去すべき問題です。
なんせ、ビデオに留めた安倍元総理と違って
出席までして万雷の拍手を浴びたのは
ミスター民主党御大将鳩ポッポさんなのですから。
それなのに絶滅間近の
日本のオールドメディアがこの1年
自民党攻撃に矛先を捻じ曲げの努力を
してきたことを見るにつけ
世間でそんなこんなの人たちであるのが実態の
少数の日本の道を左に西に踏み外した
「どぶサヨ」と呼ばれるのが妥当な人たちの
韓流との汚れたコラボに目を覆います。
安倍氏の一周忌を高齢で式場に迎えない方々がそれぞれの地元で弔いたいと言う話が出ていまして密かに「安倍氏国葬全国ツアーだな…」と不謹慎にも思っていたところ、外国の国々でもそういう場があるなら弔意を示したいと言う声があるそうです。
国葬ワールドツアー…
私は、そろそろ日本の戦後政治が終焉を迎えていると感じています。
安保はアメリカ頼みで国家観の欠如した保守一党体制による経済重視、国民軽視の政治がいよいよ終わるのではないかと感じています。
本来なら、野党が政権を担うのが自然ですが、日本の場合、野党は全く使い物になりません。
岸田宏池会政権で、日本は過去のアメリカ従属型の政治に戻ってしまいましたが、今はネットという手軽に国民が議論し情報共有できる環境があります。
ネット前でしたら、岸田宏池会政権、公務員、マスコミが情報操作を行い、国民を誤った方向に誘導することも出来ましたが、ネットの時代は国民の間で情報が共有され、議論されるという環境になっています。
それにより、岸田宏池会政権の行いが白日の下に晒され、分析され、その実態が次第に明らかになりつつあります。
岸田宏池会政権あるいは自民党は、今は過去と違うという事に未だに気付いていないように見えます。
幸い日本維新の会や国民民主党という、保守層にとって選択肢となりうる政党が勢力を伸ばしつつあります。
私は、この数年内に、日本の政治が戦後の保守1党体制から保守2党体制という新しい段階に進むことを期待しています。
維新には、過去民主党が政権を担ったときにその無能ぶりがあまりに酷かったので、以後自民党の天下となってしまったことを教訓に、政権奪取を急がず、信頼できる人材の確保と、着実に実績と実力を積みあげて頂だく事を期待しています。
一周忌にあたり、一般人の私が最も共感した発言です。
丸山 穂高
@maruyamahodaka
Jul 8
はぁ?いや、何が安倍氏の遺志に報いるだよ。対韓外交にしろLGBT法にしろ、今の岸田政権がやっていることは残念ながら、安倍元総理の遺志に報いるどころか「一矢報いる」んだと言われても違和感のないレベルの政策でしょうが。