内閣支持率調査自体、ときの内閣にとっては「藪医者による定期健診の数値」程度には参考にすべきものだと思います。その理由は、そもそもこれらの調査自体、民間企業である各メディアが実施するものだからです。日本の新聞、テレビなどの大手メディアは事実を正確に伝える能力が著しく低いため、「藪医者」のようなものでしょう(※個人の主観です)。こうしたなか、最近では一部の調査で内閣支持率が急落しているそうですが、これに関し韓国メディアが「韓日首脳会談で高まった支持率が下落に転じた」と報じたようです。
目次
内閣支持率は「藪医者による定期健診」
主要メディアが調査する内閣支持率が、再び下落に転じているとする報道があります(※実際の支持率の一部については本稿後半で取り上げているほか、もし機会があれば近いうちに、主要メディアによる2023年6月分の支持率調査結果を別稿にて取りまとめたいと考えています)。
この内閣支持率については、当ウェブサイトとしては「藪医者による定期健康診断の数値」のようなものだと考えています。
つまり、傾向として国民がその政権を支持しているかどうかを把握するうえで、ひとつの参考にはなり得るものですが、「診断をする人」(この場合はマスコミ各社)の主観にもかなり依存するからです。
しかも、社によっては世論調査結果をそのまま公表するのではなく、公表する前に「謎の調整」を加えている、という噂も聞こえてきます。同じ政権に対するほぼ同じ時期の支持率調査であっても、調査するメディアによっては支持率に大きな違いが生じることもあります。
健康診断では、運よく優れた医師に当たることができれば、何らかの疾病(癌など)を早期に発見し、早期に治療することもできるかもしれませんが、そうでない医師に当たってしまった場合は、疾病が見過ごされ、発見されたときには手遅れ、といったケースもあると聞きます。
ましてや内閣支持率調査は実施しているのが新聞社、通信社、テレビ局といった、情報を処理するうえで必ずしも専門的知見があるとはいえない人たちです。
『「事実を正確に伝える力」、日本の新聞に決定的に欠如』などを含め、これまでに当ウェブサイトでは何度となく指摘してきたとおり、「事実を正確に伝える」というのは、新聞(やテレビ)を含めた日本のマスメディアには決定的に欠如しているようなのです。
日本の新聞の部数が急激に減っており、業界全体としても10年前後で紙媒体の新聞の多くは廃刊に追い込まれると考えられます。ただ、日本の新聞業界の苦境の原因は、日本の新聞に「批判精神が欠如している」ことである、などと主張するツイートがありました。正直、この見解には賛同できません。日本の新聞に決定的に欠如しているのは「批判精神」などではなく、「事実を正確に伝える能力」だからです。新聞部数の凋落新聞の「寿命」「新聞部数の凋落が止まらない」――。こんな話を、当ウェブサイトではずいぶんと繰り返してきました。一... 「事実を正確に伝える力」、日本の新聞に決定的に欠如 - 新宿会計士の政治経済評論 |
したがって、内閣支持率、政党支持率は「参考」程度に位置付け、決して全幅の信頼を置くべきものではないと考えておくべきでしょう。
支持率が上がった/下がったという「理由」を突き詰めても意味はない
ただ、当ウェブサイトで不定期にではあるにせよ、内閣支持率(や政党支持率)に関する話題を取り上げるのは、「全幅の信頼は置けないにせよ、藪医者の健康診断程度には参考程度にはなる」と考えているからですが、それと同時に出てきた数値そのものに深くツッコミを入れることは避けているつもりです。
その理由は、質問の仕方(質問の順序、質問の種類・内容、質問の方法が自動音声かどうか、など)を含めて、そもそも支持率調査自体がメディアによって、あるいは実施時期によってバラバラであり、また、あまり定量化できないからです。
したがって、当ウェブサイトにおいて支持率などを紹介するときは、たいていの場合、「実施したメディア・実施期間」、「内閣支持率・不支持率」、「政党支持率」などの共通項目に限られます。
ましてや、「この新聞社の調査では前月と比べて支持率は●ポイント下がったが、その理由はXXXであることが考えられる」、といった分析をしても、あまり意味はありません。「分析」というよりも、主観的な「感想」になることが多いからです。
たとえば、最近実施・公表されている世論調査結果のうち、朝日新聞が実施したものに関しては、内閣支持率が前月の46%から42%に低下する一方、不支持率は42から46%に上昇した、などとされていますが、これに関する解説記事などがその典型例でしょう。
内閣支持率42%に下落 少子化対策「期待できない」7割 朝日調査
―――2023年6月19日 6時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より
朝日新聞は支持率が低下した要因として、「マイナンバーを巡るトラブルの政府の対応」に加えて「岸田首相が発表した異次元の少子化対策への評価」などが「支持率下落につながったとみられる」、などとしていますが、いわゆるLGBT法案に言及がないという時点で、「主観的な感想」に近い代物です。
「韓日首脳会談の効果が消え、支持率が急落」
さて、当ウェブサイトでは毎日新聞による内閣支持率調査については「定点観測」の対象から外しているのですが、その毎日新聞の2023年6月分の調査だと、内閣支持率は50%から33%に「急落」したのだそうであり、これに関して韓国メディア『中央日報』(日本語版)が19日、こんな記事を配信しています。
韓日首脳会談効果消え…岸田首相支持率50%から33%に急落
―――2023.06.19 17:58付 中央日報日本語版より
記事タイトルのに「韓日首脳会談効果消え…」、などと記載されている時点でまずのけぞってしまう人も多いと思います。日韓首脳会談が押し上げていた支持率が反落した、といった言い方に、違和感を覚えない人がいるのかどうか疑問です。
そもそもいくつかのメディアの調査で、3月から5月にかけて、岸田内閣の支持率が上昇していたことは事実ですが、その要因は、たとえば岸田首相のキーウ訪問やウォロディミル・ゼレンシキー宇大統領の広島来訪といった効果が大きかったと見るのが自然でしょう(※当たり前ですが、これも「個人の感想」です)。
むしろ日韓首脳会談や日本政府の韓国に対する一方的譲歩の数々(たとえば火器管制レーダー照射事件を不問にする、韓国を輸出管理上の「グループA」に戻そうとする、日韓通貨スワップ再開を画策する、など)は、岩盤保守層の支持率を下げる要因です(※「個人の感想」です)。
それなのに、中央日報は今年3月の尹錫悦(いん・しゃくえつ)韓国大統領の訪日などで生じた「雪解けムード」など、「岸田首相の外交力」が評価された、などとして、次のように述べるのです。
「3月の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の訪問で始まった韓日関係雪解けムードと5月に広島で開かれたG7サミットなどで岸田首相の外交力が評価され、先月の支持率は50%に迫ったり50%を超えた所もあった」。
「しかし『外交の季節』は過ぎ、首相が相次いで打ち出した政策に対する国民の評価は高くない雰囲気だ」。
ちなみに中央日報の記事にもLGBT法案の話は出てきません。
個人の主観で自由にものを申すことは可能
いずれにせよ、この中央日報の記事自体、内閣支持率に対する解釈など各メディアがどうにでも自由に出せるという典型例であり、その意味では大変興味深いと思う次第です。
なお、「個人の主観」で勝手なことを述べて良いのであれば、たとえばこんなこともいえます。
「日韓諸懸案が何ひとつとして片付いていないのに、岸田首相は多数の国民の意思を無視し、韓国に対して勝手に譲歩しようとしている。もし現政権が韓国ホワイト国復帰と日韓通貨スワップ再開を成し遂げたら、内閣支持率は今後、消費税の軽減税率(6.24%)程度にまで落ちていくだろう」。
(※ちなみにあまり知られていませんが、消費税の税率は7.8%、地方消費税の税率は2.2%で、「10%」とは「合計税率」のことです。)
なお、この6月が総じて岸田首相にとり、解散の絶好の機会だった可能性があり、これを岸田首相が見送ったこと自体、岸田内閣が来年9月で終焉する可能性を高めた、とする仮説については、『衆院解散見送りで高まった岸田政権「短命化」のリスク』などで議論したとおりです。
理念だけで政治はできないが…「保守新党」に期待して良いのか岸田首相が解散総選挙を見送ったことは、結果的に岸田政権を短命に終わらせる結果となるかもしれません。なぜなら解散見送りで、岩盤保守層からは評判の悪い「LGBT法」が、参院で可決成立してしまったからです。これによる自民党の得票数への影響は読めませんが、ポジティブな効果をもたらすことは考え辛いところです。ただ、こうしたなかで、やはり一部で出てきているのが「保守新党」への期待ですが、正直、理念と能力を兼ね備えていない人物が政界に打って出ても、保... 衆院解散見送りで高まった岸田政権「短命化」のリスク - 新宿会計士の政治経済評論 |
内閣支持率が当てになるかどうかはわかりませんが、岸田首相自身が支持率低迷を「圧力」と感じるような人物であるならば、支持率の低迷は政権崩壊リスクを高める可能性があることは間違いありません。
ただ、個人的に岸田首相がそこまで繊細な人物なのかどうかはわかりません。むしろ支持率が低迷しても首相に居座るだけの鈍感力もあるのではないでしょうか(こうした鈍感力が岸田首相自身、あるいは日本国の国益にとって、良いことであるかどうかについては別の議論ですが)。
むしろ今後の内閣改造・党役員人事に注目したい
いずれにせよ、岸田内閣と自民党政権の今後を読むうえで重要なのは、内閣支持率ではなく、むしろ岸田首相が近々内閣改造・党役員人事を断行するかどうかであり、それが実行された場合にいかなる布陣がみられるか、ではないでしょうか。
たとえば保守派の人々からの支持が高い高市早苗氏が閣僚・党役員から離れて無役になれば、それは高市氏が2024年9月の総裁選に出馬する可能性を高めます。
ただし、故・安倍晋三総理大臣という「後ろ盾」を失った今、高市氏が自民党総裁、すなわち次期総理に就任できるかどうかは、彼女自身が安倍総理のバックアップなしに、どこまで自民党内の派閥をまとめ上げる力を持っているか、という論点でもあります。
個人的には「高市総理」が実現する可能性は、現時点では10%以下、といったところだと思う次第です(あくまでも個人の主観です)。
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シェーシェー茂木幹事長の「自民党、女性議員比率10年で30%目指す、ロイター6/19(月) 18:31配信」。さすがです(勿論嫌味です)。今これですか。突っ込みどころ満載です。本当にもうだめですね。今の自民党執行部はオールドマスコミや韓国新聞の人たちと同じ考えで何もわかっちゃいない。びっくり仰天。
自民党が生き残る道は憲法改正しかないと思いますが、米国は共和党、日本は高市首相になるしかないようです。
藪医者ですか、言い得て妙というか。
本来は但馬の養父(やぶ)、現兵庫県養父市にその昔名医が居て、養父の医者といえば名医という評判が全国に名を馳せていたそうです。しかし次第にロクでもない医者ほど「俺は養父の医者の弟子だ」などと僭称をするようになり、自然と「やぶ医者はかえって信用ならん」→ダメな医者が藪医者となった……と。
マスコミもその昔は取材をよくし、人々に情報を伝える数少ない手段を担い、流行を作り出し、近代化の花形的な職業だったのかもしれません。次第に「俺はマスコミ様やぞ」となってロクでもない流言飛語ばかりをし、信用を失いマスゴミ呼ばわりされ……財務省(罪務省)でも外務省(害務省)でもNHK(犬HK)でもなんでも当てはまりそう。
岸田総理や周辺は、そんな藪医者たちの「これは重症ですね……治したければ増税と日韓友好、LGBTをひとつまみ。解散はお控えください。」という処方箋を信じてしまう患者か。逆によくこれほどまで藪医者を選び続けられるなという、セカンドオピニオンも真っ青の選択。
うまいですねー。
農民 様
素晴らしい言葉の深堀。
農民 様ほど奥ゆかしくないので、悪乗りしてズバリ言います。
この伝で言えば、池田隼人、宏池会と言えば高度経済成長・所得倍増を達成した名首相と言うことになっていますが、宮澤喜一、岸田文雄他と広島出身の政治家、宏池会の現在の評判・評価は・・・・
農民様の例え、すばらしいです。
つか、藪医者ってそういう意味だったんですね。ご紹介感謝します。
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TBS、ホントにニュースの中で支持率低下は、LGBTも対韓も一言も触れず、マイナンバーと息子補佐官のせいと言ってますね。また嘘つきマスゴミの発揚。天皇侮辱を報道しなった「あいちトリエンナーレ」を思い出した…。
>健康診断では、運よく優れた医師に当たることができれば、何らかの疾病(癌など)を早期に発見し、早期に治療することもできるかもしれませんが、そうでない医師に当たってしまった場合は、疾病が見過ごされ、発見されたときには手遅れ、といったケースもあると聞きます。
さらには、一般的な治療ではなく民間療法を指示する医師と組んだら、まだ治るはずが治らずに手遅れに、みたいな。
医師ですらない霊媒師かもしれない。不安を煽る点も共通する。
ということは、韓国メディアが日本世論調査(?)をすれば、「岸田総理の支持率がおちたのは、日本が韓国に配慮しなかったからだ」という結果がでるのでしょうか。
”条約・合意を守らない、嘘つき、コソ泥推奨”国のメディアが言う事ですから、察しがつきます。
支持率上昇は、防衛費の増額決定、賃上げ、経済回復期待、ゼレンスキー訪日の効果、逆に低下の原因は対韓外交姿勢、LGBT法案が原因と見た方がしっくりする。
日本の政治家、やるべきことを自分で見つけることができない。
だからしたり顔でご注進する新聞記者や宦官官僚の「入れ知恵」を真に受けて暴走する。
そうでなければご当人が尊敬する偉人のマネをして悦に入る。
こういうことじゃないですかね。
今の首相、金色神輿のてっぺんに跨って軍扇を振り回し、自分の思い通りの方角へ進めて喜んでいる。日本国というスーパーの運転席に座って今日も上機嫌。彼はその役にはふさわしくなさそうです。
岸田政権
本来は、その「御しやすさ(安倍政治の傀儡)」を買われての首相選任だったと思うのです。
保護者の言いつけ(骨太方針)に背き、愚行に至ったのは、鼻高々のピノキオの如くですね。
自民党内部にもたらした混乱は、リーダーシップ(根回し能力)の圧倒的な欠如によるもの。
支持率の急落は「原理原則を軽んじる”日和見的な決断”」に端を発するものだと考えます。
はっきりと申し上げて『見てくれじゃなく中身を見てくれ!』ってのが率直な感想ですね。
・・。
そういえば、最近こちらのサイトで内閣支持率や政党支持率の掲載が少なくなったように思います。以前、安倍晋三政権の時はモリカケ、サクラなどのでっち上げの節のたびにAT+Y、SやNHK、時事通信、共同通信.在京テレビなどの数値が発表されてました。特に岸田氏の場合は読み込む読者も居ないからか、発表が少ないからか、私がうっかりしてて飛ばしているかどちらかでしょう。
韓国のヒト様の国の支持率急落など、どうでもいいんですが、近々、岸田氏が内閣改造に動いて安倍晋三氏を敬愛する高市早苗氏らが無役になれば、面白いです。その前からいや、今から総裁選は始まってますから。岸田氏以外なら誰でもいいとは申しません。しかし、高市早苗氏はなかなか期待出来る。少なくとも岸田氏よりは大マシでしょう(私見)。
フレンドリーファイヤーが十八番の奴等論外中の論外。
岸田内閣の支持率が、サミット頃まで、異常に高かったのが不思議だったので、今、下がっているのは本来に戻りつつあり、更に下がり続けるのが当然という感じです。
元々、岸田内閣が発足当初から、日本をどういう方向へ持っていくかということに何の方針も示さなかったので、やはり、何もしない内閣だな、と思っていました。
岸田内閣は、目先のやらなければならないことをこなして来ているだけです。
ウクライナ訪問もやるべきだからやっただけ。偶々G7があったから、何かをやっているように見えるが、もし、今年が日本開催の順番でなかったら、岸田内閣は何かをやったという実績が何もなかったと言えます。
今後やることと言えば、韓国への譲歩と対外的な援助のバラマキ位のものでしょう。どこかへ行く度に、やたらと多額の援助を約束してくるけれども、そのお金はどこから出て来るのか?と不思議に思うばかりです。
先ず、今後も支持率が上がる要素は全くないので、いつ選挙をやっても、自民党が今よりも議席を伸ばすことはないでしょう。
2012年以降、自民党が過半数を取れていたのは、民主党政権への強烈な忌避感と、安倍政権への信頼感があったからです。安倍氏への信頼感とは、日本の存在の在り様についての明確なビジョンの提示でした。
ですから、国民は安心できていたのです。
所が、今、岸田政権は、韓国への意味不明のビジョン無き譲歩へと歩き出しています。
それは、何の為に行うものかが国民に明示されていません。
日本の国益はどうなるのか?と国民の間には、不安が広がっています。
岸田政権には不安しか感じられないのです。
高市氏に関して言えば、重要閣僚をやったことが無いので、力量は未知です。
ただ、今まで周りとの間で起こしてきた小さいトラブルを見る限り、根回しは全くしない人のようですから、細かい思考が出来ない人なのか、とも考えられます。
これで、国内の取り纏めもそうですが、諸外国との付き合いは大丈夫なのかな、と感じます。
ましてや、安保防衛のような極めて精妙な思考が必要であり、微調整の交渉や擦り合わせが必要な緻密な外交が出来るものでしょうか?
骨太の方針、その正体は官僚作文の寄せ集めだと当方は断言します。すなわち
「ボクたち官僚が考えるスバらしいニッポンのありかた」
首相は官僚の支持があると勘違い、わが指導力の顕れ、輝かしい権勢、威光これにあり、どんどんピノキオ鼻を伸ばしている。こういうことなんだと思います。
新しい戦前、国家資本主義の暴走と昨日投稿しました。軍部や官僚に好き放題させてモンスター国家を作った黒歴史を忘れてはなりません。
解散見送りに便乗して、ゲルと言う名のフレンドリーファイヤーが十八番のピノキオが又やかましくなってきましたね。
今も昔も書いているのは官邸と財務省。政治家がイチから書き起こすはずもなく。そして総理の方針以上のものにはならない。