公明党の石井幹事長が25日、自民党との間で次回衆院選に向けた東京での候補者調整がつかなかったことなどをもとに、「信頼は地に落ちた」などと指摘。自民党の茂木幹事長に対しても東京における自公の協力関係を解消すると伝達したそうです。ただ、小選挙区はちょっとした風で大きく結果が動くという仕組みでもありますが、それと同時に現実の東京選挙区では、自民党は選挙に強く、今回の自公協力解消で自民党が惨敗するとも限りません。
目次
小選挙区の「怖さ」:2005年から振り返ってみる
先日の『小選挙区の怖さと「有力政治家」が落選することの意味』を含め、当ウェブサイトでは最近、衆議院議員小選挙区という制度の「怖さ」について、さまざまな角度から眺めています。
小選挙区の怖さは、ほんの数パーセント、票が動くだけで、各政党の議席数が大きく変動する可能性がある、という点にあります。こうしたなか、選挙戦に向けて、各政党の動きが出てきました。注目点は有力政治家の地盤である選挙区で大きな変動が生じるかどうかではないでしょうか。実際、2021年の衆院選では、枝野幸男・立憲民主党代表があやうく小選挙区で落選するところでしたし、甘利明・自民党幹事長に至っては小選挙区で落選しています。小選挙区では得票率のわりに圧倒的な議席を確保する傾向がある今朝の『たった数パーセントで... 小選挙区の怖さと「有力政治家」が落選することの意味 - 新宿会計士の政治経済評論 |
こうしたなか、総務省の公表物の取り込みとデータ化が少しずつ進んでいますので、本日はそのアップデートを行っておきます。
自民党の2005年以降の「戦績」を簡単に振り返っておくと、自民党が惨敗した2009年の総選挙を除けば、自民党はいずれも得票率40%台で議席を60~70%ほど占有していることがわかります。また、2009年の選挙でも得票率自体は40%近くに達していたのです。
自民党の衆院小選挙区での戦績
- 2005年…得票率47.77%→議席占有率73.00%
- 2009年…得票率38.68%→議席占有率21.33%
- 2012年…得票率43.01%→議席占有率79.00%
- 2014年…得票率48.10%→議席占有率75.25%
- 2017年…得票率47.82%→議席占有率74.39%
- 2021年…得票率48.08%→議席占有率64.71%
(【出所】総務省『衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報結果』データを加工)
なかなかに、極端な結果が出ています。
参院中選挙区、衆参比例代表の事例
ちなみに参院の場合も、選挙区では得票率と議席占有率の間にある程度の乖離が生じますが、衆院ほどに極端な結果にはなりません。参院の場合は1人区が32区ありますので、これらは事実上の小選挙区となっていますが、その一方で東京のように当選者が6人も出る「中選挙区」もあるからです。
自民党の参院選挙区での戦績
- 2007年…得票率31.35%→議席占有率31.51%
- 2010年…得票率33.38%→議席占有率53.42%
- 2013年…得票率42.74%→議席占有率64.38%
- 2016年…得票率39.94%→議席占有率49.32%
- 2019年…得票率39.77%→議席占有率51.35%
- 2022年…得票率38.74%→議席占有率60.81%
(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』データを加工)
また、比例代表の場合は小選挙区、中選挙区と比べ、「死票」がさらに少なくなります。たとえば衆院比例代表の場合、自民党は得票率も20%台後半から30%台で推移していますが、議席占有率も40%前後で安定しており、得票率と議席占有率の乖離は大きくありません。
自民党の衆院比例代表での戦績
- 2005年…得票率38.18%→議席占有率42.78%
- 2009年…得票率26.73%→議席占有率30.56%
- 2012年…得票率27.62%→議席占有率31.67%
- 2014年…得票率33.11%→議席占有率37.78%
- 2017年…得票率33.28%→議席占有率37.50%
- 2021年…得票率34.66%→議席占有率40.91%
(【出所】総務省『衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報結果』データを加工)
そして、選挙区との重複立候補ができない参院の場合は、得票率と議席占有率はさらにきれいにリンクします。
自民党の参院比例代表での戦績
- 2007年…得票率28.08%→議席占有率29.17%
- 2010年…得票率24.07%→議席占有率25.00%
- 2013年…得票率34.68%→議席占有率37.50%
- 2016年…得票率35.91%→議席占有率39.58%
- 2019年…得票率35.37%→議席占有率38.00%
- 2022年…得票率34.43%→議席占有率36.00%
(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』データを加工)
衆参両院ともに、選挙では一種の「泡沫政党」が出現し、それらの泡沫政党に投じられた票の多くが死票となるため、得票率よりも議席占有率が大きくなることは当然の話ではあるのですが、それにしても衆院小選挙区が極端であることは言うまでもありません。
民主党・民進党・立憲民主党の場合
民主党や民進党立憲民主党についても、これと同じ分析をやっておきましょう。
民主党の場合、衆院小選挙区では、2005年は得票率が30%台後半だったのに、議席占有率は20%を割り込んでいますし、2009年の選挙では47%少々の得票率で74%の議席を占有しました(※ちなみにその後は「鳴かず飛ばず」、といったところです)。
民主党・立憲民主党の衆院小選挙区での戦績
- 2005年…得票率36.44%→議席占有率17.33%(民主党)
- 2009年…得票率47.43%→議席占有率73.67%(民主党)
- 2012年…得票率22.81%→議席占有率*9.00%(民主党)
- 2014年…得票率22.51%→議席占有率12.88%(民主党)
- 2017年…得票率*8.53%→議席占有率*5.88%(立憲民主党)
- 2021年…得票率29.96%→議席占有率19.72%(立憲民主党)
(【出所】総務省『衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報結果』データを加工)
ところが、参院選となると、事情が異なります。
「圧勝」した2007年の参院選では、得票率は40.45%であり、議席占有率は54.79%とこれを上回ってはいますが、2009年の衆院選ほどの極端な結果にはなっていません。また、その後の選挙では議席占有率が得票率を下回ることも多いのですが、それでもそこまで極端な結果ではありません。
民主党・民進党・立憲民主党の参院選挙区での戦績
- 2007年…得票率40.45%→議席占有率54.79%(民主党)
- 2010年…得票率38.97%→議席占有率38.36%(民主党)
- 2013年…得票率16.29%→議席占有率13.70%(民主党)
- 2016年…得票率25.14%→議席占有率28.77%(民進党)
- 2019年…得票率15.79%→議席占有率12.16%(立憲民主党)
- 2022年…得票率15.33%→議席占有率12.16%(立憲民主党)
(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』データを加工)
そして、比例代表だと、衆参ともに得票率と議席占有率に大きな乖離はありません。
民主党(~14年)、立憲民主党(17年・21年)の衆院比例代表での戦績
- 2005年…得票率31.02%→議席占有率33.89%(民主党)
- 2009年…得票率42.41%→議席占有率48.33%(民主党)
- 2012年…得票率16.00%→議席占有率16.67%(民主党)
- 2014年…得票率18.33%→議席占有率19.44%(民主党)
- 2017年…得票率19.88%→議席占有率21.02%(立憲民主党)
- 2021年…得票率20.00%→議席占有率22.16%(立憲民主党)
(【出所】総務省『衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報結果』データを加工)
衆院選に関しては、圧勝した2009年の選挙でも、得票率は42%に対し議席占有率は48%少々にとどまりましたし、惨敗した2012年でも得票率16%に対して議席占有率は16.67%でした。つまり、得票率と議席占有率の間に大きな乖離はありません。自民党と比べ、比例復活が少ないためでしょうか?
事情は参院比例区でも同じであり、得票率と議席占有率の間に大きな違いはありません。
民主党・民進党・立憲民主党の参院比例代表での戦績
- 2007年…得票率39.48%→議席占有率41.67%(民主党)
- 2010年…得票率31.56%→議席占有率33.33%(民主党)
- 2013年…得票率13.40%→議席占有率14.58%(民主党)
- 2016年…得票率20.98%→議席占有率22.92%(民進党)
- 2019年…得票率15.81%→議席占有率16.00%(立憲民主党)
- 2022年…得票率12.77%→議席占有率14.00%(立憲民主党)
(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』データを加工)
小選挙区は民意を捻じ曲げているのか?
このことから、「民意を正確にくみ取る」ことだけに焦点を当てるのならば、小選挙区よりも中選挙区、中選挙区よりも比例代表が望ましいことはいうまでもありませんし、「ウィナー・テイクス・オール」型の日本の小選挙区制度では、第1党が少ない得票で多くの議席をかっさらってしまうという特徴があります。
ただ、こうした仕組みが「民意を捻じ曲げている」ものとは一概にはいえません。
そもそも日本で小選挙区が導入されるに至った経緯のひとつは、少数政党が乱立するという状況を整理し、二大政党制に集約しようとする意図もあったはずです。また、衆院小選挙区では選挙結果が極端に振れ過ぎることとバランスをとる意味で、比例代表の仕組みも併せて導入されている、という見方もできます。
さらには、参院には解散総選挙がなく、任期は6年(3年ごとに半数改選)という仕組みを取っているため、衆院で特定政党が極端に圧勝しても、その政党が専制的に何でもかんでも法律を通す、といったことが難しいのが実情です。
故・安倍晋三総理大臣以降、自民党は地道な選挙戦の積み重ねで安定的な政権基盤を築いてきたのですが、これも結局、1回や2回の選挙ですべてを決めることができないという日本の選挙の仕組みによるものだと考えて良いでしょう。
ちなみに諸外国では、第1党が圧倒的な議席を得るという仕組みが設けられている事例も多く、たとえば議院内閣制を採用するギリシャの場合、一院制で定数は300議席ですが、第1党には50議席追加配分されるという「ボーナスシステム」が取られています。
いずれにせよ、日本の場合は衆院の小選挙区で「ウィナー・テイクス・オール」型の仕組みが取られている以上、各政党もこれに合わせて民意を獲得できるよう努力すべき、というわけです。
公明党が自民推薦見送りを正式伝達「信頼関係地に落ちた」
こうしたなか、『「公明が東京で自民推薦見送り」の影響をデータで見る』でも「速報」的に取り上げたとおり、自公両党の選挙協力に暗雲が垂れ込め始めています。新設される選挙区での候補者調整を巡るトラブルから、公明党が東京で自民候補者に対する推薦の見送り、という話題が浮上したからです。
自公選挙協力なしなら影響が生じるのは8選挙区東京で、候補者調整を巡る自公の協議が決裂し、自公選挙協力が中断する可能性が出てきたようです。いくつかのメディアの報道によると、東京で新設される選挙区のうち「東京28区」で、公明党が独自候補の擁立を見送る一方で東京で自民候補を推薦しない方針を固めたとされています。2021年のデータに基づき、これによる影響が生じる可能性が高いとしたら、自民党候補が「僅差」で勝利を収めた3選挙区、「僅差」で敗北した5選挙区のあわせて8選挙区ではないでしょうか。衆院選で東京の自... 「公明が東京で自民推薦見送り」の影響をデータで見る - 新宿会計士の政治経済評論 |
この「推薦見送り」に続報がありました。ここでは産経ニュースの25日午後の配信記事を紹介します。
公明、東京の自民推薦見送りを伝達 次期衆院選
―――2023/5/25 13:42付 産経ニュースより
産経によると公明党の石井啓一幹事長は25日、自民党の茂木敏充幹事長に対し、(新設される)東京28区に公明党の独自候補を擁立することを断念するとともに、次期衆院選で東京都の選挙区の自民候補を推薦しないと伝達したそうです。また、石井氏はその際、記者団に対し、次のように述べたそうです。
「東京での自公の信頼関係は地に落ちた。自公間の協力関係は解消すると(茂木氏に)伝えた」。
なかなかに、語気の強い発言です。
もちろん、「自公間の協力関係の解消」は東京限定の話でしょうし、公明党としても、いま「協力関係を解消」したとして、まさか東京の全選挙区に独自候補を立てるだけの資金・組織的な余力もないでしょうから、想像するに、これはたんなる「駆け引き」の材料、という可能性も十分にあります。
これに加えて産経の記事によると、茂木氏の要請を踏まえ、両氏は30日に再会談することになったとしていますので、もしも自民党がそれまでの間に再度調整を行い、東京28区で公明党の候補擁立を容認する姿勢に転じれば、自公選挙協力が復活する可能性はあるかもしれません。
自民党は大丈夫か?
もっとも、産経によると、石井氏は「自公連立政権への影響を否定」したのだそうですが、それでも政党の幹事長という立場の人物が相手政党のカウンターパーティに対して「信頼関係が地に落ちた」などの厳しい表現を使った以上、私たち一般人の通常の感覚からすれば、政権運営に影響が生じないと考える方が不自然です。
だいいち、自民党の政策を支持して自民党に投票した有権者からすれば、自分たちが支持しているわけでもない公明党から「信頼関係は地に落ちた」などとする発言が出てくれば、それだけ公明党に対する反発も生じますし、そんな政党との連立をズルズル続ける自民党に対する印象も悪化します。
もちろん、政治の世界では、政党関係者には清濁併せ呑む技量が求められ、理想論だけでは先に進みません。
このあたり、岸田文雄・現首相の前任者である菅義偉総理大臣は、安倍総理の官房長官だった時代から一貫して、少なくとも公明党との関係についてはうまくハンドリングできていました(結果的にそのことが日本の国益に良い影響をもたらしたかどうかは別問題ですが…)。
このことからも、現執行部体制下で自民党という組織のマネジメントがうまくできているのかどうか、どうにも疑問を抱かざるを得ない点でしょう。
数字で見るとさほど影響はなさそうだが…
もっとも、昨日も論じたとおり、東京における自公選挙協力がうまくいかなくなったとしても、それによりどこまで影響が生じるのかは微妙です。
区割り変更前のデータで恐縮ですが、現実に2021年10月の総選挙における東京の25選挙区の得票状況について調べてみると、自民党が候補を立てた23の選挙区で、1位と2位の得票差が1万票を割り込んでいた選挙区は8つありました。2位の惜敗率はいずれも90%を超えています。
- 1区…自民(9,090票差、2位の惜敗率90.831%)
- 3区…立民(8,208票差、2位の惜敗率93.432%)
- 5区…立民(5,404票差、2位の惜敗率95.142%)
- 6区…立民(4,983票差、2位の惜敗率95.477%)
- 10区…自民(7,203票差、2位の惜敗率93.743%)
- 18区…立民(6,210票差、2位の惜敗率94.914%)
- 19区…立民(2,136票差、2位の惜敗率98.080%)
- 23区…自民(6,474票差、2位の惜敗率95.140%)
このうち自民党候補者は1区、10区、23区の3つを制しましたが、それぞれあと1万票ほど「ひっくり返る」ことがあれば、これらの選挙区の候補者は小選挙区で落選していた可能性があります。
また、3区、5区、6区、18区、19区の5つでは逆に、自民党候補が敗れて立憲民主党候補者が選挙戦を制していますが、これもあと1万票ほど「ひっくり返る」ことがあれば、選挙結果は逆転していた可能性があります。
つまり、小選挙区は、本当に僅差で結果が大きく変わるのです。
2009年のような「風」が吹けば、たとえば日本維新の会あたりが大躍進し、自民党が再び壊滅的な打撃を受けることもあるかもしれません。
いずれにせよ、東京における選挙協力がどうなるのかは、まだわかりません。
しかし、前回の選挙区割の例でいえば、自民党が制した15選挙区のうち、薄氷を踏むかのような勝利を収めたのは3選挙区にとどまり、その他の12選挙区では安定的な戦いを進めました。区割り変更の影響もあるため、単純には決めつけられませんが、自公の選挙協力消滅の影響がどこまで大きいのかについては疑問です。
もしも自公の選挙協力が消滅した状態で、自民党の獲得議席数が大きく変わらなければ(あるいはせいぜい落選者が3人にとどまれば)、自民党にとっては公明党との連立解消に向けた第一歩となるかもしれません。
というよりも、もしも自民党が本気で憲法改正などを掲げて次の選挙を戦うのであれば、いっそのこと東京といわず、正々堂々と、全国的に公明党との選挙協力を見直すべきではないでしょうか?
自民党が改憲を公約に掲げている以上、少なくとも自民党に投票している有権者は、憲法改正を望んでいるはずですし、改憲発議を公明党が邪魔しているのだとしたら、公明党と組んでいること自体が自民党の有権者に対する裏切りにほかなりません。
いずれにせよ、今後の動向には要注目、といったところでしょう。
View Comments (19)
茂木幹事長が大阪入りをして関係各方面から意見聴取をしたのだそうです。
来るのが遅い、何を今さら、危機感が足りない、反骨以上反乱未満、そうでないと刷新に辿り着かないではないか。そのように感じた地元民は作り笑顔で応対したに違いないのです。
自由民主党岩盤支持層3割は公明連立破棄を望んでいる。公明票を頼らなければ当選できない自民党員は地元に新任されていないのだから辞退するべき。
長年市政府政において"ふしあわせ"利益相反を容認どころか助長するかのごとき対応を続けてきた自民党本部が、地場に根差した活動から行政の反目停滞に我慢できなくなった自民党議員が自民党を割って始めた大阪維新にイカレコレの大阪自民を今更どーすんでしょね
阪神間の公明は維新に捨てられ次の死物狂いで幾つ残せるかなので東京とは真逆に自民に寄って来るかしれんですが
まーマスゴミ巻き込んで維新のネガキャンすでにはじめてますから、タネ考えると望外に膨れた維新がどこまでツヨイ生地を練れているのかミドコロかもしれやせんが
統一教会と大して変わらない創価学会を支持母体とする公明党から関係解消してくれるなら
願ってもないことだ。
この報道は同じく、とても違和感を感じました。
信頼が地に落ちたなら、今後交渉だってできないですわね。話ができない。
自民は信頼が地に落ちたという相手に、何をすれば信頼が回復するか。
今さら東京28区を譲るという決定をしたとしても、地に落ちた信頼は元には戻らないはずです。
「それを言っちゃあおしめえよ」に類する言葉だと思うんですがね。脅しにもなってない。東京限定もクソもないと思います。
これを自民党が拾ってどう対応するんでしょうね。自民党が拾って持ち帰るというオプションがあるのが意味不明です。
なだめすかしながら、なあなあの理の関係を維持するだろうことはわかりますが、歌舞伎でやることじゃないでしょうに。
自民党東京都連とか、自民党大阪府連は中央とはギクシャクした関係で、また都民府民からの支持も他の県より低いです。なんでも大都市だから、ある程度自力でやって来れたし、中央が何するものぞ!という空気が強いですね。一本にまとまらず、古狸の顔役がいいように支配している。
だから日本維新の会とか希望の党とか、耳障りの良い党がトレンドになる(日本維新はそれほど悪いとは思いませんが)。このまま行けば、自民党は年寄りクラブ、年寄りだけが支持する党になるかもしれない。日本共産党の事を嗤ってられません。
岸田首相にとっては、「好事魔多し」とはこのことでしょうね。ゼレンスキー大統領の参加で、広島サミットが予想外の大成功を収め、内閣支持率も上昇していたのにねえ。「政界一寸先は闇」という川島正次郎の名言を噛みしめていることでしょう。6月末解散の可能性はうんと少なくなってしまいました。
「自民党は選挙に強いから大丈夫」とか「岩盤支持層の保守派が投票するから却って有利」とかいう人もいるでしょうが、2万票は個々の代議士にとっては大きいですよ。負ければ"ただの人"ですし。
萩生田さんはなんであんなに強気を押し通したんでしょうかね。公明党を「踏まれても蹴られてもついていきます下駄の雪」と見くびったんでしょう。あの日本社会党だって、自社さ連立政権を離脱した経緯を忘れたのでしょうか。安倍派の後継争いが頭をよぎったのでしょうか。
この難局を、自民党の誰が収拾するのか、はたまた収拾できずに流れていくのか。中途半端に手を出して火傷する人が出るのか、とっても興味があります。私としては、岸田首相が、創価学会と太いパイプを持つ菅前総理に、無条件での仲裁を依頼すればいいのに、と思いますが、そんな腹はないかな。
これは、東京だけを見ていても、何の解釈にもなりません。
交渉劇場の始まりです。
公明創価学会が言っていることは、東京の次は、全国ですよ、ということです。
全国で公明党無しで大丈夫ですか?ということです。
勿論、これは、公明党にとっても、両刃の剣です。
ですから、交渉劇場なのですが、対韓国でも相手に揺さぶられ放れっぱなしな自民党が、上手い交渉が出来るものかどうか?
下手な交渉の仕方をすれば、今日の友は明日の「強力」な敵になってしまうかもしれません。
それは、昨日まで仲良くやって来た仲間であれば、上手く行かなくなれば、裏切られたという強い感情が生まれることが多いからです。
別れるにしても上手くやらないと、強いしっぺ返しを食らいます。
自民党は、今選挙分析をやっているでしょうけれど、このまま公明党との連立が無くなれば、
議席が今より減ることは間違いないです。
何しろ、維新や国民党と組むと言ってみた所で、先の話ですし、自民党と同じで、選挙をやってみなければ分からない政党です。
公明党のように、確実に基礎票が読める政党ではありません。
最後は、岸田総裁の判断になるのかもしれませんが、対韓国での交渉の仕方を見ていて、簡単に「心が痛む」なんて、戦略性も何もない言葉を吐くような、雰囲気に流されやすい人が、どうやるものか?
お手並み拝見ですね。
こんな瓦版の幻影見たような気がします。
「キシダ家に改易転封の沙汰下る
ジュニアは遠島
その父は監督不行き届きの咎めを受けて減封
解散権行使は不可能に
当主は一代限り
後任首相は老中会議預かり」
今回の公明党の決定を、公明党側は自民党案でもいいんだが、創価学会のある幹部がこの決定をした、学会側が強硬なんだ、と言うことが何処かに書いてありました。
それは当たり前でしょう。公明党は、創価学会の党で、公明党の議員は自分で選挙活動しないのだから。学会員がどれだけ身も心も時間もお金も捧げて選挙活動をするか、以前は、その様は週刊誌のネタでした。そして、学会幹部は、会員達をその時々のいろいろなスローガンを掲げて、そのように動かしているのです。
自民党側は、そんな末端の事情も配慮せずに余り深く考えずに決めたのかもしれませんが、この跳ね返りは、単に票の減少以上のものがありそうです。
何か決定するのはいいが、簡単に敵を新たに作るようなデリカシーのない決定をする人達に国政は任せられますかね?
菅首相、待望。