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広島サミットでバレた「日本マスコミのレベルの低さ」

「広島サミット自体は大成功であったが、それを報じた日本のマスコミの劣化についても同時に世界中に見せてしまった」。こんな趣旨の記事が、ウェブ評論サイト『アゴラ』に22日付で掲載されました。記事を執筆したのはアゴラ編集部ですが、マスコミに対する批判の舌鋒が少々鋭すぎて、読んでいて思わずひやひやします。ただ、このアゴラの記事に対してすら、批判があるようです。「マスコミが劣化したのではなく、もともとレベルが低いのがバレただけだ」、というのです。

人気うどんチェーン店でカエルが混入

最初に、少し本題とははずれますが、こんな話題を紹介しておきたいと思います。

お詫びとお知らせ【※PDF】

―――2023/05/23付 株式会社丸亀製麺ウェブサイトより

株式会社丸亀製麺によると、同社の諫早店で販売したテイクアウト用の「ピリ辛担々サラダうどん」にカエルが混入するという事案が5月21日に発生したそうです。

同社はこれを受け、それを申し出た顧客に加え、「日頃から丸亀製麺をご愛顧いただいているお客様」全員に対し「多大なるご心配とご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」と表明しています。

あわせて同社は、ただちに管轄保健所に指導を仰ぐとともに、異物混入の原因を野菜加工工場にあると特定したうえで、生野菜を取り扱う取引先の全工場で立ち入り検査を実施して検品を強化し、5月23日から25日にかけ、生野菜を使用する一部商品の販売を休止すると表明。こう締めくくっています。

弊社では、今回の事態を真摯に受け止め、再発防止に努めてまいります」。

このあたり、食品を扱う企業において、とくに生野菜に異物が混入するリスクを完全に排除することはできません。このため、本件だけをもって、株式会社丸亀製麺の品質管理に著しい欠陥があったと決めつけるには、少し無理があります。

ただ、それ以上に興味深いのは、同社の誠実かつ迅速な対応です。同社の発表通りであれば、事案が発生したのが21日の日曜日で、この報道発表がなされたのはたった2日後の23日・火曜日ととても迅速な対応ですし、事案の発生場所を具体的な商品名とともに発表するのは誠実です。

しかも同社の発表では、「本件に関するお問い合わせ先」と称して「お客様センター」の電話番号も案内されています(※ただし、「フリーダイヤル」ではないため、もし同社に電話するなら料金がかかります)。

こうした迅速さ・誠実さは、企業にとってのリスク管理の一種といえるのかもしれません。

広島サミットの大成功

さて、先日開催されたG7広島サミットは、ウクライナのウォロディミル・ゼレンシキー大統領の訪日を筆頭に、全世界に対して日本外交の強烈な成功を印象付けました。

とくに外国メディアをいくつか眺めていて気付くのが、やはり広島という悲惨な戦争の象徴とされる都市を舞台に、ゼレンシキー大統領が各国首脳と会談したことの効果でしょう。これによりロシアのウクライナ侵略の不法性が局訪されただけでなく、G7に加えていくつかの参加国が結束したかのような印象を世界に植え付けました。

そのなかでもとくに興味深いのが、この1枚でしょう。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンシキー大統領とインドのナレンドラ・モディ首相

(【出所】モディ首相のツイート)

インドは伝統的に全方位外交を旨としており、実際、G7などの対ロシア制裁に関しても、インドは参加していません。そのインドの首相が、被爆地・広島の街において、ロシアが侵略している相手国の大統領と写真に納まっているのです。

これをロシアが嫌がらないわけはありません。

これに加えて、G7のサイドラインで日米豪印4ヵ国の、いわゆる「クアッド首脳会合」も開催されています。まさに安倍晋三総理大臣や菅義偉総理大臣の置き土産が、ここに来て結実している格好です。岸田文雄・現首相が「持っている」人物であることは間違いありません。

アゴラ「日本のマスコミの劣化を世界に見せてしまった」

ただ、今回のG7で岸田首相が株を上げたことは間違いありませんが、その一方でますます株を下げたのが日本のマスコミだ、とする意見が出てきました。ウェブ評論サイト『アゴラ』に22日付で掲載されたこんな記事が、それです。

日本のマスコミの劣化を世界に見せてしまった広島サミット

―――2023.05.22 15:00付 言論プラットフォームアゴラより

記事執筆者は「アゴラ編集部」となっていますが、冒頭から記述は容赦ありません。

広島サミットは大成功で、広島発のニュースが世界に発信されましたが、それを報じる日本のマスコミのレベルの低さも世界に見せる結果になりました」。

これは、いったいどういうことか。

某大手新聞社ご出身の記者の方が岸田文雄首相に「逃げるんですか?」と叫んだ、などとする話題(※これについては当ウェブサイトでも『大手マスコミを早期退職してウェブ評論に参入できるか』などでも紹介しています)に加え、新聞、テレビなどのオールドメディアの報道などが取り上げられています。

アゴラの記事は、オールドメディアに対する批判の舌鋒がやや鋭すぎる気もしますが、当ウェブサイトをご愛読いただいているような方であれば、このアゴラで取り上げられている話題については、まったく共感するというものが多いのではないでしょうか。

記事タイトルに対してはむしろ批判も!?

もっとも、この「マスコミ劣化」とするアゴラの記事タイトルに対しては、こんな辛辣なコメントも寄せられています。

「もともと低いんだから、下がったみたいにいうのはよくない」。

本当に強烈な指摘です。

たとえば、岸田首相に「逃げるんですか」と叫んだ例の記者に対しては、ネット上で現在もさまざまな反響が続いているようであり、その多くはこの記者に対して批判的です。その理由はおそらく、この記者の方の質問の仕方が、大変無礼だったからでしょう。

もちろん、「岸田ビジョン」の中身を問う、というのはジャーナリズムのあり方として否定されるものではありませんし、日本は自由・民主主義国家ですから、よっぽど反社会的なものでない限り、いかなる主張を持つのも問題ありませんし、それを公に主張することも問題ない行動です。

しかし、それと同時に、記者の方も社会人であるはずです。

いかなる主張をするにしても、記者以前に社会人として、時と場合をわきまえなければ、社会人たる多くの一般国民からは眉を顰められることも避けられません。今回の事例は、まさにその「社会人としての行動」に対する疑念と見るのが正解ではないでしょうか。

「逃げるんですか」はおそらく氷山の一角

そして、この記者の方の「逃げるんですか」発言は、おそらくは日本マスコミ村の「氷山の一角」です。

例のJAXA会見の「それは一般に失敗と言いまぁす」発言(『元大手新聞記者「マスゴミ論」と一般読者の辛辣な反応』等参照)事件や、『「桜ういろう」問題で開示命令:共同通信はどう出る?』でも触れた「桜ういろう」事件も、日本マスコミ村の程度を示す事例とみられても文句は言えません。

この点、インターネット空間では、誰もが気軽に情報発信できるという特徴があります(※もっとも、あまりにも気軽に情報発信できてしまうがために、「筆が滑って必要以上に相手を貶めるなどし、トラブルになる」などのケースもあるため、注意は必要ですが…)。

そして、私たち一般人は、これまではマスコミ報道を見て違和感を覚えたとしても、その違和感を意見として表明する機会がなかっただけのことであり、インターネット環境の発達により「ほかの一般読者・一般視聴者がどう感じたか」を共有することができるようになったというのは、大変大きな進歩でしょう。

その結果、私たち一般人は、マスコミ記事そのものに対してではなく、その記事に対して寄せられるほかの一般読者・一般視聴者の「違和感に関する意見表明」に対して、共感するようになっているのかもしれません。

情報は報道機関にとっての主力商品

こうしたなかで、新聞、テレビといったオールドメディアを眺めていて気づくのは、彼らにとっての「主力商品」であるところの「情報」の扱いが、あまりにも杜撰であるという点です。

ほんの数日前の『「事実を正確に伝える力」、日本の新聞に決定的に欠如』でも取り上げたとおり、日本の新聞(やテレビ)に根本から欠落しているのは、「事実をありのまま・正確に伝える」という力です。

日本の新聞の部数が急激に減っており、業界全体としても10年前後で紙媒体の新聞の多くは廃刊に追い込まれると考えられます。ただ、日本の新聞業界の苦境の原因は、日本の新聞に「批判精神が欠如している」ことである、などと主張するツイートがありました。正直、この見解には賛同できません。日本の新聞に決定的に欠如しているのは「批判精神」などではなく、「事実を正確に伝える能力」だからです。新聞部数の凋落新聞の「寿命」「新聞部数の凋落が止まらない」――。こんな話を、当ウェブサイトではずいぶんと繰り返してきました。一...
「事実を正確に伝える力」、日本の新聞に決定的に欠如 - 新宿会計士の政治経済評論

とくに誤報、捏造報道事件などが発覚した際に、日本のメディアはただちに謝罪するということがほとんどありませんし、だいいち、日本の憲政史上の汚点である2009年8月の衆院選前後におけるメディアスクラムを通じた偏向報道を巡っては、日本のメディアがきちんと検証報道をおこなったという話はほとんど聞きません。

食品を取り扱う会社が、「たかだか」カエル一匹の混入で、あれだけ迅速かつ誠実に対応していることを思い出しておくと、自分たちの主力製品である食の安全に関する消費者の信頼を守るための企業努力は並大抵のものではありません。

そして、一般企業のこうした誠実かつ迅速な対応ぶりと比較して、オールドメディア業界の「主力商品」であるところの「情報」に対する扱いの軽さ、ずさんさ、不誠実さには、特筆すべきものがあるのです。

いずれにせよ、「マスコミのレベルが近年、急低下している」のではなく、「マスコミのレベルはもともと低かったのだが、インターネットの発達によりそのレベルの低さがバレ始めている」、とする方が実態に近いのではないか、とする分析は、大変に的を射たものであることは間違いないでしょう。

新宿会計士:

View Comments (34)

  • いつも横柄な文体の新聞記者たち。中学生ですら哄笑のネタにする絶望職業になり果てている。それに気が付いていないところに救いがない。海原雄山ネタには困らないです。

    • こんな無礼な奴らとは食べていられん、
      勝手に食って帰るがいい‼️
      最近は孫にすっかり毒気を抜かれた雄山さん、
      昔の覇気を取り戻してほしいものですね。

      • 雄山さんの原作者は完全に左側に暗黒落ちしてますね、
        悲しいことです、
        昔、私が夢中になったアニメ、
        UFO戦士ダイアポロンを書いた方とは思えません…。

      • 「論説主幹を呼べ
         どの記者だ、こんなまずい記事を書いたは」

        海原雄山ならでは、海原雄山だからこそ、海原雄山あっての、至高の新聞社です

  • 連投すみません。ゼレンスキー大統領が離日直前に開いた記者会見において彼はウクライナ語で発言し通訳を介して会場記者からの質問に答えました。例えば Sky News 局は英語吹き替えを動画作成して直ちに Youtube 投稿していましたが、日本の新聞 TV などの報道機関にはそれができるでしょうか。BBC 記者は会場で大統領に重大な質問をして回答を引き出しています。日本の新聞 TV などの報道機関にそれができるでしょうか。いまこそ「至高の新聞記者」「究極の新聞記者」を見せてもらいたいものです。それでようやく世界レベルにカウントしてもらえるというものです。

  • 毎度、ばかばかしいお話しを。
    日本マスゴミ村:「日本のマスゴミのレベルの低さが海外にバレても、日本国内でバレなければ問題ない。日本国内でバレても、愛読者にバレなければ問題ない」
    これって、笑い話ですよね。

  • 民放各局なんてサミットの話題よりも大谷の話に多くの時間割いてるんだから、マスコミのレベルが低い云々以前の話と言えるでしょう。

  • 「アゴラ」が何を言おうが構わないが、ツイートに「逃げるんですか」の元朝日記者と東京新聞の望月記者がSNSでナニか言ってます(笑)。でもそれに対しても反論多いですね。
    自分に対する反応は見ないんでしょうか?
    絶滅危惧種=ATMN関係者。

    • 根絶必達種 であってもらいたいモンですが、そーすっと"セイブツ多様性"に反するんしょーな
      ATMにも生存権有るんでしょーし
      絶滅期待種、あたりがギリラインっすかね?

      • 引っ掛かったオタク@ヨクワカラン・ナンノコッチャ 様

        そう「絶滅早期期待種」です(^^)うどん屋の小カエルなんて、可愛いいもんです。入ってたら嫌やけど(笑)。

  • こんな日本の国益を損なうマスコミ、ひいてはNHKに受信料払うバカがまだ割といることに驚きを隠せない(特に高齢者)
    あなた達は加担者ですよ?被害者じゃないよ?

  • 地元広島メディアの心ない質問に対しては、こんなツイートが心に残ってます。
    日本国内で普段から広島や平和を訴える人々の欺瞞を指摘するものです。
    ツイート主はフリージャーナリストで普段は「アレ」な発言も多い方ですが、これについては大いに共感しました。

    長崎も広島も、完全に内向きの市民運動に陥ってしまっている。例年国連総会でスピーチする立場でありながら、自分たち以外のことをなにも知らず、核兵器が70年前でなく、今現在、人類の最も弱いひとたちを脅かし、虐殺の背景に利用され続けていることがほとんどわかっていない— 常岡浩介☪元容疑者 (@shamilsh) May 22, 2023

    この後も連ツイが続きます。

    国会で立憲泉代表が「G7の結果には被爆者が納得してない」という主旨のことを発言しましたが、「慰安婦本人が納得しない」「徴用工本人が納得しない」「韓国国民が納得しない」、と同類の香りを感じてしまうようになってしまいました。
    被爆者の体験・思い・発言を全面的に尊重しますが、それを利用している人々の存在です。

    • 無類の中国通(にして中国愛に溢れた)黒色中国さんが twitter でこのように発言されています(再掲)
       ようするに、
       「オレたちのヒロシマを、アイツらに使わせるな」
       というだけのことなのだろうな

  • 日本のマスコミは、報道の自由度ランキングで日本が非常に低かった事をとらえて「政府の圧力によって報道の自由度が損なわれている!」とか大声で言っています。

    今回のサミットの報道を見ますと「左派による偏向報道が多く、右派どころか中道の報道すらあまりない」という現実を見せつけてくれました。

    間違いなく「日本の報道の自由度は低い」ですね。しかしその原因は「政府からの圧力」ではなく「左派がマスコミを牛耳って、国民に正確な情報を与えない」という事だと思います。

  • 日本の様々な産業がガラパゴスに例えられます。
    この例えはグローバル社会に対して批判的な文脈で使われることが多いですが、実際にはガラパゴス化していることによって世界に多様性をもたらしていることも多いです。
    漫画アニメゲームといったサブカル分野で、日本のガラパゴス化した産業が世界に受け入れられています。
    生活様式が観光資源になることもあるでしょう。
    独自進化した生態系には外敵に弱い事もありますが、内部で切磋琢磨していたら簡単には倒れません。

    日本のガラパゴス化には良い例が多数ある中で、悪い例の典型がマスコミです。
    法で守られ、同業者で談合し続けて来た結果、マスコミの本分を蔑ろにし、ひたすら特権を貪ってきただけの巨体なだけの無能な生き物。
    ジャニーズの件でもわかるように、本分で行動する外国勢にやられてしまう。
    自らの思想のために権力の監視とやらを最大の責務と設定したり、餌場である情報元を記者クラブで寡占する、出版と電波という広い縄張りを与えられているニホンマスコミの生まれと育ちの問題なので、この生態系が自然保護区として続く限りレベルが上がることは無いでしょう。

  • 今朝のTV朝日モーニングショー、投資家のウォーレン・バフェット氏をやたら持ち上げていましたね。
    先見の明に優れたバフェット氏が日本株購入を推している、岸田内閣でLGBT法案等の前向きなグローバル政策が評価されている、今後もバフェット氏の期待を裏切らないよう、確実に改革を進めていくべきだ等。。

    アホですか、と言いたいですね。
    バフェット氏がそう言うということは、既に日本株の空売りをしかけているということ。
    儲けしか考えていない投資家を持ち上げるなんて、日本のマスメディアはLGBT等欧米リベラル&金融資本勢力と一蓮托生ということを暴露しているようなものです。

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