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野党利権は終焉へ?末期状態の「活動家政党」が迷走中

「利権は怠惰や強欲で自壊する」。これは当ウェブサイトなりの持論ですが、この法則は立憲民主党にも成り立つようです。衆院法務委員会は金曜日、入管法改正案を可決したのですが、この改正案に、立憲が提案した「第三者機関に関する附則」などは盛り込まれませんでした。産経によると、立憲の寺田学氏らがせっかく与党に働きかけて譲歩を勝ち取りかけたものの、党内の「活動家」の反対を受け、立憲民主党執行部がこれを蹴ってしまったようなのです。

利権の3法則と立憲民主党

普段から当ウェブサイトで説明している通り、利権とは、いわば不当な利得を固定化する仕組みのようなものであり、①得てして理不尽なものであり、②外から壊すのが難しいという特徴があるものの、③いずれ利権を持っている者の強欲や怠惰によりあっけなく自壊するものでもあるからです。

【※参考】利権の3法則
  • 第1法則:利権とは、得てして理不尽なものである。
  • 第2法則:利権はいったん確立すると、外から壊すのが難しい。
  • 第3法則:利権は保有者の怠惰や強欲で自壊する。

(【出所】著者作成)

この点、「立憲民主党は利権を持っている」などと言われてピンとこない人もいるかもしれません。

しかし、野党第1党は慣行上、たとえばほかの野党に対する質問時間の配分、法案の審議入りに同意するかどうかなど、国会において非常に大きな権限を持っており、ときとして国政と国民生活を人質に取って与党から譲歩を引き出すことも可能です。

しかも、立憲民主党はいちおう最大野党ですが、その議席は衆議院では97議席(※2月13日時点)、つまり定数465議席に対して約20%に過ぎませんし、参議院に至っては統一会派を組む社民党と合わせてたった40議席(※4月24日時点)、定数248議席に対したった16%に過ぎません。

衆参両院で5分の1以下の議席しか持たない政党が「野党第1党」として政局を演じ、ときとして国政を停滞させ続けてきたことが、日本の民主主義を健全に機能させているとはいえません。

いずれにせよ、立憲民主党は国民から大した支持を得ているわけでもないのに、国民から得た支持を遥かに上回る政治的権力を持っているという意味において、まさに「野党利権」をむさぼってきたのです。

入管法は立憲の修正案を盛り込まずに委員会可決

こうしたなかで、国会では現在、興味深い現象が生じているようです。

入管法改正案で「子供在留資格検討」はとんでもない話』や『小西問題で共闘凍結の維新・立憲、入管法対応で亀裂も』などで取り上げた「入管法改正」という話題を巡って、こんな「続報」があったのです。

「活動家に乗っ取られている」入管法で立民議員落胆

―――2023/4/28 19:00付 産経ニュースより

産経ニュースによると、立憲民主党が「重要法案の対応で迷走している」として、入管難民法改正案では与党から修正協議で譲歩を引き出しながらも執行部が反対を決めるなど、せっかくの修正協議がひっくり返るという事例がいくつか出ているというのです。

これについて、産経ニュースはこう指摘します。

いずれも執行部が左派系支持層の意向を重視した結果で、立民の『左回帰』が顕著だ」。

いったいどういうことでしょうか。

入管法改正については先日も説明したとおり、国会で議論中の入管法改正案を巡り、政府・与党側が本来ならば国外退去の対象となるはずの在留資格がない子供たちに「在留特別許可」を与えるなどの譲歩をする、というものです。

そもそもそんなことをしたら、せっかく入管法改正案を検討中であるにも関わらず、出入国管理・難民認定行政において大きな穴が開けられることになりかねません。ただでさえ入管法制には旧民主党政権時代に大きな穴が開けられているわけですから、正直、与党がそんな譲歩をするというのもおかしな話でしょう。

ただ、現実の立憲民主党の行動は、こうした懸念の斜め上を行っていたようなのです。産経によると、28日に衆院法務委員会が可決した入管法改正案は、与党と日本維新の会、国民民主党が提案した修正案が反映されたものの、立憲民主党が水面下で働きかけていた案は盛り込まれなかったからです。

入管法で立憲民主党議員「活動家に乗っ取られている」=産経

これについて野党筆頭理事の寺田学氏(立憲民主党)は記者団に「痛恨の極み」と述べたのだそうですが、それもそのとおりでしょう。産経によると寺田氏らは「第三者機関の設置検討を附則に記す」などの修正案を実現させるべく、精力的に動いてきたからです。

寺田氏ら立民の実務者は法案修正のため昨年から水面下で政府・与党側と接触し、21日からは公式協議を始めた。与党は立民の主張を一部取り入れ、難民認定を判断する『第三者機関』の設置検討を付則に記すなどの修正案を提示した」。

第三者機関の検討は与党にとって大きな譲歩で、政府関係者は『付則に入れば『検討状況は』と何度でも国会質問される。将来設置せざるを得なくなっただろう』と漏らす」。

ところが、寺田氏らがこのような譲歩を引き出したにも関わらず、立憲民主党の党内で開かれた会合では、出席者らからは「不十分だ」などとする反対意見が続出し、これを受けて執行部も27日、修正案を蹴って反対する方針を正式決定し、せっかくの「修正案」については盛り込まれなかったのです。

こうしたやり取りを見ていて痛感するのは、立憲民主党という組織の調整能力のなさ、実務能力のなさです。

もっといえば、立憲民主党も旧社会党・旧民主党・旧民進党時代を通じ、一貫して、「野党第1党として好き勝手にふるまうこと」を「利権」としてきたフシがあります。

そして、立憲民主党を「野党利権」と位置付けたら、今回の立憲民主党の振る舞いにも、大変によく説明がつきます。産経ニュースの記事には、こんな記述があるからです。

『普段、顔も出さない議員ばかりが来て、的外れな反対論をまくしたてた。政治家なら一歩でも前に進めることを選ぶべきじゃないか』。会合に出席した議員は憤る。反対論者の多くは旧社会党系だったとして『この党は活動家に乗っ取られている』と嘆いた」。

この点、立憲民主党は「活動家が政党を乗っ取った」のではなく、「もともと活動家だった者たちが利権を握った」というほうが正確ではないでしょうか。

逆にいえば、これまで「野党利権」に安住してきた立憲民主党が、その利権に拘泥するあまり、強欲と怠惰で利権が崩れそうになっている、というのが、今回の法案修正劇の真相かもしれません。

「維新+国民」という流れも…

これに関連し、ウェブ評論サイト『SAKISIRU』に30日、こんな記事が出ていました。執筆者は同編集長の新田哲史氏です。

維新にとって国民民主とのタッグは「令和の薩長同盟」になるのか?

―――2023年04月30日 06:00付 SAKISIRUより

詳しい内容についてはリンク先で直接確認していただきたいのですが、衆参補選・統一地方選等の投開票からの1週間で、日本維新の会と国民民主党の連携や合流への期待論が、「ネットニュースでにわかに出てきた」、とするものです。

新田氏自身は両党の合流を手放しで歓迎しているわけではないようですが(※この点については当ウェブサイトとしても同感です)、ただ、両党の合流論が出て来ること自体、立憲民主党の「最大野党利権」が終焉する可能性を示唆するものでもあります。

当ウェブサイトとしても、日本維新の会や国民民主党を無条件に支持するつもりはありませんが、自民党政権に不満を持ちながらも、立憲民主党には投票したくないという人たちの受け皿として両党がさらに勢力を伸ばす可能性は高いと見ています。

この点、さすがに立憲民主党自身も、「腐っても最大野党」ではあるため、次回、あるいは次々回くらいの衆院選までは、最大野党の地位を維持する、というのが最も可能性が高いシナリオであることは間違いありません。ただ、状況によってはそれより早い段階で、比較的マトモな政治家は「活動家に乗っ取られた政党」(※産経ニュース)である立憲民主党に見切りを付け、新党を立ち上げるなり、維新・国民に合流するなりして、立憲民主党の組織自体が瓦解する、というシナリオもあり得ます。

とくに今回の「入管法」事件に加え、「小西問題」に対するハンドリングがまったくできていないことなどを見ると、立憲民主党に輝かしい将来が待っているようには見えないのですが、いかがでしょうか?

新宿会計士:

View Comments (24)

  • 素朴な疑問ですけど、もし立憲と他の政党が協議して合意しても、立憲内部の反対で反故にされるのなら、他の政党は立憲と協議、合意する必要はなくなるということでしょうか。(他の政党も、内部に、多かれ少なかれ反対意見を無理して説得したのですから)
    蛇足ですが、野党第一党であることが当然と思っている立憲が、野党第一党ではなくなったのなら、立憲の議員は新しい野党第一党に移籍して、将来的に、そこを乗っ取ることを考えるのでしょうか。(もちろん、相手側が受け入れるかどうか別問題です)
    なにやら、旧社会党を思い出させます。

  • 活動家モドキが政治家をやろうとすること自体がお笑いなので、まぁ当然でしょうという気が強いですね。

  • 選挙互助会は、自壊するって事なきがしました。党としての一貫した考えも無く、綺麗なことだけ言っていて、マズいことには蓋をするやり方してたら、有権者からも見放されますし。

  • 願わくば「自・維・国」での共闘を!
    そんでもって、「立・共」は共倒で。
    ・・。

    • 「自」:「公国維」が
      アメリカの民主と共和みたいな関係になるといいですね
      「立共」は アメリカ緑の党ポジションでいいだろ

  • 活動家に乗っ取られているというのは自民党のことを表現するのにふさわしく、立憲民主党は活動家が作って、そこにあぶれ者が合流した政党でしょう。
    活動家は理想を掲げて突っ走るばかりで、現実を見ることが苦手な生き物です。
    思い込みが激しく、こうと決めたら譲らない。
    自分が絶対正義で、それ以外は悪。悪の意見を取り込むことなど出来ないという考え方。
    最近では小西参議院議員の一連のご活動がその典型でしょう。

    周りの同僚の姿を見て見ぬふりをしていたのか、鈍すぎて認識出来ていなかったのか、この寺田衆議院議員の発言には正直呆れてしまいました。
    私が警戒しているのは、こうした議員が立民に見切りをつけて他の政党に移籍しないか?ということです。
    党に失望したとして、あなたの政治的思想信条に最も合致するのは立民なんですよ。
    行き場などありゃしません。
    同僚の活動家気質に我慢して居残るか、新党でも結成するか、政治家引退するかといった選択しかないのです。
    こういう人たちがしれっと他党に入って、他党の内部を分裂させるから日本の政治は先に進まないと私は考えます。

  • 記事になると思ってました。
    立憲内にも真面目に地道に活動する議員はいるんでしょうが、(声のデカさスキルを人生をかけて磨いてきた)声ばかりデカい活動家系議員の養分になってるんでしょう。
    真面目に活動したい議員は国民民主への移籍の機会を伺ってるんじゃないですかね。

    「合意形成なんてクソ食らえ」の活動家系の議員とそのコアな支持者の集団は、恐らく日本国内からいなくなることはないと思います(フェミとかSDGとか見てるとあれに同調する人々は人間の性に基づいて一定数再生産されると感じます)。
    これ系の人々の割合が増えているのか減っているのかはわからないんですが、マスコミの影響力の低下に伴って減っているんじゃないかと期待はしていますが。

    あの手合いはどこかの党とセットで隔離しときゃいいんじゃないかと思います。
    どうせ活動家系は他人のふんどし狙いでしょうから立憲の旗印から去るつもりはないでしょう。なので正当後継の各離政党は立憲民主。共産党に続く隔離政党として存在する価値はある気がします。

    先を見てる議員さんはさっさと立憲から離脱したらいいと思います。
    マスコミの支援もいつまで続くかわかんないですよ。

    以上、妄想でした。

    • 訂正
      マスコミの支援もいつまで続くかわかんないですよ。

      マスコミの支援もいつまで有効かわかんないですよ。

      すみません、アルコール入りです。

  • 自分が乗っている船が沈みそうなのに、そんなことはお構いなしに自分の主張ばかりを通そうという我儘な人たちが相変わらず多いのですね。
    こんな方たちと共闘する他の党も同類と見做されるでしょう。
    日本維新の会の馬場幹事長は、次回の選挙でも他党と候補者調整をすることは無いと仰っていましたが、私も候補者調整はやるべきではない、あるいはやってはならないと思います。
    維新や国民民主の政策に賛同する議員は、さっさと移籍するのが筋だと思います。

    • 馬場さんは幹事長ではなく代表でした。
      失礼しました。
      お詫びのうえ訂正させて頂きます。

  • 立憲民主党は日本共産党と合流して、党名を立憲共産党に変え、支持率0.5%くらいの必要悪として活躍してもらいたい。

    • ものすごく一般論ですが、偏差値的には上澄みもカスも全体の5%くらいが
      「普通」
      ですから、そのくらい顕在化していないと
      「全体主義的な偏り」
      かと思います。

      民主主義としてのテクニカルな知恵としては、その5%が団結せず、いくつかの政党に分裂して内輪揉めしてくれていたら平和的に万事オッケー。

      今の日本はそういう状況かと思うのですが、なぜか5%が140議席も持ってるというペテンが、なんだかよくわからんのですよね。

      • 5%でも、その5%が全員投票に行けば、投票上の支持率は爆上がりするのです。

  • 比較的マトモな政治家というより、党内での力は無いが利に敏い政治家と個人的には思いますね
    カナとはいえその言葉をこの政党に対し使いたくはないなぁ

  • 左翼に内ゲバ・粛正はつきもの
    頑張ってもらいましょう
    総加速師はここにもいましたね

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