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値上げが背中押す?「ついに新聞の購読を止めました」

とあるツイッター・ユーザーの方が、「5月から500円値上げされるのを機に、新聞の定期購読を止めることにした」とツイートしました。いままで新聞の定期購読を続けてきた理由は、奥様がチラシを必要とされていたからだそうですが、500円の値上げが奥様の「逆鱗に触れた」、というのです。長年の習慣を止めるきっかけは、案外、こうした「ちょっとしたきっかけ」だったりするのかもしれません。

ネットの恩恵を受ける自称会計士のサイト

ツイッター・ユーザーのひとりに、東京・山手線の駅名を冠する怪しい自称会計士がいるようです。

この者は自身のウェブサイトを持っているだけでなく、ツイッター上でも勝手な意見を述べているのですが、ひと昔前、インターネットが存在しない時代だと、この者はオールドメディアからは絶対に相手にされなかったに違いありません。

ただ、現代だとネットが存在するがために、新聞、テレビなどのオールドメディアをいっさい利用せずに、インターネットだけを使って世の中に対して自分の意見を述べることができるようになりました。当ウェブサイトも、そんなインターネット時代の恩恵を最大限に受けているサイトのひとつです。

朝日新聞の部数が3ヵ月で7.7万部減

ところで、昨日の『朝日朝刊3ヵ月で7万部減なのに「有料会員数」横ばい』では、株式会社朝日新聞社が公表する「朝日新聞メディア指標」をもとに、2022年12月末から23年3月末にかけて、朝日新聞の朝刊がさらに7.7万部減少した、とする話題を取り上げました。

株式会社朝日新聞社が公表している「朝日新聞メディア指数」を巡り、昨年12月末と今年3月末の数値を比べると、新聞朝刊部数が7.7万部落ち込んでいるのに対し、朝日新聞デジタルの有料会員数がまったく増えていないこととが判明しました。最大手の一角を占める株式会社朝日新聞社ですらこうなのですから、他社の状況も「推して知るべし」、といったところです。その一方、暇空茜氏は毎日新聞社からの質問状とそれに対する回答のやり取りを、毎日新聞が報じる前に公表してしまったようです。新聞の影響力は20年で3分の1に!暇空茜氏、...
朝日朝刊3ヵ月で7万部減なのに「有料会員数」横ばい - 新宿会計士の政治経済評論

「朝デジ」の有料会員が30.5万契約からまったく増えていないにも関わらず、紙媒体の朝刊部数は383.8万部から376.1万部へと減少した格好であり、このペースでの減少が続けば、今年は30万部前後は減少するという計算で、これが12年少々続けば、部数もゼロになるという計算です。

最大手の一角を占める株式会社朝日新聞社ですらこうなのだから、他紙の状況は推して知るべしだろう」。

これが、当ウェブサイトなりの見解でもあります。

もっとも、冷静に考えてみたら、同紙の減少は7.7万部で留まるのかは微妙です。

以前の『朝日新聞の値上げが象徴する現在の新聞業界全体の苦境』でも取り上げたとおり、朝日新聞が5月以降、紙媒体の「朝夕刊セット」の月ぎめ購読料を500円引き上げ、4,900円に設定するからです(夕刊がない地域の「統合版」も500円引き上げられ、4,000円に設定されます)。

朝日新聞が値上げします。5月以降、月ぎめ購読料は日経新聞と同様、朝・夕刊セットは4,900円に、統合版は4,000円(いずれも500円アップ)です。朝日新聞は部数の急減に拍車がかかるのでしょうか?ただ、他紙がこれに追随するかどうかはまだわかりませんが、今回の値上げも見方を変えれば、「朝日新聞だからこそできた」という言い方もできるかもしれません。朝日新聞が5月から値上げ:日経新聞と同じ値段に先日の『新聞業界逆風のなかで朝日が2年ぶり2回目の値上げか』で「速報」的に取り上げた「朝日新聞の値上げ」に、続報があり...
朝日新聞の値上げが象徴する現在の新聞業界全体の苦境 - 新宿会計士の政治経済評論

これにより、朝日新聞は日経新聞とまったく同じ価格設定になります。

値上げが新聞業界にもたらすもの

そして、この「朝夕刊セット」の購読料を引き上げるのは、朝日新聞だけではありません。福岡県の「ブロック紙」である西日本新聞も同様に、「朝夕刊セット」の月ぎめ購読料を500円引き上げて4,900円に設定するそうです。

また、もしかすると朝日新聞や西日本新聞以外の主要紙も、これから1~2年で追随して値上げするというケースが出てくるかもしれません。

このあたり、たしかに用紙価格が高騰するなど、新聞社経営も苦しいという事情もわからないではありません。しかし、ただでさえ新聞の寿命があと10年前後というなかで、値上げは大変に良くない選択です。値上げすれば確実に解約する人が出て来るからです。

冷静に考えると、毎月4,900円ということは、1年間で58,800円、2年間で117,600円ですので、下手をすると新聞購読を止めるだけで、iPhoneなどの最新スマホが手に入るかもしれません(※通信代等は別)。

このあたり、新聞朝刊を取るのを止めない人は、「折込チラシが楽しみだ」、「テレビ欄が必要だ」、「訃報欄が必要だ」、など、なにかと理由をつけている、といった話を耳にすることもあります。とくに折込チラシを読み込むことで、他店よりも1円でも安い商品を探すのが楽しみだ、という人もいるかもしれません。

ただ、「チラシが欲しい」というだけの理由で、年間購読料がちょっとしたスマホ代に等しくなるほどの新聞を購読するという合理性があるのかは微妙です。他店よりも安い商品を手にすることはできるかもしれませんが、節約しているつもりでも、結局は新聞購読料が節約分を上回ってしまう可能性が濃厚だからです。

しかも、日本の新聞の場合、長年の寡占が災いしてか、その情報の信頼性のなさには、ある意味で定評があります。

なにせ、新聞業界の「中の人」が、一般社会通念に照らして「失言」とはいえないような内容の発言を勝手に「失言」と決めつけ、「発言を撤回するつもりはありませんか?」などと質問してしまうほどです(『マスコミさん、「うな丼発言撤回は?」と尋ねてしまう』等参照)。

マスコミさん、大臣がうな丼を食べたことの何が問題なのですか?「うな丼」事件に「続報」です。谷公一・国家公安委員長に対し、マスメディアの記者は「発言を撤回する考えはないでしょうか」と質問してしまったそうです。これにはさすがに驚きました。そもそも大臣が昼食にうな丼を食べたことや、それを発言したことに、いったい何の問題があるのか、真剣に理解できません。マスコミさん、いったいそれの何が問題なのでしょうか?これはまさに「悲報」、といったところでしょうか。先ほど『自分に甘いメディアと野党:次は「うな丼大...
マスコミさん、「うな丼発言撤回は?」と尋ねてしまう - 新宿会計士の政治経済評論

正直、「情報が古い」、「重くてかさばる」、「保存も検索も困難」という「紙媒体としての欠陥」だけでなく、長年の情報独占に守られてきた結果、情報のクオリティが極めて低いという日本の多くの新聞が、あと10年以内に転機を迎えることは間違いありません。

奥様の逆鱗に触れた「500円値上げ」

こうしたなかで、ひとつ、興味深いツイートをいただきました。

これは「kou」様というツイッター・ユーザーの方から「山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士」のツイートのリプライ機能を使って寄せられたもので、「チラシの存在が新聞の定期購読をする最大の理由だったが、500円の値上げが新聞購読を止めるきっかけになった」、などとしています。

家計に優しく、地球温暖化ガスの排出量削減にも寄与する、大変素晴らしい決断ではないかと思います。

実際、新聞購読は長年の習慣でなかなか止められない、という人も多いでしょうが、こうしたなかで「500円値上げ」などの「ちょっとしたきっかけ」が、背中を押す要因となるのは、想像に難くありません。

そして、こうした事例が全国的に増えてくるのかについては、大変に気になるところです。

一般社団法人日本新聞協会のデータ『新聞の発行部数と世帯数の推移』が更新されるのは、例年、12月末ごろですが、今年に関してはいつにもまして、そのデータを早くチェックしてみたいと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (23)

  • >ただ、「チラシが欲しい」というだけの理由で、年間購読料がちょっとしたスマホ代に等しくなる

    本当に「チラシ」が欲しいだけだったので、新聞を辞め「散歩」ついでにスーパーをはしごして「チラシ」を貰うようにしました。
    帰宅後「チラシ」にある「目ぼしい物」をメモして買い物をするようになりました。
    新聞にそれ以上を求めても意味がないのでwwwww

  • 最近はスーパーなどの小売店の広告チラシはネットでも見ることができますよね
    テレビ欄はテレビのリモコンの番組表のボタンを押せば出てくるし

    • うちの近くのイオンに張り紙がしてあり、アプリをいれればチラシはスマホで見ることができますと書いてあった。

    • イオンは自社サイトに載ってるんですね。
      どうりでチラシのサイトに登録されてないわけだ。
      でも普通紙に1色刷りのようなチラシの地元密着型の安いスーパーはそういうことにお金をかけないので…

      新聞を辞めて一番不便なのはやはりチラシです。新規開店情報や割引クーポン、イベント情報が全く入らなくなり浦島太郎気分。

      ネットは便利だけど地域住民に限定して広告打つのはまだまだ難しいのかなぁ…

  • 小生も5月からの値上げを前に
    ついに4月一杯でお別れしました
    ここでも評判があまりよろしくない新聞で
    以前から記事はクソでしたが
    書評欄をそれなりに楽しみにはしていました
    長年の付き合いで一抹の寂しさも感じております
    メンドクサイ古紙束ねとはついにおさらばです
    囲碁、将棋のスポンサーができなくなるのではないか
    若干心配もしています

    • 大丈夫です
      価値のあるものなら残りますし、ないなら消えるだけですから
      将棋も囲碁もAMEBAでやるくらいなんで大丈夫でしょう

  • コンビニに立ち寄るときに当方は新聞スタンドに視線をやり、各紙1面の見出しだけをざっと眺めて興味を惹くものがあれば(普通ない)デスクに戻って PC でググってブラウザで点検しています。
    昨日普段より少しだけ丁寧にスタンドを検分したところ、値上げの張り札ばかりなのに驚きました。スポーツ紙と全国紙合わせて10以上あることも驚きです。売価180円の情報商品は、気の向いたときに買ってもらえるスナック菓子のようになるに違いないと確信しました。
    清算時に「新聞スポーツはどれだけ売れているの?」とさりげなく店員に尋ねてみました。聞き方が悪かったのかちゃんと答えてもらえませんでした。帰り道考えて得た結論は、分からない、自分がレジに立っている時それを買う客に出会ったことはない、と言いたかったのではないかというものでした。

    • 西日本新聞のスポーツ紙である西スボは紙紙面を廃止して電子版だけになりました。
      他紙も同じような状況かと思います。

  • 囲碁、将棋のタイトル戦って、かつては大手の新聞社がそんなにスポンサーになる事が凄いことだったんでしょうか?その結果を知る為に新聞を買うから?私はどちらもやらないので分かりませんが、対局料や会場運営費等、冠スポンサーは持ち出しじゃないのかと、危惧してました。

    よく知られていたのが毎日新聞社の将棋・名人戦。「他のタイトル戦全部足しても、名人戦の方が上」という人もいました。朝日新聞社が乗り出して来てやはり引き潮の毎日新聞社では無理なんだなと思ってたら、結局新聞屋サンではスポンサーが維持できなくなりそうです。

    競馬の重賞レースにも新聞社、テレビ局の冠レースが有りますね。何か税制で優遇でも受けられるのですかね。日本で駿馬を育てても、畜産業に何の役に立つのでしょうか。農水省は何故チカラを入れているかと言うと、JRAという退職者用ポストが欲しいからでしょうネ〜。しかしお馬さんも入場者はピークの半分以下ですネ。馬券売上は伸びてても、スマホやタブレットが有れば十分。いくらレース場を新築しても、大混雑の中を行きません。遊び方が変わって来ています。いつかは衰退すると思ってます。

    いい加減、新聞社はそういうスポーツ協賛や芸術系文化系などあらゆる協賛や主催をお辞めになったら如何ですか?所詮経費の持ち出しにしか過ぎないし、政権の揚げ足取りだけする無教養な(失礼)オールドメディアでは、仕切れないと思う。無駄な支出カットして延命を図るべきです(笑)。アッもう持たんな(爆笑)。

  • ネット広告料が新聞・TVのそれを上回ったとの話題があります。YouTubeなどの個人発信者の中にはネット広告料で生計を立てている人もいるとか。
    一方でネット配信の広告がうるささが癇に障ることも事実です。
    1)広告を消すための「✕」の位置が分かり辛くしてある。
    2)消しても、どういう仕組みか、しつこく次々と出現する。
    3)(独占的、寡占的にネット基盤を提供する)Googleは、広告を「✕」で消すと、『おためごかしに』①何で消したの理由は?、②今後は表示しません!と表示しながら「ずーっと」その文字を表示し続け、私の画面を占有し、邪魔し続ける(この画面は俺のもの(所有)だ)。

    などなど、
    ネットがマスゴミを駆逐する動向は歓迎だが、他方で寡占ネット業者(適当な名称が見当たらない)のおためごかし的横暴が目立ち始めていることを感じています。
    Twitter社がトランプ氏の発言を拒否したり、YouTube社がネット発信者の言論(虎ノ門ニュースほか)を制限したり、もその発露で不気味なものがあります。
    今後のネットコミュニティー発展のためには寡占ネット業者が謙虚であること、しかるべき哲学を掲げている事を望みます。

    • ひねもすねたり さま

      >寡占ネット業者が謙虚であること、しかるべき哲学を掲げている事を望みます

      おっしゃるとおりと首肯いたします。
      同時にこうも考えます。寡占情報流通産業たる新聞や TV が同じロジックでビックテック・巨大 IT を非難できるはずがなかろう、特大級ブーメランがサクレツするからです。
      では利用者としてどうできるか、広告を除去するためにサブスク料金を払う。これは経済活動における現実的な選択肢と当方は考えます。

  • チラシも今はネットで見られます。スマホのような小さい画面では見るのが難しいですが。TV欄にいたっては、TVで直接V欄を見ることができますので、これに関しては新聞は不要です。
    従って、紙であれネットであれ新聞等が生き延びるには、記事や解説が優れたものでないと買わないでしょう。旧来のマスコミはポジショントークのようなものが多く、それに反するものは報じないことが流布してしまっているので再び信頼を得るのは非常に難しいですね。

  • 僕も社会人になってから30年購読していたY新聞終わりにしました。料金は夕刊サービスで4,100円でした。
    内容がつまらないのと、終活、断捨離の一環です。

  • 令和軽薄体、またやります。格調高さがなくってすみません。
    「値上げの時代はこうやって乗り切れ
     新聞紙で腹は膨れない(ヤギだったよかった、そだね~
     ディジタル時代のコスパ追求生活術はこれ」

  • 近所のスーパーや家電量販店など、ほぼ全ての店舗がネット上でチラシを公開するようになって久しいです。
    もちろんネットチラシは自分から積極的に見に行く必要があり、たまたま新聞の折込で目に付いて見てみたら…なんてことはありませんがね(アプリの通知を入れればそれも擬似的に再現できますね)。
    私の家では同居人が新聞を取っていますので、折り込みチラシも存在しますが、私自身は新聞を手に取ることはありませんし、チラシもネットで見ているので物理的に触れることは無いですね。
    スーパーだって新聞を生かすためにお金を払ってチラシを折り込んでもらってるのではないのですから、こちらも終わりの時は近づいきていることでしょう。

    • ポイント還元とアプリを通じたブッシュ広告・クーポン配布という枠組みは、スーパー(に限りません。ドラッグストアとか)には代えがたい営業戦略です。スマホに Amazon アプリを入れたらそれは広告通知装置でも(アプリってそうゆうもの)とようやく気が付き、しょーがねーなーと思いながら利便を享受しています。

    •  ネットチラシの問題点
       大部分の高齢者および機械オンチにとってハードルが高い
       また 通信環境・通信費等によっては紙ベースの方がやすくなる場合も考えられる 

       紙には紙のネットにはネットの長所・短所があるので一概に否定はできない

    • 「折込チラシを減らしました」と店内に掲示するスーパーマーケットもでてきました。昔だったら目を付けられて無いこと無いこと書かれたのかなあ・今は大丈夫になったのかなあ、と思って眺めています。

      徒歩圏にある4軒のスーパーマーケット、それぞれのお店の得意不得意とか、一見同じようにみえてこっちの店が微妙に高級とか、半額になるか45%どまりか、チラシが無ければ無いなりに各スーパーを使い分けています。

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