国会議員の補選で立憲民主党候補が全滅したことを巡り、立憲民主党の岡田克也幹事長が、執行部の責任を否定したそうです。「負けてもトップが責任を取らない」というあたり、なんとなく日本共産党とメンタルが似ています。もっとも、立憲民主党は選挙のたびに少しずつ議席を減らしている政党でもあります。岸田首相は早期解散には否定的だと伝えられているものの、この調子で議席が減り続ければ、近いうちに最大野党から転落するという展開もあるかもしれません。
小西問題は組織マネジメントの失敗例
『「小西問題」は立憲民主党「組織マネジメント」の失敗』でも触れたとおり、当ウェブサイトでは例の「小西問題」を、立憲民主党に関する「組織マネジメントの典型的な失敗例」と考えています。
日本維新の会の馬場伸幸代表は20日の会見でも改めて、立憲民主党との「政策協議」の凍結を継続すると述べたようです。「小西文書」問題、「サル・蛮族」暴言問題、小西氏の一般人や報道機関などに対する恫喝問題…。これらはつまるところ、立憲民主党という「組織」としてのマネジメントの失敗例です。というのも、同党は小西氏に対する処分も遅く、内容も不十分だったからです。小西文書問題は高市氏説明で「勝負あり」「小西問題」といえば、いまや立憲民主党そのものを象徴する事案のようなものです。この問題については、当ウェブサ... 「小西問題」は立憲民主党「組織マネジメント」の失敗 - 新宿会計士の政治経済評論 |
というのも、立憲民主党に所属する議員の「目に見える明らかな不祥事」に対し、立憲民主党という組織としての対応が、明らかに誤っていたからです。
最もわかりやすい事例だと、小西氏が3月29日、記者団に対し、衆院憲法審査会が毎週開催されていることを念頭に「サル」、「蛮族」、「野蛮」などと暴言を吐いた問題があるでしょう。
衆院憲法審メンバーを念頭に「サル」だ、「蛮族」だなどと述べたわけですから、おそらく100人にアンケート調査をすれば、うち99人が「問題だ」と答えるのではないでしょうか?
ただ、この「誰がどう見ても問題な発言」に対し、立憲民主党は処分らしい処分をほとんどしませんでした。
発言の直後に、小西氏自身が参議院側の憲法審の野党筆頭幹事から「更迭」されましたが、小西氏は引き続き憲法審に出席を続けているようです。また、発言から数週間経って、「幹事長処分」という最も軽い処分が下されたようですが、それ以外の処分らしい処分はほとんど見当たりません。
補選の結果も有権者の審判の結果だったのか?
また、小西氏自身は「サル」「蛮族」発言をツイッターで謝罪したようですが、自身が「サル」だ、「蛮族」だと侮辱した相手に対しては、直接赴いて謝罪したという様子はありません。ただツイッターの文章を印刷し、それを議員ポストに投げ込んだだけです(『小西氏、今度は「謝罪ツイート」を印刷して相手に渡す』等参照)。
維新は立民との共闘凍結継続を表明今度は「ツイッターに投稿したツイートをカラーでプリントアウトした紙を相手に渡して謝罪する」という事例が出てきました。問題の紙は、衆院憲法審査会が毎週開催されていることを念頭に「サルがやること」、「蛮族の行為」などと侮辱した問題で、立憲民主党の小西洋之・参議院議員が日本維新の会の馬場伸幸幹事長の事務所を訪れて、秘書に手渡したものだそうです。ここまで社会常識がないと、逆に感心します。小西氏の「サル・蛮族」発言への謝罪は遅すぎた立憲民主党の小西洋之・参議院議員が衆院... 小西氏、今度は「謝罪ツイート」を印刷して相手に渡す - 新宿会計士の政治経済評論 |
ここまで来ると、逆に小西氏自身が相手を挑発しているようにも見えますし、立憲民主党の小西氏に対する処分が「軽すぎ」、「遅すぎ」ることも、もしかして有権者を舐めているのかもしれません。
実際、『自民党が4議席制するも、うち3議席で「薄氷の勝利」』でも取り上げたとおり、統一地方選後半戦にあわせて実施された衆参5つの選挙区の補選では、立憲民主党は3人の候補が全敗し、吉田忠智氏が参院選に出馬するために議員辞職したため、獲得議席はマイナス1となりました。
もちろん、選挙での勝敗要因を気軽に決めつけるべきではありませんが、おそらくは立憲民主党の「有権者を舐めた態度」が、「獲得議席ゼロ」という有権者の審判につながった可能性もあるのかもしれません。
岡田氏は執行部の引責を否定
もっとも、立憲民主党の執行部は、今回の選挙戦では引責をしないようです。
立民「全敗」で最悪の結果 岡田氏、執行部の引責は否定
―――2023/4/24 02:34付 産経ニュースより
産経ニュースに24日未明、掲載された記事によれば、岡田克也幹事長は党本部で記者団の取材に応じ、「(与党が)勝ったとはいえ、接戦だったよねということは言っておきたい」などとしつつ、執行部の引責については次のように述べて否定したそうです。
「代表が責任をとるとかいう話ではない。私も代表から言われない限りは幹事長を続ける。次の衆院選でしっかり結果を出したい」。
わかりやすくいえば、「責任を取らずに居座る」、ということでしょう。
このあたり、日本共産党と立憲民主党は、メンタルが似ているのかもしれません。というのも、日本共産党の場合も統一地方選の前半戦で議席を減らし、5県の議会で空白区が生じたにもかかわらず、志位和夫氏は責任を取る兆候すらないからです(『高市氏責任論で「責任取らない志位氏」の異常性際立つ』等参照)。
保守分裂となった奈良県知事選を巡り、高市早苗氏自身が11日の会見で「自身の責任を痛感している」と述べました。いちおう、統一地方選の後半戦もあるため、高市氏自身は当面、自民党奈良県連の会長に留まるそうですが、今後の動向次第では何らかの責任を取ることはありそうです。ただ、こうした話題を目にしていると、5つの県議会で議席がゼロになったにも関わらず、責任問題が一切出ていない「あの政党」の異質さが目立ちます。保守分裂の責任は茂木、森山両氏にあり統一地方選の「前半戦」のうち、日曜日に実施され、「保守分裂」... 高市氏責任論で「責任取らない志位氏」の異常性際立つ - 新宿会計士の政治経済評論 |
議席を少しずつ減らしてきた立憲民主党
もっとも、正直、立憲民主党が最大野党であることに不満を持っている人たちからは、「是非とも続けてください」、という反応が返ってくるかもしれません。というのも、組織を率いる能力がない人たちが組織のトップに居座っていれば、その組織自体が根腐れし、崩壊に向かうからです。
冷静に考えてみれば、立憲民主党は結党以来、大きく勢力を伸ばしたことはありません。それどころか、とくに2020年9月に(旧)国民民主党と合流して(新)立憲民主党が発足して以降の国政選挙では、議席を減らし続けています。
たとえば2021年10月の衆議院議員総選挙で、勢力を改選前の109議席から一気に96議席へと13議席も減らしています(※これにより枝野幸男・前代表は辞任し、泉健太体制が発足しています)。
また、22年7月の参議院議員通常選挙でも、立憲民主党は改選23議席に対して獲得議席は17議席にとどまり、非改選の22議席と合わせた勢力は39議席と、選挙前と比べれば、じつに6議席も減らしているのです。
立憲民主党の議席数の変化
- 2021年10月の衆院総選挙…109議席→96議席(▲13議席)
- 2022年7月の参院改選議席…23議席→17議席(▲6議席)
- 2023年4月の衆参両院補選…1議席→0議席(▲1議席)
…。
つまり、国政選挙のたびに立憲民主党は議席を少しずつ減らしているのです。
これに加えて日経電子版の次の記事によると、2週間前の統一地方選の前半戦では、共同通信の集計で、立憲民主党は185議席で自民党に次ぐ第2党を維持したものの、改選前の200議席に届かなかった、などと記載されています(※後半戦についてはまだ集計中のようです)。
41道府県議選、自民が過半数 維新は改選前から倍増
―――2023年4月10日 3:00付 日本経済新聞電子版より
最大野党からの転落は?
個人的には、このように「じわじわと党勢が退潮するとき」が最も怖いと思います。
少しずつ支持者が離れているという証拠だからです。
この点、一部メディアの報道によると、岸田文雄首相は「現在のところ、衆議院を解散する予定はない」、などと述べたそうですが、こうした発言についてもどこまで信じられるかはわかりません。衆院解散は首相の権限だからです。
そして、もしも岸田首相が「サミット解散」に踏み切れば、立憲民主党は大きな打撃を受けるかもしれません。その中でもとくに恐れるべきは、立憲民主党が「最大野党」ではなくなってしまうことです。
現在、衆院で第2勢力(つまり最大野党)である「立憲民主党・無所属」は所属議員が97人、これに対し第3勢力である日本維新の会は所属議員が40人、「国民民主党・無所属クラブ」が10人、などとなっています。
しかし、今度の衆院選で立憲民主党がさらに10議席あまりを減らし、維新、国民などが10~20議席、勢力を伸ばしたうえで「共通会派」を組めば、最大野党からの転落も視野に入ります。
その意味では、小西氏は旧・社会党時代から続く「野党利権」を壊すという意味で、じつは日本の政治史においては欠くべからざる人物だったとして、後世から記憶されるのかもしれません。
View Comments (13)
>立憲民主党が発足して以降の国政選挙では、議席を減らし続けています。
こんな状態で、1回1回の選挙結果の責任を云々されても、それはそれで可哀想な気がするのです♪
多分だけど、立憲は泉代表の下、党勢回復5ヶ年計画を実行中なんだと思うのです♪
今年は、それを担う人材育成がメインなんだと思うのです♪
人罪の宝庫と称される一方で、表に出てくる人の固定化が課題とされてたのを、小西氏とか小西氏とかみたいなお茶の間の話題を掻っ攫う若手が出てきたことは、計画が上手く進んでるってことなんだと思うのです♪
だから、長い目で見てあげて欲しいのです♪
(*゚‐゚)ぼぉー・・
小西洋之の首に鈴もつけられないダメ政党の代わりに維新が躍進したと考えるのが妥当でしょうか。維新は橋下、松井が早々と退場したのもプラスに働いたかもですね。立憲は泉じゃもの足りない、再びR4を党首にして滅びの道を歩んでもらいたい。しらんけど。
個人的には早いところ解散して総選挙してほしいですね。
自民・維新に期待というより、立憲が野党第一党でなくなることによって質問時間の配分が減り週刊誌片手にくだらない質問で貴重な時間を浪費することが減るといいなと思っています。
まあ、今回の
維新躍進・立民壊滅劇のMVPは間違いなく
THE小西議員(以下、略症:ザコ ニシ)さん
でしょうなあ。
きちんと謝らなければ
許して貰えないのは当然で
ザコニシさん個人の問題だったのに
謝罪してしまっては党風と自分たちの
コアなアイデンティティの否定になるからと
処分しない選択をした立憲民主党自らの
姿勢の評価を受け止めてもらうことです。
ただ、、
泉さんや岡田さんの
うじうじしたごまかし姿勢では、まず
ザコニシ擁護に出陣準備を整えている
党内左派の鬱憤を抑えることは
難しいでしょう。
もはやここに至っては、
ザコニシさんを厳しく処分するか
あるいは、
ザコニシさんを党首に推し立てて
日本社会のモラルと秩序とルールに
総攻撃に打って出るしかないのでは
と感じます。
#ザコニシ立憲民主党党首実現を応援します!
(^^)/
それにしても
かつて朝日新聞はあろうことか
安倍元首相の病気をネタに
「私 アベしちゃおうかな」との声が
”聞こえる”?(笑)との
アサヒった画策記事でその心根のありようが
世間の避難を浴びました。
それに比べると今の世間では
ここまで名を轟かせた
ザコニシさんのありようなのですから
「あいつ いつまでわがままで コニシってるんだ 迷惑だ」
とか
「謝罪もしないで いつまでリッケンしてるんだ いいかげんにしろ」
との言い回しがあっったとしても
これは普通にありうることで
少数の韓流政党立憲民主党のコアな支持者は
鼻息荒く暴れて否定するでしょうが
広く日本社会一般ではおかしくないもの
と私は考えますがいかがでしょうか?
維新も信用できませんが、立憲より遥かにましだと思います。
立憲は、徐々に議席が減っていることは喜ばしい事ですが、もう少し加速度を付けて欲しいところですね。
いちいち責任を取っても同じような人しかいないからね。誰がなっても同じ。
身もふたもなく、そしてとてつもなく残酷な事を言うならば、
「誰がトップであろうと、立憲民主党が勝てる訳がない」に尽きますね。
その点、私は泉代表をある意味では評価しています。
先日の小西議員への軽すぎる処分も鑑みて、
「とにかく今居る支持者を減らさない」
「新たな支持者なんか獲得しようとしたら逆効果」
と言う事なかれ主義を徹底する点では、現時点での立憲民主党としては賢いかもしれません。
雪だんごさまのお見立てに賛成です。
もともと党名ロンダリングの
立憲民主党のコアな支持者は
真面目な労働者と遊離した
労組専従でおまんまさんと韓流の
所詮は少数であると見透かされています。
ただ、コアな支持者に期待させる政策と
利益相反なマニュフェスト(笑)とやらで
日々忙しい日本の無党派層を
いかに連れ込むかとのビジネスモデルです。
その目論見画策のためには
今の一見真面目そうな風貌の
泉代表での目くらましは
最善の選択かもしれません。
ただ、そうした画策が
すでに過去に政権取ったあとの
韓流とウッシッシに対し
あっという間に叩き出された
ことを国民が忘れてない中で
策をを弄し続けても無駄なのではと
周りからは見えています。
むしろそれならば
コアな支持者と国民向けの
今の二律背反の二枚舌を諦めて
党風と支持者の生きザマを体現した
THE小西議員(以下、略称:ザコニシ)を
党首に推し立てて、日本社会のモラルと秩序に
三流韓流政党としての面目躍如で
総攻撃に撃って出る正直な路線に
立ち上がるときでは?と感じます。
~党風と支持者の生きサマを体現した~
#ザコニシ立憲民主党党首実現を応援します!
(^^)/
左系の方々にとって、責任とは取らされるものであって自ら取るものではありません。
幹部同士がお互いの責任を追及しないことが、左系の政党の暗黙の了解になっているのではないでしょうか?
左系の方々は、自分が正しいとの思い込みが強すぎるので、責任を追及されると内ゲバ勃発で分裂必至です。
なので分裂回避のため誰もお互いの責任を追及しないのです。
独裁者が誕生すると粛清が始まりますが。
総括が文字通り命懸けの人達ですからね。
何てこった何てこった、魔女の婆さんの呪いか…。
などと申しております同志スターリン、
なるほどシベリア送りだ。
立憲は上層が引責辞任をしても、同じ顔ぶれでローテーションするだけでしょうね……ひょっとしたら、泉氏を皮切りに世代交代をとは考えていて(まぁ院政だろうけど)、件の小西やら、なぜ総理になれないのかわからない奴やらを起用していきたかったのかもしれません。だとしたら小西自身が粉砕してしまったけども。
もはやこの状況ではソレらを馴らしていく猶予は無く、なんとか知名度だけで生きているロートルどもでも立て続けなければ、本当に枯死しそうです。
ところでロートル(半死語)ってどっかヨーロッパ言語かいなと思っていたら、中国語由来だったんですね。