これもテレビ業界の腐敗の証拠でしょうか。当時未成年者だった元大手芸能事務所所属のアイドルが、、その事務所の経営者から日常的に性的虐待を受けていたと証言したにも関わらず、主だったテレビ局はこれをほとんど報じている様子がないのです。NHKなど一部メディアが会見から1日から数日遅れて「アリバイ作り」的に報じているようですが、それ以外の多くのテレビ局は、いったいどうなっているのでしょうか。
これは酷い!芸能ネタ
当ウェブサイトではあまり「芸能ネタ」については取り上げないようにしています。
その理由は単純に、「芸能ネタ」が著者自身の専門範囲外だからです。
当ウェブサイトはあくまでも「金融評論」を中心に、そこから派生する「数字でわかる外交」、「数字でわかる政治」、「数字でわかるメディア」などに論点を波及させているものであり、当然、数値化が難しい芸能界については、個人的には苦手分野でもあります。
ただ、この話題については、さすがに取り上げておきたいと思います。
「●●●●●●●氏から性虐待」 元アイドルが会見で訴え
―――2023年4月13日付 BBC NEWS JAPANより
これは、大手芸能事務所に所属していた元アイドル(26)が、その事務所の経営者(※2019年死去)から継続的に性的な虐待を受けていたと外国人記者クラブで証言した、などとする話題です(記事タイトルについては、いちおう、文字を一部伏せています)。
未成年者に対する虐待疑惑
問題の核心は、次の記述でしょう。
「(同氏はその事務所に)2012年に15歳で入った。そのころから2016年にかけ、最大20回ほど虐待を受けたという」。
この証言が事実ならば、15歳という未成年のころから継続的に(しかも自らの意思に反して)性的な虐待を受けていた、とするものです。
刑法上の強制わいせつ、強制性交等の場合、13歳以上であれば、本人の同意があれば犯罪となりませんが(刑法第176条・177条)、いわゆる「監護者」に該当する場合は、18歳未満に対する強制わいせつ・強制性交等についても犯罪となります(刑法第179条第1項・第2項)。
刑法第176条(強制わいせつ)
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
刑法第177条(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
刑法第179条(監護者わいせつ及び監護者性交等)第1項
十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
刑法第179条(監護者わいせつ及び監護者性交等)第2項
十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。
立件は難しいが…
このあたり、すでにその「経営者」が他界しているため、もしこうした犯罪行為が行われていたとしても、起訴することはできません(検察庁ウェブサイト『捜査について』にも、「被疑者が死亡したとき」などには「訴訟条件を欠くことになり不起訴となります」と記載されています)。
しかも、この人物は、同様の虐待被害者が100人ほどに上るとの考えも述べたのだそうです。なかには13歳未満の未成年者も含まれていたのかもしれず、いずれにせよ、もしこの経営者が生存中に立件されていたならば、やはり犯罪となった可能性は濃厚でしょう。
この点、本件については刑法上の処罰対象とするのが難しいのは事実でしょう。しかし、刑法的に不問に付すことが難しくても、倫理的に、「不問に付す」ことはできません。
地上波テレビ局が同事務所を好んで使用していることを思い出しておくならば、まずはテレビ業界としては、同事務所における同様の事案がないかの調査を要請すべきでしょうし、その調査結果が出るまでは、同事務所出身のタレントなどを使用すべきではありません。
もちろん、テレビ局がいっせいにもしそういう措置を講じれば、性的虐待の被害に遭った人たちがテレビ番組から干されてしまうという「二次被害」も発生するのかもしれませんが、ただ、同事務所で性的虐待が日常的に行われていたというのが事実なら、やはり倫理的に、テレビ局がそのような事務所と付き合うべきではないでしょう。
主要テレビ局の多くはこの会見を無視!?
ただ、それ以上に非常に不思議な話があるとしたら、この会見の扱いです。
会見が行われたのは12日のことですが、大手メディアはこの会見を、当日中には報じなかったようなのです。
いちおう、J-CASTニュースの報道によると、13日(木)までに、共同通信の12日午後の配信を大手紙が掲載したほか、民放ラジオ局などが報じたほか、J-CASTニュースの別の記事によると、NHKが13日16時にこの話題を報じたのだそうです。
なぜ「公共放送」を騙るNHKが1日遅れで報じたのか、理解に苦しみますし、正直、「アリバイ作り」感も否めません(これだけで、NHKが公共放送を名乗るにふさわしくない組織であることはあきらかでしょう)が、問題は、それだけではありません。
著者自身の調査だと、現時点までに日テレとテレビ東京などがこれを報じているようですが、それ以外の大手民放各局がこれを報じているという情報は見当たりません(読者の皆さまでご存じの方がいらっしゃればURL付きでご指摘いただきたいと思います)。
つまり、テレビ業界は、この大手芸能事務所に「忖度(そんたく)」している可能性がある、ということです。
報道しない自由とは…
自民党政権に対しては「報道の自由を守れ」などと舌鋒鋭く偉そうにご高説を垂れるわりには、自分たちにとって都合が悪い存在をほとんど報じないというのは、テレビ業界の悪弊そのものでしょう。
そういえば「小西文書」問題では、客観的に見て、高市早苗氏の主張に分がある(『勝負あり:高市氏が小西文書「捏造」を説明してしまう』等参照)にも関わらず、テレビ業界は高市氏の側の主張をほとんど取り上げませんでした。
これで、「勝負あり」でしょう。高市早苗氏が昨日公表した資料によれば、総務省が「あった」と言い張っている2015年2月13日の「大臣レク」についても、捏造という可能性が非常に濃厚になったのです。高市氏の説明は大変に歯切れがよく、かつ、説得力もあります。高市氏は「小西文書」を逆手に取り、その論駁力の高さを示してしまったのかもしれません。すでに結論がついている『小西文書』本稿では「どうせオールドメディアは取り上げないであろう話題」を、じっくりと取り上げておきたいと思います。昨日の『小西文書は国家公務員法... 勝負あり:高市氏が小西文書「捏造」を説明してしまう - 新宿会計士の政治経済評論 |
ちなみに放送法第4条第1項では、放送事業者に対し、番組内容が公安、善良な風俗を害しないことに加え、政治的公平性を確保するとともに、報道では事実を曲げないことと、意見が対立している問題に関してはできるだけ多くの確度から論点を明らかにすること――などを義務付けているはずです。
放送法第4条第1項
放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
しかし、今回の「セクハラ疑惑」を含め、どうもテレビ局は自分たちにとって都合が悪いことについては「報道しない自由」を駆使して「なかったことにする」という悪弊があるようです。
『椿事件から玉川事件へと連綿と続くテレビ業界の問題点』などでは、テレビ業界が自らの社会的影響力を悪用し、公正な報道を行わず、情報を歪めることで選挙結果に影響力を行使してきたという事例を紹介しましたが、テレビ業界が「報道の自由」を正しく行使していないことは、もはや明らかでしょう。
とある参議院議員が1993年に発生した「椿事件」を「テレビ局に対する政治介入を許した痛恨事」、などと述べたそうですが、この「玉川事件」は歪んだ事実関係が大々的に報じられたという意味で、椿事件と本質的にはまったく同じです。「椿事件」と比べると、今回の「玉川事件」、正直、大したインパクトがあるとも思えませんが、この問題が連日のように炎上しているという事実は、インターネットとテレビ業界の力関係が完全に逆転しつつあるという状況を示すものでもあるのです。玉川事件と放送法玉川事件のインパクト:テレ朝の処分に... 椿事件から玉川事件へと連綿と続くテレビ業界の問題点 - 新宿会計士の政治経済評論 |
正直、「第四の権力」を自称するテレビ業界の腐敗は深刻といわざるを得ないのです。
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公共放送なる循環論法で自己正当化に余念がない NHK なる巨大組織。BBC が報道する以上の日本の汚点が次々と世界に暴かれて、今年の紅白は開催不能になるのではないかと、面黒い思いがしてなりません。
検索すると、朝日新聞は4/12に報じていました。
(社説)ジャニーズ 「性被害」検証が必要だ
朝日新聞デジタル2023年4月15日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S15611501.html
>喜多川氏による性被害の証言は以前から出ていたが、一部の週刊誌などが中心だった。
韓国系の旧統一教会や摂理など、カルト宗教についても構図は一緒ですね。
報道機関である朝日新聞には、摂理などカルト宗教に対する継続的な警戒の発信を行う責任があるのでは?と考えるのですが。
>メディアの取材や報道が十分だったのか。こちらも自戒し、今後の教訓としなければならない。
「こちらも自戒し」の「こちら」って、当紙もって事でしょうかね?
新聞系メディアは4/12に報じてますね。
社説にしてるのは朝日新聞だけで、その点は評価出来るかと。
芸能界とマスゴミや広告代理店などの電波利権に群がる業界との癒着は誰しもううすす察していたことでしょう。
名誉棄損罪の容疑者のガーシーを国際指名手配するなんて、その典型です。ドバイ政府も「はっ?そんな程度の犯罪で送還できるはずがないでしょ」と考えているに違いありません。
ガーシーに性犯罪を暴露されたR社の社長さんと岸田さんを操る木原副官房長官は昵懇の関係であること、彼の影響が国際手配に関係しているというのはネットでは信じられていることです。
【電波利権のサプライチェン】
TV業界が無競争でタダ同然で価値ある放送権をゲット
↓
CM枠を企業に売り出し努力なしで大儲け
↓
儲けたお金を広告代理店と芸能事務所で山分け
↓
金が欲しい芸能人等が枕営業、結果、実力の無いタレントや俳優女優が大量発生
↓
日本の映画やエンタメがつまらなくなる
↓
韓流芸能がとってかわり世界で流行
といったところでしょうか。
ガーシーの最も重い容疑は常習的脅迫罪でしょう
罰則は3ヶ月以上5年以下の懲役でので、最大で殺人罪並みの刑罰になりますね
そうですね。これまでもテレビ局は、ジャニーズ事務所の所属タレントのスキャンダルをワイドショーで採り上げませんでしたし、公取委の介入があって弱まりましたが同事務所と決裂退所したタレントの起用には慎重でしたよね。同事務所のタレントを使えなくなると、番組が成立しないという制作サイドの声があったんでしょう。情けない限りですが、それもまた世の中によくある話です。ただもう不世出の才能を持っていたジャニーさんはいませんし、後任のジュリーさんは人望今一つのようですから、遠からず普通の芸能事務所になっていくでしょう。
それよりも、私が面白いな、と思うのは、本件が一般庶民レベルでさほど盛り上がらないのは、一般男性からみて「うまいことやりやがって」というやっかみ感情が、さほど沸かないせいではないでしょうか。これが「芸能プロダクションの親父社長が、10代の少女多数と不同意××を繰り返していた」という話だと、憤激が爆発するはずです。そのまた逆で、いわゆる被害者とされる方にも、さほど同情の念が湧きにくい。「そこまでしてスターになりたいのかな」「俺が親なら絶対にやめさせるけどな」と思うだけです(社会正義からすれば正しくないことは百も承知)。
そしてまた「日本人が楽しくない話」となると必ず記事にしたがる韓国の新聞が採り上げるのを見て、「こいつら本当にムカつくな」と感じる次第です(たまには岸田首相が「今年の百人」に選ばれた話を記事にしろ)。
J事務所に限らず、芸能界で強い影響力があるといわれているKやその系列事務所、Bプロダクションやその系列事務所、Hプロやその系列事務所、Wプロダクションやその系列事務所に関する不祥事は揉み消されるか、矮小化して報道するケースが多いですね。
芸能事務所によるマスコミへの圧力だと考えられますが、マスコミと芸能事務所の一種の馴れ合い、または談合行為とも考えられます。
私の仮説になりますが、J事務所が特に顕著なのは、恐らくは元社長の姉の夫が色々とコネクションを持っていたからだと言われています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E5%B3%B6%E6%B3%B0%E8%BC%94
古くは文春が裁判沙汰になったり、SMAPへという暴露本が出たりと周知の事実だったのを長年無視し続けたのは日本の大半のジャーナリズムです。
オールドメディアが一丸となってジャニーズをかばい続けたのはクロスオーナーシップの弊害の最たるものでしょうね。
もしこのクロスオーナーシップが無く、独立した機関であったのなら、新聞社は少なくとも文春の時点で大々的に報道し、その時点でジャニーズは罪の精算を迫られ、その後の被害は出なかったことでしょう。
これはジャニー喜多川という一個人の性癖による犯罪というチンケな話でないですね。
朝日やフジテレビの経営理念が
お尻 公正であれ 大胆であれ 輝いてあれ とか
お尻に響くコンテンツを作成し文化、教育、環境に貢献するとかかなら報道しないことも分からんではないですが
経営陣はお尻の穴ではなく胸に手を当て自らの社会的影響力の大きさを自覚しなければなりません。
公共の電波を使っている自覚が足りないように思えます。
通常の企業でも取引先が反社会的な行動をしていないか調査することが一般的になって来ている世の中で、経営理念より性豪のおじいちゃん一人を守る理由が分かりません。
コメント失礼します。
芸能界、TVはオカマ、オナベ等、最近流行のlgbt(サブウェイのメニューみたい)が跳梁跋扈する以前から、性別の不一致やズレを持った人達を起用してきました。これはマスゴミが自画自賛しても良いと思います。
それと同時に、ジャニー以外でもそのテの人達の問題も発生してます。私個人が残念に思えたのは米良美一とハーリー木村です。どちらも好きなアニソン歌手ですが、暴力事件起こして逮捕されました。悲しいですが、事件を起こしたのなら、然るべき罰、報いは受けるべきかと。
肝心のジャニーについてですが、芸能界に疎い私でも嫌な噂は聞いた事が有ります。キンキ辺り迄アッーされてたとか。真偽は不明ですが。
ジャニーとマスゴミが屑なのは周知の事実だからとりあえず置いといて、ジャニーズのファンはこの件についてどう思っているのか気になる所です。自分が入れ込んでるアイドルが汚されてる事に何の痛痒も感じなかったのか?それともアイドルが汚されてる事実に興奮していたのか?この辺気になる次第です。
自分の気分さえ良ければ、アイドルが汚されてても気にしない恐ろしいファンは存在しないと信じたいですが…。
ジャニーズの暗部を暴露するメディアも関生の件は相変わらずスルーですね。
ジャニーズ事務所の件については古くは1960年代の裁判や昭和末期から平成にかけての北公次氏による告白/暴露本、芸能事務所と大手マスメディアの問題を度々取り扱っていた月刊誌『噂の眞相』などのメディアが存在し、少なくとも大人が全く知らない話とは言い難いです。本件については実際に性的な問題があったのか否かは脇に置きますが、長年にわたり醜聞を見ないふりをして受け入れてきたファンも含めた問題であり、芸能事務所/大手メディア側の対応だけの話ではないと考えます。
『噂の眞相』、ああ、あの今は無きパヨク便所雑誌ですね。芸能ネタはともかく、政府与党や自分たちが「右」と見做した人物や組織に対しては裏も取れてないガセネタで叩きまくる、まさに「便所の落書き誌」の先駆けでした。特に30年程前小林よしのりのアシスタントをデマで誹謗中傷し退社に追いやった蛮行は未だに記憶に残ってます。あの雑誌の与太記事をマジで信じる人ってリテラシー能力があったのでしょうか。
今も存在したとしても、やはり関生の件は完全スルーでしょうね。