X

高市氏を強盗等に例えて「放送法破壊」と批判=小西氏

今度は「泥棒」や「強盗」呼ばわりでしょうか。小西洋之氏は13日、高市早苗氏を「言論の自由の基盤である放送法を破壊した総務大臣」と位置付けたうえで、高市氏を擁護することは「一般社会で、泥棒や強盗を擁護するのと同じ」と述べて批判しました。ただ、放送局が放送法第4条第1項を守っていないことは事実ですが、それは高市氏の責任ではありません。NHKや民放各局など、テレビ業界の責任です。

ムービング・ゴールポスト理論

昨日の『また始まった「ムービング・ゴールポスト」=立民議員』でも触れたとおり、現在の国会を空転させている「総務省・小西文書」問題では、問題の提起者である小西洋之氏の発言がコロコロと変わっているという特徴があります。

ムービング・ゴールポストの典型例を発見しました。小西洋之・参議院議員が13日、自身のツイッターで高市早苗・経済安保担当相に対し「即刻大臣を辞職すべきだ」と主張したのです。小西氏は当初、安倍政権下で官邸が放送法の解釈変更を通じ、放送内容に干渉していたかどうかを追及していたはずなのに、ずいぶんとゴールポストが動いたものです。俗に、「ムービング・ゴールポスト」理論というものがあります。これは、疑惑などを追及している人物が次々と論点を変える現象を指し、いわゆる「もりかけ問題」の際に有名になったものです...
また始まった「ムービング・ゴールポスト」=立民議員 - 新宿会計士の政治経済評論

というのも、小西氏は当初、「高市早苗氏が総務相だったころ、内閣法制局を経ずに安倍晋三総理大臣の指示で放送法の解釈が変わった」、などとする点を問題視していたからです(『高市氏が怪文書を捏造と批判:本質は業界の放送法違反』参照)。

高市早苗・経済安保担当相は3日、立憲民主党の小西洋之参議院議員が公表した「放送法の解釈を巡り官邸が総務省に圧力をかけた」ことを示すとされる文書の記載内容を「捏造」だと述べ、もしそれが捏造出なかった場合には閣僚・議員を辞職すると応じたことが話題になっています。ただ、怪文書そのものの信憑性もさることながら、ことの本質は放送業界が放送法をさらさら守っていないことにある、という点については、改めて指摘しておく必要があります。放送法第4条第1項と放送不祥事椿事件とBPOの発足放送法第4条第1項という条...
高市氏が怪文書を捏造と批判:本質は業界の放送法違反 - 新宿会計士の政治経済評論

高市氏の立場は、一貫して、「小西氏が公表した文書のうち、とくに自身について触れられている4枚の資料に記載されている内容に信憑性はない」、とするもので、3月3日の参院予算委員会における高市氏の「正確な発言」は、次のようなものです。

小西委員が入手された文書の信憑性に、私は大いに疑問を持っています。もし私と安倍総理の電話の内容が文書に残っているとしたら、私の電話に盗聴器でもついてるのでしょうか?大臣室に盗聴器がついてたとしても、安倍総理がなにをおっしゃったのかは入らないはず。まったくの捏造文書だと考えております」。

つまり、ここで証明しなければならない論点のひとつは、小西氏が入手した文書に記載されている「安倍総理と高市氏の通話内容」が事実であるかどうかであり、これが事実であったときに初めて、高市氏が大臣・議員を辞職するかどうかという話につながります。

(※もちろん、その文書に記載されている内容が事実であったとしても、個人的に高市氏が辞任する必要はないとは思います。なぜなら、「いままでの放送法の解釈がおかしい」という点はまったくその通りだからです。)

総務省「大臣レクあった可能性高い」

しかし、この「安倍総理と高市氏の通話内容」自体、極めて怪しい代物です。

そもそもこのやり取りの「日時も不明」ならば、作成者も不明であり、さらには総務省の精査結果でも「文書の作成経緯が特に不明なもの」として挙げられているからです。

もしもこの文書の信憑性を前提に高市氏の進退を議論するならば、疑惑を追及している側である小西洋之氏、あるいは小西氏が所属する立憲民主党が、この記述自体の正確性を証明するところからスタートしなければなりません。

ちなみにこの件を報じている新聞などのオールドメディアも、完全に「ムービング・ゴールポスト」に乗っかっているように見受けられます。

高市氏へ説明「あった可能性高い」 行政文書巡り見解差/参議院予算委員会で放送法巡り総務省幹部

―――2023年3月13日 19:00付 日本経済新聞電子版より

高市氏「強気の主張」後退 根拠揺らぐ、野党は辞任要求―放送法文書

―――2023年03月14日07時13分付 時事通信より

要するに、総務省幹部が「大臣レクはあった可能性が高い」と証言したことを巡って、高市氏が窮地に追い込まれた、などとする報道ぶりです。時事通信に至ってはこの「小西文書」を「放送法文書」などと呼び変えたうえで、高市氏の「強気の主張が後退」、とまで報じています。

よくそれで「レクがあった」と決めつけられますね、小笠原さん?

ただ、著者自身、可能な限り「一次ソース」に当たった方が良いと考えている人間のひとりでもあります。

そこで、総務相の小笠原陽一・情報流通行政局長が13日の予算委員会で発言した内容を、「ピーチ太郎3rd」さんというツイッター・ユーザーの方の投稿をもとに確認しておきましょう(動画の0:30~)。

ご指摘の高市大臣レク結果の文章につきましては、作成者によりますと、約8年前でもあり記憶は定かではないが、日ごろ確実な仕事を心がけており、上司の関与を経てこのような文書が残っているのであれば、同時期に放送法に関する大臣レクが行われたのではないかと認識しているとのことでした」。

そのうえで小笠原氏は、「同席者の認識は必ずしも一致して部分がある」としつつも、「以上を勘案すると、2月13日に放送法関連のレクがあった可能性が高い」、などと述べていますが、よくその程度の証拠で「大臣レクが行われた可能性が高い」と断言できるものです。

小西氏の驚くべきツイート

いずれにせよ、私たち日本国民は現在、まさに「もりかけ問題」「桜を見る会問題」「統一教会問題」と同じ、「怪文書」「切り張り」「印象操作」によって特定野党とオールドメディアが結託し、与党の議員や大臣を執拗に攻撃している現場を目撃している、というわけです。

ちなみにその小西洋之氏は13日夜、一般のツイッター・ユーザーに対し、「なぜ、言論の自由の基盤である放送法を破壊した総務大臣を擁護するのでしょうか」、「それは一般社会で泥棒や強盗を擁護するのと同じです」、などとツイートしています。

高市氏を「泥棒や強盗」にたとえるというのも凄い話です。

ただ、お言葉ですが、放送局の政治的公平性について規定した放送法第4条第1項は、放送局によってまったく守られておらず、事実上、死文化している状況にあります。テレビ番組は政治的に偏向し放題ですし、事実、2009年にはテレビ放送の偏向の結果、民主党政権が誕生しているほどです。

当ウェブサイトとしては、「放送法がまったく守られていない」という点についてはまったく同意しますが、それをもたらしたのは安倍総理や高市氏ではなく、むしろテレビ業界(とくにNHKと在京民放キー局)の側だったという点については指摘しておきたいと思います。

それにしても岸田文雄首相を筆頭とする政府・閣僚、あるいは自民党は、いったいなぜ高市氏を守ろうとしないのか――。

本当にもどかしい限りです。

自民党は大丈夫か?

ただ、ひとつの「救い」があるとしたら、2009年のころと異なり、オールドメディアの社会的影響力は低下し、インターネットの社会的影響力は格段に増大している、という点でしょう。『令和4年版情報通信白書』などによれば、年々、テレビの視聴時間は減っているからです。

この点、テレビの社会的影響力は依然として強いものの、新聞業界に関しては、遅くとも13.98年後に紙媒体の日刊新聞がほぼ消滅することがほぼ確実(『新聞朝刊の寿命は13.98年?』参照)でもあります。

「紙媒体の新聞朝刊は2022年10月から数えて13.98年以内に消滅する」。こんな話を、当ウェブサイトでは最近、しばしば提示します。この「13.98年」についてはときどき、一部の読者の方から「なぜこの年数なのか」と尋ねられますので、本稿ではその計算ロジックと関連する数字を深掘りしたうえで、新聞社を待つ「3つのシナリオ」について考えていきましょう。新聞部数データ「朝刊の寿命は13.98年」の計算根拠以前から当ウェブサイトで「13.98年」という数値をよく登場させています。これは、一般社団法人日本新聞協会が公表している新...
新聞朝刊の寿命は13.98年? - 新宿会計士の政治経済評論

結局のところ、『【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」』などでも論じたとおり、昨今のネット化する社会では、官僚組織とオールドメディア、そして特定野党議員といった「腐敗のトライアングル」が、音を立てて崩れ始めているのです。

社会のネット化が進展して、一番困る人たちは新聞・テレビを中心とするオールドメディア産業関係者であることは間違いありませんが、それだけではありません。官僚・役人や野党議員なども、かなりの割を食うことが予想されます。いったいどういうロジックでしょうか。ここで考えておきたいのが「腐敗トライアングル」という重要な論点です。腐敗トライアングル昨日の『騙せなくなる日本:「自称徴用工」年内妥結は困難に?』では、自称元徴用工問題に見せかけて、当ウェブサイトなりのちょっとした「問題意識」を展開しました。それが...
【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」 - 新宿会計士の政治経済評論

岸田「宏池会」政権も、この潮流を読み誤ると、特定野党とともに沈んでいく結果になりかねません。

著者自身、自民党内に対しても、たかだか第4派閥に過ぎない宏池会に乗っ取られるのか、それとも岸田「宏池会」政権を処理するのか、そろそろ党内のコンセンサスを形成したら良いのに、などと思っているのはここだけの話です。

新宿会計士:

View Comments (16)

  • 2年前の総裁選で岸田氏が選出されたのは、宏池会のお手並み拝見、というような自民党の雰囲気もあったのでしょうね。
    しかしもうやがて2年。答えが出てないといけない時期です。成果は皆無とは言いませんが、安保3文書にしろ、原発再稼働にしろ、どう見ても党として規定路線で決められて、岸田氏のリーダーシップだったとは思えません。野党やオールドメディアの攻撃をもっけの幸いに、煙たい存在の高市大臣を更迭したら、岸田氏の政局感覚の欠如の露呈のみならず、トップとして部下の信任を一気に失うでしょう。
    成長戦略、憲法改正、少子高齢化、etc …。やることは山積してます。野党の下らない言葉遊びに付き合っている暇は有りません。
    もしかしたら岸田氏は偽徴用工の妥協について、安倍首相の偽慰安婦合意に匹敵する快挙だと思ってるのかもしれないですね。今は批判されてるがいずれ歴史が評価するんだ、くらいに。
    今年の9月で終わって欲しい。
    だけど公明党を切ったら評価します。

  • 小西氏というのか、この質問者は。小西氏は、言論での戦い方を知らないね。本気であればあるほど、丁寧な言葉を使うのが王道なんだが、それができていない。
    次は高市氏。この人は「初の女性総理」を目標にしているんだと思うが。田中真紀子が消え、野田聖子が消え、「本命は安部先生のかわいい子である私だな」とでも思っているんだろうが、この人の器量では無理だね。

    早くも少子化予算に代議士どもがむらがるような気配があるが、少子化対策を厚生労働がやったり、はては子供家庭庁新設などという、政治センスが情けない。これは一に経済産業省の問題ですよ。熊本なんか、大きめの工場ひとつで地域が盛り上がっているでしょ。あれを全国でやるんです。厚生労働が出てくるとしたら、高齢者医療費の自己負担を一般国民と同じ割合にするんです。そして、年金は引き上げない。いまは高齢者が最大の政治勢力だから、注意しながらやるべきだが。

    世間がいかに人手不足で困っているかを再認識する機会があったが、いまの日本の給与レベルでは、東南アジアからは、もはやいい人は来てくれないかも知れない。それなら、東欧の発展途上国から人間をどんどん輸入して、3カ月の促成日本語教育を施して、現場に投入するとかね、そういうことを考えて進行するのが政治の役割だと思う。くだらない文書騒ぎにかまけている暇はないはず。

  • (完全なる個人の感想ですが)自民党内部に、高市早苗大臣に対する妬みひがみも、あるのではないでしょうか。これは女性という理由ではなく、年齢からくるものかもしれません(人というのは、自分の感情を優先して、合理的な行動をとれないことも、よくあることです)

  •  小西は、自身が一生懸命お勉強をした昭和の時代で止まっているのでしょうかね。
     放送法・放送事業が言論の自由の基盤ではなくなってきていて、むしろ情報の流れの阻害や劣化を招いてきているのです。というかさんざ悪用して基盤破壊をしてきたのは民主党を筆頭とする野党とメディア自身でしょうに。ツケを払う時です。
     現在では、何をしても西側諸国では破滅的な独裁政権なんて誕生しえないと思います。ましてやそのカギが放送法などとはとても。スパイ防止法とかの方が圧倒的に優先度高いけどそちらは反対のようだし。

  • 私は総務省の「大臣レクあった可能性高い」に怒りを覚えます。
    あったことが確認できなければ「ない」と答えるのが普通ではないでしょうか。
    何ですかね「可能性が高い」って。サラリーマンの責任逃れじゃないんだからしっかりしてほしいです。

    また民主党のモリカケ桜が始まったと思うとうんざりです。
    テレビは神通力が弱まったとはいえ、依然強い影響力を持ってますので侮れません。
    小西の意見しか取り上げないTVメディアは放送法違反で処罰できませんかね。。。

    • 役人は政治家よりは正直ですから、歯切れが悪いときはナニかあったのですよ。

      例えば、
      レクチャー自体はあった。
      でも高市が忙しいから着席もせず
      「なにか特に聞くことある?」
      「ないなら次の会議に行くわ」
      くらいで退席していたとか。
      レクチャー自体は開催された。
      でも中身はない。
      なのでメモだけ残して、確認判子は誰も押さずに終了させた、とかね。

      レクチャーはあった!とも無かった!とも、どちらを回答しても嘘なので、困り果てた結果ひねり出された回答なのでは?

      ぼくもナンデスカソレハ?と怒りを覚えますが、弱虫なりに精一杯の生き残り作戦なのかと思います。

      真面目だけど不誠実な仕事ぶり。
      腹をくくって「レクチャーしてません」でよいのにね。

      とにかく小西がバカ過ぎです。

      • CRUSH 様、レスどうもです。
        なるほど、私にはそこまでの想像力はありませんでした。

        もし本当に説明をしたならば堂々と「レクチャーをした」と言えばいい。「高市大臣が忘れてるだけでは?」と。会議をしたけれども、説明をしていなければ、それはレクチャーをしたとは言えないと思う。

        役人の保身や嘘で大臣を貶め、首を自由に挿げ替えられたら、民主主義の重大な危機だとちょっと大げさに考えてます。保身のつもりであいまいに言ったんでしょうが、調査して嘘であれば厳罰にする必要があると思う。

        • 総務省の小役人なんか、どーでもよろしいかと。

          レクチャーの有無が争点の本質ではない!
          と、援護射撃がきちんと機能してさえいれば、小西のバカがさっさと引き下がって、国会での審議時間をもっとまともな質問に使える訳でして。

          与党側が援護射撃しないのは、
          「ホントにどーでもいいネタ」
          なので、野党の質問時間を浪費させるのに任せてるのではなかろうか?(笑)

          コレ本当に腹を立てて小西を黙らせなくちゃいけないのは、立憲民主党側のサポーターだと思うのですよね。

          「お前のかーちゃんデベソ」
          レベルのくだらん質問にリソースを投入してて、与党からは失笑であしらわれていて、あれでエエのかねえ?

  • 小西ひろゆき氏の高市早苗大臣への罵倒、罵詈雑言は、酷すぎです。高市大臣を守るのは「一般社会で泥棒や強盗を擁護するのと同じだ」・・・立憲民主党のアンタには言われたく無いです!しかし、岸田首相はじめ自由民主党の中でも、何故、高市氏を助ける声が出ないのか?

    「少しぐらい高市は叩かれたら良い」と思っている反安倍派、反高市氏らのグループは居るでしょう。「総裁選にまで出やがって」と妬む人は(心の狭〜い議員)いるでしょう。

  • > 小西議員には、
    「独裁者の専制を可能にし、あまたの人権侵害を生じさせるという意味においては、泥棒や強盗よりも恐ろしい行為」の「放送法の破壊」を高市大臣がしてる2015年に止めろよ!と言いたい。
    あと、高市大臣が、
    「言論の自由の基盤である放送法を破壊した」
    と仮定して、総務省文書で名指しされた「サンデーモーニング」はナゼ現在も放送されているのか?
    小西議員に答えて欲しい。

  • Theコニシ氏の発言聞くと
    盗っ人に泥棒呼ばわり
    されちゃった(^_^.)
    という感覚。

  • 総務省「発言者の確認を取らないで作成されたこと、作成者・同席者ともに個々の内容を覚えていないことより、総務省として、この文書が正確か否かをお答えすることは、現時点では無理かと思います。」

    この答弁から、小西某等は「大臣レク」があったと断定する。前回の現総務大臣の個人的感想を公式発言にすり替えたやり方とまったく同じ。

    小西はじめその一派が発言趣旨を捻じ曲げて人々をミスリードするのを、日本国民・有権者はしっかり見ています。彼らの愚劣な行為は、決して忘れません!

  • 昨日もコメントいたしましたけど、「大臣レクがあった可能性が高い」みたいな、確度がいい加減なレベルの答弁を根拠にして、大臣の首を飛ばすだのなんだのという話を、国会の場でやるなと言いたいですね。

    総務省のお役人さんも、小西さんも、ちょっと頭のレベルが低すぎです。

    こういう、雰囲気だけでバカ騒ぎしている野党の政治家のせいで、国会の時間が無駄に消費されるのは、本当に日本にとっての損失だと思います。

1 2