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若手に見放されるテレビ業界は「自己変革」できるのか

東洋経済オンラインにTVプロデューサーの村上和彦氏が寄稿した記事によれば、テレビからの視聴者離れが進み、スポンサーも離れつつあるなかで、若手が業界を去り、就活人気ランキング上位100社からも姿を消したそうです。この「視聴者離れ、スポンサー離れ、クリエイター離れ」は、まさに当ウェブサイトで3年以上前から取り上げている「三重苦」現象そのものです。老婆心ながら、テレビ業界はまだ余裕があるうちに対策を講じるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

相次ぐ若手アナ退社を巡る山田美保子氏の指摘

人気アナが次々退社:「有能な若手」が去るテレビ業界』では、テレビ業界から「若手の人気アナウンサー」が次々とテレビ局を去り、異業種へ「転身」を遂げている、とする話題を取り上げました。

3年前、当ウェブサイトでは「テレビ業界からクリエイターが逃げ出している」とする東スポWEBの記事を話題に取り上げました。こうしたなか、デイリースポーツには14日付で、在京キー局の若手の人気アナウンサーが続々と退社し、転身を遂げているとする記事がありました。有能な人材ほど安定した職を捨て、新天地を目指す傾向があるのはどの業界にも共通します。かつては経営危機に直面しつつも復活を遂げた「日の丸金融」、滅亡がほぼ確定した新聞業界などと比較し、テレビ業界の事情を探ってみましょう。放送作家、人気アナの退社を「...
人気アナが次々退社:「有能な若手」が去るテレビ業界 - 新宿会計士の政治経済評論

具体的には、放送作家でコラムニストの山田美保子氏が指摘する通り、3月末で日本テレビを退職する人気男性アナウンサーはeスポーツキャスターに転身する予定であるほか、ここ数年で「帯番組のレギュラーを持っていた人気アナウンサー」が次々とテレビ局に見切りをつけているのです。

たしかに記事で挙げられている事例は、ひと昔前によく見られた「定年間近で早期退職」、「同業他社への転職」、「退職してフリーランスになる(がテレビ業界に留まる)」、といったものとはまったく異なっています。

特徴としては、退職するのは若手であり、多くの場合はテレビ業界の外に行ってしまう(映像や報道関連業であることもあれば、まったくの異業種であることもある)、という点にあるのです。

もちろん、個別の退職例については、事情はさまざまですが、その反面、かつてであれば「何らかの事情」があってもテレビ局に踏みとどまっていたであろう事例においても、それを押しとどめるだけの魅力がテレビ業界にはなくなっているという証拠かもしれません。

ダメな業界からは若い人・有能な人から順にやめていく

このあたり、著者自身も会計監査などを通じ、いくつかの会社に関与した経験から申し上げるなら、たしかに伸びていく業界だと若手が非常に多いのですが、ダメな業界・落ち目の業界だと、若い人、有能な人から順番に業界を去っていきます。

転職先は関連業種であったり、外資系企業であったりと様々です。

先日も取り上げたとおり、人気作家・黒木亮の小説『巨大投資銀行』に登場する「桂木英一」も、旧態依然とした大手都市銀行である東都銀行を退職し、米国の投資銀行・モルガンスペンサーに転職しました。

もちろん、外資系企業の多くは、一般に成果主義が貫徹されており、なかには「成果が上がらなければ容赦なく首が切られる」というケースもあります(※この点、先日の読者コメント欄にも外資系証券の厳しい実情に関してコメントをいただきました。ありがとうございました)。

実際、1990年代から2000年代にかけて、邦銀からは多くの人材が他業界に流出しましたが(※著者自身もそうした知り合いが多数います)、「桂木英一」が邦銀から飛び出したのと同じような現象が、現在のテレビ業界にも生じているのかもしれません。

村上和彦氏、テレビ局を「魅力的な企業ではなくなった」

こんなことを考察していたところ、大手のウェブ評論サイトにも似たような問題意識に基づく考察が掲載されていたようです。

テレビ局から有力社員が次々いなくなる深刻事情

―――2023/02/16 5:40付 東洋経済オンラインより

記事を執筆したのはTVプロデューサーで京都芸術大学客員教授でもある村上和彦氏です。そして、記事には『羨望の的だったはずが魅力的な企業ではなくなった』というサブタイトルがついていますが、おそらく「人材面」から見た現在のテレビ業界の問題点は、このサブタイトルに尽きるのではないでしょうか。

記事の内容や東洋経済に掲載されたプロフィールなどによると、村上氏自身は1965年生まれで、日本テレビの制作局で幅広いジャンルの番組に携わるなどして2014年に退職し、制作会社を設立して「フリー」的なスタンスで各局の番組に携わっています。

そんな村上氏だからでしょうか、この記事はテレビ業界に対し、かなり辛辣です。というのも、記事を読むと、どうもテレビ業界自体が沈下していることがうかがえるからです。

この点、昨日紹介した山田氏の記事と同様、村上氏の記事でも、ここ数年におけるテレビ局の退職・転身事情に「大きな変化が起きている」ことが指摘されます。

映像制作を行う企業に転職しながらも、その主戦場がネット、つまり『地上波テレビ』ではないというケースも出てきているからだ」。

村上氏によると、彼らは自身の「コンテンツ制作力」を「テレビ局ではないところ」で発揮することを選択している、というのです。しかも、村上氏自身の場合、退職したのは49歳のときだったのだそうですが、最近ではそれよりも遥かに若い30代での転身も目に付くというのです。

30代後半から40代といえば、「演出・プロデュースの『基礎体力』が身に付き、社内外で仕事上の信頼関係ができあがり、次々と大きな仕事を任せてもらえる」(※村上氏)はずの年代ですが、その「力を存分に発揮できる」年代を迎えるより前にテレビ局を退職するというのが、最近の傾向だ、というのです。

これに関する村上氏のこんな指摘には、テレビ業界関係者はドキッとするのではないでしょうか。

若い彼らにとって『40代以降のテレビ局』は、〝本領を発揮できない場所〟だと思ったのではないだろうか」。

カネがない!

では、その「本領を発揮することができない場所」と化している理由は、いったい何でしょうか。

村上氏の論考のなかで、その要因として挙げられているのは「コンプライアンス上の制約」もさることながら、もっと差し迫った事情が「カネ」です。

たとえばテレビのスポンサー離れが続いている影響か、番組予算は減り続けており、「増加は見込めない」状況です。村上氏によれば、スポンサー企業が購買ターゲットとして望む「10代~30代の若い世代」が少子高齢化とともに減り続け、さらに若年層を中心とする視聴者のテレビ離れが続いているからだそうです。

(※といっても、ネット広告費は右肩上がりで増え続けていることを思い出しておくと、「若年層のテレビ離れ」は「少子高齢化」だけが原因ではないとは思うのですが、この疑問点については、ここではとりあえず脇に置きたいと思います。)

ただ、村上氏によれば、現在、テレビで高視聴率を誇っている番組の多くも「高齢の視聴者が支えている」と指摘したうえで、こうも述べます。

YouTube、Netflix、Amazon Prime Videoなど他の動画コンテンツが溢れている時代に、テレビに再び視聴者が戻ってくることはあるのだろうか」。

じつは、この点こそが、現在のテレビ業界が置かれている最大の問題点です。

昨今の若年層が(※そしておそらく数年後には高齢層も)地上波テレビに見切りをつけているというのは、結局のところ、社会のネット化に伴い、地上波テレビに取って代わる魅力的な動画コンテンツに容易にアクセスできるようになり始めているからです。

年収も低下、就活学生からも見放される

そして、テレビ局の視聴者離れの結果、当然の結果として生じるのは「年収の低下」です。

村上氏は、「辞める理由」として「正面切って言われることは少ない」としつつも、かつては30歳前後で1000万円を超えることも珍しくなかったテレビ局従業員の年収が下がり、上場テレビ局7社の平均年収がこの5年で「ざっと15%くらい減っている」とする東洋経済の集計を紹介しています。

本社の中枢機能を担う純粋持ち株会社を軸にしたうえでの計算なので、現場ではもっと減っているかもしれない。現在テレビ局に対して『高年収の企業』というイメージは薄れてきただろう」。

その結果、何が起こるのか――。

必然的に、就活人気が低下します。

就活学生たちによる『就職人気ランキング』でもテレビ局は凋落の一途である。/15年前の2008年に『週刊東洋経済』の就職人気ランキング1位は『フジテレビ』だった。そして、20位以内にテレ朝、日テレ、TBSと各局がランクインしていた」。

ところが、昨年の『就職四季報プラスワン』によると、民放キー局はトップ100に「ひとつも入っていなかった」というのです。これこそ、当ウェブサイトで3年前の『テレビの三重苦:視聴者、広告主、クリエイター離れ』などでも指摘した、テレビ業界の凋落の姿でしょう。

先日の『そもそも視聴率って信頼できるんでしたっけ?』に対し、一部のコメント主様から、いろいろと面白い情報を教えていただき、またそれをもとに様々なサイトを調べると、なかなか興味深いことが判明しました。それは、テレビCMでは「GRP(延べ視聴率)」という概念が重視されていて、関東地区の場合だと「1GRP」を獲得するためにはだいたい10万円くらいだ、ということらしいです。もっとも、先日も報告したとおり、テレビの視聴「率」は視聴「者数」あるいは視聴「回数」とはまったく異なる概念であり、もし自分自身が企...
テレビの三重苦:視聴者、広告主、クリエイター離れ - 新宿会計士の政治経済評論

なお、いちおう念のために付言しておくと、現時点においてもテレビ業界は「儲かっている」業種です。

少なくとも在京キー局(の持株会社)の決算に関していえば、売上高や純利益などは各社によりまちまちですが、それでも「もうすぐかつての大手紙が倒産するのではないか」などとささやかれている新聞業界などとは異なり、どの社も基本的には「経営難」の状況にはありません。

また、在京キー局(の親会社)の場合、平均年収は1000万円前後とされます(※ただし、フジ・メディア・ホールディングに関しては2022年3月末時点で1000万円を割り込んでいるようです)。

これに対し、国税庁『民間給与実態統計調査結果レポートの2021年12月末時点における民間平均給与は443万円ですので、たしかにテレビ業界自体は現在でも年収はそれなりに高いようであり、その意味ではまだ恵まれているのかもしれません。

しかし、テレビ業界も現在、視聴者の獲得を巡って、ネットの動画サイトなどとの競争を余儀なくされています。

村上氏の論考でも出てきた各種動画サイトももちろんそうですが、最近だとYouTubeやニコニコ動画などでも、明らかに「テレビ業界人ではない人」が作った動画が再生人気ランキングの上位に入っていますし、逆にユーチューバーがテレビに出演する、といった事例も増えているようです。

このように考えていくと、テレビ業界が直面する「視聴者離れ・スポンサー離れ・クリエイター離れ」の三重苦は、これから厳しくなることはあっても楽になることはないでしょう。

新聞業界は滅亡寸前、テレビ業界はどうなる!?

このあたり、同じ「マスメディア」ないし「オールドメディア」と呼ばれ、すでに業界としての「転身」ないしは「死」を目前としている新聞業界(『新聞業界を待つ未来は「ウェブ化」「趣味化」「倒産」』等参照)の事例が参考になるかもしれません。

新聞の本源的価値は「新聞紙」ではなく「情報」新聞社を待つ未来は、基本的に3つしかありません。1つ目は不動産業などで儲けつつ、「趣味の範囲」で新聞を発行すること。2つ目は産経などのように、ウェブ戦略に特化すること。そして3つ目は廃業・倒産です。このどれを選ぶのかは個別の新聞社の自由ですが、そもそも新聞の本源的価値は「情報が印刷された紙」ではなく「紙に印刷されている情報」のはず。そうであれば、紙媒体の発行を取りやめ、ウェブ媒体に特化するのが、新聞社にとっての合理的な経営判断ではないでしょうか。急...
新聞業界を待つ未来は「ウェブ化」「趣味化」「倒産」 - 新宿会計士の政治経済評論

新聞業界の場合、ウェブ戦略である程度うまくいく未来が見えている産経新聞社や日経新聞社、セグメント利益で不動産事業がメディア・コンテンツ事業を上回りつつある朝日新聞社などの例外を除けば、いずれも倒産・廃業の未来しか見えてきません。

ただ、こうした新聞業界とは異なり、テレビ業界にはまだ多少の猶予があります。老婆心ながら、変革するならば「いまこの瞬間」のゴールデン・タイムを逃すべきではないのではないか、などと申し上げたいと思います。

もしもテレビ局経営者が合理的な発想を持っているならば、たとえば過去にテレビで放送されたアニメ、ドラマなどの人気コンテンツを映画やゲーム、テーマパークなどに大々的に展開する「総合エンタメ企業」に転身する、といったことも考えるべきでしょう。

この場合、思い切って「報道部門は切り捨てる」、「地上波の免許は返上する」などの方策を講じるのも手です。テレビ朝日などは報道・ワイドショーから撤退し、株式の相互持合関係にある東映などと経営を一体化し、コンテンツビジネスに特化すれば、もしかしたら「日本版ウォルト・ディズニー」に化けることができるかもしれません。

民放テレビ局がこうした「思い切った経営の転身」を図ることができるのかどうかは、それこそテレビ局次第でしょう。

ただ、新聞業界と同様、テレビ業界も「謙虚に反省する」ということができない業界です。

著者自身、自民党が下野し、民主党政権が誕生するきっかけを作った、2009年8月30日の第45回衆議院議員総選挙をもって、日本のメディアは死んだと考えている人間のひとりです。

民主党政権禍をもたらしたのは、新聞、テレビを中心とする苛烈な偏向報道ラッシュであり(『立憲民主党の先祖返り、今度のポスターは「変えよう」』等参照)、その民主党政権自体は3年3ヵ月で崩壊したものの、政権交代の悪夢は日本国民の記憶に深く刻まれてしまっています。

まずは代表から「変えよう。」いまから12年前の2009年8月、麻生太郎総理大臣との党首討論会の最後に、鳩山由紀夫・民主党代表はヒトコト、「チェンジ!」と叫びました。そして、最大野党・立憲民主党は昨日、あらたなキャッチコピーを発表しました。それはなんと、「変えよう。」、です。麻生総理と鳩山代表の党首討論ちょうど12年前のいまごろでしたでしょうか。麻生太郎総理大臣が衆議院を解散し、日本は選挙に突入。21世紀臨調は2009年8月12日、自民党の総裁でもある麻生総理と、当時の野党・民主党の鳩山由紀夫代表の2名を招い...
先祖返りする立憲民主党、今度の標語は「変えよう。」 - 新宿会計士の政治経済評論

民主党(やその後継政党である民進党、立憲民主党など)が民主党政権の総括をしたとする話は聞きませんが、新聞、テレビが同様に、2009年8月30日の総選挙に至る偏向報道を巡って国民に謝罪し、原因を調査し、再発防止策を講じたとする話もとんと聞きません。

やはり、「情報独占」という長年の「ぬるま湯」に浸かり、腐敗し切ってきた業界に、自己変革など求める方が難しいのかもしれません。著者自身はなんとなく、現在の日本のテレビ局の場合は「業態転換」を図るためのゴールデンタイムを逸し、このまま新聞社的な未来を突き進むような気がしてなりませんが、いかがでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (12)

  • 毎度、ばかばかしいお話しを。
    広辞苑:「テレビとは、高齢者が話しかける相手のことである」
    そのうち、私もテレビ画面の玉〇徹氏に、話かけるようになるのでしょうか。

    • ふと思ったのですが、もしAIが画面の玉〇徹氏を動かして、高齢者と会話できるようになれば、テレビの役割が一つ減ることになるのでしょうか。(それはそれで、怖いかもしれませんが)

  • YouTubeを開いたら「羽田まで送迎タクシー一人XXXX円~」の広告が出てきた。それもしつこく。なぜ私が羽田に行くことを知っているのだろう?
    自分でも忘れていたのだが数日前に、羽田に朝早く着く品川発の電車をネット検索していたのだ。このピンポイントの広告を見て「テレビ広告はネット広告に勝てないな」と感じた。

  • 「就職人気ランキング、15年前は1位は『フジテレビ』だった。そして、20位以内にテレ朝、日テレ、TBSと各局がランクイン」。今なら就職人気ランキングになんて、入るはずないでしょう。親方(新聞社)コケたら皆コケた、になりますよ。

    そういえば、2008年に東京へ家族旅行した時、ホテルで「お台場に行かれますか?」と聞かれた。要は行かせたら、なんらかのインセンティブがホテルにあるようだ。時間があったので予約をして貰い、中に入ったが暑苦しくてやってる事も面白くない。食べ物は最悪。冷たい水をオーダーしたのに、ぬるい水(笑)。

    「何がおもろいのんか分からん。出ようか」と4人とも不機嫌になってヨソに行きました(笑)。まだ小学生だった次男は「あれ、テレビでやってるとこやんな。しょうもな〜」(爆笑)。全員二度と行ってません。底が浅い、マスコミに踊らされていたんですねー。

  • テレビ局自体は電波を発する装置にすぎない。
    アメリカでテレビ局の買収が盛んだったころ「ただの筒」と呼ばれていたのを思い出す。
    テレビ局の価値というものはコンテンツで決まると言いたいのだと思う。

  • 現在のTV局の上の連中が若かったころは、何もしなくても業界が勝手に右肩あがりをして業績がどんどん良くなった時代です。

    そんな時代を経験している、上層部が自ら改革などできるはずはなく、自分が退職して退職金をもらうまで、何事もなく過ごせれればそれでよいと思っていると思われます。

    まあ茹でガエル状態になっていると思いますので、何もしなくてゆであがるだけでしょう。ただ一抹の不安は、既得権益とがっちりと結びついているNHKあたりが民放救済のとんでもない奇策(国民負担案)を出してくるやもしれません。これだけが心配です。

  • 最近の若者は、と言っても私のようなジジイでも、服屋、靴屋などで店員に付きまとわれるのはごめんだと思います。
    我が家にはTVがなく、たまに病院の待合室とか食堂でTVを見ますが押しつけ、決めつけがひどい事には辟易します。tubeの番組はこういったことが少なく、親近感を持つことが多いと感じます。
    まぁ、オワコンですよね。

  • 玉川某みたいな人間が幅を効かせる、重宝されるような会社に期待する若手はおらんでしょうな。
    という気がします。

  • 私だったら、これまでの地上波テレビのやり方ぶっ壊れると思う。
    立花孝志の「NHKをぶっ壊す」を基準に民放テレビさえスポンサー離れ加速によって。
    契約するなら、BSだけどチューナーレスはU-NEXTかNHK+かな?

  • 評価の尺度が 「視聴率」 しかない地上波テレビでは、熱心に見ている視聴者と、ほかの事をしながら 「ながら見」 している視聴者に違いはなく、熱心な視聴者が 「録画して、後でゆっくり見よう」 という行動をとろうものなら、視聴率にカウントされなくなってしまいます。

    それをテレビ局の側もわかっているのか、最近はドラマやアニメのような 「録画されやすい番組」 「好きな人しか見ないが、好きな人はお金を払ってでも見る番組」 は、積極的にネットなどの有料配信にまわしているように見えますね。そうして地上波テレビに残ったのが、ワイドショーなどの情報バラエティー・・・。

    >思い切って 「報道部門は切り捨てる」、「地上波の免許は返上する」 などの方策を講じるのも手です。

    可能なら、それが一番良いでしょうね。ただ、実行するには、いろいろとハードルが・・・

    〇あるジャンルに特化した専門局として地上波放送を続けることは可能か?
     ・地上波の民放テレビ局は、全て 「総合局」 として放送免許が交付されているはず。(教育専門局として開局した局もあるが、現在は全て総合局)
     ・電波使用料はどうなる? (テレビ局の電波使用料が格安なのは 「報道=国民の知る権利を担保しているから」 というタテマエがあるからでは?)

    〇地方の系列局をどうする?
     ・そもそも全国放送するのに、カネのかかる 「地上波の全国ネット」 という方法を、衛星放送やネット配信に変えるだけで、かなりのコストが浮く。
     ・関東や関西には、どこの系列にも属さない 「独立局」 があるのだから、地方局もやり方によっては生き残れるか? (でも1県に4局とかは無理そう)

    それにしても、地デジ化 (地上波のデジタル化) から、たった10年で、この惨状・・・地デジ化のために、国費も1兆円近く使われました。これは今どきの言い方をすれば 「テレビ業界による公金チューチュー」 ですよ。

    地デジ対策に投入される国費はなんと総額9344億円!!! | アゴラ 言論プラットフォーム
    https://agora-web.jp/archives/1425761.html
    ※2012年の記事なので、その後、さらに増えている可能性あり

  • 読者コメント欄が廃止になってから東洋経済オンラインは価値が半減してほとんど見ていなかったのですが、こういう興味深い記事もあるのですね。これからは時々覗いてみようかと思います。

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