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ANAの大型出発案内板撤去は利用客に支持されるのか

何でもかんでもモバイルデバイス、という時代ではあります。しかし、「すでにあるもの」を撤去して、「今後はモバイルデバイスに情報を配信します」、は正しいのでしょうか?ANAは羽田空港の大型サイネージ(電子掲示板)を撤去すると発表したそうですが、ここで個人的に思い出してしまうエピソードは、某人気ハンバーガーチェーン店が10年前にレジ前のメニューを撤去し、また元に戻したというものです。

スマホもPCも便利、便利!

個人的には新聞もテレビもまったくといって良いほど見なくなり、情報はもっぱらインターネットで取得するという生活を20年近く続けているわけですが、それで現在のところ、生活に困るということはありません。

また、10年以上前にスマートフォンを手にしたこと、出張などに際しては小型のノートPCを持ち歩くようになったことで、基本的にどこにいても仕事ができるようになりましたし、最近だと業務のペーパーレス化も急激に進み、個人的には満足しています。

ただ、だからといって、何でもかんでもPC、スマートフォンで済ませられるのかといえば、そこはまた微妙でしょう。

とくに、やはり駅に行ったときに駅名標や電車の接近表示、現在時刻、電車に乗ったときの停車駅の表示などについてはあってほしいと思いますし、空港に行くと、自分が乗る予定の飛行機の出発ゲートと搭乗開始時刻の目安についても表示してほしいというのが偽らざるホンネです。

このあたり、著者自身が使用している新幹線やJALのアプリだと、日々、使い勝手は改良されていますが、やはり駅や空港に到着したときの案内表示は、多ければ多いほどうれしい気がします(著者も年を取ったからでしょうか?笑)。

ANAがサイネージ撤去とアプリへの情報配信

こうしたなかで、少し気になる話題があるとしたら、ANA公式ツイッター・アカウント @ANA_travel_info が1月30日付で発信した、こんなツイートです。

ANAによると、羽田空港第2ターミナルの保安検査場上部に設置されていた大型デジタルサイネージ(出発案内板)が、2月9日をもって撤去され、「今後はお客様のモバイルデバイスに必要な情報をお届け」することになったのだそうです。

ネットでは批判一色?

必要な情報(自身が搭乗する便が何時に何番ゲートから搭乗開始となるのか、など)がモバイルデバイスに届くというのは便利ですが、だからといって、なぜそれが「大型サイネージを撤去して良い」という話につながるのでしょうか?

ANAによると「出発フロア中央左右のデジタルサイネージや各所小型モニターは残る」、などとしているのですが、理由になっていません。

これに関し、『ねとらぼ』の『ANA、羽田保安検査場上部の大型サイネージ撤去しアプリに情報配信 「高齢者切り捨て」と批判も 撤去の理由聞いた』という記事によれば、ANA側の言い分はこんなものだそうです。

表示できる便情報が直近1時間程度と限定されていることから、更新のタイミングで撤去することに致しました。現在設置されている34台の中小型モニターは今後も継続して設置いたします。また、お客様にはモバイルデバイスで必要な情報を入手していただくべく、ANAアプリのダウンロードをお願い致しております」。

そもそも、表示を確認する需要は直近1時間程度で十分でしょうし、また、スマホについては充電が切れそうになっているケースにおいて、ほしい情報が手に入らないという可能性については、考えなかったのでしょうか?

なんだかよくわかりません。

実際、ツイッターでもANAの決定に対し、(理解しているものは皆無ではないにせよ)圧倒的多数は批判的です。

某ハンバーガーチェーンはメニューを撤去したが…

このあたり、個人的に思い出すのは、某ハンバーガーチェーン店が今からちょうど10年前にレジカウンター前にあるメニューを撤去したというエピソードでしょう。これに関して当時の社長は「スピード重視」、「むしろお客様のベネフィットのためにやった」などと反論をしていました。

メニュー撤去にマクドナルド原田社長が反論

―――2012/11/01 21:43付 東洋経済オンラインより

しかし、それから10年経過した現在、このチェーン店に行けば、レジのメニューは復活しており、アプリで注文(モバイルオーダー)することも、レジのメニューを指さしながら注文することもできるようになっています。

いずれにせよ、ANAのサイネージ撤去という判断が「顧客を無視した姿勢」なのか、それとも「顧客の利便性を高める行動」なのかは、それほど遠くない未来に判明するでしょう。

新宿会計士:

View Comments (18)

  • 鉄道の駅を見れば、どれほど愚かしいかよくわかりますね。
    駅の改札の上あたりにある直近の便の掲示、あれがあるとないとでどう違うのか想像すると……
    目線を上に上げれば情報を確認できたのが、今後は周囲の小型モニターを探すかスマホアプリを入れるかしないと情報が確認できなくなる。

    さて、皆さんいかがでしょうか?
    ついでに言うなら常に定時運行しているわけじゃないんですよね……
    遅延・運休などがパッと確認できるのも大きいと思うのです。

    • >鉄道の駅を見れば、どれほど愚かしいかよくわかりますね。
      >駅の改札の上あたりにある直近の便の掲示、あれがあるとないとでどう違うのか想像すると……

      しかも少なくとも日本の場合,鉄道便に比べて航空便の遅延は遥かに高頻度で発生しますから,乗客が自分の乗る便の情報の確認の必要性は航空便のほうが鉄道便よりも遥かに高いですからね.

  • まあ、不便ならANAを使わなければ良いだけだと思います。消費者は賢いから不便と思えばそのサービスは使わないし、NHKに犯罪的ボッタクリ高額受信料金を強制徴収されたくなければチューナ付テレビを捨てます。ANAの判断が「顧客を無視した姿勢」なのかどうか?わかりませんが、ANAは『顧客からは無視』されないと思っていませんか?わかりませんよ。ふふふ。

  • ANAはさらに3月末でSkipサービスも廃止し、4月以降はオンライン・チェックインのみにするとアナウンスしています。おそらくは、保安検査場でQRコードを表示させ、それを読み取る方式にするのでしょう。
    思うところは人それぞれでしょうが、個人的にはかなりの違和感を感じてしまいます。多分、4月以降、国内線ではANAしか飛んでない路線を除き、ANAを使うことは当分なくなるでしょうね。

  • やってみなはれって感じ
    一番ダメなのが文句ばかりで何もやらないこと
    はい、マスコミのことです

  • 素直に「設置費用や維持・運営費が掛かってしかたがないから」と言えばお客さんも「しゃーねーな」と、反発は少なかったのかも。

  • そう言えば,昔々あった回転式の出発・到着案内板が,いつからディスプレーモニターになったかも,きちんと認識してなかったです。まあ,いいかな。でも,アプリがスマホに溢れて,沢山画面をスクロールしないと見つけられないのが面倒。
    それより,JR東日本の駅ネットで買った特急券等が,JR東海の駅で受け取れないとか,何とかしてほしい。日本中,紙の磁気切符をやめて,QRコードに統一するとか。そうすれば,切符の自動販売機も不要になる。学割だけ面倒かな。学生証を自動認識できるようにできればいいですが。ただ,高齢者の一部が乗れなくなるかな。

    • 回転式の出発・到着案内板は機械的な動作部があるので,その機械部分の動作を正しく維持するために定期的な部品交換や潤滑剤の補給などが不可欠で保守コスト=維持費が高いですが,液晶ディスプレイは機械的な動作が皆無ですから保守コストはほとんどかからず維持費は電気代ぐらいな筈なんですけどね.

      明らかに少なからぬ乗客にとっては利便性が明確に劣化するのに,日本を代表する航空会社であるのに,日本を代表する空港でこの程度の設備さえ維持せず撤去して経費節減に邁進するという経営姿勢には溜息しか出ません.

      個人的には,そこまで強引な経費節減を進める航空会社なんて怖くて乗りたくありません.経費節減のために機体整備においてどこまで削らせているか知れたものではないからです.

      • 失礼,液晶ディスプレイでも維持費としては電気代以外にも設置場所の使用料などが必要でしょうね.

  • 大画面の撤去は少なくとも利便性の向上にはならんですよね。
    コストカットなんでしょう。旅客業界の厳しさは相当なもののようですし。
    まああれほど巨大でなくても、24インチくらいのモニタをあちこちに置いとけば、それでいい気もします。
    空港らしさは失われますけど。(笑)

    先日、館内放送が聞き取りにくい空港内の待合室にいたら、搭乗口の変更があったことをスマホの通知機能で知り助かりました。便利になったもんです。
    空港の巨大画面を見ることも殆どなくなってます。
    ただ、航空会社のアプリをきっちり設定するような使い込む人ばかりではないですし、たまにしか飛行機に乗らない人などにも厳しいですよね。

  • 「淘汰」
    が作用していることが大事なのであって、淘汰の前にどうだったかとか、淘汰の後はどうあるべきだとかを論じることは、おこがましいかと。
    見えざる手に委ねるだけでしょ。

    似た例として「タッチパネル式インターフェース」
    ユーザーからすれば、従来の機械式スイッチの操作系と比べたら、よい点なんかありません。
    操作ミスしやすいし、ブラインド操作できない(操作に視線を必ず要する)し、揺れたり濡れたり悪条件で使えないし、バックライトが落ちたら操作不能だし。

    それなのに世の中ではタッチパネル式インターフェースが機械式を駆逐しています。
    供給側からすれば、タッチパネル式インターフェースは圧倒的に安く作れます。

    機械式だと100個の製品があれば100個の設計と100個の金型と100個の部品と100個の整備要領書が必要ですが、タッチパネル式インターフェースだと全て共通部品。
    設計変更があったら機械式だと全部やり直しですが、タッチパネル式だとバージョンアップすれば完了。

    見えざる手による淘汰は、タッチパネル式インターフェースを選択しているように見えます。
    こういう対象には、ぶつくさ言うより長所をどう生かすかを論じる方が建設的かもしれないですよ。
    (笑)

    個人的には、過渡期が終われば(デファクトスタンダードな操作系が確立したら)タッチパネル式インターフェースから機械式インターフェースへの揺り戻しがきっと来ると考えております。
    (タッチパネル式インターフェースは大嫌いなので。)

  • 思慮の浅い経営者も沢山居るのが現実だと思います。
    顧客の利便性に配慮しないサービス業は淘汰されていくと思います。
    これで料金が安くなるなど利用者にメリットがあればまだ良いのですが。
    サービス、利便性の低下は競争力の低下につながるのではないでしょうか?
    まあ全日空の勝手ですが。
    株価は下がるかもしれませんね。
    社長は、「新しいことをやっている俺ってすごい」と思っているのかもしれませんが。
    無能な働き者の典型と言うべきかと思います。

  • 久しぶりに空港行った人目面食らうのでは?
    外国人はどうなるんだろう。

    乗り遅れ続出の予感。

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