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    Categories: 外交

「日本に非を認めさせる努力」しかしていない韓国政府

当ウェブサイトに優れたコメントを残してくださる「カズ」様という読者の方が、またしても重要なことを指摘しました。自称元徴用工問題を巡って、韓国政府は「日本に非を認めさせる」ための努力しかしていない、というのです。まったく言い得て妙と言わざるを得ません。もっとも、こうした韓国政府の努力も徒労に終わる可能性が出てきました。福島第一原発ALPS処理水、佐渡金山世界遺産登録という、韓国自身の強欲が作り出した問題がその原因です

歴史問題とその対応

日韓諸懸案を象徴する「自称元慰安婦問題」

日韓諸懸案の象徴であり、その典型的な事例といえば、自称元慰安婦問題でしょう。

そもそも論として、自称元慰安婦問題とは、「戦時中、日本軍が組織として朝鮮半島で少女のみ20万人を強制的に拉致し、戦場に強制連行して性的奴隷として働かせた問題」である、などとされていますが、これ自体かなりムチャクチャな言い分です。そんな証拠など、まったく存在しないからです。

もしこの主張が事実なのだとしたら、日本軍の命令書がただの1枚も残っていないことも、当時人口が約2000万人だったとされる朝鮮半島で1%に相当する人口が拉致されたというのも、戦時に日本軍が貴重な輸送手段を使ってそれだけ大量の人員を輸送するというのも不自然です。

というよりも、韓国が主張する自称元慰安婦問題の特徴は、「20万人が拉致された」などと主張するわりに、「いつ」「何人が」「どこに」送られたか、といった基本的な統計すら存在しない、という点にあります。

結局のところ、こうした状況証拠を説明する最も適切な答えは、「自称元慰安婦問題自体がそもそもの捏造である」、です。このように状況証拠を積み上げていくと、結局のところ、問題の本質は、「韓国がありもしない問題をでっち上げ、日本国の名誉と尊厳を傷つけ、不法な請求をしていること」に行き当たるのです。

日本政府(宏池会政権)にも「二重の重過失」があった

ですが、この自称元慰安婦問題をめぐっては、日本側は一種の「政治判断」として、「事実である」と認めたうえで謝罪してしまったのです。奇しくも宮澤喜一内閣という「宏池会政権」の時代に、ときの官房長官が発した談話がその諸悪の根源なのです。

その結果、何が生じたか――。

結論からいえば、官房長官談話は自称元慰安婦問題をめぐって「日本政府が公式に事実と認めた動かぬ証拠」として、韓国側に現在でも利用され続けています。そして、日本軍慰安婦問題は「人道に対する犯罪だから時効はない」、というのが、おそらくは韓国側の言い分なのでしょう。

そのうえで、日韓間の1945年8月15日時点のあらゆる請求権の問題については、日韓間ではお互いに請求ができないこととされています。これがいわゆる日韓請求権協定の規定です。

しかし、自称元慰安婦問題をめぐっては、この原則が破られています。2015年12月に日本政府が韓国政府と取り交わした日韓慰安婦合意では、韓国政府が設立する「和解・癒し財団」に、日本政府が政府予算から10億円を支払ったからです。

その意味では、自称元慰安婦問題を巡っては、「ありもしない罪を日本側が認めてしまったこと」、「日韓請求権協定の規定を日本自身が破って、韓国の自称被害者らに対してカネを支払ってしまったこと」という点において、「二重の重過失問題」という言い方ができるのです。

自称元慰安婦問題に関する日本の「二重の重過失」
  • ①韓国側が主張する「被害」の多くが韓国側によるウソ、捏造のたぐいのものであるにも関わらず、そのウソをあたかも事実であるかのごとく、日本側が認めてしまったこと
  • ②国際法の根拠がない韓国側の謝罪・賠償要求に対し、日本側が安易に応じてしまったこと

(【出所】『【総論】韓国の日本に対する「二重の不法行為」と責任』等参照)

昨年、『旭日旗騒動再び 多くの人々を傷つけた韓国人の罪深い行動』で報告した、米ロサンゼルスの学校の壁画塗り潰し問題に「続報」がありました。米LAタイムズによると、焦点の壁画を巡り、作者のボー・スタントンさんが自身の監修下での修正に合意したとのことです。旭日旗と無関係の壁画に…当ウェブサイトでは昨年、『旭日旗騒動再び 多くの人々を傷つけた韓国人の罪深い行動』のなかで、米ロサンゼルスの学校の壁画を巡る騒動について取り上げました。https://shinjukuacc.com/20181218-04/「事件」のあらましは、壁画家のボー...
LAの学校の壁画が修正へ 被害者でなく加害者としての韓国 - 新宿会計士の政治経済評論

日本式解決の間違いと経済制裁法制の必要性

その意味では、この自称元慰安婦問題は、日本人が絶対に忘れてはならない性質のものであり、次世代に語り継がなければならないというものでもあります。

「相手が怒っているんだから、とりあえずは『足して2で割る』の発想で罪を認めて謝ってしまえ」、「一回ちゃんと謝っておけば、相手もきっと水に流してくれる」、などという日本人的な感性は、残念ながら韓国には通じないからです。

むしろ、自称元慰安婦問題で最適な対策は、「ウソの問題を主張していること」に対する制裁でした。

現代国際社会では、「歴史問題でウソをついて相手国の名誉を傷つける」という行為により戦争を仕掛けるのは少し難しいかもしれませんが、時代が時代なら、虚偽の罪状を捏造して相手国の名誉と尊厳を貶めているという時点で、戦争が勃発していても不思議ではありません。

もっとも、制裁にはさまざまな手法があり、なにも軍事的手段によらずとも、当ウェブサイトで「サイレント型の経済制裁」と呼んでいる手法――たとえば入国ビザの厳格化、輸出管理上の区分の厳格化、支払いの制限など――を通じて相手国に痛みを与えることはできるはずです。

さらには、『「自民党が韓国に金融制裁検討」:外為法改正の実現を』などでも提唱したとおり、経済制裁の発動要件を大きく緩和することも手でしょう。

竹島問題を巡って、自民党内では「韓国に苦痛を与える対策」として、金融、投資、貿易など広範囲な制裁を検討し、来夏ごろまでに具体策を取りまとめるのだそうです。ただ、ことばだけ威勢が良くても困ります。現実の外為法などには、経済制裁に関する規定が十分にあるとはいえないからです。国会議員ならば、威勢の良いことばだけでなく、「具体的な法律改正」にまで言及していただきたいと思います。もし国会議員の方がいらっしゃれば、ぜひ、本稿を読んでいただきたく存じます。竹島問題を国際化するのは良いが…韓国警察庁長による竹...
「自民党が韓国に金融制裁検討」:外為法改正の実現を - 新宿会計士の政治経済評論
外国為替及び外国貿易法第10条第1項

我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときは、閣議において、対応措置(この項の規定による閣議決定に基づき主務大臣により行われる第十六条第一項、第二十一条第一項、第二十三条第四項、第二十四条第一項、第二十五条第六項、第四十八条第三項及び第五十二条の規定による措置をいう。)を講ずべきことを決定することができる。

現在の外為法第10条第1項の規定によれば、「わが国の平和と安全の維持のためとくに必要がある」場合に、7種類の経済制裁を発動することができる、と定めているのです。

外為法第10条第1項の閣議決定で発動可能な7種類の経済制裁
  • 第16条第1項措置…日本から外国への支払の制限
  • 第21条第1項措置…日本と外国との資本取引の制限
  • 第23条第4項措置…日本から外国への対外直接投資の制限
  • 第24条第1項措置…いわゆる「特定資本取引」の制限
  • 第25条第6項措置…役務取引の制限
  • 第48条第3項措置…輸出規制
  • 第52条措置…輸入規制

(【出所】著者作成)

外為法第10条第1項を改正せよ

どれも、非常にパワフルな措置ばかりです。

このなかでも特に強力なものは、第48条第3項の輸出規制でしょう。日本から韓国に対する輸出品目の多くは、「モノを作るためのモノ」、すなわち素材や部品、装置などであり、これらの輸出を止めれば、相手国の産業を壊滅状態に追い込むことができます。

もちろん、日本の輸出産業にとってもそれなりに大きな打撃は生じますが、品目をうまく選定すれば、日本が受ける以上の経済的打撃を相手国に与えることが可能です。その意味で、まさに輸出規制は大変に強烈な措置となり得るのです。

ただ、日本がこれら7項目の経済制裁措置を発動することができることは事実ですが、大変に残念ながら、実際の発動事例はさほど多くありません。最近だと北朝鮮やロシアに対する輸出規制が発動されていますが、たとえば韓国に対して輸出規制が発動された事実はありません。

なぜなら、第10条第1項の条文にある、「わが国の平和と安全の維持のためとくに必要がある」という文言が、かなりのクセモノだからです。

たとえば、「自称元慰安婦問題を巡る2015年12月の日韓慰安婦合意を韓国が一方的に破ったこと」などを理由に韓国に輸出規制を発動しようとしても、この第10条第1項の文言からは、それにはかなりの無理があるのです。

したがって、非常に残念なことですが、外為法第10条第1項の閣議決定で韓国に対する7つの経済制裁を発動することは難しいと言わざるを得ません。だからこそ、当ウェブサイトではかなり以前から、外為法第10条第1項を、たとえば次のように改正してはどうか、と訴えかけているのです。

外為法第10条第1項改正私案(※下線部)

我が国の平和及び安全の維持のため、国際法秩序の維持のため、我が国の利益を保護するため、その他これらに類する事情として政令で定める事実に基づき、特に必要があるときは、閣議において、対応措置(この項の規定による閣議決定に基づき主務大臣により行われる第十六条第一項、第二十一条第一項、第二十三条第四項、第二十四条第一項、第二十五条第六項、第四十八条第三項及び第五十二条の規定による措置をいう。)を講ずべきことを決定することができる。

(【出所】著者作成)

もしも韓国が自称元慰安婦問題に類似する「歴史問題」を仕掛けてきたときに、こうした「伝家の宝刀」を抜くための規定が存在すれば、非常に心強い話でもあります。

韓国政府の不毛な努力

自称元徴用工と呼応措置、そして鈴置論考

さて、先日の『韓国紙「強制徴用解決策に日本政府が呼応措置発表へ」』では、おそらく韓国政府側の発表でしょうか、自称元徴用工問題の解決とともに、日本政府がこれに呼応する措置として、「▼輸出規制の解除、▼ホワイトリスト編入、▼シャトル外交再開」――等の措置を講じる、とする話題を取り上げました。

またしても、韓国メディアがなかなかに強烈な話題を報じました。自称元徴用工問題を巡る「財団方式による解決案」に関連し、日本政府が▼輸出規制の解除、▼ホワイトリストへの編入、▼シャトル外交の再開、▼日本企業に対する財団への寄付金の募集――、といった「呼応措置」を発表する、というのです。基本的な事実関係にも齟齬があるなど、ツッコミどころ満載です。強烈な報道自称元徴用工問題を巡り、韓国政府・外交部が先週公表した「財団方式による解決案」に関連し、なんだか強烈な報道がありました。韓国発徴用対応策に合わせて日本...
韓国紙「強制徴用解決策に日本政府が呼応措置発表へ」 - 新宿会計士の政治経済評論

このあたり、「輸出規制」などという誤った用語を平気で使用している時点で、正直、「お話にならない」というレベルのものではあります。また、万が一日本政府がそんなことを考えているのだとしたら、日本国民としては大変に由々しき話です。

ですが、『鈴置論考が明かす「騙される政治家・騙されない国民」』でも取り上げたとおり、自称元徴用工問題を巡り、どうやら日本側(外務省あたりの役人でしょうか?それとも宏池会政権や日韓議連の政治家らでしょうか?)が、積極的に韓国のウソに騙されに行こうとしているフシがあるのです。

最新の鈴置論考を読んでいて痛感するのは、日本の政治家や小役人のレベルの低さであり、そして日本の一般国民のレベルの高さです。数日前、韓国メディアなどが「日本政府が輸出規制緩和に動く方針を固めた」などと報じましたが、これに関する韓国観察者・鈴置高史氏の見解が出てきました。おそらく、日本政府は本当にそれを検討している「可能性が高い」、というのです。これについてどう考えるべきでしょうか。払拭できない、「まさか」の懸念昨年7月に安倍晋三総理大臣が暗殺されて以降の国内政治では、どうにも暗い話題ばかりが目...
鈴置論考が明かす「騙される政治家・騙されない国民」 - 新宿会計士の政治経済評論

該当する論考は次の記事です。

半導体戦争で板挟みになる韓国 米国の圧迫と中国の嫌がらせ…頼みの綱は日本の輸出管理撤廃

半導体戦争でも二股を続ける韓国。米国が「中国と別れろ」と圧力をかけると、中国も「技術者の入国禁止」で応じた。砲煙が激しくなる一方のこの戦争を韓国観察者の鈴置高史氏が“洞ヶ峠”から読む。<<続きを読む>>
―――2023年01月20日付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より

もしまだお読みでない方は、是非ともご一読ください。

著者自身なりにこの鈴置論考を要約すれば、「日韓関係改善を米国側から求められている」と勘違いした日本の宏池会政権が、米国の意向を誤読し、対韓輸出管理を緩和しようとしている、というものです。

日本政府が対韓輸出管理を簡単に緩和するほど愚かだとは思いたくはありませんが、残念ながら宏池会政権を眺めていると、「やっぱり宏池会」との懸念を払拭するには至りません。それどころか、「宮澤喜一の轍を踏み、自称元徴用工問題で韓国に譲歩するのではないか」、との懸念は、ますます強まってしまいます。

韓国政府は「日本に非を認めさせるための努力」しかしていない

こうしたなかで、先日の『自称元徴用工問題の「ボール」は日本に移ってはいない』で一部の読者からのコメントに、大変気になるものがいくつかありました。

「ボールは日本に移っていない」。重要なので、何回でも強調しておきます。自称元徴用工問題を巡って韓国政府が「財団方式による並存的債務引受方式」なる案を出してきたことを受け、わが国でも徐々に「ボールが日本に移った」だの、「日本もこれに呼応すべきだ」だのといった主張が出てきていますが、そもそも日本に債務が存在しないという重要な論点を忘れていませんか?韓国側で日韓関係「改善」に向けて、自称元徴用工問題を巡る「財団による並存的債務引受方式」による解決法が公式発表されてから、そろそろ2週間が経過します。...
自称元徴用工問題の「ボール」は日本に移ってはいない - 新宿会計士の政治経済評論

その筆頭は、「カズ」様という読者からいただいた、こんな趣旨のコメントです。

ことの本質は、『歴史問題』という名の『日本の債務』を問う問題であり、尹錫悦政権が示したのは『呼応すれば罪が確定』の解決策。韓国政府は自称元徴用工問題を巡って『日本に非を認めさせるための努力』しかしていない。したがってそもそも『呼応すること』自体が適切ではない」。

この「韓国政府は日本に非を認めさせるための努力しかしていない」というご指摘、まったく言い得て妙としか言い様がありません。自称元慰安婦問題を思い出していただければ明らかですが、いったん日本に「非を認めさせる」ことができれば、そこから無限に日本に付け込むことができる、というのが、おそらくは彼らの考え方なのでしょう。

債務不存在の証明はできない

一方で、匿名のコメント主様からは、こんな趣旨のコメントもありました。

被害者が『債務がある』と言っている以上、『債務がない』と日本が主張するなら、その『債務がない証拠』を日本が出さないといけないのではないか」。

もちろん、匿名コメント主様がこんなコメントを打ったのは、おそらくは冗談なのだとは思いますが、じつは、この「債務者が『債務がない証拠』を出せ」とするロジック、日本でも「もりかけ・さくら・統一教会」(MKST)で有名になった「悪魔の証明」といわれるものです。

法学を少しでも学んだ人であれば、債権債務関係においては、「債権債務関係を巡って争いになった場合は、債権者側が『債権が存在する証拠』を出さなければならない」というのが常識だからです。

あるいは、何らかの犯罪を巡っては、容疑者(または被告人)側が「自分が潔白である証拠」を出す必要はなく、捜査当局側が「その容疑者が有罪である証拠」を出す必要があります。容疑者・被告人は、検事が出してきた「有罪の証拠」を否定すれば良いのです。

このあたり、「MKST」は「疑われた側」(多くの場合は故・安倍晋三総理大臣)に対して「無実の証拠」を要求していたという意味で、かなり無理筋な「スキャンダル」だったといえるのですが、それだけではありません。

MKSTの追及側(新聞、テレビを中心とするオールドメディア、日本共産党や立憲民主党を中心とした特定野党)が、ゴールポストを次々と動かすという点においても異例と言わざるを得ない事件だったのです。

そして、この「疑われた側に『無実の証拠』を要求する姿勢」、「ムービング・ゴールポスト」は、多くの場合、韓国が主張する「歴史問題」にも、そのまま当てはまります。オールドメディア産業関係者や特定野党関係者の手口が韓国政府のそれとソックリだ、というのは面黒い話ですね。

そして、「詐欺事件」は、「騙す側」と「騙される側」が揃って初めて成り立つものですが、「騙す側」が韓国政府、「騙される側」が宏池会政権、外務省、日韓議連などである、などと仮説を立てていくと、さまざまな状況証拠がピタリと整合するのです。

利権の第3法則が発動する可能性が出てきた

もっとも、利権の所有者はときとして自身の強欲により利権を失うことで知られていますが(当ウェブサイトの用語でいう「利権の第3法則」)、韓国が主張する「歴史問題」も「謝罪利権」の一種だと考えれば、その「利権の第3法則」が見事に当てはまります。

利権の3法則
  • 第1法則:利権とは、得てして理不尽なものである。
  • 第2法則:利権はいったん確立すると、外から壊すのが難しい。
  • 第3法則:利権は利権保有者の怠惰や強欲で自壊する。

(【出所】著者作成)

その証拠がまたひとつ出てきました。韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)のこんな記事です。

徴用問題の韓日協議いよいよ大詰め 佐渡金山・原発汚染水は悪材料に

―――2023.01.24 13:59付 聯合ニュース日本語版より

記事タイトルに「汚染水」などとありますが、日本は「原発汚染水」を海洋放出しようとしていません。あるいは、日本が放流しようとしているALPS処理水を「汚染水」と呼ぶならば、韓国こそ原発から大量の「汚染水」を垂れ流している犯人だ、ということになりますが、それでも良いのでしょうか?

それはともかくとして、リンク先記事は2000文字少々の、聯合ニュースにしては長文の記事ですが、内容は事実誤認だらけ、用語は誤りだらけという代物です。なにせ、自称元徴用工問題を巡って、「日本による植民地時代の韓国人徴用被害者への賠償問題」などと表現しているのですから。

それはさておき、聯合ニュースは「最終的な解決策を導き出すため、韓国政府は韓国側の解決案提示に日本の『誠意ある呼応』を求めている」、「日本がどう応じるかが鍵を握る」などとしていますが、これなどカズ様のいう「日本に非を認めさせるための努力」のことです。

なぜ「日本が」それらの問題をコントロールしなければならないのですか?

ただ、佐渡金山の世界遺産登録問題や東京電力福島第一原発の「処理済み汚染水」問題が、「韓日関係にさらなる悪材料となりそう」だとしつつ、「両国がこれらの問題をコントロールしつつ、最大の懸案である徴用訴訟問題を解決できるか注目される」、というのが聯合ニュースの記事の主題です。

なんで日本が「これらの問題」を「コントロール」しなければならないのでしょうか?

佐渡金山の世界遺産登録は日本政府の問題であり、韓国は関係ありません。また、ALPS処理水の海洋放出については日本政府が国際原子力機関(IAEA)と適切に協議している問題であり、韓国に「丁寧な説明」は心がけるべきではありますが、韓国の「了解」を求めるべき筋合いの問題ではありません。

聯合ニュースによると、「徴用訴訟問題」の解決策を話し合うため、日韓の当局者は(韓国の)旧正月連休後の今月末ごろにソウルで局長級協議を開くのだそうであり、「調整の大詰めを迎えペースを上げることになる」、などとしています。

もっとも、韓国側が次々と問題を作り出していること、(記事では触れられていませんが)2018年の火器管制(FC)レーダー照射事件を含めた諸懸案が解決されないまま放置されていることなどを踏まえると、いかに外務省や日韓議連が暗躍しようが、さすがに宏池会政権が韓国に譲歩することは難しそうです。

このインターネット時代、ツイッターなどのSNSにアカウントを持つ自民党の国会議員も増えているわけですから、外務省が下手にこの問題で譲歩しようとしたら、その瞬間、有権者がSNSを通じて自民党議員を突き上げ、自民党議員が外交部会で外務省を突き上げることになります。

日韓議連と外交部会の仲の悪さは一部では有名ですが、両者がガチンコ対決したらどちらが勝つのか、少し見てみたい気もします。

韓国の相対的重要性は著しく下がった

いずれにせよ、韓国が謝罪利権を拡大しようとするあまり、あまりにも強欲に動くことで日本の国民世論が刺激され、結果的に自称元徴用工問題で「日本に非を認めさせる」ことに失敗するのがオチではないでしょうか。

これについて聯合ニュースでは、「これら二つが韓国の対日世論を悪化させれば、徴用訴訟問題の解決に向けた韓日の交渉にも響きかねない」として、「最大の懸案である徴用訴訟問題をその他とは切り離して扱う必要があるという意見も上がっている」と指摘します。

これに関し、韓国のシンクタンク「世宗研究所」の陳昌洙(ちん・しょうしゅ)日本研究センター長は、次のように述べたそうです。

歴史認識を巡る問題のために徴用賠償も妥協してはならないと言えば、この先の韓日関係は進展が難しい。歴史学界による強制労役事実の発掘、国際社会の世論形成への働きかけなどは続けつつ、現実的に日本と共に取り組めることはする必要がある」。

裏を返していえば、韓国の世論が「歴史認識を巡る問題」を巡って強硬になり、自称元徴用工問題も「日本に妥協してはならない」という世論が形成されることは、自称元徴用工問題のみならず、日韓関係全体が目詰まりを起こす原因ともなり得るのです。

もっとも、宏池会政権が大好きな「日韓・日米韓3ヵ国連携」については、べつに日本が「歴史問題」とやらで韓国に譲歩しなくても、尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権下でうまく行き始めているという現実があります。日本が諸懸案で韓国に譲歩することがまったくの無意味であることは、こうした現実を直視すれば明白でしょう。

いずれにせよ、安倍総理の置き土産である「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」や「日米豪印クアッド連携」などのおかげで、日韓慰安婦合意が形成された2015年の頃と比べると、日本にとっての2023年における韓国の重要性は著しく低下しました。

韓国は日本と基本的価値すら共有していませんし、無法国家・ロシアによるウクライナ侵略戦争が繰り広げられるなかで、残念ながら日本は「ウソをつく国」「法を犯す国」と積極的に連携するほど物好きではないのが実情ではないでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (34)

  • 外務省はなんのために存在しているのでしょうか?
    実績以前に存在意義が疑われ始める状況、「高級」官僚の人材不足は今に始まった話ではありませんが、志が削げて制度疲労という劣化が進んでいる官署の最たるものでないかとの疑いは深まるばかりです。国民は政府に注文を付けます。お公家精神貴族精神を破棄させ戦闘能力をつけるために ODA / JICA 事業を外務省からはがすところから改革を始めてみてはどうか。

    • >戦闘能力をつける
      民間の契約・係争の最前線に立ったことない者に外交交渉させたらアカンでしょう。難しい試験に合格しているはずなのに、民事訴訟法の基礎も知らないようですから。

  • 「日本に非を認めさせる努力」を韓国国民が求めているからねぇ。
    そういうのを諫めてきた司法が、権限の及ばない話を認めてしまったのも大きいですね。

    安全保障上の重要性も変わりつつある状況で、
    日欧米としては、ゆっくり損切していくことになるでしょうね。

  • 素朴な疑問ですけど、(Botかもしれませんが)ツイデモで「日韓断交」とすれば、実際に日韓断交になる可能性もあるのではないでしょうか。

    • 毎度、ばかばかしいお話しを。
      朝日新聞:「朝日新聞にとって都合の悪いツイデモはBotによるものである」
      これって、笑い話ですよね。

      • まあ、朝日新聞の輪転機は
        旧世代のBOTみたいなもんですわな。(笑)

  • よく、外国人が日本で自国の文化を行おうと反発が起きた時に“多様性でこちらが折れるべき”と日本に対して譲歩を勧める人がいます。
    確かに、こちらが折れるのは日本人の美徳です。しかし、それには条件があります。
    それは、相手も折れて丁度真ん中で解決する事です。
    例えば、日本でイスラム教の人が土葬したいのでさせてくれと。
    日本には土葬できる地区もあるので、そこでしたらいいと思うのが日本人です。もしくは自国に戻って土葬する。
    しかし、彼らは自分の生活区域での土葬を譲らず差別だ変えていかないといけないと騒ぎます。
    そして、それに呼応するように日本が折れろと騒ぐのがいます。
    これは、異なる価値観なのに自分だけ日本人の美徳の行動様式で動こうとするから起こるのです。
    世界には、自国が特をするために嘘で相手を貶めて利益を得ようとする国があるのです。
    しかし、日本に住んでいたらそんな無茶苦茶な人間に出会う確率は少なく、経験しなければ理解は難しいでしょう。
    とくに国のトップとなると高潔な人物というイメージがあるので、そんな人が嘘をつき日本を貶めるなど理解出来ないのです。

    ただ、最近の韓国はそんな日本人の目を覚ます行動をしてくれるので、わかりやすい解説をつけたら、そんな日本人でも韓国が無茶苦茶なのが知れ渡り 韓国のいう譲歩がどれほど日本人に受け入れられない事か皆が理解できれば、本当の解決に向かうのではないでしょうか。

    • 日本人や日本文化は他より劣っているから日本側が譲歩すべきと考えているのでしょう。

      ただの人種差別にすぎません。
      普通の人種差別と違うのはナチスやKKKなどは自分は優れていて他者は劣ると考えるのですが、
      彼らは自分たちが日本人であるにもかかわらず日本が劣っていて他者が優れていると考えているのです。

      何人であろうと人種差別はおかしいはず。
      これはこれで不思議な精神を持つ方々ですね。

  • 『輸出規制』の解除のために大々的にパブリックコメント募集をして差し上げたらよいのでは?
    政府マターから民意マターへ移せるものは移す。宏池会政権不信は変わらねど、民意の激情をかの国と政府は知るべし。

    役人はちゃんと仕事しろ。仕事とは民益を守ることだ。
    仕事をしている省庁はどこにあるのか。あったら教えてくれ……(悲)

  • 河野談話 → 韓国側との文言調整・慰安婦問題未解決
    アジア女性基金 → 運動団体による妨害・解散
    小渕・金大中日韓共同宣言 → 韓国国会全会一致の破棄決議
    「明治日本の産業革命遺産」の登録支援合意 → 合意反故
    慰安婦問題日韓合意 → 「和解・癒やし財団」の解散

  • 不正をしてもペナルティがないから図に乗る。常習犯に育ててしまう。キセル乗車や不正会計などを防ぐには発覚した際の過大なペナルティ。甘えから始まった捏造とたかりがやめられない中毒の域に達した輩には、治療のための制裁を行うステージに来ているんだと思いますよ。

  • *私のコメントを取り上げていただき、ありがとうございました。

    諸問題の根っこのところは、韓国憲法裁判所による「『対日謝罪・賠償請求の不作為』に対する違法判断」にあると思っています。

    慰安婦合意までの対韓妥結は、韓国に戦後秩序を破らせないためのものでした。
    戦時労働者の問題は、戦後秩序そのものを覆すもの。妥結の余地はありません。

    日本側による安易?な呼応が「道徳的優位」なんて勘違いを生じさせた側面もあるのだとはいえ、戦後秩序の一丁目一番地である戦時労働者問題を責め立てるなんて、『強欲が過ぎて、瀬戸際が見えなくなってる』としか思えないんですよね。

    これ以上、国内事情を”タテ”に譲歩を迫られても知ったことではありません。(隣のよしみにも限度があります。)

    • 貴方のご指摘は、私も実にうまくツボを付いていると感心致しました。

      韓国は依然として、日本が故安倍総理の執政期間中に、戦後の東アジア主義ー東アジア一帯の共栄の為に、日本が周辺諸国へ配慮し支援や経済的負担をする方針ーを離脱し、‘中・韓・北鮮への配慮を止め、Five Eyesと連帯しつつ日本の国益を優先追求する方針’へ転換してしまった事を理解出来ないようです。

  • 「日本に非を認めさせた」ということにしないと国民情緒とやらが納得しない、というだけのことです。なので、たとえ不毛だと判っていても、「日本に非を認めさせるために最大限の努力をした」というポーズを国民向けには見せなければなりません。すでに「解決案」だけですら、屈辱的対日譲歩だの、外交惨事だなどと、主に従北左派から猛烈な批判を浴びてます。この上、「実は日本には非はなく、大法院判決が間違っていた」などと言えば、右派をも巻き込んでローソク祭りシーズン2になる可能性が高いでしょう。従って、韓国政府としては、「解決」に至る最後まで、日本に非を認めさせる「努力」をし続けるでしょう。

    日本としては「知らんがな」の一言でオシマイです。ただ、それこそ武士の情けとして、話を聞いてやっているフリくらいはしてやってもいいでしょう。前任者による最悪のツケを払わされている尹大統領を、必要以上に追い込むことが日本にとって得策だとは思いません。尹大統領が日本にとって都合の良い大統領だなどとは決して思いませんが、前任者よりは遥かにマシであり、そして後任が尹大統領よりマシである保証など何もないからです。なにしろ、誰が後任になろうと、韓国人であることには違いありませんので。

    • 絶好の好機!とどめを刺すべきかと思います
      そもそも 慰安婦問題は金泳三の頃から始まり30年経過しました。
      社会も政治家も1世代入れ替わるくらいの年月が経過して、この状況ですよ?
      日韓関係に明るい未来などありません。

      文在寅は韓国を損切する良いきっかけを作ってくれました。
      日韓外交は、ロシアくらいの扱いで十分かと思います

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