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韓日に多少問題はあるが未来見据えよう=韓国財閥会長

「われわれは韓日関係で多少問題があることを認識している。しかし、両国がこの先の協力に向け取り組むべきことは多く、未来を見据える必要がある」。こんな発言が、韓国の財閥会長から出てきました。日韓間の諸懸案が「多少の問題」なのかどうかもさることながら、「未来を見据えよ」という認識にも驚きます。ただ、そもそも信頼できない相手との関係をわざわざ深めることが正しいのか、議論の余地がありそうです。

人間関係の延長で論じる外交

【総論】価値観異なる相手国との良好な関係構築は困難』でも議論したとおり、著者自身は外交を人間関係の延長で認識すべきだとの持論を持っています。

人間関係に4つの類型があるように、外交関係にも4つの類型があるのかもしれません。その「類型」とは、「その相手国との関係が必要かどうか」という軸と、「その相手国がわが国と同じ価値観を持っているかどうか」という軸でえり分けたものです。結論的にいえば、基本的価値を共有しない相手国と良好な関係を築くためには莫大なコストが必要ですし、また、得られる利益もそのコストに見合ったものではないのです。人間関係と外交関係の共通点人間関係には4つの種類がある当ウェブサイトではこれまで、「外交というものは、国益を最...
【総論】価値観異なる相手国との良好な関係構築は困難 - 新宿会計士の政治経済評論

人間関係においてはどうしても「気が合う人」、「気が合わない人」というものが出てきてしまいますが、これは多くの読者の皆さまにとっても同じでしょう。よっぽどの聖人などでない限り、どうしても「苦手に感じる人」というものは出現してしまうのです。

こうした感情はまた、その人の行動によっても変化します。たとえば自分が大変なときに助けてくれた人に対しては恩義を感じるのが普通でしょうし、自分に過失がないのに、ある日突然、理不尽にどなってきたような相手に対しては、良い気分を抱くことはありません。

外国から見た日本

そして、国と国との関係にも、これとまったく同じことがいえます。

たとえば、サッカーW杯では、日本代表が試合で勝っても負けても潔い態度を取っています。

また、自分たちが勝とうが負けようが、あるいは自分たちに関係があろうがなかろうが、日本人のサッカーファンらがカタールでゴミ拾いをしている姿が世界中で話題になっていますが(『ドイツを下した日本のサポーターがまたしてもゴミ拾い』等参照)、こういう姿も、世界で日本に対する好感度に影響を与えているのかもしれません。

サウジに倣って日本も本日が「国民の祝日」になる…のか?「またしても」、日本のサッカーファンの行動が英国メディアに取り上げられました。FIFAワールドカップ・カタール大会で日本代表がドイツ代表に勝利した試合のあと、日本人サポーターらがゴミ袋を手にスタジアムの客席を清掃している様子が写真付きで詳しく報じられているのです。また、こうした行動に対する英国人のコメントも賞賛するものが圧倒的多数を占めているようです。日本代表がドイツ代表を下すサッカーファンの方々の間ではFIFAワールドカップ・カタール大会...
ドイツを下した日本のサポーターがまたしてもゴミ拾い - 新宿会計士の政治経済評論

理不尽な不法行為を仕掛けてくる相手と仲良くできますか?

その一方、わが国に対して理不尽な不法行為を仕掛けてくる国に対しては、国民感情が良好になるというものでもありません。

とくに、情報の「拡散源」が新聞、テレビなどに限られていたころならともかく、現在のようにインターネットを通じた情報拡散が主流になりつつある時代だと、「メディア対策をしてごまかす」という手法は効かなくなりつつあります。

日韓関係を巡っては、韓国が①ありもしない罪をでっち上げて日本を貶め、②法的にいわれのないことを要求する、という、いわゆる「二重の不法行為」を仕掛けてきているのであり、その結果が次の図表にもある、積み上がるだけ積み上がった韓国による対日不法行為なのでしょう。

図表 韓国の対日不法行為の一覧表(※引用・転載自由)

(【出所】著者作成)

くどいようですが、これらの対日不法行為、私たちの国・日本にとっては、どれひとつとして譲歩できる余地はありません。

たとえば日韓諸懸案の「一丁目一番地」である自称元徴用工問題にしても、そもそも「戦時中の日帝による強制徴用」という虚偽を流布することを韓国はただちにやめなければなりませんし、2018年10月と11月の国際法違反の判決についても、韓国の責任できちんと解決しなければなりません。

日本国民が呑める解決策としてあり得るのは、最低限、①自称元徴用工問題が自分たちの虚偽であることを認め、②国際法違反の判決を無効にし、そして③この問題で日本を煩わせたことを真摯に謝罪すること、の3点が揃ったときに限られます。

韓国財閥会長「韓日間で多少問題はあるが協力すべき」

ただ、残念ながら、自称元徴用工問題がこのようなかたちで解決する可能性は、極めて低いのが実情でしょう。

それどころか先日の『日韓「3つの懸案が早ければ来春にも解決」=メディア』などでも取り上げたとおり、どうも韓国側では、「徴用工」、「輸出管理」、「GSOMIA」の3つが解決すれば、「日韓諸懸案のすべてが解決したことになる」、といった認識すらあるようなのです。

朝日新聞の外交専門記者の牧野愛博氏が執筆した記事によれば、日韓両政府の間で、「徴用工、輸出管理措置、GSOMIA」の「3つの課題すべて」が「早ければ来春にも解決する可能性が出てきた」というのです。この記載が事実なら、由々しき話です。日本国民のために働くべき外務省が、日本のためではなく、韓国のために働いているのと同じだからです。「早ければ来春にも3つのすべて解決する可能性」まさに、「カネボウと中央青山の関係」そのものでしょうか。『現代ビジネス』が配信した次の記事によると、日韓諸懸案のうち、「徴...
日韓「3つの懸案が早ければ来春にも解決」=メディア - 新宿会計士の政治経済評論

こうした認識の甘さにも驚きますが、それだけではありません。

韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)には本日、こんな記事も出ていました。

韓日関係は未来を見据えて 「協力へ多くのアジェンダ」=韓国・SK会長

―――2022.12.06 09:58付 聯合ニュース日本語版より

これは、大韓商工会議所会頭で韓国の大手財閥「SKグループ」の会長が5日、米ワシントン近郊で同グループの財団「崔鍾賢(さい・しょうけん)学術院」が主催したセミナーで、「韓日関係に問題はあるものの、両国がこの先の協力に向け取り組むべきことは多く、未来を見据える必要がある」と述べた、というものです。

記事によるとまた、この人物は「韓日協力に関する特別セッション」であいさつに立ち、「われわれは韓日関係で多少問題があることを認識している」としつつも、歴史学者の「歴史とは現在と過去との対話である」というフレーズを引用し、次のようにも述べたのだそうです。

「(韓日両国の)人々は未来に焦点を当てなければならない。私たちは未来の協力に向けた多くのアジェンダがある」。

自分たちでさんざん、日本に対する問題を発生させておきながら、そしてそれらをまったく解決しようともしないなかで、「韓日関係で多少問題がある」という認識にも驚きますし、「未来志向」と言いながら「過去の歴史」(しかも多くは捏造に基づくもの)にこだわる姿も理解に苦しむものです。

信頼できない相手とビジネスはできるのか

ただ、これについては逆の立場から思考実験する材料でもあります。

そもそもこの方がご指摘の「韓日関係で多少問題がある」、「韓日はこの先協力に向けて取り組むべきことが多い」という認識は、正しいのでしょうか。

ここで「人間関係論」に戻りましょう。

そもそも論として、人間関係を「その人と仲が良いかどうか」という軸と、「その人との関係が必要かどうか」という軸で評価するならば、基本的には4つの類型が存在するはずです。

人間関係の4類型
  • ①その人との関係が必要/その人と気が合う
  • ②その人との関係が必要/その人と気が合わない
  • ③その人との関係は不要/その人と気が合う
  • ④その人との関係は不要/その人と気が合わない

(【出所】著者作成)

たいていの人が関係について悩むのは②でしょう。

「いやがらせばかりしてくる顧客」、「理不尽なハラスメントをしてくる上司」、「自分のことを舐め腐っている部下」などは②の関係の典型例であり、当然、その相手が嫌だったとしても我慢して付き合わなければならないこともあります。

ただ、ここで思考停止しないでほしいのですが、昨今はその相手の態度があまりにも悪い場合、そもそもその人との関係を清算することが必要になることもあるのです。

たとえば、最近だと職場で従業員の健康を守るため、あまりにも問題がある人間との関係を放置し続けることは許されなくなりつつあります。大企業だとたいていの場合、パワハラ・セクハラホットラインを設けていて、従業員の健康維持に努めていますし、パワハラで強制人事異動が行われる事例もあります。

また、ビジネスでいえば、その人がいかに優秀だったとしても、たとえば「ウソをつく」、「他人の名声を傷つける」など、信頼できない行動を繰り返す相手は、ビジネスパートナーとはなり得ません。

当たり前の話ですが、国と国との関係も、地理的・歴史的関係の深さだけでなく、その相手国が信頼に値するかどうかによって決まるのです。

現在の日本にとっての韓国の重要性

ただ、ここでふと疑問を抱くのですが、そもそも現在の日本にとって、韓国は重要な国なのでしょうか?

この点、日本は米国との関係もあるため、とくに安全保障面における「日韓・日米韓連携」をないがしろにすることはできませんが、それと同時に、経済的な関係が深いというものでもありません。

ちなみに案外知られていませんが、『日本の金融機関の国際与信に占める韓国比率は「1%」』でも触れたとおり、そもそも2022年6月末時点で日本の金融機関の韓国に対する国際与信の額は502億ドルに過ぎず、これは邦銀の国際与信全体(4兆6248億ドル)の1.1%ほどに過ぎません。

日本は韓国に対し、2008年と2011年、それぞれ日韓通貨スワップの規模を増額する措置を講じました。この措置を巡って2014年に財務省の山崎達雄・国際局長(当時)は「日本にもメリットがある」と述べていたのですが、少なくともBISが公表する国際与信統計(CBS)で見る限り、日本にそのようなメリットが生じるかどうかについては確認できないのです。引き続き、BISのCBS:韓国の危機に日本は巻き込まれるのか当ウェブサイトとして、あまり連続して同じ話題を取り上げないように工夫しているつもりではあります。ただ、どう...
日本の金融機関の国際与信に占める韓国比率は「1%」 - 新宿会計士の政治経済評論

また、貿易高に関していえば、依然として韓国は日本にとって3番目の輸出相手国ではあるにせよ、近年は台湾との貿易高が増えており、輸出入を合わせた貿易高で見れば台湾が韓国の重要性を上回りつつあります。

こうした点を踏まえるならば、正直、「日本にとって韓国が大事な国だ」といわれても、「そこはちょっと違うのではないか」、という気がしてなりません。

いずれにせよ、信頼できない相手との関係を必要以上に深めるという話にもならないでしょう(あるいは、先ほどの人間関係の4類型でいえば、②の相手ではなく④の相手に対しては、必要以上に近づかないのが自然です)。

当ウェブサイトでは「いますぐ日韓断交すべき」などと申し上げるつもりはありませんが、少なくとも日韓諸懸案に目立った進展がなにもない現状において、日本が必要以上に韓国との関係を深める必然性もないというのが正直な評価ではないかと思います。

新宿会計士:

View Comments (15)

  • 素朴な感想ですけど、一番の問題は、韓国財閥会長が韓日友好(有効利用(?))を訴えても、駐日韓国大使が言っても、朝日新聞が言っても、(もちろん、全てではないかもしれませんが)普通の日本人が、「所詮、韓国経済が苦しいからで、苦境を脱したら、また反日に戻る」と見透かしていることではないでしょうか。

  • 日本と韓国には、お互いに関わりなく、適切な距離をたもった明るい未来があります。
     二度と無理にパートナーになる必要はありません。

    • 一番不快なのは
      彼らが道徳的?に決めた
      国の序列です、

      中国父さん
      韓国兄さん、

      パヨク在日の書き込みでも
      やたらと目につきます、

      すみませんけど一緒にしないでいただきたいですね、

      彼らが勝手に決めつけてる弟?の日本に
      無心する破廉恥さ、

      日本人が彼らを心底嫌悪する原因です
      もはや生理的なレベルです。

  • デモナー、こうちかい政権ナンダヨナー
    罪務省害務省の省益ストにエーヨーにクルクルされるもヨシ! のコーチカイなんだよなー
    (無知蒙昧な痴人の感想でアリマス)

  • (補完) #などと意味不明な供述をしており、精神鑑定も視野に余罪の追及にあたる方針です

    と続けると しっくりくるのは秘密です。

  • 韓国人の自己評価は天井知らずですね。

    韓国人との関係で最上は“全く関係なく、影響の外側で行動を観察するだけなら最高のエンタメ”だと思ってます。

    日本への粘着が無くなるくらい体力を削れば楽しめると思うのです。

  • 韓国のような信用に値しない国との関係を必要以上に深めないという対処の仕方は、確かに適正なものだと思います。

    加えて言えば、自分がこれまで何度かコメントしているとおり、韓国は国家レベルでも国民レベルでも、日本に対して敵意を持っている国です。日本に対して敵意を向ける韓国が日本にとって信用に値しないのは当然です。

    これを踏まえれば、日本は、韓国との関係を必要以上に深めないことは当然としつつも、より踏み込んで、「敵」にやられないためには何をしなければならないかという観点を軸として、危機管理的な対応を取っていく必要があると思います。

  • 「未来を見据えよ」の「未来」が具体的に示されていないのがミソでありまして、アナタガタの夢見る「未来」とワタシタチが目標とする「未来」は多分違うのだと思いますが。

  • >図表 韓国の対日不法行為の一覧表(※引用・転載自由)
    を見つつ
    こんな韓国と未来を共有したいと真剣に思う日本人は如何ほどいますかね?と考えてみると
    せいぜい脱糞民主党とその支援者?界隈のごくわずかな人々と朝日、毎日、東京新聞あたりの読者とTBS,テレビ朝日のくだらない自称報道番組?等の視聴者とNHKの日本を貶めるなんちゃって創作ドキュメンタリー番組を見て喜んでおられる人達くらいのものでしょうかね?
    と、思った次第です。

    • 日本経済新聞社も加えてあげてください。
      ただ、私は日本経済新聞の読者ですが、日経新聞の主観的報道の部分に関しては、経済にせよ政治にせよ、かなり懐疑的です。
      客観的報道も要注意ですが。

      日経の非論理的な記事は、東アジアと日本の役所の毒素にかなり汚染されているように感じていますが、自分のメンタルを鍛えるのには、批判的に日経の記事を読むという事は役に立っていると思っています。
      購読料を取り戻さないといけませんし。
      日経には、クオリティペーパーを名乗る資格は無いと思われます。
      日刊ゲンダイよりマシですが。

      • はるちゃん 様

         ご指摘ありがとうございます。
         確かにおっしゃる通りですね。『日本経済新聞社』も加えます。

  • 韓国のいう「ビジネス」って、オレオレ詐欺の犯人が言う「私はお年寄りをメインターゲットに置いたビジネスをしております」って感じのビジネスとダブるんですけどね。

  • >図表 韓国の対日不法行為の一覧表(※引用・転載自由)

    は、”非韓三原則”と並ぶ、御利益絶大な ”条約・合意を守らない、嘘つき、コソ泥推奨国” 避けのお札と思います。

    でも、こういう人(嫌いではないのですが)も未だいるんですよね。
    https://gendai.media/articles/-/102949?page=10
    非常に表層的で結論ありき韓プンプン。

    >文在寅氏のような人が再び政権につかないことが大切だ。その意味でも尹錫悦政権との肯定的な協力関係が日本にとっては重要である。

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