韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)の記事によると、韓国の経済専門家の半数が、韓国の経済状況を「2008年の金融危機並みに深刻」だと考えていることが判明したそうです。ただ、世界的な政治・経済リスクに加え、債券市場の大混乱という韓国の国内事情に照らすなら、その解決策はさほど容易ではなさそうです。
韓国債券市場でいま何が起きているのか
『嵐の前の静けさ?韓国金融機関CDS水準がジワリ上昇』や『韓国債券市場の大混乱:いま韓国で何が起きているのか』などを含め、先般より当ウェブサイトにて取り上げてきている話題が、韓国の金融市場を巡る不穏当な空気です。
韓国の金利市場では現在、国債金利の急騰、カードローン債務残高の急増、韓国電力債の札割れ、ABCP市場の混乱、さらには「コールスキップの問題」なども生じていて、これにCDSの水準の上昇という不穏当な状況まで発生している、という状況にあります。
これについては土曜日の『韓国は為替介入を「例外的な場合」に限定すべき=米国』でも取り上げたとおり、米国で先週木曜日に公表された消費者物価指数(CPI)のデータが市場予測を下回ったことを受け、外為市場ではウォン安が若干修正されています。
国際収支のトリレンマはどの国にも等しく発動する法則であり、為替相場を安定させようと思えば、香港にしろ、スイスにしろ、ロシアにしろ、それぞれこの法則との関係が問題となってきます。こうしたなか、トリレンマに部分的に逆らいながら為替相場を安定させようとしている国が韓国ですが、米国財務省が木曜日に公表した為替監視レポートでは、「為替介入は例外的な状況に限定せよ」とするいつもの警告が掲載されていたようです。利上げ観測に変調?ドル高も反転か?=CPIで1ドル=150円台を目指していた為替相場も、ここに来て反... 韓国は為替介入を「例外的な場合」に限定すべき=米国 - 新宿会計士の政治経済評論 |
ただ、韓国における「資金不足の問題」が抜本的に解消されたと述べるにはまだ不十分でしょう。
例の「コールのスキップ問題」に関しては、当局介入のためか、いちおうは見送られた(『当局介入か?韓国保険会社、コールのスキップ見送りへ』)ようなのですが、これで危機が去ったというわけではありません。依然として、韓国の金融市場の不安は残っているからです。
これに関し韓国メディア『聯合ニュース』は先週、「第2金融圏流動性不足ドミノ」と題した記事を掲載しています。
第2金融圏流動性不足ドミノ…危機再現されるか炉心超死【※韓国語】
―――2022-11-06 06:23付 聯合ニュースより
記事タイトルにいう「第2金融圏」とは、貯蓄銀行、相互金融、生命保険などのことをさすようですが、この「第2金融圏」全体で資金調達コストが上昇しており、資金調達が難しくなるという状況が出現している、というのが聯合ニュースの指摘です。
専門家の半数「韓国の経済状況は金融危機時並みに深刻」
こうしたなか、韓国の経済専門家の半数以上が、現在の韓国経済の状況が2008年の金融危機時並みに深刻だと考えているとする調査結果を、韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)が報じました。
専門家の半数「韓国の経済状況、2008年の金融危機並みに深刻」
―――2022/11/14 11:20付 朝鮮日報日本語版より
朝鮮日報が報じたのは、韓国経営者総協会(経総)が経済・経営学科の教授204人を対象に実施し、13日に公表した『最近の経済状況と主要懸案』と題する調査結果です。これによると回答者の52.7%が現在の韓国の経済状況を「2008年金融危機当時並みか、さらに深刻」と答えたのだとか。
こうした悲観的な見通しの背景には、ロシア・ウクライナ戦争や米中覇権争い、エネルギー価格急騰といった世界的な経済・政治リスクに加え、韓国における物価・金利の高止まり観測があります。
とくに、現在3.0%とされている韓国の政策金利水準については、回答者の67%が現在より引き上げる必要があると述べたそうであり、その内訳は「3.5%まで引き上げる必要がある」が44%、「3.5%よりさらに引き上げる必要がある」が23%だったのだそうです。
通貨危機か、金融危機か?日本の支援は?
このあたり、現在の韓国で利上げが行われれば、ただでさえ過大な貸出に苦しむ家計や企業の債務弁済負担が上昇するという悩みがある反面、もしも利上げを行わなければ、米国との金利差が拡大し、韓国から資本が逃げ出してしまうかもしれない、という悩みがあります。前者が金融危機、後者が通貨危機です。
もしも通貨危機になる前に、運良く米FRBが利上げを「打ち止め」にしてくれれば良いのですが、それが間に合わなければ、最悪の場合、韓国は通貨防衛のために利上げを行い、その結果、国内の企業・家計の倒産が相次ぐ、といった事態が生じるおそれもあります。
このように考えていくならば、韓国にとっては大至急、日本との関係を「改善」し、通貨スワップなどの金融協力を再開してほしいというニーズがあるのかもしれません。もっとも、日韓金融協力を復活させるのが日本にとってもメリットをもたらすかどうかについては、まったくの別の問題ですが…。
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제2금융권 유동성 부족 도미노…위기 재현될까 노심초사
誤)第2金融圏流動性不足ドミノ…危機再現されるか炉心超死
正)第2金融圏の流動性不足ドミノ… 危機が再現されるかどうか心配
優良企業でさえ札割れを起こすという事は、募集の金利が低かったのか、または信用リスクか。
後者なら深刻。日本でも昔コール市場でデフォルトが発生して短期資金が回らなくなった事件があった。
債権に金が集まらない、つまり事業に必要な資金が確保できないということ。
債券市場で確保できなければどこで集めるのか。そもそも銀行は目いっぱい貸していてこれ以上貸せないから債券発行ということなのではないか。
私金融へ行くか? 私の想像だが、私市金融の世界はリスクに対してはもっと敏感なのではないかと思う。サムライ債ぐらいしか行くところはないように思うが。
>韓国の経済専門家の半数が、韓国の経済状況を「2008年の金融危機並みに深刻」だと考えていることが判明したそうです。
韓国に経済専門家は存在するのでしょうか?
第2金融圏流動性不足ドミノ...の記事ですが,ハングルなので一部読み違えている部分はあるかもしれませんが,趣旨としては以下の通りかと思います。
「中国は不動産バブル崩壊で,多くの不動産関連に関連した会社が債務超過の状態に見える。欧州でも多くの投資銀行などの財務状況が悪い。この国際的な金融環境の悪化で,韓国の生保なども外債発行が困難になっている。外国で金融崩壊があった場合,韓国への影響も心配だ。」
内容的には私が以前から把握している状態そのもので,目新しい話はないです。興味があるのは以下の記事でした。
「 韓国の外国為替保有額は先月末基準で4千140億1千万ドルで、9月末(4千167億7千万ドル)より27億6千万ドル減った。」
日本に比べてとても少ないですね。でも,少ないほうが正解です。今朝のニュースで「日本の3第メガバンクの含み損が約4兆円」というニュースが流れていました。7月頃,1兆7千億円と言っていた記憶があるので,倍増してますね。銀行マンはとても運用が下手です。円安の間にさっさと損切りしておくべきでした。最近の円高は反映されていないので,次の発表時には,もっと評価損が増大しているはずです。また,公的資金を投入するのも迷惑です。
え~早い話
米国は貸していけない人達に課して
リーマン・ショックを引き起こし
世界を恐慌にして
南国は貸していけない人達に貸して
ヨンクル・ショックを引き起こしたが
世界に影響を及ぼさなかった。
何故なら、世界が気が付かなかったからだ。
ただ、南国は貧民救済の為、皆で大通りで
ローソク集会を開き「日本が悪い」を
叫ぶ…という事なのでしょうか?