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徴用工「解決」案、肝心の韓国政府の対応がグダグダに

報道を眺めていると、自称元徴用工問題を巡って、自称元慰安婦問題のような財団ないし基金方式での「解決」が模索されているフシがあります。ただ、無理して日本が日韓諸懸案の「解決」のために協力する必要はありませんが、それだけではありません。岸田政権の政治力のなさに加え、現在の韓国政府のグダグダぶりを踏まえると、そもそも岸田政権、あるいは尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権の任期中に問題の解決が図られる可能性がどれだけあるのかは疑問です。

早いもので自称元徴用工判決から4年

自称元徴用工判決――、すなわち、韓国の最高裁に相当する「大法院」が日本企業に対し、「戦時中、日帝により強制徴用された」と自称する者たち(=自称元徴用工)への損害賠償を命じた事件――から、気が付いてみれば、早いもので4年が過ぎました。

この事件自体、世間的には「日韓問題のひとつ」などと認識されていますが、著者自身はこれまでに何度となく申し上げてきたとおり、結論から言えば、ほかの多くの日韓懸案と同様、これは「韓国問題」です。

なぜなら、自称元徴用工判決自体が国際法に照らせばれっきとした「違法判決」であることに加え、そもそもの「日帝による強制徴用」という主張自体も、韓国による悪質なウソだからです。

つまり、韓国自身が日本に対し、ウソや捏造に基づいて法的根拠がないことを要求している、というわけであり、そのような主張をすること自体が立派な不法行為を構成しているのです。

もちろん、日本がこの問題を巡って韓国に譲歩するかどうかというのは気になるところですが、それ以上に重要な点があるとしたら、もしも日本が韓国に譲歩するかたちでの解決が図られる場合、そのこと自体が韓国自身のためにならない、ということです。

結局のところ、「ウソをつかない」、「ルールを守る」というのは、私たち人類が長い歴史の中で生み出してきた叡智(えいち)であり、自称元徴用工問題を巡る韓国の行動は、こうした人類の規範に対する正面からの挑戦でもあるのです。

韓国政府は順調に迷走中

ただ、韓国の側からこうした適切な解決が図られる兆しはありません。それどころか、順調に迷走しているようにも見受けられるのです。その証拠が、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に昨日掲載された、こんな記事ではないでしょうか。

韓国外交部「公聴会だけでなく多様な形で」 徴用問題の意見収集巡り

―――2022.11.08 18:57付 聯合ニュース日本語版より

聯合ニュースによると韓国外交部の当局者は8日、「韓日間の懸案となっている日本による植民地時代の韓国人徴用被害者問題の解決案」(※原文ママ)を巡り、「適切な時期がくれば発表できるよう進めている」としたうえで、「公聴会だけでなく多様な形での意見の取りまとめのための手続を検討中」と述べたのだそうです。

自称元徴用工問題といえば、韓国政府・外交部が設置した「官民協議会」が9月に4回目の会合を開いて以降、韓国政府内における具体的な進展は見られません。これについて聯合ニュースによると、この当局者は「公聴会や、さらに規模のある方式については、まだ時期や場所が決まっていない」と述べたのだとか。

これをどう見るか――。

端的にいえば、オープンベースで議論をしても、韓国国内では取りまとめることができない、ということではないでしょうか。

財団方式?まさか!

そういえば、一部の報道によれば、日本政府や自民党の一部議員の間で、この自称元徴用工問題を「基金ないし財団方式」で解決させる、といった案が検討されているようなのですが、悪いことは言いません。やめておいたほうが良いでしょう。

その理由は簡単で、日本の側が韓国に対し譲歩案を策定し、政界・官界・財界で合意が取れたとしても、韓国の側で同様の合意を取りまとめられるという状況にはないからです。

というよりも、優れた韓国観察者である鈴置高史氏がかねてより警告しているとおり、日本が韓国に譲歩しようがしまいが、たとえば「日米韓3ヵ国軍事協力」の進展には、まったく影響は生じません(『対韓譲歩は無駄!鈴置氏「日本に韓国を動かす力なし」』等参照)。

鈴置氏が「対韓譲歩論者」を完璧に論破してしまう「日米韓3ヵ国連携のためには日本が韓国に譲歩しなければならない」。こんな主張をよく耳にしますが、この主張は完全に誤っています。日本が韓国に譲歩していないにも関わらず、(おそらくは米国の圧力で)日米韓3ヵ国訓練が実現したからです。韓国観察者の鈴置高史氏は、「日本に韓国を動かす力はない」としたうえで、「日本が譲歩すれば韓国を動かせるとの考えは極めて傲慢」、「なぜか、ここが分かっていない専門家が多い」と指摘するのです。韓国の対日不法行為二重の不法行為当...
対韓譲歩は無駄!鈴置氏「日本に韓国を動かす力なし」 - 新宿会計士の政治経済評論

日韓諸懸案については、日本の側が無理して解決を図るべき筋合いのものではありません。

正直、米韓関係自体がどうなるかわからないなかで、日本がわざわざ韓国に対して譲歩する意味はありませんし、また、韓国の側のグダグダぶりを眺めている限り、自称元徴用工問題で日本が譲歩するかたちでの解決で最終合意に至るのは、やめておいた方が良いとしか言いようがありません。

(※そもそも岸田文雄・現首相にそこまでの政治力があるのかどうかは別問題ですが…。)

あるいは、無理にでも合意に至ったとしても、どうせ2015年12月の日韓慰安婦合意の二の舞になることは火を見るより明らかでしょう。

もちろん、自称元徴用工問題を巡って基金ないし財団方式の解決を模索している勢力がいることは間違いありませんし、こうした点については油断は大敵ではあります。

ただ、個人的には最近、岸田首相、あるいは尹錫悦(いん・しゃくえつ)韓国大統領の任期中に「解決策」で合意できる可能性がどれだけあるのかが疑問ですし、むりやり合意をすればどちらかの政権(あるいはどちらも?)が吹き飛ぶように思えてならないのですが、いかがでしょうか?

新宿会計士:

View Comments (12)

  •  うーん、私の見立ては、日韓両国政府とも、現段階では、日韓双方が納得する案はない=現状のまま膠着、棚上げすることで、暗黙裡に合意しているんではないでしょうか(日本側から見れば、問題を一方的に起こした韓国が、日本が検討可能な対案提示を、韓国の国内事情によりできなかった)。
     それを前提に、これ以上の関係悪化は回避しようと、いうのが、現状の外交目標だと思います。
     韓国は旭日旗を掲げた観艦式に出席する、日本は海外での国際会議における3年振りの首脳会談に応じる、ということで、まずは一段落ですよね。
     韓国は、「公聴会やさらに規模のある方式」なるものを開催しても、そこでの意見はどうせ日本に厳しいものしかでないでしょうし、解決にはつながらず、単なる韓国内パフォーマンスでしかありません。日本としては、無視で良いと考えます。
     こんな面倒くさい国とはもう金輪際縁切りだという考えもありますが、諸般の事情もありますし、段階的縮小がよろしいのではないでしょうか。
     間違っても、来年の広島サミットのゲスト国に韓国を招待してはなりません。

    • 本当に面倒くさいですよね、韓国。アメリカも言ってます。Korea fatigue ですよ。岸田首相もお忙しいでしょうから、日韓関係は放置でよろしいかと思います。

    • > 韓国は旭日旗を掲げた観艦式に出席する、日本は海外での国際会議における3年振りの首脳会談に応じる、ということで、まずは一段落ですよね。

      私達のような特定アジアウォッチャーがこう見るのはどうでもいいとして、政治家さんがこういうふうに考えているのだとしたら、それこそここで言うところの「どっちもどっち論」に取り込まれている気がします。

      観艦式への出席=出て当然、出なければ韓国の立場が危うくなるだけ=韓国自身の利益
      首脳会談に応じる=日本にメリットはなし、韓国内で世論への言い訳が立つだけ

      日本にとっては一利なし、一段落どころではない、のではないかと思うのです。

      •  私も、個人としての”気分”は、「こんな国とは断交しても良いから、筋を通せ」なですけどね。
         「外交の要諦は、51対49で勝っておきながら、相手に対して、自らが49対51で負けたふりをすること」だそうです。
         徴用工問題も、見方を変えれば、仮にこのまま現金化が進まなければ、日本は失ったものは何もなく、逆に韓国は「司法が独立していない」「国家間の約束を守れない」ということで、国際的信用を失っただけ、ともいえるのではないでしょうか。
         更に言えば、日本国内における対韓世論は決定的に悪化し、いまなお戦前の植民地支配に対する過度な贖罪意識に囚われる朝毎東やサンモニのような対韓宥和派は更に勢力を減じていく結果をもたらしたとも、評価できるように思います。

  •  韓国政府が提案している「財団方式」というのは、被告2社(日本製鉄・三菱重工業)の「謝罪+賠償額と同額を財団に寄付すること」を条件とするものですが、2社が応じることは有り得ません。
     何故なら、日本製鉄も三菱重工業も、日本の裁判所で韓国人の自称元徴用工から損害賠償請求された裁判で、「原告の請求権は日韓請求権協定により消滅している」という理由でいずれも勝訴し確定しているからです(「旧日本製鉄大阪訴訟(2003年10月9日最高裁判決)」・「三菱名古屋女子勤労挺身隊訴訟(2008年11月12日最高裁判決)」
     仮に、日本政府(外務省)が2社に対して「謝罪+賠償額と同額を財団に寄付すること」を打診した場合、2社は次のように拒否すると思います。
     「当社は、日本の最高裁判所において自称元徴用工との訴訟に勝訴している。日本政府は日本の最高裁判所の判決よりも韓国大法院の判決に従えというのか。そんなことをすれば、株主代表訴訟で訴えられ、敗訴することは火を見るよりも明らかである。」
     したがって、韓国政府が望む「財団方式」が実現する可能性は皆無だと思います。

  • 韓国では強制徴用工などと言ってますが、名は体を表す。
    勝手に働きにきて勝手に文句を言う。
    "勝手に労働者"と変えたほうがいいんじゃない。
    韓国はなんでも強制強制などと言うが、日本が強制した事は一度もない。
    併合もお願いされたから仕方なくです。
    わかりやすい言葉をこちらも使って宣伝すべきです。

    • 韓国側が、「強制徴用工事件」と嘘の名前をつけるなら、
      日本側も、「偽徴用工詐欺恐喝事件」と呼びましょう。

      • いいですねぇ。

        徴用工問題だと何が問題かはあやふやです。
        これも日本式優しさの欠点です。
        韓国人にはあやふやな言葉は通じません。

        この問題のキモは、条約で解決しているのに、強制的に働かされたと偽り 誰も徴用していない日本企業に難癖をつけて恐喝している事です。

        ニセ徴用工恐喝詐欺事件は広めていく言葉です。
        何故なら裁判では 原告が無理矢理日本企業に奴隷労働させられたという事実確認はなされてないからです。

  • 韓国における大統領を超える最高尊厳・李ハルモニw

    彼女が数年来に渡り繰り返す言葉が
    「私たちが生きているうちにこの問題を解決してほしい」

    これで日本の方針は定まった。

    自称慰安婦・徴用工が絶滅するまで放置すればよい。
    残り十数名で毎年数年ずつ亡くなっている。

    彼らの絶滅は韓国にとっての「精神的敗北」となる。

    もっとも李ハルモニは後20年くらい長生きしそうではあるがw

    • トシさま
      「私たちが生きているうちにこの問題を解決してほしい」
      この問題、って痴呆症の大嘘つきの売春婦ががなり立ててる根拠のない虚構の問題であって、それを同族が事実を知りながら囃し立ててる訳なのでその民族が少しまともになるまで解決しません。絶望的です。日本側は解決していただかなくて結構です。

  • まあ、尹錫悦大統領就任の頃から予想された展開の範囲内ですね。仮に尹大統領が日韓関係改善のためには韓国が「譲歩」する以外の道は残されていないということを理解していたとしても、まずその実行は不可能であり、結果として、現在よりも関係を悪化させなければそれだけでも成功とすら言えるという見立ては変わってません。
    なぜ尹大統領に「譲歩」が不可能なのかについては、これまでにもさんざんコメントしてきましたので繰り返しませんが、たかが観艦式に参加する程度のことですら従北左派があれほど大騒ぎするという一点だけ見ても、その不可能性は明らかであると思います。
    なお、一部の方が深刻に懸念されているように、岸田総理や林外相が意味もなく「譲歩」するのではないかという点について、可能性が完全にゼロであるとまでは言いませんが、個人的にはそれほど心配してません。現下の状況でそんな真似をすればたちまち内閣が吹っ飛ぶくらいのことは弁えているだろうと思いますし、それすら理解していないとしたら、おそらくそれ以外の問題でも引っかかり、いずれ退陣を余儀なくされるに違いないと思うからです。
    しかしながら、例えば、ある日突然アメリカがトチ狂って日本にだけ強力な圧力をかけてきた場合、誰が総理であろうが「譲歩」を余儀なくされるでしょうし、または、尹大統領が突然全土に戒厳令を施行し、従北左派を片っ端から物理的に沈黙させるなどという手段に出てきた場合、まずは韓国側の「譲歩」が大前提ではあるものの、何らかの「譲歩」を検討する余地もでてくるかもしれません。でも、心配するとしたら、そのような事態が発生したときくらいではないかと考えています。

    現在、国際情勢は不透明さを増やし続けており、ある日突然外部環境が全く一変する可能性も否定できません。現時点では全く想像も付きませんが、どうしても韓国と協力せざるをえない状況になってしまう可能性だってありうるかもしれません(どうなったらそうなるのか、全く見当も付きませんが)。そんな複雑怪奇どころか驚天動地の事態でも起きない限り、日韓関係が「改善」の方向に進むことはないだろうなと思います。