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    Categories: 金融

韓国高官「韓米首脳会談で通貨スワップが議論される」

韓国メディアの報道によると、韓国政府高官が米国との間で「韓米通貨スワップが議論される」と明らかにしたそうです。それが為替スワップを意味しているのだとしたら、バイデン大統領にとっては管轄外のことを相談されても困ってしまうのではないかという気もします。ただ、足元で韓国のドル資金市場はジワリと逼迫しつつあるようです。

「韓国が米国と通貨スワップを議論」=ロイター

ロイターによると、韓国『聯合ニュース』は「政府高官の発言」として、来週の国連総会に合わせて米国を訪問する尹錫悦(いん・しゃくえつ)韓国大統領が、ジョー・バイデン米大統領との間で「韓米通貨スワップ」を議論する可能性があると報じたのだそうです。

S.Korea’s Yoon, Biden expected to discuss currency swap -Yonhap

―――2022/09/16 15:15付 ロイターより

ロイターは韓国の通貨・ウォンが年初来17%も減価し、日本円を除けばアジアで最も大きく売られている通貨だとしつつ、米国との「通貨スワップの再開」は「ドルに対するウォンの下落に歯止めをかけるための手段のひとつとなり得る」、などとしています。

これについて聯合ニュースの原文を探してみたのですが、韓国語版のウェブサイトだと、次の記事が見つかりました。

大統領室、韓米通貨スワップ議論の見通しに「外国為替市場共通関心事」【※韓国語】

―――2022-09-16 15:15付 聯合ニュースより

この記事自体はロイターの記事と同じ配信時刻であるというのが少し気になりますが、ロイターが報じた「聯合ニュースの記事」がこれであるという可能性はあります。

韓国政府高官「自然に議論されるだろう」

聯合ニュースによると、韓国大統領室の崔相穆(さい・そうもく)経済首席は16日の記者会見で、記者側からの「韓米首脳会談で通貨スワップが議論されるか締結される可能性はあるか」との質問に対し、「議題は決まっていない」としつつも、次のように答えたのだそうです。

今年5月の韓米首脳会談で、外国為替市場について密接に協議することで首脳間が合意しているし、財務長官間の会談もあるなど、関連する共通の関心事であるため、自然に議論がなされると予想する」。

そのうえで、「韓米政府が通貨スワップを中心的な議題とする可能性があるのか」、「両国中央銀行間の協議もあるのか」とする質問に対し、崔相穆氏は「両国首脳が外国為替市場と密接に協議することにしたという点でさらに議論があるかもしれない」、などとも述べたのだそうです。

5月の声明は為替介入を牽制したもの

ちなみにこの崔相穆氏のいう「5月の米韓首脳間の合意」とは、おそらく米韓共同声明に含まれた、こんな記述のことを指しているのでしょう。

“To promote sustainable growth and financial stability, including orderly and well-functioning foreign exchange markets, the two Presidents recognize the need to consult closely on foreign exchange market developments. The two Presidents share common values and an essential interest in fair, market-based competition and commit to work together to address market distorting practices”.

著者自身の文責において意訳しておくと、こんな具合でしょう。

秩序ある、そして機能的な外国為替市場を含めた持続的な成長と金融の安定を促進するため、両大統領は外国為替市場の発展について、緊密に協議する必要性を認識した。2人の大統領は、公正な市場原理に基づく競争に共通の価値と本源的利益を共有しており、市場を歪める慣行に対処するため、協力することにコミットする」。

この文章を巡り、当時の韓国メディアは「韓米両国が外為市場の安定で合意した」、などと報じていたのですが、これをそのように解釈するのは妥当ではありません。ここでいう「市場を歪める慣行」が、韓国銀行による「スムージング・オペ」と称した為替介入を意味していることは明らかだからです。

また、韓国メディアは「通貨スワップ」と「為替スワップ」を、なかば意図的に混同しているフシがあるのですが、もしこれが為替スワップを意味しているのであれば、バイデン大統領と話をしてもあまり意味はありません。

為替スワップ(正確にはUS dollar / foreign exchange liquidity swap)は市場への資金供給手段であり、米国においてこれを管轄しているのは米連邦準備制度理事会(FRB)だからです。

また、米国はカナダ、メキシコの2ヵ国と「NAFA」(北米フレームワーク)に基づく通貨スワップを締結しているのですが、これについてはたしかにその一部を行政府の機構である米財務省が管轄しているものの、NAFAに相当する枠組みは韓国との間には存在していません。

正直、米国が米韓為替スワップや米韓通貨スワップの締結に応じるかどうかはよくわかりません。

ドル資金の流動性不足はジワリ深刻化へ

ただ、それよりもこの手の話題がロイターなどに取り上げられたこと自体、抜け目のない市場参加者からすれば、「韓国は外貨流動性不足に直面している」というメッセージに映りそうなものでもあります。

とくに、ウォン安の怖いところは、単なる通貨安にとどまらず、じっさいに韓国から外貨資金が逃げていくという効果をもたらしかねない、という点にあります。これに関して韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)には少し気になる記事も掲載されていました。

1ドル=1400ウォン迫り、韓国のドル調達市場にも次第に「不安」の兆し

―――2022-09-16 10:18付 ハンギョレ新聞日本語版より

これによると3ヵ月物先物為替市場で「スワップポイント」(金利差調整分、業界用語でいうところの「ベーシス」)がマイナス4.35ウォンに拡大したのだそうです。

一般に市場の為替スワップ取引(いわゆるバイセル)とは、スポット(直物)でドルを調達する取引と、将来(たとえば3ヵ月先)にドルを売却する取引を同時に実行するものですが、この「3ヵ月後にドルを売却するときのレート」が4.35ウォンほどウォン高・ドル安になっている、という意味でしょう。

現時点でドルを購入するときのレートと比べ、将来時点においてドルを売却するときのレートは、経済理論的には両国の金利差からもたらされるのですが、現実の市場では、このレートは両国の金利差以外の要因からももたらされることが知られています。

おそらくハンギョレ新聞の記事の主張は、韓国企業にとってのドル資金調達環境が悪化している、ということを意味しているのでしょう。これについてハンギョレ新聞は、こう述べています。

この取引で毎日決定される取引当事者間の利子(外国為替スワップポイント)は、韓米金利の差も反映されるが、短期にドルを調達する際に相手に支払わなければならない一種の『ドルプレミアム』といえる。スワップポイントの上昇は、国内の短期外貨資金需給市場でドルを借りるのが次第に難しくなり、ドルの流動性が不足(対外借入条件が悪化)する可能性があるという意味だ」。

この点、スポットの為替相場に関しては、当局の為替介入の甲斐もあってか、本日(16日)の韓国時間の引け値は1ドル=1388.0ウォンと前日よりは多少ウォン高になっています。

ただ、韓国における資金市場でのドル逼迫が次第に深刻化していることも間違いなく、韓国国内でも米韓為替スワップ復活への待望論が強まっていることも、韓国経済の「資金繰り」不安はこれから本格化する可能性を強く示唆しているものであるといえるでしょう。

新宿会計士:

View Comments (17)

  • 日本国外の西側から発信されるの記事を読みたいと思い、ロイターのHPはいつもアクティブにしているのですが、この記事は「Reporting by Cynthia Kim, Soo-hyang Choi」となっており、あまり韓国メディアとの差異は無く、同じようなバイアスがかかっている気がします。

    •  情報元を確認
      >[ソウル 16日 ロイター] - 聯合ニュースは16日

       韓国メディアの情報を元にしているので(情報元と)「内容」に差があるほうがおかしい

  •  1ドル=1400ウォンも、目の前に迫っていますね。

     韓国人は、頼み込めば何とか頼みを聞いてくれるだろうとなんか楽観主義的でもありますよね。ご指摘通り、為替スワップのことなら、頼むところが違うというか。分かっているんでしょうか?

     「ハンギョレ」は「左派」メディアというより、ずばり「親北派」と表現した方がいいという気がします。
     韓国批判の中には、この親北派の考え方もさりげなく浸食しています、気を付けたいところ。親北派と化してきた全教連(日本でいう日教組)は、「北朝鮮こそが朝鮮半島を支配する正統性を持った国で、韓国は汚れた国である」という考え方を現代韓国社会に浸透させています。
     韓国がいくら約束を守らない信用できない国であっても、北朝鮮を支持することがあってもまたいけないということです。ですから、ハンギョレは、「親北メディア」という認識も忘れないようにしたいものです。ハンギョレを「進歩的」とか「革新派」とか言いますがこれらは共産主義用語です、十分注意したいものです。

    • >親北派と化してきた全教連(日本でいう日教組)は、「北朝鮮こそが朝鮮半島を支配する正統性を持った国で、韓国は汚れた国である」という考え方を現代韓国社会に浸透させています。

      私は、この「韓国は汚れた国である」という考え方は嫌いじゃありません。

      • 韓国はWWⅡ後に日米の継続的な支援と影響を受けて、上っ面だけの
        奇形的な民主義体制となり、本来の国と国民のポテンシャルを大きく
        上回る経済的発展を遂げた。
        無能な独裁者が支配し、国民が自由も人権も無い圧政下で貧困に喘いで
        いるのが朝鮮のあるべき姿だというのは間違っていないと思う。

      • >道端さま

         じゃあ、道端さんは「親北派」という理解でよろしいでしょうか。

         韓国批判には、北朝鮮の工作がうまくはいってきています。韓国批判をさせることで、こうして「親北派」を増やすことが目的なのです。

        • サムライアベンジャー様、

          私は味方のフリをしつつ、かつ国を挙げて世界中に日本に対する欺瞞に満ちた誹謗中傷をばら撒く臆病な詐欺師的な国家よりも、ウソに満ちているが徹底的に筋を通す独裁者の治めるカルト国家の方が清々しいし、対処し易いと思います。

          • >道端さま

             なんとなくお気持ちはわかりました。私も同様の気持ちになります。例えるなら、

            【韓国】・・・ストリートギャング。民間からメディアまで、24時間365日、反日・侮日行為を行っていて、反日・侮日が偏在化しており、終わりがない。そのくせ法治国家の仲間入りしている。

            【北朝鮮】・・・ボスのいるマフィア。かの国行動は政府によってコントロールされており、かの国の反日・侮日行動は政府によってコントロールされているので把握しやすい。ならず者国家を貫いている。

             韓国は、民間で積極的に侮日・反日行為が推奨されていて、偏在化していて全部把握しにくい。

             韓国の侮日・反日行為は、ストリートギャング化していて、いちいち対処していられない、そんな国を西側に平気で置いておくことの歯がゆさがありますよね。

             昨日、TVで拉致問題についてやってました。日本が軍事行動を起こさない限り、もうどうしようもないんだろうなと見ていました。
             もっとも厄介なことに北朝鮮は核を持っていること。持っているだけでアメリカは何もできない。法治国家群の仲間入りしていても放置が効かない韓国、ならず者だから最初から言うことを聞かせられない北朝鮮。よく考えるとどっちも同じ民族ですからね。対処がめんどい。

        • 嫌韓 ≠ 親北。

          平気で嘘をつくと言う点で、価値観共有できず、南北朝鮮どちらも嫌い。
          南北朝鮮人は個別に判断だが、デフォルトは要注意。

          半島人が使う『進歩』、『革新』は日本語の『進歩』、『革新』とは全く違う。
          日本の頭の壊れた左派が使う『進歩』、『革新』、『リベラル』と同じ様なバズワード。

          • >農家の三男坊さま

            嫌韓 ≠ 親北。
            だと思います。

            イメージ的には、嫌韓の中に親北派から出て来た考え方が少々エキスとして入っている可能性があることじゃないでしょうか。

          • サムライアベンジャー 様

            >嫌韓の中に親北派から出て来た考え方が少々エキスとして
            >入っている可能性があることじゃないでしょうか。

            「妄想と歪曲と嘘の産物である金氏崇拝が建国の基礎になっている北朝鮮国」の有力者である金与正氏が「願望と妄想と歪曲と嘘と自己愛性人格障害がミックスされた韓国政府の対北融和政策」を『実現とは、かけ離れた愚かさの極致だ』と評しましたが、「韓国政府は愚かな行動をする」という指摘は誰がしても間違ってはいないと思います。

            参照:
            https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220819/k10013778301000.html

  • 素朴な感想ですけど、もし米韓首脳会談で米韓通貨スワップが拒否されたら、この韓国政府高官は、なんと答えるのでしょうか。もっとも、「岸田総理に妨害された」かもしれませんが。

    • >もし米韓首脳会談で米韓通貨スワップが拒否されたら、
       「今の韓国にはスワップは必要ない」とかかんとか、お得意の長ったらしいだけの駄文を繰り返してごまかすでしょうね。

       どう考えても、スワップが結べる状況じゃないということに気が付いていないのが、韓国のすごいところですが。

  • 南朝鮮は米国に対して300億ドル程度の通貨スワップを希望してるのでしょうか?
    もしかしたら使われてしまう300億ドルの通貨スワップとか、
    学生ローンで苦しむ米国民一人あたり1万ドル配布するなら300万人が救われます。
    簡単に考えすぎで苛苛します。
    >ttps://cdn.statcdn.com/Infographic/images/normal/27278.jpeg
    例えば同様に西側の最前線であるポーランド、経済規模はドイツの1/6.7でしかありません、
    しかし絶対額で1.5倍のウクライナ支援をしています、つまりGDP比では10倍です。
    ポーランドはいま恐慌レベルの経済状況ですが、歯を食いしばって援助を続けています。
    ウクライナ難民も一番多く受け入れてると言われています、大変な負担です。
    ポーランドはそこそこ不条理な国ですが、こう言う国家なら救済する価値があるでしょう。
    一方、南朝鮮は自由主義陣営の台湾が中国から軍事的恫喝受けている状況で、
    中国側の姿勢を明確にしています。
    義務は果たさず、要求だけする南は西側自由主義陣営とは根本的に異なる国家です。

  • ロイターのニュースと韓国のニュースが同時間に報道されているのは不自然すぎではないのでしょうか。韓国のメディアが次から次へと発信しているフェイクニュースが多すぎます。
    仮に韓国の政府筋から、本当に日韓会談の調整しているならば、先に流れてくるフェイクニュースがすべてご破算になることに対して何も考えていないのでしょうか。
    韓国のメディアも韓国政府もレベルが低く、韓国政府はその事に対して規制はしていないのかな。

  • 韓国が首脳会談でスワップ締結か?で、「いやいや、交渉する相手が違いますがな。日銀総裁かFRB長官でしょう」というツッコミが喉の前まで出かかりますが、少し待って欲しい。
    韓国の認識では、トップの言う事は絶対です。つまり、首相がはいと言えば下っ端の日銀総裁など有無を言わせずにスワップするのが当たり前です。
    大統領がイエスと言えば、すぐさまFRB長官がスワップ締結するのです。

    もちろん、そんな常識は半島にしかありません。多分。
    一生懸命伊大統領がスワップの必要性を説いたところで、「俺権限ないから」で終わりそうですが 韓国は納得出来ないので「後頭部を殴られた」と火病発症の未来しか見えません。

    ところで、韓国はスワップによる日本や米国の利益や利点をどの様に説明するのか興味があります。
    まさか、ウォンが基軸通貨になるからとかは言わないでしょうが、想像がつきません。