X

最新版・自民党派閥勢力図から見た岸田首相の立ち位置

安倍派はむしろ参院選前と比べ勢力を強めている

岸田首相が電撃的な内閣改造・党役員人事を行う方針を示し、政界は騒然としているようです。派閥の力学にも配慮しなければならない自民党政権にあって、個人的には国難を乗り切るうえで適材適所に努めていただきたいと願う次第です。こうしたなか、せっかくの機会でもあるので、例の「自民党の派閥勢力図」についてアップデートを行ってみました。岸田派は相変わらず弱小派閥のままですが…。

電撃的な内閣改造・党役員人事の狙いとは

すでに複数のメディアにより、岸田文雄首相が10日、内閣改造と党役員人事を実施すると報じられています。

このあたり、内閣改造や党役員人事は9月に行われると見られていたフシもあり、政界ではこの「突然の前倒し実施」に対し、かなりの意外感を持って受け止められているようです。

この点、ネットサイトなどを眺めていると、「目の上のタンコブだった安倍(晋三総理)が急逝し、麻生(太郎総理)も『安倍』という盟友を失い、失意に沈むなかで、岸田(首相)は本気で党内の権力基盤を固めるつもりではないか」、といった書き込みも見られます。

ただ、岸田首相が本心で何を考えているのかについては、正直、政界の外から憶測だけで眺めてみても、なんだかよくわかりませんし、人事を見てみないことには何とも言えません。

この点、あくまでも一般論だけで指摘するならば、自民党政権は首相によっぽどの指導力がない限り、大臣ポスト・党役員ポストなどについては各派閥にバランスよく配置しなければなりませんし、人事に失敗したら政権の命取りになることもあり得ます。

派閥の力学:大宏池会は実現せず…

こうしたなかで、個人的に追いかけ続けているテーマのひとつがあるとしたら、それは「派閥の力学」です。

参院選が終了してほぼ1ヵ月が経過しますが、自民党は安倍総理の逝去に伴い衆議院で議席を1減らしたものの、参議院側では躍進し、両院議長をあわせれば衆議院で262議席、参議院で119議席を保有している状況です。

ただし、自民党を単独の政党と見るよりは、どちらかといえば各派閥を政党かなにかだと見立てたうえで、その「連立政権」が樹立されているようなものと見るべきかもしれません。

とくに、いわゆる「大宏池会」、つまり現在の岸田派(宏池会)、麻生派(志公会)、茂木派(平成研究会)が結集するという構想については、出ては消え、出ては消えているようなのですが、現時点においては少なくとも「大宏池会」は実現していません。

その結果、自民党内では安倍派(清和政策研究会)が依然として最大派閥となっており、しかも岸田派は所属する吉川赳・衆議院議員を巡り、18歳女性に飲酒させるなどの疑惑が参院選直前に報じられるなどしたこともあり、衆院では第5派閥に転落したという状況にあります。

宏池会は衆院第5派閥:衆参合わせても第4派閥

こうしたなか、参院選も終了した状況で、改めて各派閥の勢力図についてまとめておいても良いと思い、自民党のウェブサイトから議員一覧を取得し、ウェブサイトなどでひとりずつ調べていった結果、こんな図表が出来上がりました。

図表 自民党の最新・派閥勢力図(2022年8月8日時点)
派閥 衆議院 参議院 合計
安倍派 60 37 97
麻生派 38 14 52
茂木派 34 21 55
二階派 34 9 43
岸田派 33 10 43
菅G 15 1 16
石破G 8 1 9
森山派 6 1 7
谷垣G 7 0 7
不明 5 19 24
無派閥 22 6 28
合計 262 119 381

(【出所】自民党ウェブサイトや外部サイト等を参考に著者作成)

これで見ると、安倍総理の逝去にも関わらず、安倍派はむしろ選挙前と比べて勢力を維持・拡大していることが伺えます。とくに今回の参院選で当選した生稲晃子、井上義行、古庄玄知の各氏らが安倍派に所属することになったようであり、結果的に勢力は拡大した格好です。

一方、これに対して岸田派は衆議院では麻生派、茂木派、二階派の3派閥よりも所属議員数が少なく「5番手」ですし、また、参議院では二階派を1議席上回っているとはいえ、衆参両院を合算すれば二階派と並ぶ4番手にとどまっています。

(※なお、厳密には二階派には無所属の三反園訓・衆議院議員が特別会員として参加しているため、仮に三反園氏の自民党への入党が実現すれば、宏池会は衆参合算でも第5派閥に転落します。)

吉と出るか、凶と出るか:宏池会人事に注目

このように考えると、一説によれば麻生総理にすら相談していないという内閣改造が、岸田内閣にとって吉と出るか、凶と出るかについては見ものでもあります。

もしも岸田首相自身が安倍総理の暗殺を受け、「国難を乗り切るためには自分がしっかりするしかない」とする意識を強く持ち、かつ、派閥横断的に適材適所に努めるならば、結果的に今回の内閣改造が日本のために「吉」と出るかもしれません。

しかし、派閥力学にすら配慮せず、たとえば最大の安倍派を含め、各派閥の意向をないがしろにするような人事を断行するならば、これが「ケチ」の付き始めとなり、岸田内閣は持って2年、つまり2024年の自民党総裁選までとなる可能性もあるでしょう。

ことに、報道等によれば、「親中派」でもある林芳正外相の起用に対しては安倍総理自身が強く反発したともされているようですが、中国が日本の排他的経済水域(EEZ)内にミサイルを撃ち込んできている状況のなか、中国に物申すことができないような人物を外相に据え続けるのは、明らかに国益に反します。

外相といえば重要閣僚ポストのひとつではありますので、これを交代させるのは本来ならば慎重であるべきなのかもしれませんが、この国難では四の五の言っていられません。「宏池会のホープ」かなにか知りませんが、林氏が留任するかどうかについては、当ウェブサイト的には注目したいと思う次第です。

菅グループの動静、高市早苗氏の動静

こうしたなかで個人的にもうひとつ気になっているのは、「菅グループ」の動静、そして高市早苗氏の動静です。

あくまでも単なる憶測ですが、菅義偉総理自身は現時点において、「表面上は」無派閥ですが、自身の派閥を立ち上げる動きにでる可能性はあるのかもしれません。菅総理自身にその気はなくても、自然と菅総理の周辺には人が集まってきているフシもあるからです(それらが人材なのか「人罪」なのかは知りませんが…)。

現に、著者自身が調べたところ、少なくとも衆院では15人、参院でも1人が「菅グループ」に近いようです(※ただし、谷垣グループと掛け持ちしている人もいます)が、これはかつては派閥だった石破「グループ」の倍近い人数でもあります。

このように考えるならば、岸田首相が内閣改造で、菅総理を何らかの要職(たとえば副総理兼重要閣僚)として起用する、というのは、自然な発想でもありますし、たった384日の在任期間で歴史に残る事績を残した「仕事師」である菅総理の入閣は、岸田内閣を安定させるうえでは大変に有益でしょう。

菅義偉内閣が本日、総辞職しました。在職日数は384日で、今世紀に関していえば、小泉元首相、安倍総理の2名を例外とすれば、菅総理を含めてすべての首相が1年前後で退陣した格好です。ただ、菅政権の384日は、日本にとって非常に価値があるものだったことは間違いありません。菅義偉内閣は384日で総辞職菅義偉内閣が本日、総辞職しました。菅内閣が総辞職 首相在職384日で幕―――2021年10月04日09時27分付 時事通信より昨年9月16日に就任して以来、菅義偉総理大臣の在任期間は本日までで384日であり、これは森義朗元首相(2000年...
菅総理辞職:日本にとって価値ある384日が終わった - 新宿会計士の政治経済評論

もちろん、岸田首相も人間ですので、当然、好き嫌いはあるでしょう。また、菅総理と岸田首相はお互いに相性が悪い、などと報じられることも多々ありますので、これが本当に実現するかどうかはわかりません。

さらには、一部報道等によれば、自民党役員人事では茂木敏充幹事長以外を交代させる、との観測もあるようであり、とくに一部の保守的な有権者からの支持が高い高市早苗氏が政調会長から外される可能性も指摘されているそうです。

ただ、高市氏が政調会長から外れたとしても、それはべつに「高市ファン」の皆さんにとって、さほど悲観すべき話ではありません。高市氏が政調会長として自民党の2022年公約を取りまとめ、その結果、参議院議員通常選挙で自民党は議席を伸ばしたという事実が残っているわけですから、それは「更迭」ではないからです。

また、党三役から外れていた方が、2024年後の総裁選に出馬するうえで都合は良いでしょう。なぜなら、2024年の総裁選では、岸田首相が再選を目指して出馬する可能性がそれなりに高いからです。

いずれにせよ、今回の内閣改造と党人事が岸田体制そのものの先行きを占う試金石であることは、おそらくは間違いないでしょう。

新宿会計士:

View Comments (24)

  • 岸田総理は、内閣改造にあたり、師匠の古賀誠にお伺いを立てているのでしょうか?

  • >安倍総理の逝去にも関わらず、安倍派はむしろ選挙前と比べて勢力を維持・拡大していることが伺えます。とくに今回の参院選で当選した生稲晃子、井上義行、古庄玄知の各氏らが安倍派に所属することになったようであり、結果的に勢力は拡大した格好です。

    安倍派の今後を考える上での最重要な問題は前回選挙での少々の数の増減ではなく,安倍総理という偉大なリーダーを喪ったことです.

    率直に言って安倍総理亡き今の安倍派には,この大派閥を率いてその数の力を有効に活用出来るだけの器量を持つ人材は見当たりません.菅総理グループと一体となり菅総理をリーダーとすれば現状の安倍派よりはまだマシでしょうが,菅総理にしても明確な目標に向かって部下や仲間と共に黙々と仕事をこなし目標に着実に近付き達成する実務者としての能力には長けていますが,安倍総理のように広く遠くまで見通せる戦略眼を持ち,その広大な視界に映る近未来の日本や世界の様子に基づいて誰も気づいていないビジョンや新たな目標を提示して,その皆を引っ張る能力は,失礼ですが菅総理には余り備わっていないように私には思えます(だからこそ,菅さんは安倍さんの自分にないリーダーとしての資質を高く評価して第一次政権を不本意な形で終えてしまっていた安倍さんを担いで安倍さんの再登板の道を切り拓く労を果たしたのだろうと私は推察しています).

    岸田さんは今度の内閣および党役員の改造で,徹底的に安倍派を干し上げて,安倍派内部での不満を高めて安倍派の自壊(内部分裂からの解体)を狙っているのだろう,そのために改造を予想よりも前倒ししたのだろうと私は考えています.

    どうせ分裂を狙うのならば,岸田さんにとっては幾ら目の上のタンコブだからと言って同じ日本それも同じ党の別勢力相手にではなく,文字通りの日本の敵国である韓国にでも仕掛ければ良いものを.

    これだから岸田さんという政治家は全く評価できない.

  • 外務大臣、財務大臣、および官房長官の3人が留任したならば、私は自民党支持をやめますが、勿論立憲民主に走ることはありませんので念のため。さらに防衛大臣が岸田派財務省ポチ系になった日にはどうしてくれよう。

    • 防衛大臣に関しては岸田派から選んだ場合,財務省ポチ系でなかったとしても北京ポチ系になる可能性も十分にありますね.岸田派には財務省ポチが多いだけでなく北京ポチも多いですから.

      岸田派で北京ポチでなく健全な対中警戒心を有する小野寺議員なんかはかなり特殊な存在なのではないでしょうか.彼を防衛大臣に据えてくれれば私も少しは岸田さんを評価しますが,はてさて.

  • >一説によれば麻生総理にすら相談していないという内閣改造が、

    私が把握しているだけでも茂木さんには5日、麻生さんには6日、茂木さん(2回目)と荻生田さんには7日に人事の相談をしていますよ。

  • すべて、根拠に乏しい個人的な憶測だと先に断っておきます。

    >安倍派はむしろ参院選前と比べ勢力を強めている
    それはどうでしょうか? 安倍元総理という偉大なリーダーを欠き、その後継が定まっていない以上は、ある意味では巨大な無派閥とも言えるように思えます。

    >派閥の力学:大宏池会は実現せず
    今回の内閣改造でも、大宏池会は厳しいでしょう。
    特に、安倍派は統一教会絡みで扱いを慎重にしながらも、あからさまに外すという真似は、よろしくない噂が立つでしょうから。
    安倍派からは、身体検査を徹底的にした上で軽量級ポストを多めに宛がうような気がします。
    逆に、岸田派、麻生派、茂木派には、重量ポストを宛がうように思います。

    >林氏が留任するかどうかについては、当ウェブサイト的には注目したいと思う次第です。
    既に、林外相は留任の可能性濃厚という報道が出ていますね。
    なお、自分は強くものを申すかどうかというものは、基準としていません。そこは割とどうでも良いです。
    「強く言うだけ」なら、韓国の外相だって日本にしています。やったところで、ちょっと国民の溜飲が下がるだけです。強く言って、それが成果に結びつくのなら、世の中楽なものなのですが。
    なので、要点は「駆け引きが出来るか」「期待した反応や情報を引き出せるか」だと考えています。

    その点で言えば、確かに林外相はアメリカに比べれば中国に対して甘めの態度を取っている。
    一方で、それをアメリカが不満視しているといった情報も見掛けた覚えないです。(探せばあるのかもですが)。
    中国にしてみれば、アメリカにはものを言えませんが、アメリカに比べれば話が通じそうな林外相にはものを言える訳です。
    結果的に、アメリカにしてみれば、林外相や日本は中国に対する都合のいいコールセンターになっているんじゃなかろうかと思います。

    先日の日中外相会談では、中国外相が不快感を表明して席を立ちました。
    これは、話をする気が無いという態度であり、第三者から見てどちらが印象悪いかというと中国の方が悪いでしょう。
    ある意味で、中国の失点を誘い出すことに成功したとも言えます。

    もうしばらくは、こんな具合に話し合いの場を設けつつ、中国に非があるという印象を積み重ねるのも悪くないと思います。
    ただ、ペロシ氏の訪台によって、時計の針は進んだようにも思えます。
    いつまでも、冷静な話し合いのテーブルを用意してはいられないかも知れません。
    なので、そう遠くないうちに、(アメリカの要望とかで)より対中強硬派の人間に代わる可能性も高い気がしています。

    なお、林氏自身は親中派ではなく、知中派を自認しています。
    また、外相になる際にあっさりと日中友好議員連盟会長を辞任するあたり、中国にしたら盲信するのは怪しい人物になっているように思います。

    >高市早苗氏が政調会長から外される可能性
    外されそうですが、立ち回り次第では外された方がより上を目指せるかと思います。

    菅元総理の要職起用というのは、有り得ると思います。麻生氏を仲介に岸田総理と菅元総理が会食とかもされていたようですし。
    ただ、それでも五分五分だと思いますが。今頃は水面下で熾烈な駆け引きや説得が繰り広げられているのかも知れませんね。

  • 根拠なしに思ってることを言ってみます。(笑)

    派閥への配慮とバランスは外さないでしょうね。だって、岸田氏ですもん。(笑)
    いくつかの重要閣僚は「ハズレ」になりそうな気がします。
    でも、一旦は挙党態勢が整うので、しばらくは安全運転でしょう。菅氏が入閣すれば安定度は増しますが、入るかどうかは微妙な気がします。
    とはいえ、ハズレの重要閣僚への真面目な議員からの不満が、時間とともに募っていくような気がします。
    安全運転期間は1年〜1年半くらいと、一応言ってみます。(笑)

  • 「日本の政治における派閥の役割と限界」なんてのは、政治学者の大きなテーマでしょうね。
    かっての中選挙区制では、派閥を離れると、同じ選挙区に対立候補を立てられ、まさしく生殺与奪の権を握られていました。従って、派閥間の移動なんてのは、まずなかったんですよね。
    小選挙区制になって、そういう縛りはなくなりました。でも権力の源となる事実上の首相を決める自民党総裁選では、かなりの影響があるんですよね(前回、安倍元首相がかって派閥を出て行った高市氏を推すと決めたら、ほぼメンバー全員が従った)。あと初登用大臣や政務次官、政務官の選任にも。
    突如、主を失った派閥がどうなるか、金丸信が佐川急便問題で辞任した後、竹下派は小渕恵三を推すGと羽田孜を担ぐ小沢一郎Gとに分裂しました。安倍派もそうなる可能性は高いでしょう。
    岸田首相にとっては、ピンチでもありチャンスでもあります。やりにくかった面もあるでしょうが、長年の信頼関係がある安倍元首相には健在で居て欲しかったでしょうね。
    安倍派の後継とは別に、いわゆる”保守派のリーダー”にも誰が成るのか、それともそういう人は現れないのか、そこにも興味はあります。高市さんは、あまりにも人望がなく、不適任です。

    • >高市さんは、あまりにも人望がなく、不適任です。

      ちょっと前に、茂木さんがミネラルウォーターのボトルを準備して会合を開いた時、「お茶が出ない」と言って高市さんがごねて、茂木さんに謝らせた事件がありましたが、私は未だに何でこういうことが起きるのか、解せません。無用に敵を作るだけに見えるのですが、どなたか解説していただけませんか?

      • 高市は保守派のリーダー足りえない。
        それは派閥を出た経緯や戻れないことからでも明らかで皆がわかっていること。

        ただ高市は岩盤保守から決定的な役割が期待されていた。
        それは日本の核保有を実現すること。

        内閣が吹っ飛ぶこの事案を「令和の岸信介」として実践できるのは高市だけ。
        この適任は高市しかいないというのは衆目が一致するところ。

        高市の存在理由はここにあったのだが安倍の死去でそれもなくなりそうだ。

        • >高市の存在理由はここにあったのだが安倍の死去でそれもなくなりそうだ。

          トシ様、それって他力本願、っていうこと?高市さん自身には人を引っ張っていくだけの実力はないっていう意味として理解していいですか?

          • そう理解していいです。

            高市は安倍派に戻りたかった。
            だが安倍が健在でもそれは叶わなかった。

            高市は安倍と同様の財政拡張派。
            いうまでもなく宏池会は財政緊縮派。
            これでは高市の出番はない。

            高市は飛び道具、捨て石としての重責はあった。
            だがリーダーとして保守を引っ張る器量はない。

  • 岸田・宏池会にとって望ましい状況が生まれようとしている。

    安倍派は90余人をまとめるカリスマリーダーが見当たらない。
    左派による統一教会の追及もあり冬の時代を迎えざるを得ない。
    (やるやらないはともかく)岸田が福田を引き上げるだけで安倍派は収拾がつかなくなる。

    麻生派は麻生が次回衆院選で長男へ世襲し派閥の長も引退となる。
    次の長は河野だが麻生は「河野では派閥はまとまらない」と公言して憚らない。
    河野も麻生派よりも菅に押し上げてもらおうとしているフシがある。

    二階派も二階が次回衆院選で子息へ世襲となり派閥の長も引退となる。
    二階は長男と3男で火種を抱えており世襲がうまくいくかどうかもわからない。
    またクセのある面々がそろう二階派をまとめるのは困難を伴うだろう。

    茂木派は参院のドンである青木が茂木を派閥の領袖と認めていない。
    ここぞの場面で派閥がまとまらないことが確定している。

    それに対して岸田派は是非はともかく岸田―林―木原のラインが確定している。
    相対的に統一教会との関連が薄くこのくらいの人数のほうが派閥をまとめやすいともいえる。

    維新の松井は引退を明言しているし、公明の山口もそう長くはない。
    志位、福島、泉では相手にもならない(山本もポピュリズムに過ぎない)

    こう考えると、菅という長老を除いて岸田が実質的なトップに立つことになる。

    岸田が長期政権を築くために必要なことは解散総選挙で勝つこと。
    すなわち24年9月の自民総裁選の前に解散総選挙をして勝つ必要がある。
    ここで勝てば自民の派閥の状況から「選挙に強い」岸田に誰も何も言えなくなる。

    解散総選挙は来年5月のG7広島サミット後が最適。
    統一教会問題が一段落したこのタイミングでの解散に負けはない。

    よって今回の内閣改造、役員人事は保守を意識したものになる。
    次回総選挙で圧勝するには安倍の幻影を見せることが重要で安倍派はそこそこ重視される。

    逆に言えば、24年9月の総裁選を乗り越えてからが岸田・宏池会の「親政」となる。

    もうこの流れは止めようがない。

    私は保守派に期待するよりも、岸田の覚醒に胸を躍らせることにする。

    • はじめてコメントさせて頂きます。

      とても説得力のある分析で勉強になりました。
      安倍総理に代わる保守派のリーダーが育ってくれることが望ましいですが、たしかに現状では見当たらないようにも思います。
      個人的には小渕総理が急逝した後の平成研と安倍派が重なって見えてしまいます。
      野中、青木という有力者が分断されて、派閥の影響力を失っていきましたが、今の安倍派は当時の平成研よりリーダーが育っていないようにも思います。
      危機に直面して、保守派の中からも覚醒してくれる人が出て来ないかと期待をしておりますが。

  • やっぱり当選した地元議員は
    宏池会に入ってる…。
    前任の議員が、そこだったから、
    予想通りとは言え非常に残念。
    かと言って、野党に議席取られるのは、
    もっと嫌。
    ジレンマで悩む。

1 2