国の信頼を破壊し絶望に満ちた社会を次世代に引き継ぐ財務省
酒に酔った財務官僚が乗客に対し、殴る蹴るの暴行を加えた容疑で、20日深夜0時半に逮捕されたそうです。官僚の不祥事、あまりにも多すぎます。なかでも財務官僚は既得権の塊ですが、やはり増税利権に染まるあまり、腐敗し切っている証拠と見るべきでしょうか。また、本件で新聞、テレビといったオールドメディア、あるいは野党議員が、どこまで財務省を追及するのか(あるいはしないのか)についても興味深いところです。
目次
国民の敵=官僚機構
日本の問題は何かと問われれば、当ウェブサイトとして真っ先に挙げたいのが、「国民が選んだわけでもない勢力(=国民の敵)が権力や社会的影響力を握り、日本社会を悪くしていること」です。
その典型例が、官僚機構でしょう。
官僚は、決して私たち日本国民が選挙で選んだ存在ではありません。国家公務員試験を合格し、(たいていの場合は霞が関が大好きな)「一流大学」を卒業して官庁に採用された人たちであり、人選も実質的には各官庁に委ねられています。
また、官僚機構はたいていの場合、許認可権を握るほか、複雑で無駄に込み入った政令・省令・告示・通達のたぐいを大量に作り上げ、その解釈をする権限を通じて業界を支配しようとしますし、天下りを筆頭に、さまざまな利権を作り上げます。
総務官僚がNHKや放送業界をガッチリと支配していること、文部科学官僚が大学設置許可や私学助成金をタテに「F欄大学」と呼ばれる私学などをガッチリと支配していること、外務省が世界各国の大使ポストで霞が関全体に恩を売っていることなどは、その典型例でしょう。
しかも、彼らがその官庁に採用され、その官庁で出世していくためには、たいていの場合、省益を重視することが求められます。そして、その省益はときとして国益に正面から反するのです。まさに「国民の敵」そのものでしょう。
「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」=財務省
その意味で、「既得権のなかの既得権」、「国民の敵の総本山」と呼んで良い官庁といえば、何といっても財務省でしょう。
財務省のウェブサイトを開いてみてください。
「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」、とあります(図表1)。
図表1 財務省「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」
(【出所】財務省HPより)
現実に財務省がやっていることといえば、「国民生活の破壊」です。
不要不急の「財政再建」などを旗印に、無茶な消費税等の引き上げを行い、デフレ基調にある日本経済の回復の腰を折ることであり、また、国民生活が困窮してもガソリン税を頑なに引き下げようとしません。
日本は財政再建を必要としていない!
この点、『家計金融資産が2000兆円突破』を含め、これまでに何度も何度も当ウェブサイトで主張してきたとおり、現在の日本は、財政危機でも何でもありません。
対外純債権は史上初の400兆円の大台に乗る史上初めて、家計資産が2000兆円を、対外純債権が400兆円を、それぞれ突破しました。日銀が公表した資金循環統計の速報値によれば、家計が保有する現金預金の残高は1092兆円に達し、政府が保有する外貨準備も160兆円を超えました。そんな日本が引き続き抱えている大きな問題点は、なんといいっても、国債発行額が不足していることでしょう。家計資産が2000兆円超、対外純債権も400兆円超日本銀行は本日、2021年12月末時点の資金循環統計(速報値)を公表しました。これによると、家計部門の金... 家計金融資産が2000兆円突破 - 新宿会計士の政治経済評論 |
そもそも論として、中央政府の債務を家計や企業の債務と同列で論じることが大きな誤りです。
一国経済においては、経済主体(とくに家計、企業、政府)の資金貸借が常に一致します。日本では家計が巨額の資金余剰を生じており、その余剰を企業と政府が吸収せざるを得ず、しかも吸収し切れなかった部分が海外に対する400兆円を超える黒字として表れてしまっているのです(図表2、図表3)。
図表2 日本全体の資金循環バランス(2021年12月末時点・ストック、速報値)【※クリックで拡大】
(【出所】日銀『データの一括ダウンロード』のページより『資金循環統計』データを入手して加工)
図表3 日本全体の資金循環バランス(2021年12月末時点・ストック、速報値)【※PDFファイル】
(【出所】日銀『データの一括ダウンロード』のページより『資金循環統計』データを入手して加工)
いわば、政府が「借金」を減らそうとして増税をすればするほど、家計は生活防衛のために消費を切り詰めて貯蓄を積み増し、企業は業績が悪化して投資を減らし、借入を減らすことで、税収がますます低迷し、国の債務が増えてしまう、というスパイラルが続いているのです。
財務官僚=利権の塊
そして、この負のスパイラルに強く関わっているのは、間違いなく財務官僚です。
財務官僚は国のサイフの入口(国税庁)と出口(主計局)を一手に支配し、ときとして一介の議員をはるかに凌駕する強力な政治的権力を手にし、実質的に日本を乗っ取ってしまっているのです。財務省は「GDPの最大化」ではなく、「税率の最大化」を追及する「モンスター官庁」と化してしまっているのです。
このあたり、巷間では「国会議員は要らない」だの、「国会議員の数が多すぎる」だのと主張する人は多いのですが、こうした見解には、当ウェブサイトとしては賛同しません。むしろ国会議員の数をもっと増やし、官僚の権力を削がねばならないと考えています。
財務省の増税原理主義に関しても、政治の力で、場合によっては強制的に排除しなければなりません。
もっとも、当ウェブサイトで普段から申し上げているとおり、利権には得てして3つの特徴があります。
利権の3つの特徴
- ①利権は得てして理不尽なものである。
- ②利権はいったん確立すると、外からそれを壊すのが難しいという特徴を持つ。
- ③ただし、利権を持っている者の怠惰や強欲で利権が自壊することもある。
(【出所】著者作成)
財務省が持つ「徴税利権」は、理不尽そのものです。
財務省の「省益」のみを目的に、国民が望まない、そして経済学的にも完全に誤っている「増税」を強引に進め、結果的に30年にわたって日本経済を破壊してきたのですから。もしかして日本にとっての本当の脅威は、北朝鮮でも中国でもなく、じつは財務省という「内なる敵」なのかもしれません。
セクハラ報道で辞任した福田淳一事務次官の呆れた供述
もっとも、利権を持つ者たちは、得てして非常に脆弱になりがちです。
2018年4月には、「財務省次官の女性記者に対するセクハラ疑惑」が生じました。
これは、財務省の事務方のトップだった福田淳一事務次官(当時)が(おそらくはテレビ朝日の)女性記者に対し、大変下品な発言をしたと『週刊新潮』が報じたもので、最終的には福田次官自身が辞表を提出し、幕引きが図られたというものです。
これに関しては当時、財務省が発表した調査報告書(※リンク切れ)の4ページ目で、福田元次官が次のように述べたそうです。
「お恥ずかしい話だが、業務時間終了後、時には女性が接客をしているお店に行き、お店の女性と言葉遊びを楽しむようなことはある。また、仲間内の会話で、相手から話題を振られたりすれば、そのような反応をするかもしれない」。
呆れます。1998年に発覚した大蔵省の「ノーパンしゃぶしゃぶ」汚職事件から、まったく進歩していません。
また、週刊新潮が報じた福田元次官の発言を巡っては、その信憑性には疑問もあるのですが、それと同時にマスメディア(とくに新聞、テレビ)の記者と官僚が癒着しているという構図があることも間違いないでしょう。
財務省の話ではありませんが、たとえばマスメディアが総務官僚らに接待をしていたとする疑惑(『「総務省接待問題」がマスコミ自身に特大ブーメランへ』等参照)もありましたし、検察官が朝日新聞や産経新聞の記者と賭けマージャンをしていたとされる事件もありました。
メディアや野党が連日のように「総務省高額接待疑惑」を追及するなかで、これが逆にメディアにとっての「特大ブーメラン」ではないか、といった指摘が出て来ました。また、昨日の『総務省官僚らの「高額接待疑惑」はNHKなどに飛び火』に続き、現職の国会議員から「テレビ局の幹部は(総務省幹部と)会食をずっとしている」、とする発言も飛び出したようです。菅政権を追及しようと思って「総務省高額接待疑惑」の火をつけたら、自身に火が燃え移ったようなものですね。総務省接待疑惑と「もりかけ問題」メディアが連日のように「総... 「総務省接待問題」がマスコミ自身に特大ブーメランへ - 新宿会計士の政治経済評論 |
やはり、官僚、メディア、野党議員という「腐敗トライアングル」の構図は、腐敗のあまり、自重に耐えられずに崩壊し始めているのかもしれません。
今度は財務省統括審議官が暴行容疑で逮捕!
こうしたなか、今度は財務省総括審議官が逮捕されたようです。
財務省総括審議官を逮捕 電車内で暴行容疑―警視庁
―――2022年05月20日09時14分付 時事通信より
財務省キャリア総括審議官が電車内での暴行疑い現行犯逮捕
―――2022/5/20 8:04付 Yahoo!ニュースより【TBS NEWS GID配信】
いくつかのメディアによると、財務省総括審議官の小野平八郎容疑者(56)が20日午前0時半ごろ、走行する東急田園都市線の電車内で乗客に殴る蹴るの暴行を加えた容疑で現行犯逮捕されたと報じました。
この点、現時点ではまだ「容疑」であり、犯行が確定したわけではありませんが、事実ならば大変に由々しき問題でしょう。官僚の不祥事が、あまりにも多すぎるからです。
いずれにせよ、このような者たちが「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」などと騙っているのだとしたら、冗談にしては笑えません。
もっとも、個人的には、メディアや野党は財務省に忖度(そんたく)するあまり、本件で財務省を追及することはないと見ているのですが、いかがでしょうか。
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>財務省総括審議官の小野平八郎容疑者(56)が20日午前0時半ごろ、走行する東急田園都市線の電車内で乗客に殴る蹴るの暴行を加えた容疑で現行犯逮捕された
このニュース、全然知りませんでした。
小野平八郎氏の写真を見る限り腕っぷしが強そうに見えないんですけど、殴って蹴った相手はどんな人なんでしょうね。本業同様、弱い者いじめしてたんじゃないの。(どうでもいい)
しかし平八郎さん、きっと東郷元帥が泣いておられますよ。
大塩さんも。
Twitterのトレンドに「小野平八郎の乱」が上がってますね(笑)
「マルサの女」の続編の「マルボーの男」をひそかに期待。
>官僚の不祥事が、あまりにも多すぎるからです。
お題の記事って、お酒絡みの不祥事って言い方もできると思うのです♪
だから、酒酔い状態での公共交通の利用を禁止して欲しいと思っちゃうのです♪
東大出て58歳まで局長級まで頑張ってこれですかw。
この人が天下れるかどうかがポイントですな。
財務省イコール国の経理です。
それが、社長面して国の舵取りしてるから、おかしいのです。
財務省の入省条件に簿記を入れるべきです。
> 財務省を追及することはないと見ているのですが
私もそう思います。
(詳しく知りたいところですが・・・)
財務省、税務署は恐ろしい。((((;゚Д゚))))ガクガク
触らぬ神に祟りなし。。。クワバラクワバラ
その財務省が総連に対してどのような姿勢で臨んでいるのか、気になる所ですね。
その財務省が総連に対してどのような姿勢を取っているのか気になりますね。
今回の記事ですが、論点が纏まっていないという印象を受けました。
まず、財務省の増税体質や各省庁の利権構造は問題です。
そして、官僚の不祥事も問題です。
ですが、前者は組織構造としての問題であり、後者は個人の問題です。
何故、自分が後者を個人の問題であると判断しているかというと、理由は以下の通りです。
財務省について書かれているwikiによると、20201年7月時点では財務省全体で職員の数は約7万人です。うち、本省が約1万6千人です。
そして、事件としてこの記事で紹介されているのが1988年の「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」、2018年の「財務省次官の女性記者に対するセクハラ疑惑」、2022年の「乗客暴行容疑」。
20年超で何万人いるうちの3事件で、不祥事が多いと言うのは、些か無理があるのではないかと思います。
これは、官僚の枠を広げ、財務省以外の官僚による事例を出しても、ほぼ同じ割合になると考えていますが。
これが、近年のみずほ銀行のシステム障害並(あるいはその半分程度)にでも、起きていたか、そんな風に事例を紹介されていたのならば、自分も多いと賛同しますが。
この不祥事の割合で、組織的な問題である増税体質などと同列に並べるのは違和感を感じました。
また、仮に組織的な問題であったとしても、増税体質という、仕事の方向性の問題と、職員の順法精神やその教育という点で別の問題に思われます。
批判をするのであれば、これらの事例は各々、別記事として分けて取り上げた方がよかったように思います。
また、官僚の不祥事があまりにも多すぎると述べるのであれば、より多く、時間的にも密度が濃い形で事例を紹介された方がいいように思いました。
丸一日経ちましたけど、被害者に関する情報は一切出てこないですね。
情報統制がとても行き届いていそうです。財務省案件だからでしょうかね。(笑)
wikipediaには昨日、小野平八郎氏の項目が立ちましたが、何も書かれてないですね。
電車内でスマホで撮られた映像とか流れないかなぁ。
(単なる野次馬根性)
「財務省」は「罪無省」だから立件しないのでは?
逆に、「罪ムショ」かな?
テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故における事故原因の一つとしてあげられているのが「シミュレーション訓練の教官が、現実においても状況を支配できると勘違いした」というもの
そういう事例に類似した内心を持ってるのかなぁと思ってしまいます