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虚報疑惑が浮上するNHKに公共放送騙る資格あるのか

NHKを巡って、またしても虚偽字幕疑惑が浮上しました。小学館が運営するウェブサイト『NEWSポストセブン』の記事によると、NHKが4月10日正午に放送した番組で、ウクライナから来日した難民が話した内容に、まったく異なる内容の字幕が付けられていた可能性がある、というのです。事実関係についてはまだわかりませんが、これが事実ならば由々しき問題です。

NHKは「公共放送」を騙るが…?

NHKといえば、自分たちで勝手に「公共放送」だと名乗っている組織です。

ただ、NHKの行動を見ていると、はたして彼らに「公共性」があるのかと疑わざるを得ない事実が、次から次へと判明するのもまた事実です。

たとえば『NHK「1人あたり人件費1573万円」の衝撃的事実』などでも議論してきたとおり、NHKの職員1人あたりの人件費(給与・賞与、法定福利費、福利厚生費、退職給付費用など)は、単純計算で1人あたり1573万円前後に達しています。

1兆円を超す金融資産、不透明な連結決算に加えて「隠れ人件費」疑惑もNHKが2021年3月期(=2020年度)の財務諸表と連結財務諸表を公表しました。当ウェブサイトとしては、NHKが「公共放送」として相応しくないほど非常識に超高額な人件費を負担している点や、国民からかき集めた巨額のカネを1兆円以上、さまざまな形で保有している点を指摘して来ましたが、ここで最新状況について改めてまとめておくとともに、あらためて、NHKの「あり方」について考えてみたいと思います。NHK問題の要諦NHK問題をまとめると…?当ウ...
NHK「1人あたり人件費1573万円」の衝撃的事実 - 新宿会計士の政治経済評論

放送法という「国家の統制」を悪用し、半強制的に受信料をかき集めておきながら、一般的な民間企業などをはるかに上回る異常な高給を受け取っているという姿勢は異常というほかありません。

これに加えて昨日の『NHKが文化遺産「熊野古道」破壊=必要な許可を得ず』では、NHKが和歌山県高野山町にある高野山テレビ中継所の更新工事を行った際、文化財保護法に違反し、貴重な文化財である「高野参詣道女人道」の一部を破損させるという事件が発生しています。

英国の公共放送は一般人向けに「偽情報」を判別するためのテクニックを伝授するのに対し、日本で「公共放送」を騙る組織は職員1人あたり1573万円もの人件費を計上するなど、著しく公共性に反した行動を取り、挙句の果てには貴重な文化遺産である熊野古道を破壊するような組織だそうです。興味深いですね。NHK問題の本質当ウェブサイトでしばしば取り上げる問題のひとつが、「NHK問題」です。NHKといえば、放送法(※)の規定をタテに取り、テレビを設置したすべての世帯から事実上、半強制的に受信料を取り立てている組織です...
NHKが文化遺産「熊野古道」破壊=必要な許可を得ず - 新宿会計士の政治経済評論

さらには、『NHK虚偽字幕は「倫理の問題」ではなく「違法行為」』でも触れたとおり、NHKが昨年末に放送した『BS1スペシャル 河瀬直美が見つめた東京五輪』で、取材内容と異なる字幕が付けられていたという問題も発覚しています。

叩けば叩くほど埃が出る利権組織・NHK。今度は「虚偽字幕問題」がBPOの審議入りです。ただ、今回の「虚偽字幕問題」、NHKの発表通りならば、これは「倫理の問題」ではありません。れっきとした「違法行為」です。放送法第4条第1項第3号には、「報道は事実をまげないですること」とありますが、事実を曲げて報じた時点で、NHKは違法行為をしたのです。NHKは「自称・公共放送」NHKといえば、「公共放送」を自称していることで知られます。そして、NHK自身が述べる「公共放送」とは、「①営利を目的とせず、②国家...
NHK虚偽字幕は「倫理の問題」ではなく「違法行為」 - 新宿会計士の政治経済評論

これらの相次ぐ不祥事を眺めていると、NHKという組織が「法を守る」という意識も持たず、上から下まで腐敗し切っているのではないか、という疑いすら抱かざるを得ません。

NEWSポストセブン「ウクライナ避難民インタビューで字幕改変」

こうしたなか、またあらたな「虚偽字幕」疑惑が出て来ました。

『週刊ポスト2022年4月29日号』に掲載され、小学館が運営するウェブサイト『NEWSポストセブン』に今朝転載された次の記事によると、NHKがウクライナから日本に到着してきた避難民に対するインタビューについて、日本語の字幕が改変されていたとする疑惑が提起されています。

NHKがウクライナ避難民インタビューで「字幕改変」か 大学教授が指摘

―――2022.04.18 06:00付 NEWSポストセブンより

同誌によると、問題の放送は4月10日正午に放送されたNHKのニュース番組で、女性が「私たちの勝利を願います」、「ウクライナに栄光あれ」と話しているにもかかわらず、「今は大変だけど平和になるように祈っている」とする字幕を付けたとする疑惑だそうです。

同誌は青山学院大学名誉教授の袴田茂樹氏の次のようなコメントを紹介しています。

実際にニュースを見ていて、強い違和感を持ちました。映像中の女性の言葉は、南方アクセントのロシア語とウクライナ語のミックスで、直訳すると『私たちの勝利を願います。勝利を。ウクライナに栄光あれ』と話しています。戦争に勝つことを願う主旨の発言で、平和云々は語っていない」。

これが事実だとすれば、大変に由々しき話です。「我々の勝利を願います」と「平和になるように祈っています」だと、意味合いがまったく異なって来るからです。もしも袴田氏の指摘がそのとおりであるならば、明らかな虚報であり、「捏造報道」の一種と考えて良いでしょう。

もっとも、NEWSポストセブンによると、NHK広報局は、次のように述べているのだそうです。

インタビューは、当日取材現場にいた、日本語が分かるウクライナの方にご協力をいただき行ないました。引き続き、発言の内容が的確に伝わるよう努めてまいります」。

つまり、NHK自身は今回の報道が誤りであるかどうかについては認めておらず、今回の疑惑については、「虚偽字幕ではないか」との疑念が提起された状態に過ぎない、ということです。

残念ながら著者自身はロシア語もウクライナ語も解さないため、とりあえず現時点では、NHK側、NEWSポストセブン側のどちらの言い分が正しいのか、判断のしようがありません。したがって、現時点では「NHKが虚偽字幕を付した」と断定することについては、とりあえず控えておきたいと思います。

NHKに公共放送の資格はあるのか?

ただ、NEWSポストセブンによると、前出の袴田氏は、次のように述べたそうです。

NHKの字幕は意訳ではなく戦闘を悪とする平和主義の意図的な改変だと感じました。(中略)ロシアの侵攻もウクライナの反撃も戦争は等しく悪だというスタンスなのかもしれませんが、どんな背景があるにせよ女性の発言内容を変えて良い理由にはならない」。

NEWSポストセブンは袴田氏の「とくに今は情報が錯綜しており、メディアにはロシア情勢を正確に伝えてほしいと願っています」という発言を踏まえ、「公共放送のNHKは、先頭に立ってその役割を果たすべきだ」と結論付けているのですが、問題はそこではありません。

NHK自身が「公共放送」を騙るにふさわしい組織であるかどうかを議論することではないでしょうか。

今回の「字幕改竄疑惑」を巡って、NHKが「シロ」だったと仮定しても、同組織がこれまでにさまざまな問題行動を起こしている事実については変わりません。

そもそも論ですが、NHKという組織は、当ウェブサイトで常々議論する「利権構造」そのものでもあります。個人的な定義で恐縮ですが、利権には次の3つの特徴があると考えています。

利権の3つの特徴
  • ①利権は得てして理不尽なものである。
  • ②利権はいったん確立すると、外からそれを壊すのが難しいという特徴を持つ。
  • ③ただし、利権を持っている者の怠惰や強欲で利権が自壊することもある。

(【出所】著者作成)

NHK利権もその典型例であり、「テレビを設置した」というだけの理由で、NHKの放送をただの1秒も視聴していない人からも、法の規定に基づいて半強制的に受信料を徴収することができるため、NHKにとっては本当に笑いが止まらない利権そのものでしょう。

しかも、放送内容を含め、NHKがどうやって「公共性」とやらを維持しているのかについては、それを検証する公的な仕組みが存在しません。民放と共同で設立した「BPO」なる身内の組織でお茶を濁しているのみです。

放送制度改革が必要だ

やはり、放送内容の妥当性を検証するためには、放送業界からはまったく独立した組織を作るのが筋でしょうし、もしそれができないというのならば、電波オークションの導入などにより電波を自由化し、NHKの在り方についても抜本的に見直すのが筋ではないでしょうか。

個人的にはこの世にBBCのような「公共放送」が存在していても良いとは思いますが、少なくともNHK自身が公共性のある放送局だとはまったく思いません。1万人を超える職員に高給を支給するなど、ちょっとコストが高すぎますし、虚偽放送などの不祥事も多すぎるからです。

このように考えていくならば、国会審議中継、天気予報、教育番組、災害情報などの「公共性が高い放送」を限定列挙し、それを専門に流す放送局を「税金で」運営するのが筋であり、NHKは連結集団内に抱える1兆円を超える金融資産などの莫大な資産の国庫返納を命じたうえで民営化するのが筋ではないでしょうか。

そのうえで、放送法に規定する契約義務を削除し、民営化したNHKがスクランブル化するなり、民放並みにCMを流すなり、自由に経営させればよいと思うのですが、いかがでしょうか(※もっとも、現在のNHKが民営化してまともに経営していけるとも思えませんが…)。

新宿会計士:

View Comments (11)

  • >「ウクライナに栄光あれ」と話しているにもかかわらず、「今は大変だけど平和になるように祈っている」

    仮にNHKがファーストガンダムに字幕を付けたとしたら…

    ガルマ「ジオン公国に栄光あれーッ!」

    ガルマ「今は大変だけど平和になるように祈っているーッ!」

    になる訳ね。ダメだそりゃ。

  • 電電公社、専売公社、国鉄。これは国営だったから政治の力で時代に対応して民営化してそれなりに効率化出来たんですよね。

    NHKも時代の変化に対応していく必要があるのですが、受信料徴収の権限だけ持って国から独立しているので政治の力で改革出来ないんですよね。

    受信料徴収権を盾にNHKを分割するのがいいと思う。組織としては3分割。報道を担当する公共放送としての中立性が必要な部門。その他の番組制作(送信設備はこちらで保有)。あとは通信技術を研究する部門。

    1番目は公共放送として残して数100円の受信料。2番目はCMを入れるなりスクランブル放送をするなり自由にすれば良い。もちろん受信料収入は無し。3番目は逆に国有化。税金でもって研究すれば良い。

    全部が全部受信料で賄うからいけない。本当に公共放送として政治から中立が必要なのはごく一部。

  • 電気も水道もガスも使った分に応じた徴収だから納得なのだし止まると困るから支払うのです。
    NHKだって視聴を制限し分母を減らせば、徴収率はUPし滞納者が居なくなるはずなのです。

    BSチューナー内蔵デッキを買ったら、すぐさま衛星契約に来た。
    パラボラアンテナが故障していたので衛星契約を解約申請した。(何も言われなかった)

    全て把握できる技術があるんだから、さっさとスクランブル化すればいいのに・・。
    *国営化・税金負担には賛成です。政権批判は民放に任せればいいと思います。(公務員法の国籍条項に抵触する社員が居たりするのかな?)

  • ホント、引用・検証しにくくしてるのをいい事にやりたい放題だよなあ
    自分は一定期間のはストックしてるので翻訳かけてみると確かに勝利と栄光という言葉は確認できる

  • 相当昔の話で恐縮だが、20数年前のJNN報道特集で行った脱北者を扱った回で、凄まじい翻訳を見たことが有る。
    密着取材した脱北者が、自身の声が余りにも響か無い為、嘆きながら韓国人に訴えてるシーンだ。
    字幕にはこうあった。
    「これは現実だ!映画やドラマとは違うんだ!」
    北朝鮮で生まれ育った方が、果たしてこの様な比喩表現を使えるだろうか?
    余りの違和感に、番組の全てが嘘くさく見えた。

  • 相当昔の話で恐縮だが、20数年前のJNN報道特集で行った脱北者を扱った回で、凄まじい翻訳を見たことが有る。
    密着取材した脱北者が、自身の声が余りにも響か無い為、嘆きながら韓国人に訴えてるシーンだ。
    字幕にはこうあった。
    「これは現実だ!映画やドラマとは違うんだ!」
    北朝鮮で生まれ育った方が、果たしてこの様な比喩表現を使えるだろうか?
    余りの違和感に、番組の全てが嘘くさく見えた。

  • でも、こんなクソっぽくはあるけどマスメディアがロシアの肩を持ったりウクライナを非難したりしなければ確証なき陰謀論とバカにするわけですよね?ここでは。
    私はクソではないメディアを知りませんが。

  • >NHK自身が「公共放送」を騙るにふさわしい組織であるかどうか

    まさに公共放送を「騙る」にふさわしい、組織です。
    「語るに」ふさわしい組織とは思いませんが。

    • すいません、先のコメントがなかなか表示されないので似たような内容を重複して送ってしまいました。

  • 商業放送(民間放送)も酷いし、現実、自衛するしかないんだよなぁ。

    確かに、「勝利」が正しいと思います。
    ウクライナにとって、この戦いに勝つことが、平和への必須条件なので。