昨日の『岸田首相が日韓電話会談後に良い意味で余計なヒトコト』でも取り上げた、岸田文雄首相と文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領との初の日韓電話首脳会談については、韓国政府側からも発表がありました。これが大変に噴飯物です。日本側の発表とはまったく異なる内容が多く含まれているからです。調べたらすぐにわかるようなウソを、どうして平気で繰り返すのでしょうか。「韓国の特殊性」という、韓国観察者である鈴置高史氏の指摘の正しさを、痛感せざるを得ません。
目次
日韓首脳会談:日本側の発表
日韓電話首脳会談、岸田首相の「良い意味での余計なヒトコト」
日韓電話首脳会談を巡っては、昨日の『岸田首相が日韓電話会談後に良い意味で余計なヒトコト』で、15日の夜行われた日韓電話首脳会談について、岸田文雄首相自身の記者会見をもとに、岸田政権の韓国に対する認識(というよりも扱いの軽さ)を、あらためて確認しました。
「対面での首脳会談については、今のところ何も決まってはおりません」昨日の『韓国メディア「韓国は日本と核心価値を共有する隣国」』などを含め、当ウェブサイトでここ数日、ときどき取り上げてきた話題が、日韓電話首脳会談です。当ウェブサイトとしては、「電話首脳会談をやったとしても、言うべきことは限られているのだから、わざわざやる意味はないだろうに」、などと考えていたのですが、実際に昨晩行われた会談を確認してみると、まったく予想どおりの部分と、「ちょっとしたサプライズ」の部分から構成されていました。韓国... 日韓電話会談後の岸田首相の「素敵で余計なヒトコト」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
内容自体は、「北朝鮮問題などにおける日韓・日米韓連携の重要性」を強調しつつも、自称元徴用工問題や自称元慰安婦問題を巡っては「日本の一貫した立場に基づき韓国側に適切な対応を強く求める」、といったもので、正直、内容としては「サプライズ」はほとんどありませんでした。
ただし、唯一の「例外」が、冒頭発言の最後にあった、「対面での首脳会談については、今のところ何も決まっていない」とする趣旨の発言でしょう。
岸田首相は10月4日に就任して以来、「クアッド」を構成する米豪印に加えて近隣国である中露両国、さらには英国との電話首脳会談を行っていて、このうち米国、ロシア、インドの各国については対面での会談の可能性に言及がありました。
韓国については(記者からの質問に答えたものであるとはいえ)わざわざ「対面での首脳会談は何も決まっていない」と断言するあたり、当ウェブサイトとしては「良い意味での余計なヒトコト」だったのではないかと申し上げた次第です。
外務省の発表もアッサリしたもの
さて、当ウェブサイトでは、昨日は首相官邸のウェブサイトの発表を参考に、岸田首相ご本人の発言を取り上げましたが、これに加えて外務省が発表している概要についても紹介しておきましょう。
日韓首脳電話会談
10月15日、午後6時40分から約35分間、岸田文雄内閣総理大臣は、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領と電話会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
冒頭、岸田総理大臣から、内閣総理大臣就任の挨拶と共に、就任直後に祝意の書簡を頂いたことに謝意を伝達したのに対し、文大統領から、内閣総理大臣就任への祝意が示されました。
岸田総理大臣から、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題等により日韓関係は引き続き非常に厳しい状況にある旨述べた上で、これらの問題に関する日本の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めました。
岸田総理大臣から、地域の厳しい安全保障環境の下では、北朝鮮への対応を始め、日韓・日米韓の連携を一層深めていくことが不可欠である旨述べるとともに、拉致問題について、引き続きの支持と協力を求めました。これに対し、文大統領から、拉致問題についての日本の立場への支持が示された上で、両首脳は、日韓・日米韓の連携の重要性について改めて一致しました。
両首脳は、新型コロナ対策等の課題に共に取り組んでいくことで一致しました。
―――2021/10/15付 外務省HPより
文章は全部で500文字弱であり、また、例の「余計なヒトコト」が含まれていないことなどを除けば、内容としては岸田首相が記者会見で述べたものとほとんど変わりません(岸田首相の記者会見内容自体も、冒頭発言部分だけで見れば400文字少々でした)。
ただし、これについては「韓国だけ特別に短い」という意味ではありません。
たとえば、このあたりは先行して開催された日米、日豪、日露、日中、日印、日英の各会談も、これよりは多少長い印象があるにせよ、報道発表文自体はだいたい500~700文字程度であり、むしろ政府や外務省の発表はこういうものだ、という意味だと考えた方がよさそうです。
韓国側の発表は?
韓国大統領府の発表は日本政府・外務省の3倍
ただし、外交に関するこの手の議論を展開する際には、相手国がどう発表したかについても確認しておく価値はあります。
この点、昨日の議論では間に合いませんでしたが、現時点では韓国大統領府ウェブサイト上で、韓国政府側の報道発表が公表されています。
文在寅大統領、岸田・日本新任総理との通話関連書面ブリーフィング【※韓国語】
―――2021-10-15付 韓国大統領府HPより
日本語に直訳すれば1300文字を超える、なかなかの長文です。冒頭発言で400文字少々だった岸田首相の発表内容と比べて3倍以上という長さですが、ここでは翻訳エンジンなどの力も借りつつ、日本語に訳したものを紹介しましょう。
便宜上、文章には①~⑫の番号を付しています(※かなりの長文であることに加え、ところどころ、翻訳がこなれていない部分もありますが、ご了承ください)。
①文在寅大統領は日本の第100代総理に就任した岸田文雄総理と、今日の午後6時40分から約30分間通話し、就任を祝いました。
②文大統領は「民主主義と市場経済という価値を共有する最も近い隣国であり、北東アジア地域を越えて、世界の平和と繁栄のためにも協力しなければなら仲間だと思う」とし、「韓半島問題以外にも、コロナ危機と気候変動への対応、グローバルなサプライチェーンの問題など新たな課題に対抗し、両国が一緒に対応し、ポストコロナ時代を希望がある未来に開いていくために、両国間の協力をさらに強固にしなければならない」と述べました。
③岸田首相は「暖かいお祝いの言葉に感謝します。厳重な安全保障の状況下で、日韓、日米韓共助が重要である」とし「韓日両国を未来志向的な関係に発展させようという文大統領の言葉に共感する」と述べました。
④文大統領は「両国関係がいくつかの懸案により困難を経験しているが、意志を持って、お互いに努力するとともに克服していくことができると考えている」と述べました。
⑤文大統領は、強制徴用問題と関連して、「1965年韓日請求権協定の適用範囲のための法的解釈に違いがある問題」とし「両国間の外交的解決策を模索することが望ましいとみなし、外交当局間の協議とコミュニケーションを加速しよう」と提案しました。
⑥文大統領はまた、慰安婦問題と関連し、「被害者の方々が納得しながらも、外交関係に支障をきたさない解決策を模索することが何よりも重要であると考えであり、生存している被害者のおばあさんたちも少なく、両国が解決することができる時間はさほど多く残されていない」と強調しました。
⑦岸田首相は強制徴用問題と慰安婦問題に対する日本の立場を説明し、両国首脳の率直な意見交換を評価しつつ、外交当局間のコミュニケーションと協議加速を促すと言いました。
⑧文大統領は「北朝鮮の核ミサイル能力増強を防ぎ、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和定着を達成するために、北朝鮮との対話と外交をすぐに再開する必要がある」とし、「金正恩委員長と条件なしで直接向き合うという岸田首相の意志を高く評価する」と言いました。
⑨岸田首相は、北朝鮮の核ミサイル活動が地域と国際社会の平和と安全に脅威になるとしつつ、外交的努力が重要であり、北米対話が早期に再開されることを期待するとし、同時に、国連安全保障理事会決議の完全な履行と地域の抑止力の強化が重要であるとしました。
⑩文大統領は日本人拉致問題と関連しても、今までしてきたように、韓国政府も継続関心を持って協力するとしており、岸田首相は謝意を表しました。
⑪文大統領は、両国国民間の緊密な交流は、韓日関係の発展の基盤であり、強固な支えであることを強調し、特別な入国手続きの再開など、可能な措置を早急に設け、両国間の人的交流の活性化再開の重要性を表明しており、岸田首相はコロナ対応と日韓間の往来回復などのために一緒に努力していこうとしました。
⑫文大統領は岸田首相とよいコミュニケーションが取れることを願って、直接会って両国関係の発展の方向について虚心坦懐に意見を交換することを期待するとして、岸田首相は、両国首脳間の虚心坦懐なコミュニケーションが非常に重要であるという点に共感を表しました。
…。
日本側の発言を勝手に捏造して発表?
言いたいことはたくさんあるのですが、そのなかでもとくに興味深いのは、③と⑦と⑨の3つです。
このあたり、日本政府の基準に照らせば、明らかにアウトでしょう。相手国がどのように話したかを、ここまで踏み込んで紹介してしまうのは、非常にリスクが高い行為だからです。しかも、③、⑦、⑨には、それぞれ、日本側の発表と照らし合わせると、次のとおり、明らかな齟齬、ないしは矛盾があります。
③の文章
- <日本側>岸田総理大臣から、地域の厳しい安全保障環境の下では、北朝鮮への対応を始め、日韓・日米韓の連携を一層深めていくことが不可欠である旨述べるとともに、拉致問題について、引き続きの支持と協力を求めました。これに対し、文大統領から、拉致問題についての日本の立場への支持が示された上で、両首脳は、日韓・日米韓の連携の重要性について改めて一致しました。
- <韓国側>岸田首相は「暖かいお祝いの言葉に感謝します。厳重な安全保障の状況下で、日韓、日米韓共助が重要である」とし「韓日両国を未来志向的な関係に発展させようという文大統領の言葉に共感する」と述べました。
- <問題点>「日韓両国を未来志向的な関係に発展させようという文在寅氏の言葉に共感する」という韓国側の記載に相当する日本側の記載はどこにもない。
⑦の文章
- <日本側>岸田総理大臣から、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題等により日韓関係は引き続き非常に厳しい状況にある旨述べた上で、これらの問題に関する日本の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めました。
- <韓国側>岸田首相は強制徴用問題と慰安婦問題に対する日本の立場を説明し、両国首脳の率直な意見交換を評価しつつ、外交当局間のコミュニケーションと協議加速を促すと言いました。
- <問題点>日本側が韓国側に、自称元徴用工・自称元慰安婦などの問題を巡り、「日韓関係は非常に厳しいと岸田首相が述べた」こと、「適切な対応を強く求めた」ことへの言及が韓国側の発表にないばかりか、日本側の発表にない「率直な意見交換を評価する」「外交当局間のコミュニケーションと協議加速を促す」とする記述が勝手に追加されている。
⑨の文章
- <問題点>これに対応する記述は日本側にはいっさい存在しない。
…。
いかがでしょうか。
「相手が言ってもいないことを勝手に発表する」という「韓国節」は、健在ですね。
もちろん、岸田首相のことですから、30分少々の対話のなかで、韓国大統領府が発表したようなことをポロッと口に出してしまっていた可能性は否定できません(だからこそ、当ウェブサイトとしては『日韓電話首脳会談は史上初「自動音声対応」でいかが?』のなかで、「自動録音対応にしたらどうか」と提案した次第です。個人的にはマジメな提案だったつもりですが…)。
昨日衆院を解散した岸田首相は、非常に多忙です。こうしたなか、韓国メディアは昨日、韓国大統領府関係者の発言をもとに、日韓首脳が15日(つまり本日)、電話首脳会談を実施する方向で検討しているとする趣旨の記事を配信しました。もっとも、ただでさえ多忙な岸田首相にとっては、外交上の優先順位も低く、大した成果も見込めない会話に貴重な時間を費やすのはもったいない話でしょう。そこで、当ウェブサイトとしては史上初の試みとして、「自動音声対応」の首脳会談を実施することを提案申し上げたいと思います。「たかが」電話会... 日韓電話首脳会談は史上初「自動音声対応」でいかが? - 新宿会計士の政治経済評論 |
ただ、韓国側のみが発表したのならばともかく、今回の首脳会談については、日本側も、(普段の日本政府の行動に照らせば)わりと迅速にその内容を公表した方であり、コリア・ウォッチャーとしては、日韓双方の発表を読み比べて、どちらが正しかの判断を下せば良いので、さほど困惑するものではありません。
いずれにせよ、日韓の報道発表にここまで盛大な齟齬・矛盾があるということは、少なくともどちらか片方がウソをついていることになるのですが、コリア・ウォッチャーの世界では、やはり「韓国のいつもの平常運転」と位置付けざるを得ないのです。
日韓両国はすでに価値を共有していない
さて、上記③、⑦、⑨の文章にもさまざまな問題はあるのですが、文在寅氏の発言の部分にも、何かと「噴飯物」の記述が多々含まれています。
①はどうでも良いとして、②の部分にもかなりの問題があります。
「民主主義と市場経済という価値を共有する最も近い隣国であり、北東アジア地域を越えて、世界の平和と繁栄のためにも協力しなければなら仲間だ」。
残念ながら、『日韓電話会談から見える日本外交上の韓国の地位の低下』でも報告したとおり、日本の側としては、すでに韓国を「基本的価値を共有する国」とはみなしていません。このあたり、韓国側の認識がずいぶんとズレているように思えてなりません。
韓国メディアからはここ数日、岸田文雄首相と文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領との「電話首脳会談」に関する話題を見かけることが増えて来ました。これに関連し、中央日報は今朝、日韓首脳が15日に電話会談を実施する予定だ、と報じています。ただ、こうした電話首脳会談をやる、やらないというやりとり自体、現在の日本外交にとって韓国の優先順位が著しく低下しているという事情を反映しているように思えてならないのです。2021/10/14 12:12追記本稿公表後に、日韓電話首脳会談を巡って追加で報道を発見したので、本稿末尾に「追... 日韓電話会談から見える日本外交上の韓国の地位の低下 - 新宿会計士の政治経済評論 |
また、④の発想に関しても、いただけません。
「両国関係がいくつかの懸案により困難を経験しているが、意志を持って、お互いに努力するとともに克服していくことができると考えている」。
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題を筆頭とする日韓間の諸懸案は、韓国が国際的な法、条約、約束などを守るか守らないか、という一点にかかっているのであり、日韓が「お互いに」努力する話ではありません。
自称元慰安婦問題は2015年12月の慰安婦合意により、自称元徴用工問題は2019年1月の日韓請求権協定に従った外交解決努力により、すでに日本としてできる外交的な努力を尽くしています。これ以上、日本に努力できることはありません。
「日韓両国が」、ではない!
また、次の⑤⑥についてもなかなか噴飯物です。
⑤「文大統領は、強制徴用問題と関連して、『1965年韓日請求権協定の適用範囲のための法的解釈に違いがある問題』とし『両国間の外交的解決策を模索することが望ましいとみなし、外交当局間の協議とコミュニケーションを加速しよう』と提案しました」。
外交当局の協議やコミュニケーションに応じなかったのは韓国側なのに、この期に及んで「外交的解決策の模索」とは、呆れます。だいいち、日韓で解釈に相違があるとおっしゃるならば、それこそ国際司法裁判所(ICJ)に付託しましょうよ、という話になりませんかね?
⑥「文大統領はまた、慰安婦問題と関連し、『被害者の方々が納得しながらも、外交関係に支障をきたさない解決策を模索することが何よりも重要であると考えであり、生存している被害者のおばあさんたちも少なく、両国が解決することができる時間はさほど多く残されていない』と強調しました」。
自称元慰安婦問題に関しては、2015年12月の日韓慰安婦合意をもって、最終的かつ不可逆的に解決済みです。
そのうえで、12番目のこんな文章です。
⑫「文大統領は岸田首相とよいコミュニケーションが取れることを願って、直接会って両国関係の発展の方向について虚心坦懐に意見を交換することを期待するとして、岸田首相は、両国首脳間の虚心坦懐なコミュニケーションが非常に重要であるという点に共感を表しました」。
これこそまさに、岸田首相の「対面での首脳会談については、今のところ何も決まってはおりません」とうまく完結している、というわけです。
すぐわかるウソを…
いずれにせよ、今回の韓国政府の報道発表を眺めていて思ったのは、「ちょっと調べたらすぐにわかる」ようなウソを大量に盛り込むという点への違和感です。
岸田首相が「日韓両国を未来志向的な関係に発展させようという文在寅氏の言葉に共感する」だの、「外交当局間のコミュニケーションと協議加速を促す」だのと述べただの、勝手な発表があまりにも多すぎるのです。
こうした事実関係を踏まえたら、韓国観察者の鈴置高史氏が7月16日付『デイリー新潮』の『文在寅が菅首相をストーカーするのはなぜか 「北京五輪説」「米国圧力説」……やはり「監獄回避説」が有力』で述べた、こんな内容が、本当に心に染み入るのです。
「平気で約束を破り、堂々と他人を裏切る韓国と首脳会談を開こうとする国はまず出てこない。何を取りきめようが、すぐに反故にされるからです。日本と韓国がうまくいかない原因は『日韓関係の特殊性』ではなく『韓国の特殊性』にあるのです」。
今回の首脳会談、まさにこの「韓国の特殊性」が余すところなく示された首脳会談だったのではないでしょうか。
左派メディアの反応
さて、これについて、いちおう、韓国の左派メディア『ハンギョレ新聞』が社説に仕立てていたようなので、いちおう、リンク先を紹介しておきましょう。
[社説]韓日首脳の「出遅れた」電話会談、両国の関係改善に向けた努力続けるべき
―――2021-10-16 07:07付 ハンギョレ新聞日本語版より
ハンギョレ新聞は今回の首脳会談が、岸田首相が4日に就任して以来の「11日目にして行われた初の意思疎通」としつつも、いちおう、両国の記者会見の内容をチェックしたうえで社説に仕立てています。
ただ、残念ながら、思い込みが多すぎます。
たとえば、岸田首相が日韓首脳会談に応じるのが就任後11日目になったことについて、次のように述べます。
「31日の衆院選を控え、自民党の支持基盤である保守層に岸田首相が『韓国に弱腰にならない』ことを見せようとする意図的な行動だと、日本のマスコミは分析している。岸田首相が国内政治問題のためにこのような形で韓日関係の最初のボタンをかけたことは非常に残念だ」。
自分たちの国がそうだからといって、相手もそうだと思うのは、単なる自己投影でしょう。
そもそも現在の日本にとって、外交上も安全保障上も、さらには経済上も、韓国の地位は明らかに低下しています。岸田首相が就任以来、優先的に会談を行った相手国が米豪印という同盟国・同士国、中露という近隣大国であるというのにも、ちゃんとした理由があると考えるべきでしょう。
ハンギョレ新聞の残念な思い込みは、それだけではありません。
「韓日関係は歴史問題と輸出規制をめぐって最悪の状態に悪化した。しかし、日本国内でも韓国に対する輸出規制のため、日本経済がさらに大きな被害を被ったという批判が高まっているにもかかわらず、日本の政治家たちが韓日関係改善を韓国に対する譲歩と見なし、『韓国が解決策を示すべき』という主張を繰り返していることは理解し難い」。
「理解しがたい」のはこの文章の方でしょう。
そもそも『「不等号の向き」を盛大に勘違いする「加害者・韓国」』でも例に出したとおり、どうもハンギョレ新聞の社内には、こんな「不等式」があるように思えてなりません。
文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領の訪日断念の発表から2日が経過しますが、韓国メディアは連日、この話題で持ちきりです。とくに、韓国の「左派メディア」とされる『ハンギョレ新聞』(日本語版)には昨日、「日本の態度の変化が必要だ」とする社説が掲載され、また、韓国大統領府報道官は「両首脳はいつになろうが会うべきだ」と述べた、などとする話題もあります。ただ、ここで気になるのは、そもそもの「不等号の向き」です。韓国側の「不等式」「韓国政府が19日、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領の東京五輪を契機とした訪... 「不等号の向き」を盛大に勘違いする「加害者・韓国」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
(歴史問題)+(日本の輸出規制)>(強制徴用判決)+(GSOMIA破棄)…①
ただ、この不等式の左辺にある「日本の輸出規制」と呼ばれるものについては、日本がそんなものを発動した事実はありませんし、「歴史問題」についても、韓国が思っているほどの価値は、もはや存在しません。
しかし、「強制徴用判決」(※自称元徴用工判決の誤植と思われる)や日韓GSOMIA(秘密軍事情報保護協定)破棄騒動については、韓国という国が国際的な約束を守らないという意味において、まさに韓国の異常性が強烈に出ている、というわけです。
ハンギョレ新聞は、文在寅氏の任期があまり残っていないこと、韓国の世論が日本に強く反発していることなどから、「韓日関係の早期回復を期待することは難しい見込み」だとしつつも、東アジア情勢のなかで「両国の協力はいつになく切実だ」と述べます。
もしそういった認識をお持ちなのであれば、ぜひ、自国の海軍が2018年12月20日に行った火器管制レーダー照射という不法行為を、あるいは自国の政府が2019年8月22日に決断したGSOMIA破棄騒動の経緯を、思い出してみてほしいものです。
やはり、アジア情勢が緊迫するなかであるからこそ、わが国は「真に信頼に値する国」との連携を強化しなければなりませんし、そうでない国との関係については「テーパリング」せざるを得ないのではないか、と思う次第です。
View Comments (36)
日本政府が先に発表すると言いましたが、韓国側の嘘を分かりやすくする為です。
今後も、総選挙が終わったら、参議院選挙が終わって岸田首相の政権基盤が固まったらと、日本側の譲歩のみを期待するだけでしょう。
立憲共産党政権になったらと言わないのは、無理だと思っているからなのか、立憲共産党への後押しなのかは分かりません。
いつのも understand なのでは?
「(言いたいことは)解った」と応じれば、”共感を得た”ことに自動翻訳されるのです。
”下に立つ” なんて言葉の響きが勘違いの元凶だったりするのかな・・?
おそらく、そこまですら行ってないのではないかと。
「○○と発言した → 否定されなかった → 共感された」となります。ここで、うっかり相槌など打とうものなら、「賛同された」に変換されます。
曲がりなりにも、電話でとは言え、首脳会談なんですから、相手方の発言に対して「お前はアホか」とは返せません。儀礼的な相槌、または外交的修辞を駆使した嫌味で返すのがせいぜいです。しかしながら、皆様ご存じのように、韓国人には「儀礼的な相槌」や「嫌味」は全く通じません。すべて言葉の表面的な意味だけを、しかも自分に都合の良いように解釈します。
なぜそうなるのかを議論しだすととても長くなりそうなので、2点ほど出発点になるかもしれない点を挙げておきたいと思います。
1. 朝鮮半島では、修辞術に相当するものが全く発達しなかったのかもしれない。大仰で
空疎な修飾語を付けたがる癖は残ったが、言葉の重層的な意味は捨象されてきたのか
もしれない。李朝時代、公式な文書はすべて漢文だったため、母語で深く思考を紡ぐ
訓練を全く行ってこなかったのかもしれない。
2. 韓国人は他者からの賞賛を異様なまでに渇仰する(ように見える)。そのため、ちょっ
とした言葉であっても、すべて賞賛や賛同の言葉であるかのように拡大解釈してしま
う(ようだ)。このような傾向は、朝鮮式朱子学の影響という観点では説明できない。
ちょっとした誉め言葉にも随喜の涙を流す(ように装わなければならない)ような、よ
ほど抑圧されまくった歴史しか持っていないのかもしれない。
まあ、思い付きレベルではあるのですが。
龍 様
まさかの "沈黙=共感" だったのですね。(絶句!)
彼らが、中身よりも表層的な体面を重んじたり承認欲求の権化だったりする傾向は、”ワンちゃん”のようにあらゆる事象を上か下かで判断する序列社会の弊害そのものなのかもですね。
彼らの行動原理は、「飽くなき格付けとの闘い」であり、格は上がれども下がることは許されないのだと考えれば、枝葉末節に至るまで順序にこだわる国民性も腑に落ちる気がします。
個人的には「医食同源(意食同源?)」って説も・・。
m(_ _)m
*返信ありがとうございました。
ここではあまり論じられていませんが、
・電話会談があったのは衆議院解散後であり、岸田総理は既に国会議員ではなかった(総理大臣ではある:日本国憲法 第71条)
・売春婦ハガーの代表とも言える河村建夫氏の引退決定後
という微妙なタイミングだったことの意味を考えてみるのも、面白いかもしれません。
イーシャ様
ハ━━ヽ(*´∀`*)ノ━━ィ♡
考えてみたのです♪
>・電話会談があったのは衆議院解散後であり、岸田総理は既に国会議員ではなかった
国民の代表である国会議員としては文大統領との会談はできないけど、行政機関の長たる総理大臣としては会談できる♪
↓
(*・/(・д・*) 国民の意識と行政の行動は別ものだよ♪
ってことだったりして??
..・ヾ(。>д<)シ ひゃうぅぅぅ..
韓国人は、毎回嘘発表したら信じる人がいなくなるかもしれないとは考えないのかな?
恐らく自分側の対面しか考えていないんだと思います。
相手が信じようが信じまいがゴリ押して、反論をシャットアウトすれば良いと。
そもそも嘘だと思ってないのだから没問題。
韓国側発表の⑪も、気になるところです。
>⑪文大統領は、…… 特別な入国手続きの再開など、可能な措置を早急に設け、……以下省略。
東京の感染者数は、ここ1週間ほど50人前後を推移しています。とある交通機関は、"外国人観光客のいない観光地は、今アナ場です"との情報(!)を流してくれるています。また、今年4月に訪れた奈良では、鹿さんたちがのんびり草を食んでおり、その表情はつきものが落ちたように非常に穏やかなものでした。
未曾有の新コロナ禍にあって、日本は今、かように小康状態を保っています。流行再発を加速させるもと、新たな災いのタネ等を持ち込んで欲しくありません。かの国との人的交流は "No Thanks" です。かの国も "No Japan" 中のようなので、どうぞそのまま続けて下さい。
素朴な疑問ですが、韓国国民は、韓国大統領が、外国首脳との会談で、何を合意したかが分からない、ということでしょうか。もっとも中国相手だったら、「中国皇帝様が、こう指示された」と正しく発表するので、例外ですが。(もしかしたら、日本も(北朝鮮に倣って)短波放送(?)で、韓国向けに正しい情報を発信する必要があるのかもしれません)
蛇足ですが、韓国政府は、日本の総理にも、アメリカの大統領にも、「韓国国民に、こう発表してしまったのだから、それに合わせてくれ」と言っているのでしょう。
駄文にて失礼しました。
> 韓国国民は、韓国大統領が、外国首脳との会談で、何を合意したかが分からない
青瓦台の発表通りに信じているのでしょう。そして、毎回後頭部を殴られるところまでが様式美です。
> 「韓国国民に、こう発表してしまったのだから、それに合わせてくれ」
韓国国内ではよくある交渉術らしいですよ。
龍さま
>青瓦台の発表通りに信じているのでしょう
青瓦台の発表が「朝鮮脳に受け入れられやすい内容」なんだと思います。
韓国ネット民のコメントを見ると、朝鮮脳に受け入れられにくい記事は、親日派が書いた記事だとか言い掛かりを付けて非難する内容になります。
韓国政府は、愚民(支持者)に迎合する傾向が強く、支持率を上げるなどのメリットが、有るんだと思います。
案の定というか、予想通りのなりゆきです。自民党親韓派の親玉の圧力に抗しきれなかったのか、岸田氏自身の八方美人的脇の甘さなのか、はたまた外務省官僚の画策は知りませんが、韓国紙の内容を信じる普通の人々は一定数はいるでしょう。こちらのウェブを訪れる方々には常識なれど、普通の人は韓国の公式発表には嘘が多いなどと夢にも思わないので、わざわざ日本側の発表と見比べる人などいません。
これにより、「岸田、けしからん」と自民票が減るのか、あるいは賛成票が増えるのかは不明ですが、どちらにせよ選挙戦のさなかに党政策の看板の混乱を招く余計なことをしたものです。
今回の韓国側発表ですが、単に日本側発表では重要ではないので省いているだけで③以外は特に嘘が多いとまでは言えないように思います。
ただ、韓国側発言の内容は勘違いも甚だしく、会談は時間の無駄でしたね。
会談の記録とは話し合った内容を淡々と記録するのが目的であり、話してないことを盛り込んだりするのは勿論のこと、重要とか重要でないなどの判断を勝手にして内容を省いたりはしないのが原則です。会社内でそんなことをすると、アナタ、クビになります。
⑤の中の、「法的解釈に違いがある」が一番の問題ですよね。
だから日本は、協定に従って第三国による仲裁手続きを求めたのに、それを無視したのは韓国ですから。
つまり外交的対話を拒否しているのは、韓国です。
文在寅大統領のこの言葉は詭弁です。
こんな無意味な、しかし有害な発言を繰り出すばかりの外交の天災ムンムンに、まともに会談しようと思う主要先進国の首脳は、もうほとんどいないと思います。
韓国政府の発表が事実と異なることはよくあり、韓国マスコミも理解しているようなので、まあこの程度のことは放っておきましょう。10/11発表のリアルメーターの世論調査では、今後の日韓関係改善のためには、韓国民の58.4%が「日本政府の態度の変化が優先」で、29.1%が「韓国政府の積極的な関係改善」だそうです。29.1%を見て「韓国民の意識も変わりつつあるのかな」とみるのか、58.4%を見て「まだまだ時間がかかりそうだな」とみるのか、ですよね(私は後者)。対韓外交は、基本的には①国際法、国家間の合意は守れとの一貫した立場堅持②原則首脳外交は行わない③日米韓の枠組はこちらから破棄しない④クアッド、FOIP、TPPなど韓国抜きでの国際関係の構築、そして⑤日本国内の一部知識人に残る「日本は日韓関係の改善に動き出すべき」(工藤泰志言論NPO代表)などへの対応でしょう。韓国が本当にレッドチーム入りしそうな時は再考しないといけませんが、そんな度胸もなく、コウモリ外交を続けるだけでしょう。それにより、日韓関係は段階的先細り(テーパリング)でも良い、と考えます。
私も同感。
完全なレッドチーム入りする度胸はないので、関係が先細りしてくだけですね。
ただ、李在明が大統領になったらひょっとしたらへんな度胸見せるかもと楽心配しております。
「韓国政府の積極的な関係改善」とは、韓国政府がもっと積極的に日本を説得して韓国の要求に従わせると言う意味です。
韓国政府が妥協すると言う意味では無いと思いますが・・・。