だから、その認識自体が間違いだと何度言えば…
今朝の『日韓電話首脳会談は史上初「自動音声対応」でいかが?』では、わりとマジメに、「どうせ電話で日韓首脳会談を行うなら、あらかじめ岸田首相が吹き込んでおいたメッセージを自動で流してはいかがでしょうか?」と提案させていただいた次第ですが、この電話首脳会談に関連し、韓国メディアでは「地理的に最も近くて、自由民主主義という核心価値を共有する隣国であるにもかかわらず、韓国首脳との電話会談が優先順位に入っていない」とする記事が掲載されていたようです。
目次
日韓電話首脳会談
電話会談先送りの真意は単なる優先順位の低下
昨日の『日韓電話会談から見える日本外交上の韓国の地位の低下』でも議論しましたが、岸田文雄首相が就任した10月4日以降、現時点に至るまで日韓電話首脳会談が行われていないことを巡り、韓国政府・韓国社会がやきもきしているフシがあります。
韓国メディアからはここ数日、岸田文雄首相と文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領との「電話首脳会談」に関する話題を見かけることが増えて来ました。これに関連し、中央日報は今朝、日韓首脳が15日に電話会談を実施する予定だ、と報じています。ただ、こうした電話首脳会談をやる、やらないというやりとり自体、現在の日本外交にとって韓国の優先順位が著しく低下しているという事情を反映しているように思えてならないのです。2021/10/14 12:12追記本稿公表後に、日韓電話首脳会談を巡って追加で報道を発見したので、本稿末尾に「追... 日韓電話会談から見える日本外交上の韓国の地位の低下 - 新宿会計士の政治経済評論 |
しかも不思議なことに、韓国メディアの報道を眺めると、「日本でわざと首脳会談を遅延させ、(岸田首相が)衆院選を有利に戦うためだ」、といった「分析」がまことしやかになされていたり、「14日に会談が行われる」(※実際には行われていません)などの報道が流れたりしている状況です。
正直、この状況は、個人的には何かと理解の範疇を超えていますし、日韓首脳会談が行われていないこと自体が、そこまで大きな話題となり得るものだとは思えません。単純に、現在の韓国が日本にとって、優先的に首脳会談すべき相手国ではなくなっている、というだけのことだからです。
わりと大真面目な「自動音声対応」構想
この点、今朝の『日韓電話首脳会談は史上初「自動音声対応」でいかが?』では、「史上初・自動電話応答による日韓首脳会談」というものを提案しました。なかば冗談めかした記事だと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、著者自身はわりと本気です。
昨日衆院を解散した岸田首相は、非常に多忙です。こうしたなか、韓国メディアは昨日、韓国大統領府関係者の発言をもとに、日韓首脳が15日(つまり本日)、電話首脳会談を実施する方向で検討しているとする趣旨の記事を配信しました。もっとも、ただでさえ多忙な岸田首相にとっては、外交上の優先順位も低く、大した成果も見込めない会話に貴重な時間を費やすのはもったいない話でしょう。そこで、当ウェブサイトとしては史上初の試みとして、「自動音声対応」の首脳会談を実施することを提案申し上げたいと思います。「たかが」電話会... 日韓電話首脳会談は史上初「自動音声対応」でいかが? - 新宿会計士の政治経済評論 |
たとえば、電話をしたら、韓国語で、こんな趣旨のアナウンスが流れます。
「お電話、ありがとうございます。こちらは日本の首相官邸です。
For English, please press 9.
この通話は、電話応対の品質向上のため、録音させていただきます。また、頂いたメッセージは、YouTubeにてわが国の有権者に還元させていただきますので、あらかじめ、ご了承ください。
岸田首相へのお祝いメッセージをお話になりたい方は、1を。
岸田首相の録音メッセージをお聞きになりたい方は、2を。
その他のご用件でオペレーターとお話になりたい方は、3を。
ガイダンスをもういちど最初からお聞きになりたい方は、4を、それぞれ入力してください。
(※以下、君が代の演奏と『日本海呼称問題』に関する日本政府の立場に関する音声が延々流れる)」
そのうえで、文在寅(ぶん・ざいいん)大統領が1を押すと、こんなアナウンスが流れます。
「発信音の後にメッセージをどうぞ。話し終わったらシャープを押してください。」
文在寅氏がメッセージを述べ、シャープを押すか1分経過したら自動的に録音が終了し、そのうえで、通話はブチッと切れます。もう1度電話を掛けて、今度は文在寅氏が2を押すと、岸田首相のこんな録音メッセージが流れます。
「日韓両国はお互いにとって重要な隣国であり、北朝鮮問題を始め、日韓・日米韓の連携は重要ですが、旧朝鮮半島労働者問題を始めとして、現在非常に厳しい状況にある両国関係を放置してはなりません。韓国におかれては国と国との約束を守るなど、適切な対応をとっていただきたいと思います」。
このメッセージが流れたら通話がブチッと切れます。最後にもう1度電話を掛けて、文在寅氏が3を、こんどはこんなガイダンスです。
「ただいま、電話が大変混み合っております。このまま総選挙後までお待ちいただくか、電話を切っておかけ直しください。
(以下、君が代の演奏と『旭日旗』に関する日本政府の立場に関する韓国語音声が延々流れる)」
韓国側は、どうせ大したことは言ってないのですから、文在寅氏の電話での祝意と、岸田首相の録音メッセージを、そのまま首相官邸のスタッフがYouTubeにアップロードしておしまい、で良いと思います。
自己投影に満ちた中央日報記事
ゼロ対100理論に付き合い切れない
以上の発想、いちおう、当ウェブサイトとしてはいたってマジメに論じたつもりですが、正直、衆院解散直後の岸田首相にとっては、韓国のくだらない瀬戸際外交に付き合う時間もない以上、もし首相官邸関係者の方が当ウェブサイトをご覧いただいているようであれば、ぜひともご検討いただきたいと思います。
くどいようですが、日韓関係が行き詰まりを見せるきっかけのひとつが、自称元徴用工、自称元慰安婦などの歴史問題ですが、それだけではありません。
日韓慰安婦合意を破ったこと、国際法に違反する判決を下したこと、火器管制レーダー照射事件を起こしていまだに責任を認めていないこと、日韓請求権協定に基づく話し合いを蹴ったこと、日韓軍事情報保護協定を人質に輸出管理適正化措置の撤回を求めたこと…。
これらのすべてがあいまって、日本では韓国が「約束破りのウソツキ国家」だ、という認識が浸透しつつあります。
安倍晋三総理大臣、菅義偉総理大臣のころからの日本政府のメッセージは「韓国は約束を守れ」というもので一貫しており、2015年12月の日韓慰安婦合意の当事者となることで韓国の「約束破り」の直接の「被害者」(?)となった岸田首相も、こうした立場を逸脱するわけにはいきません。
ただ、どうも韓国メディアを眺めていると、現在の日韓関係の膠着状況を招いたのが自分たちの側である、といった認識が、スッポリと欠落しているように思えてならないのです。
その裏付けとなっているのが、「日韓どっちもどっち論」とでも言えばよいでしょうか、「現在の関係悪化は韓日双方に責任がある」とする考え方です。あるいは、当ウェブサイトなりの言い方では「ゼロ対100理論」、といえば良いでしょうか。
【参考】ゼロ対100理論とは?
自分たちの側に100%の過失がある場合でも、インチキ外交の数々を駆使し、過失割合を「50対50」、あるいは「ゼロ対100」だと言い募るなど、まるで相手側にも落ち度があるかのように持っていく、中国や韓国、北朝鮮が好んで使う屁理屈のこと。
(【出所】著者作成)
日韓は「基本的価値」を共有していませんよ?
こうしたなか、論調自体がその「日韓どっちもどっち論」で貫かれているようなコラム記事が、韓国を代表する「保守紙」(?)とされる『中央日報』(日本語版)に今朝、掲載されていました。
首脳電話会談も「不快感バトル」…韓国大統領選に日本総選挙、選挙で身動き取れない外交
―――2021.10.15 06:57付 中央日報日本語版より
文章は2000文字弱と、中央日報としては比較的長い記事ですが、韓国が大好きな「どっちもどっち」論、あるいは当ウェブサイトでいう「ゼロ対100」理論に立脚しており、正直、彼我の認識差のあまりの大きさに、あらためて驚きます。
中央日報は電話首脳会談の遅れを、あたかも日韓の「両国が互いに不快感」を示し合うような状態だと述べたうえで、日韓首脳の電話会談は「15日が有力とみられている」としつつも、「確定した日程ではない」、「変動の可能性が依然としてある」などと指摘しています。
ただ、今回の記事に出てくる次の記述を読んで強く感じるのは、日本が韓国を「基本的価値を共有する国」から除外したことに対する意味を、この記事の執筆者がまったく理解していない(あるいは正面から見ようとしていない)という点です。
「地理的に最も近くて、自由民主主義という核心価値を共有する隣国であるにもかかわらず、韓国首脳との電話会談が優先順位に入っていないということだ」。
そもそも、日韓両国が「地理的に近い」ことは否定しませんが、日本は韓国を、「自由・民主主義、法の支配、人権」などの普遍的価値を共有する国とはみなしていません。その理由の最たるものは、韓国政府自身が国際法や約束を平気で破るからです。
中央日報は、岸田首相がすでに電話会談を終えた6ヵ国の「最優先グループ」に「韓国が含まれなかった」としたうえで、次のように述べています。
「慰安婦・強制徴用などの歴史問題と福島汚染水排出などの懸案まで重なって悪化した韓日関係が反映された、と分析できる」。
もしも韓国が日本にとっての「最優先グループ」に入っていないことを嘆くのならば、その前に、中央日報という韓国社会における有力紙が、そもそも「強制徴用」「福島汚染水」といった誤った用語を平気で使う癖を改める方が先ではないでしょうか。
たかが電話会談先送りを「冷遇」…自己投影の極致
また、以前から韓国メディアでよく見られるのが、こんな「分析」です。
「一部では岸田首相が国内政治的な考えで故意的に『韓国冷遇』に出たという分析もある」。
つまり、今月末の衆院選を控え、「韓国に敵対的な保守層の投票者の心をつかむために文大統領との電話会談をわざと先送りする様子を演出した」、という仮説でしょう(※実際、日本のメディアにもその手の「分析」はありました)。
ただ、「分析」としては、ちょっと強引すぎます。岸田首相が下手に韓国に妥協をすれば、日本国内で韓国に苛立ちを覚える有権者層の離反を招く可能性があることは間違いありませんが、「たかだ」電話首脳会談を「嫌がらせ」のように先送りにしたところで、有権者が溜飲を下げるというものでもありません。
日本政府が韓国を「最優先グループ」から除外した理由は、シンプルに、電話首脳会談に対した成果も見込めないうえ、韓国との関係の優先順位が、現在の日本にとって非常に低くなったからだ、などと考えた方が自然でしょう。
ただ、その次のこんな記述は、大変参考になります。
「国内政治的な考えを入れざるを得ないのは韓国も同じだ。来年3月の大統領選を控え、ややもすれば日本に先に手を差し出す態度が与党に悪材料としてはたらく可能性が高いためだ」。
なるほど。
要するに、自分たちの国において「日本に先に手を差し出す態度」が「政治的にマイナスに働く可能性がある」という理由で、日本もそうに違いない、と思っているのでしょう。その意味で、韓国メディアに掲載される「韓日関係分析」というものは、「自己投影」なのかもしれませんね。
半永久的な謝罪vs国際社会の常識
さて、この手の記事を読んでいて、本当にいつも不思議に感じるのは、日本のことを「嫌い」「嫌い」と言いながら、「韓日関係改善」などと言い出す韓国メディアの心理でしょう。
このあたりは、「韓国側が求めているのは『対等な日韓関係』ではなく、『日本が半永久的に韓国の下位におかれる関係』なのだ」、「だからこそ韓国がいう『韓日関係の改善』は、日本が韓国に半永久的に謝罪し続けるような関係がを確立することなのだ」、といった解説を見ることもあります。
たしかに韓国側の態度を見ていると、暗黙の裡に、日韓関係に対するそのような理解が含まれていることは否定できません。
しかし、それと同時に、韓国の常識は世界の非常識でもあります。
「平気で約束を破り、堂々と他人を裏切る韓国と首脳会談を開こうとする国はまず出てこない。何を取りきめようが、すぐに反故にされるからです。日本と韓国がうまくいかない原因は『日韓関係の特殊性』ではなく『韓国の特殊性』にあるのです」(韓国観察者の鈴置高史氏、7月16日付『デイリー新潮』の『文在寅が菅首相をストーカーするのはなぜか 「北京五輪説」「米国圧力説」……やはり「監獄回避説」が有力』より)
文在寅(ムン・ジェイン)大統領がこれほど日韓首脳会談に執着するのはなぜか――。… 文在寅が菅首相をストーカーするのはなぜか 「北京五輪説」「米国圧力説」……やは... - デイリー新潮 |
このように考えていけば、韓国メディアが何を主張しようが、日韓関係も国際社会の常識に従い、粛々と処理するのが正解でしょう。
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今更感ありますが、やはり日本にとって韓国はかまってちゃんのストーカー以外何物でもないですね。
正直言って気持ち悪さすら感じます。
日章旗の説明文も入れて下さい。
いわゆる軍艦旗ならば日章旗でなくて旭日旗ですね。
日章旗は日の丸つまり日本国旗の事ですから。
「日本から電話首脳会談の依頼が来たから(しょうがなく)受けてやった」
本当は韓国はこれをやりたかったんだろうねぇw
素朴な感想ですけど、韓国の言う「韓国と核心価値を共有する日本」とは、鳩山由紀夫大統領の日本亡命政権のことではないでしょうか。(もっとも、その亡命政権は、韓国の頭の中にしか存在しないかもしれませんが)
もしかしたら、韓国は今回の日本の総選挙で立憲が大勝して、鳩山由紀夫(元)総理を大統領として、向かい入れてくれることを夢見ているのかもしれません。(なにしろ、立憲党首が、政権交代を約束していますし)
蛇足ですが、日韓で、その核心価値の中身が違うということも、あり得ます。
すみません。追加です。
(完全なる妄想ですが)韓国は、日本の反自民党政権組織が、クーデターを起こして、親韓国政権が出来るのを、待っているのかもしれません。
首相官邸の電話がそれだと、他からの電話対応に不都合がでます。
ここは、冷え込んだ日韓関係打開のために歩み寄って、専用ホットラインを開設してはどうでしょう。
回線は普通の交換網収容で非優先で。
050のIP電話でもいいかも知れません。
韓国メディアも大統領府もホルホルできるし、日本も外交を効率化できますし、いいことばかりです。
ええ、マジメに言ってます。
慰安婦・応募工問題はそもそも韓国の国内問題であるとのご認識で、岸田首相へのお祝いメッセージをお話になりたい方は、1を。
竹島は日本固有の領土であり韓国の不法占拠をお認めの上で、岸田首相の録音メッセージをお聞きになりたい方は、2を。
旭日旗の使用・日本海呼称は問題ないことをご理解いただいた上で、その他のご用件でオペレーターとお話になりたい方は、3を。
ガイダンスをもういちど最初からお聞きになりたい方は、4を、それぞれ入力してください。
でもいいかなぁ。
ただいま回線が混みあっております。後ほど改めてお掛け直し下さい。
でもいいかなぁ。
韓国と北朝鮮には申し訳ありませんが、2つの国とも悪い意味で特殊です。
私は、そう感じております。
ソビエトの高官が北朝鮮と付き合っているとき、「こいつらは、ナイフの上を歩きながらさまざまな事を要求する。関わってはいけない。」と昔、NHKで放送されているのを見たことがございます。
日本も関わってはいけないと、思います。
日本刀の上を歩く修行がなかったか?
昔の日本のスポーツ選手はそれをやってたはず
日本政府は、だいぶ前に価値観の共有を言わなくなりました。
韓国が「日韓は価値観を共有している」と言うのは、朝鮮脳の強要だと思います。
朝鮮脳は、言う事が変わりませんし、日本政府は「価値観を共有していない」とは言わないので、当面「共有しているニダ」と言い続けるのは決まり。
まあ、今日の電話会談もどうなるか分からないので、どうでも良いか。
つまらないことですが、「地理的に最も近くて」の部分に反応してみます。
北方4島、及び南サハリン空白地の問題がどの様に決着されても、されなくても、地理的に最も近い隣国はロシアだと思うのですが、何故、誰もそこは突っ込まないのでしょうか?
どなたか詳しい方、ご教示いただけるとありがたいのですが・・・
竹島と毒島の距離はゼロですからなあ。
首相就任の挨拶と就任のお祝い程度のやり取りならもう電報でええやん
サクラチル
上手いです(^^♪