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東京都新規陽性者数は減少傾向も重症・死亡者が増える

東京都の新規陽性者数が、見たところ、「若干」ではありますが、減少に転じています。菅義偉総理大臣の強力な指導力により、高齢者向けワクチン接種が7月末で一巡したことに加え、徐々に接種率も上昇していることの影響が出ているのでしょうか。それとも単純に一時的な減少でしょうか。本稿では当ウェブサイトなりの私見も交えつつ、いくつかの最新データについてもまとめておきたいと思います。

東京都新規陽性者数の報告はマスメディアへのアンチテーゼ

当ウェブサイトで「定点観測」的に確認しているデータはいくつかあるのですが、東京都の新規陽性者数のデータはその典型例でしょう。

そのきっかけのひとつは、新聞、テレビなどのマスメディア(または「オールドメディア」)の報道です。

オールドメディアはよく、「感染者数が過去最多を更新した」などとセンセーショナルに報じ、あたかも政府のコロナ対策に何らかの深刻な問題があるかの如く舌鋒鋭く批判していて、実際、各種世論調査でも菅義偉内閣に対する支持率は下がる一方です。

もっとも、実態を述べるならば、東京都の7月以降の新規陽性者急増局面の責任を、菅総理や東京五輪などになすりつけるには、ちょっと無理があります。

とくに、8月8日の東京五輪閉会式直後から翌日未明にかけ、東京都の営業自粛要請などを無視して「闇営業」中のカラオケ店で10人前後のテレビ朝日従業員がドンチャン騒ぎをし、そのうちの1名が早朝にビルから転落して重傷を負うという、信じられない不祥事が発生しました。

これは間違いなく、氷山の一角でしょう。

しかも、この不祥事については、株式会社テレビ朝日はコーポレートサイトの目立たない部分に大変短い文章を(しかもPDFファイル形式で)ひっそりと掲載してお茶を濁しており、現時点においても事実上隠蔽中、というわけです。

普段、政府のことを舌鋒鋭く批判なさるわりに、ご自身の不祥事については徹底して隠蔽を決め込むというのも、なかなか興味深い対応ですし、同業他社(NHK、TBS、フジテレビ、テレビ東京、日本テレビ)の報道ぶりをみても、その追及ぶりは不十分です。

これが政府・与党関係者の不祥事だったら、本人を徹底的に潰すまで追い回すのが日本のマスメディアですが、つくづく、本当に身内に甘い業界だと思わざるを得ません。

それでは、「感染」爆発の真犯人とは…?

さて、メディアが現在の局面を、しきりに「感染」爆発などと述べていることは事実です。

ただ、当ウェブサイトの見立てでは、その「真犯人」は菅義偉総理大臣ではありません。

政府や自治体の営業自粛要請を無視し、ドンチャン騒ぎするテレビ局関係者、深夜外出などの自粛要請を無視して路上でだらしなく呑む一部の若者、五輪反対デモをする日本共産党支持者、さらにはコロナ対策が不十分なまま強行開催された「フジロック」に参加した人たち…。

おそらく実態は、「政府に厳しく自分に甘い」人たちが、「自分だけなら大丈夫」などと過信して、旅行したり、バーベキューをしたり、飲み会をしたりして、陽性判定を受けたのではないかと思うのです(『【案の定】岐阜県が公表した「感染者の行動歴」を読む』等参照)。

では、菅政権がやったこととは、いったい何でしょうか。

まず真っ先に指摘しておかねばならないのは、6月以降、平日で1日100万回を大きく超えるワクチン接種を実施し、累計では公式ベースで1.2億回、著者自身の試算だとおそらくは1.3億回というワクチン接種実績を積み上げたことです。

ちなみに気軽に「1億何千万回」などと言いますが、客観的なデータで見れば、この接種回数は世界5位です(『ワクチン接種回数1.2億回達成で「世界5位」=日本』等参照)。その結果、ワクチン接種率も、1回目に関しては6割弱、2回目も5割近くに達している(※著者私見)、というわけです。

この客観的事実に加え、一部報道では、野党(とくに立憲民主党と日本共産党)がやったことといえば、ワクチン承認の足を引っ張り、ワクチン接種開始時期を2ヵ月遅らせたことだとされています。朝日新聞系の『アエラドット』ですら、6月に次のような記事を配信しているほどです。

菅首相は戦犯に間違いないが、立憲、共産党もポンコツ過ぎたワクチン国会〈dot.〉

―――2021/06/17 18:36付 Yahooニュースより【AERA.dot配信】

このように考えていくと、菅総理の「何が何でも7月末までに高齢者接種を終わらせよ」という「シャカリキ」が、現在の状況――新規陽性者数の激増にも関わらず、重症者や死亡者が比較的少ない状況――を生んでいたのではないでしょうか。

このことは、正当に評価しなければなりません。

楽観視できない東京都の現状

ただし、東京都の現在の状況に関しては、必ずしも楽観視できるものではありません。

東京都・8月27日(金)の状況
  • 新規陽性者数…4227人(前日比▲477人、前週比▲1223人)
  • 7日間平均値…4196人(前日比▲175人、前週比▲561人)
  • 重症者数…294人(前日比+18人、前週比+21人)
  • 新規死亡者数…18人(前日比+7人、前週比+11人)

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

新規陽性者数自体は、前日比で見ても、前週比で見ても、明らかに減少しました。

この傾向が続くのかどうかはわかりませんし、個人的な希望としては、「ワクチン接種」がひと段落するであろう9月末ごろまで、何とか低下傾向が続いてほしいとは思いますが、今後、テレビ局関係者や高校野球関係者、フジロック参加者などからコロナ陽性者が激増するかもしれません。

ただ、それよりも個人的に心配なのは、重症者数や新規死亡者数の増加です。

ここ数日落ち着いていた重症者数の絶対値は、金曜日になり、前日から18人増えて一気に294人と過去最多となり、もうすぐ300人の大台に乗せるかもしれません(図表1)。また、死亡者数についても明らかに増えており、「二桁」という状況にあります(図表2)。

図表1 新規陽性者数と重症者数

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

図表2 新規陽性者数と新規死亡者数

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

このあたり、決して楽観視できない状況であることは間違いありません。

カギは40歳代~のワクチン接種

もっとも、ワクチン接種が進み、とくに「ワクチン後回し」世代のなかで、重症者が目立つ40歳代以降の発症が抑えられ始めれば、こうした状況も徐々に好転するのではないかと信じたいところです。

実際、東京都のケースだと、重症者と50歳代以上、あるいは60歳代以上の新規陽性者数には(時期によりバラツキはあるにせよ)おおむね何らかの関係が認められます(図表3)。

図表3 東京都における重症者数と年齢階層別新規陽性者数

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

また、厚生労働省が公表する日本全体の重症者数から判断しても、基本的に重症化リスクが高いのは40歳代以降、それが飛躍的に高まるのは50歳代以降と考えて良いでしょう。

図表4 重症者数(日本全国、2021年08月17日・週次データ)

(【出所】厚生労働省『データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-』)

いずれにせよ、新規陽性者数、重症者数などには注意しつつ、ワクチン接種の進捗を期待するのとならび、個人レベルでは「うがい、手洗い、マスク着用の励行、集・近・閉(しゅう・きん・ぺい)の回避、不要不急の外出自粛」といった日常基本動作の徹底に努めるのが正解だと考える次第です。

新宿会計士:

View Comments (38)

  • 感染のピークは越えてそうですね。
    重症者も死亡者もこれから増えますが、あと10日ぐらいで今回のピークは越えると地元のデータ的には思います。

    • お盆時期の人流減少の一過性の影響、という見方もあるようです。
      東京以外の感染がむしろ増悪しているのがその証左ではないかとのこと。
      ただ、ピークアウトしたとしても、現状水準が続くと医療は苦しいですね。
      野戦病院作るにしても、人手の確保がネックです。

  • 数日前までは ニュース、ワイドショーでは 「新規感染者(陽性者)数過去最大」と 騒いでくれてました。
    いまは「重症者数過去最大」  と 強調してくれています。
    両方とも事実ですが 若干ながらも新規陽性者が 減ったことにはほとんど触れません。
    怖さ煽りで なんか意図的に感じてしまいます。

    • そして最後に「死者数が過去最大」と報道が始まったら、第5波の終息です。
      短期間に何度も繰り返された事なので、今回は国民の学習効果が高いと思います。

  •  いつも勉強させて頂きましてありがとうございます。
     菅内閣のワクチン接種推進は、もっともっと評価されていいと思います。
     ついに、全国の新規陽性者数が、前週の同じ曜日を二日続けて1倍を下回りました。
     8月27日 24、200人 20日比0、94倍
       20日 25、876人 
     8月26日 24、976人 19日比0、99倍
       19日 25、156人
    2日続けて新規陽性者数が減少したのは、5月16日0、89倍から6月21日0、93倍まで連続して以来、実に2カ月以上前です。

  • 更新ありがとうございます。

    新規陽性者は高止まりから、やや今後緩いカーブを描いて下がって来そうですが、死者や重症者は増えますね。でも1日に15万人陽性者を出す国もありますし、日本の死者も失礼な言い方ですが、驚くほど少ないです。政府・菅総理の采配はもっと評価されるべきですね。

    職場絡みで言うと、子供さんを抱えた人たちは「これで遠足がなくなりそう」「発表会が中止になった」「給食無しの短縮授業が続く」と、嘆いておられます。しかし、それが「だからスガが悪いんだ~」「国が悪いんだ~」とはならないのは、皆さん情弱ではなく、コメディカルだから状況を理解されているのでしょう。エライな~。

    • 某国にコロナばらまかれて 国も非常事態宣言をだしているのに、自分の日常をかえるのは けしからん とおもうのは 結構わがままですよ。
      学校での感染が心配だから夏休みを延長しようとすると、
      子供の面倒を見るのがたいへんだ と さわぐ。
      学校休みにしても 親は放課後学習スクールに押し込み 学校より密状態。
      過大な要求で何でも反対の 野党と一緒です。

  • >それでは、「感染」爆発の真犯人とは…?

    一部に自粛を守らない人がいるのは確かですが、お願いレベルなんですから
    「そういう人もいる」と織り込むしかないと思います。

    高齢者への摂取までは抑え込んだのですからベストではないにしろ、
    ベターな結果を得られたと言えるでしょう。
    重傷者も8月上旬を山にして下落傾向ですからこれから改善していくと思います。

    • 感染爆発の真犯人は「デルタ株(感染力の強さ)」でしょう。一部自粛を守らない人(守れない人)がいるので、総理が誰であったも感染爆発は防げなかった。
      一方、現在の悲劇は感染爆発(陽性者数)ではなく病床逼迫だと思う。諸外国と比べて病床総数が遜色ないのに、COVID-19に対応できる病床が少ないと聞く。1年以上あったのだから政府が何らかの緊急施策を講ずることができたのではないかと残念です。
      菅総理は1日あたりの接種数など事務処理には抜群の能力を発揮したが、「戦時のリーダー」としては顔が見えなかった。ただし他に適任者が居なかったのは日本の不幸でしょう。野党などもっての他!

      • >諸外国と比べて病床総数が遜色ないのに、

        これどのどの統計で言っていますか?
        私は日本の病床数は先進国水準から言えば「水増し」されていると思っているのですが。

        • これどのどの統計で言っていますか?
          →これはどの統計で言っていますか?

  • >個人的な希望としては、「ワクチン接種」がひと段落するであろう9月末ごろまで

     本文の内容とは全く関係ないのですが、ちょっと気になってしまいまして。
    階段の段数を数えるときに「ひとだん、ふただん、みだん」なんて数えたりしませんよね。
    もしかしたらそんな数え方をする人もいるかもしれませんが、普通は「いちだん、にだん、さんだん」と数える事が多いかと思います。
    そんな細かい事どうでもいいじゃないかと思われるかもしれませんけど、「一段落」の読みは「ひとだんらく」ではなく「いちだんらく」が正解です。

    • >ひとだんらく
      NHKのQ&Aでも取り上げられる誤用みたいですね。
      ただ1977年には登場していたので、あと50年くらいしたら定着してくるかもしれません。

      個人的には「巧遅は拙速に如かず(孫子の兵法)」の方が問題だと思っています。(意味が変質してしまっているので。)

  • たぶん,感染拡大の真犯人は,アルファ株までと異なり,デルタ株が空気感染するためでしょう。空気感染は会話をしなくても,感染者と同じ部屋にいれば,10mくらい離れていてその人が見えなくても感染することがあります。アルファ株までの以下の対策は,空気感染にはあまり役に立ちません。
    1. ポリウレタンマスクは空気感染にはまったく役に立たず,不織布マスクを2枚以上重ねて使うと僅かに効果がある。
    2. テーブルなどのアルコール消毒は飛沫感染には効果があるが,空気感染には無意味。
    3. パーティションも無意味。逆に空気の対流を遮断してしまう可能性がある。
    インドでは,非常に強力なロックダウンを行っても,結局国民の7割が感染してしまいました。通勤電車での感染防止のため,通勤客を7割減らそうとしていますが,そんなに簡単ではないでしょう。1ヶ月くらい学校をお休みにするのも難しそうです。そろそろ,観念することが必用です。
    ただ,最近の計算結果だと,インド人と違って,日本人はデルタ株に対しても自然免疫を持った人が結構いるようです。家庭内で濃厚接触しても,感染しない人が多いのは,世界的にはめずらしいと思います。それから補正後の数値で計算しても,東京都はピークに達した可能性があります。タイミング的にもそろそろのはずですが。ある意味よかったですね。

    • >日本人はデルタ株に対しても自然免疫を持った人が結構いるようです。

      自然免疫というのは、ウイルスの配列に特異的に効くものではないです。相手がデルタだろうがイータだろうが同じです。ただ、強さに個人差はあると思います。

      計算が違うのは、基本再生産数の仮定(5~8)が間違っているからではないかと思います。あるいは、家庭内でも欧米人ほど濃厚接触していないのではないかしら? 若い夫婦はともかく(この場合は実効再生産数)。

      ところで、先日の愛読者さんのお見立てでは、市中(都内?)に未捕捉の感染者がうようよしているのではなかったですか? 試算は見逃してしまったので、また書いて下さると助かります。というか、私もまた再上昇する気がしないでもないのです。

  • 酸素ステーションってどんなのかと思ったらこんなのね。

    酸素ステーションの設置について(第2403報)

    東京都では、新型コロナウイルス感染症の現下の感染状況を踏まえ、自宅療養中の患者で自ら救急搬送を要請した者のうち、軽症等の方を一時的に受け入れ、酸素投与等を行う「酸素ステーション」を、新たに整備することといたしましたので、お知らせします。
    https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/08/27/26.html

    こういうのでいいんだよ。もっと増やして、野戦病院も併設してくれ。つかこうなることはオリンピック前からわかってたのに対応が遅すぎ。

    陽性率も下がってきてるから、検査しきれてないせいで陽性者が減ってきているというわけでもなさそう。この分だと、重症者病床はあふれること無くこの波は乗り切れるかな。
    https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/cards/positive-rate/

  • この前のスレッドで、交通渋滞になぞらえて、COVID -19感染状況を説明しました。あの例の続きで、新規陽性者数がピークアウトし、(今ここ)、その後1日あたりの退院数>1日あたりの入院数になれば、入院患者数は減少に転じます。その時点では、新規陽性者数がピークアウトした頃より大分新規陽性者は減っていることが予想されるので、あっという間にベット不足は解消されると予想します。夜明けは近いです。

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