先日の『メダルラッシュなのに新聞に広告入らず=日刊ゲンダイ』などを含め、当ウェブサイトでは最近、五輪とメディアの関係について議論することが増えています。こうしたなか、テレビ局、新聞社それぞれについて、五輪やコロナを巡る話題がいくつか出て来ているようです。
テレビ局、大はしゃぎで「手のひら返し」
東京五輪が始まってみたら、テレビ局が大はしゃぎ。
そんな記事が数日前に公表されていました。
東京オリンピックでテレビ各局が“手のひら返し”の裏側 「ずっと五輪が続いて欲しい」
―――2021/08/01 19:00付 日刊サイゾーより
リンク先記事を執筆したのは小林真一氏という方で、プロフィールによると「出版社、IT企業、テレビ局勤務を経て、フリーライター」になられたという経歴を持ち、「過去の仕事から、ジャニーズやアイドルの裏側に精通している」のだそうです。
小林氏は「メダルラッシュ」に湧く東京五輪に対し、「ネット上で手のひら返しと話題になっている」としたうえで、「民放関係」者のこんな発言を紹介します(原文の意味を変えない範囲で箇条書きに変更しています)。
- これまで新聞もテレビも、感染拡大が懸念されるなかで東京五輪を開催すべきではないというスタンスで報道をしてきた
- しかし、いざ始まってみると、開会式や試合などで高い視聴率を記録しており、民放各局は手のひら返しどころか、五輪開催に大バンザイをしている
このあたり、なかなか興味深い指摘ですね。
ではなぜ、そもそも民放各局は五輪に反対する報道をしていたのでしょうか。
小林氏は引き続き、「民放関係者」のこんな発言を取り上げます。
「民放各局は正直なところ政権批判としてオリンピック開催に疑問を投げかけている方が視聴率を取れた」。
要するに、テレビ局関係者は、「新型コロナを必要以上に煽るなどして視聴率を取ってきた」という経緯もあり、「五輪の開催を批判するのは当然の流れ」だった、というのです。
この発言そのものが正しいのかどうかはよくわかりませんが、もしこの「民放関係者」の発言が現在のテレビ業界の空気を代弁しているのだとしたら、本当にとんでもない業界です。
五輪利権の黒幕・電通が目を光らせる
こうしたなか、小林氏はさらに、民放関係者のこんな発言を取り上げます。
「オリンピック利権の黒幕と言われる電通が、今回は特に目を光らせています」。
具体的には、「大スポンサーであるトヨタ自動車が五輪関係CMの放送をしないと発表した」という「事件」のせいで、電通がピリピリしているのだそうです。
「これ以上五輪のCMでトラブルを起こしたくない電通は、NHK以外の各局の番組をバラエティ番組まで含めすべてチェックしているようです。そこで、批判とまではいかなくても新型コロナに関連して気になる報道などがあればすぐに確認を入れるほどだとか」。
なんだか、よくわからないはなしですね。
ちなみにトヨタ自動車の件については、当ウェブサイトでは『五輪ヘイト煽るメディアに「広告主離れ」のブーメラン』でも取り上げましたが、おそらくは単に五輪に向けたCMを放送しないというだけの話であって、通常のCMは通常通り流す、ということなのだと思います。
ただ、テレビ局が「コロナ禍」を必要以上に煽り、「五輪ヘイト」とも思えるようなコンテンツを垂れ流したことを、スポンサー企業が都合よく忘れてくれるとも思えません。
なかには、「五輪が終わったらどうなるか、見ておけよ」と思う企業もあるかもしれませんね。
新聞業界は広告難
さて、『サイゾー』によれば、いちおう、テレビ業界は『五輪特需』に湧いているようですが、新聞業界についてはそうとも限らないようです。
具体的には『メダルラッシュなのに新聞に広告入らず=日刊ゲンダイ』などでも報告したとおり、『日刊ゲンダイDIGITAL』が配信した次の記事によれば、せっかくの「メダルラッシュ」なのに、新聞業界には「期待していたスポンサー企業の広告が入らず、困惑している」のだとか。
メダルラッシュでも広告入らず…東京五輪スポンサー大手紙の誤算
―――2021/7/29(木) 9:06付 Yahoo!ニュースより【日刊ゲンダイDIGITALより】
記事を執筆した執筆されたのはジャーナリストの木野活明氏は、やはり「トヨタ問題」の存在を指摘します。
「東京オリンピックの最高位スポンサーを務めるトヨタ自動車は、すでに大会期間中のCMの見送りを明らかにしたとともに、同社の豊田章男社長をはじめ幹部の開会式への出席も見合わせた。このトヨタ自動車の対応に同調するように他のスポンサー企業も広告の出稿を控えているのだ」。
実際、「大手新聞社の幹部」は木野氏に、次のように述べたのだとか。
「通常ならスポンサー企業が連日ご祝儀広告をがんがん載せてくれるはずでした。ところがほとんど入らず新聞業界は大打撃です。朝日新聞の五輪批判がスポンサー企業に好感されるはずがありません」。
これらの記事の記載が正しいのだとすれば、こんな仮説が成り立ちそうです。
- テレビ業界は「視聴率」のために政権批判の一環としてコロナ禍を必要以上に煽り、その延長線上で五輪に否定的な報道を展開をしたものの、電通に睨まれて「手のひら返し」をした
- 新聞業界は「確信犯」として政権批判を展開し、その延長線上で五輪に批判的な報道を展開したが、「電通」のような存在がなかったため、手のひら返しをせず、広告が入らないという「セルフ経済制裁」を喰らった
五輪、関係ありましたっけ?
こうしたなか、一部の新聞が過度に五輪ヘイトを展開していると思しき事例は、ほかにもあります。
先月29日、東京都板橋区にある旧公団マンションで、80代の高齢夫婦と見られる遺体が発見されるという、大変に痛ましい話がありました。報道によるとこの2人はいずれも死後3週間ほどで、子はなく、ともに癌などを患い闘病中だったのだそうです。
本当に悲しい話ですし、とにかくお2人のご冥福をお祈りせざるを得ない気持ちでいっぱいになります。
ただ、だからといって、さすがにこんな記事を配信するのは、いかがなものでしょうか。
五輪、日本のメダルラッシュの陰で…80代夫婦が孤独死か、東京・板橋のマンション
―――2021年8月2日 17時51分付 東京新聞TOKYO WEBより
リンク先記事は、東京新聞が運営する『TOKYO WEB』に8月2日付で掲載されたもので、記者が30日と31日の両日、取材でマンションを訪れた際、同じマンションの男性によるこんなコメントが掲載されています。
「周りがメダルラッシュで盛り上がる中、団地の中で遺体になって見つかるなんて。気の毒だ」。
大変申し訳ないのですが、記事から判断するに、2人がお亡くなりになったのは29日よりも「3週間前」、つまり7月上旬ごろの話でしょう。この時期、東京五輪は始まっていましたか?
いくら五輪が嫌いだからといって、何でもかんでも五輪と結びつける姿勢に対しては、違和感を禁じ得ません。
高校野球・クラウドファンディングの現状
さて、この夏の「大規模スポーツ大会」といえば、東京五輪だけではありません。
忘れてはならないのが「夏の全国高校野球」です。
個人的には、中学校や高校の部活に対しては言いたいことがいくつかあるのですが、そのなかでもとりわけ、スポーツ科学を無視して根性だけで練習を強要する一部の部活熱血教師に対しては、非常に強い違和感を抱いています。
とくに、日本の真夏の暑い時期に、若くて将来性のある高校生たちを炎天下の球場で運動させ、野球部以外の高校生たちを「応援」と称してスタンドで観戦させるのは、日本の部活の「悪い側面」が凝縮されているように思えてなりませんが、このあたりはいずれ別稿で議論したいと思います。
それよりも、本稿で紹介したいのは、こんな話題です。
2021年夏の甲子園 全国高校野球選手権大会にご支援を!
<…中略…>高校野球は入場料収入を財源にしています。その収入が大きく減る一方で、PCR検査やベンチの消毒など感染防止対策にかかる費用は膨らんでおり、運営は極めて厳しい状況に陥っております。<<…続きを読む>>
―――A-portより
朝日新聞系のクラウドファンディングサイト『A-port』に数日前から掲載されているクラウドファンディングの募集のお知らせによれば、夏の高校野球の収入が大きく減るなど、「運営は極めて厳しい状況」としています。
ちなみに、1億円を目標額として、8月31日23時59分まで募集を続けているのだそうですが、8月4日10時半ごろの時点で「残り期間27日、支援者580人、集まっている金額は3,874,829円」で、目標額に対して4%弱、といったところです。
ちなみに朝日新聞社といえば、「社としては五輪公式スポンサー」でありながら、社説では五輪中止を求め、さらには五輪を大きく上回る大規模スポーツ大会である高校野球を強行するとの姿勢を示した、という、なかなか個性的な企業です(『「五輪はダメだが高校野球はOK」の首尾一貫性のなさ』等参照)。
以前の『株式会社朝日新聞社の有報を読む』でも報告したとおり、同社は2021年3月期に退職給付に係る繰延税金資産の取崩しなどで400億円を超える最終赤字に転落していますが、それでも過去の収益のおかげか、財務基盤は非常に堅調で、自己資本比率は60%を優に超過しています。
1億円といえば、同社の年間平均給与に換算して、7~8人分でしょう。高校野球を主催しているのならば、1億円くらいのおカネをポンと出してあげるくらいのことはしないのでしょうか。
疑問です。
View Comments (23)
ひと様にお願いするときは、まず自分の身銭を切ってからだと思うが。
国内大手と言われるマスコミは五輪の件でますます信用できなくなりました。
最近では、「日本の夏酷い、招致活動の嘘を世界に謝るべき。外国からクレーム!」と言っています。
ところが調べてみたら、マドリードもイスタンブールも夏の平均気温は30度前後で日本と変わらず。他2国の招致資料はわかりませんが、プレゼンであえて「うちは猛暑です」と言う国はないと思います。
要はトラブル発生後のダメージコントロールの問題だと考えます。
エコで丈夫なダンボールベッドを故意に壊したイスラエルの選手は、熱海へのクラファン立ち上げでイメージ挽回処理をはかっています。トヨタは「国内で、五輪の」CMは流さないと発表して、無駄に煽る国内マスコミを黙らせ自社のイメージダウンを最小限にしました。
日本はまずは謝るのを美徳とする文化なので苦手分野だと思うのですが、加えて国内マスコミが内部から嬉々として攻撃してくるのですからひどい話です。
https://world-season.com/climate-madrid/
マドリードの8月の降水量は東京の1割以下。当然湿度もはるか下でしょう。
https://ja.weatherspark.com/y/95434/%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%80%81%E3%83%88%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%9D%87%E7%9A%84%E3%81%AA%E6%B0%97%E5%80%99
イスタンブールの降水量はマドリードの2倍弱。東京の2割以下。
東京の蒸し暑さはシャレになりません。
namuny さま
ご指摘ありがとうございます。
もちろん湿度のことはおっしゃる通りでしょう。
ただそれをもってして、日本だけが悪いと一方的に全面降伏を迫るマスコミの論調はどうかと思ったのです。
コロナ禍対策もある中で、どのように暑さ対策をしてしているかなど主張すべきところはあると思います。何でもかんでも私が悪うございましたでは、いいようにやられる一方です。
招致決定後、試合開始時間の調整などIOCと交渉しきれなかった日本側にも当然残念なところはあると思います。
凡人封様
東京の気温や湿度なんて、調べたらわかることなんだから、それに文句を言うなら選んだIOCなんじゃないのかな?って思うのです♪
どれくらいの気温と湿度ならスポーツに適してるかなんて、IOCが一番良く知ってるんじゃないのかな?
反五輪を主張するときアスリートに対する配慮はまったくなかった。たとえば4年間準備してきたアスリートがかわいそうだとか。
夏の高校野球中止を言ったらかならず高校球児がかわいそうという主張がでてくるはずだ。
sqsqさま
おっしゃる通りですね。アスリートがかわいそうという意見も初めの方は少なからずあったと思うのですが、「全日本国民の命を差し出してもまだあなたはかわいそうと言えるのか?」という大手マスコミの論調で誰も口に出せなくなったと思います。高校球児の悲痛な叫びは喜んで取り上げるのに。
トヨタのCM自粛の威力もすごいが 全トヨタ労連「立憲切り」も同じ文脈(政府非難が目的で大多数の国民無視)で捉えられる。
五輪、日本のメダルラッシュの陰で・・・
今日も猛暑日
以下省略
五輪、日本のメダルラッシュの陰で・・・
クマが○○市の市街地に出現しました。
五輪、日本のメダルラッシュの陰で・・・
多摩川にラッコがやってきました。
五輪、日本のメダルラッシュの陰で・・・
ホンダはNSXの生産終了を発表しました。
いくらでもできますなw
NSX生産終了ですか…。残念ですが、街中で走ってるところ全然見かけたことないから、全然売れてなかったんでしょうね。3代目もないんだろうな~。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(そう自分に言い聞かせないと、素人が舞い上がってしまうので)
最近のテレビ番組のスポンサーは、世帯視聴率より、コア視聴率、つまり特定の視聴者の集団が、どれだけ見ているかを重視しています。東京オリンピックでのコア視聴率がどうなっているかは分かりませんが、スポンサーとしても、「日本選手が頑張っている」と言われれば、世間体もあって、テレビ局に文句が言いづらいのではないでしょうか。
蛇足ですが、最近はテレビ番組への不満が、直接にスポンサーに行くそうですが、(どうやって判断するのかは分かりませんが)コア視聴者以外の100の苦情があっても反応しませんが、コア視聴者の1人の苦情があれば、直ちに反応するのではないでしょうか。(なにしろ、ネットで、他のコア視聴者に、スポンサー企業の商品の不買運動を呼びかけられる可能性もありますから)
逆に言うと、高齢者も、続けて欲しい番組のスポンサー企業の商品を買い続ければ、コア視聴者になるのではないでしょうか。
駄文にて失礼しました。
私はゴリゴリの偏屈屋で、しかも運動は苦手、部活も大嫌いでしたので、五輪も高校野球も大嫌い、万博だって大嫌い。スポーツなんて「好きな人が自腹でやれば?」という「小さな政府」的な発想でした。毎度毎度、五輪だ何だと日本の都市が開催地にエントリーして、裏金も(他国の都市に伍して)大量にばらまいて、何しているのか?と。あのJOCでも鼻もちならないのにIOC役員なんぞという(今で言う)上級国民は一体何だ?と。そんな風に考えておりました。今も基本スタンスとして何となく苦手ぐらいの気持ちです。
ですが、今年になってからの韓国の日本五輪叩きを見て若干認識を変えました。日本共産党の志位和夫氏が今の時点でも五輪即時中止などと訴えているのを見てこれは「今の時点で反対だ中止だという連中に与する事はできないな」と思いました。
そうした新たな認識で今回の五輪を見ますと(あまり真面目にみているわけではないが)日本選手たちのさわやかなコメントとか努力のエピソードも新鮮で、結構楽しいじゃないかと思うようになりました。数年前に別の場所ですが、ブルーインパルス隊のデモ飛行を見て圧巻を覚えたので今回の飛行もさぞや格好良いとは思えど、ケチを付ける人には呆れてしまいます。
それもこれも含めて政府がワザとでも大盤振る舞いで思い切ってお金を使い、市中に現金をふりまく事も、ケースバイケースで一概に悪い事ではないという事も少しは考える事ができるようになりました。
日共や立民、マスコミに煽られて、あたかも今次五輪と菅政権を、ナチス時代のベルリン五輪の様に五輪を利用しているという虚像の下に危機感を高めて居られる皆さんには本当に哀れと思わずには居られません。彼らの目には韓国がユダヤ人に、自民党政治がホロコーストや国会放火事件を引き起こした勢力に見えているらしい。
元日本共産党員名無し様
アスリートは瞬間の勝負に全てをかけ、勝負の結果をいさぎよく受け入れます。
まさに一期一会、般若の知恵の実践者です。
彼ら彼女らの真剣勝負を見てると、因果応報に思いをはせ、人間の存在意義についてもさえ考えさせられます。
大袈裟で自己満足的な感覚かもしれませんが、日本共産党という、アスリートと対極に位置する、執着心にまみれた受容心の無い団体をご存知の元日本共産党員名無し様が、アスリートの魅力に開眼したのは自然の流れでしょう。
クラウドファンディングで寄付を募ってるのは、ちょっと以外だったのです♪
周囲にも野球が好きだって言う人は結構いるので、こういうのをはじめたら、そういう人たちからあっという間に集まるんだと思ってたのです♪
毎日の更新ありがとうございます。
本日、オリンピック村から近い、朝日新聞の近くを通りました。
何と、かの戦犯旗新聞社は社旗の掲揚を自粛していました。
かの国の選手が競技場に向かう時に、目に入らないように配慮されたようです。
少しは日本国民にも気を使っていただきたいものです。
旗幟を鮮明にするということ言葉あります。
太極旗をモチーフとしたデザインに変更することをお勧めします。
「東京都板橋区にある築47年の旧公団マンションの一室で80代の高齢夫婦とみられる遺体が見つかった」。気の毒な事ですが、今後ますます増えるでしょう。
板橋区って言うと捻くれ者の私など、イメージ的に23区では◯◯◯だが、こういう老朽アパート、建て替えすべきマンションは腐るほどあると思います。東京新聞社が東京五輪に掛けて、話題にするほどでは無いでしょう。五輪とは何も関係ない。
五輪盛り上がってますね。日本選手の活躍ぶりも素晴らしい。でも2020年を目標にしていた為、1年延びた事でモチベーションが保てず、昨年度に引退した日本代表選手、五輪内定選手がいます。
「怪我から復帰してスランプからも立ち直り、やっと間に合ったと思ったらコロナで延期。もう精神的に無理です」と言って引退して行きました。辛かっただろうな、と思います。
新聞社という言論機関なら、泣く泣く引退に踏み切ったアスリート達の方が可哀想だと思いませんか?何故こういう異常事態での開催になったか、政府が悪いじゃなくて、脳に汗かくぐらい、考えて下さい。