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韓国メディア、東京五輪と無関係に「南北和解」に期待

韓国の政府関係者や一部政治家、一部メディアはこれまで、主催国である日本の意思を無視し、「東京五輪を南北和平の場にしよう」、などと勝手に提唱して来ました。個人的には今回の東京五輪において韓国の存在をあまり感じないのですが、昨日も「速報」的に取り上げた「通信回線回復」という話題も、おそらくは東京五輪と無関係なものでしょう。引き続き、日米両国は緊密に連携し、北朝鮮問題に対処すべきであることはいうまでもありません。

東京五輪の政治利用

「東京五輪で南北和平」?

昨年秋口ごろからでしょうか、韓国メディアの報道を眺めていて気付くことがあるとすれば、韓国政府関係者、政治家、メディアなどから「東京五輪を契機にした南北和解」という発言が相次いでいることです。

たとえば、昨年11月には韓国から朴智元(ぼく・ちげん)国家情報院長や金振杓(きん・しんひょう)韓日議連会長一行らが相次いで来日していました。

その際、『韓日議連会長「日本政府が東京五輪に金正恩を招待も」』でや『韓日議連会長「強制徴用問題しばし縫合し交流協力を」』などでも取り上げたとおり、韓国側からはなかなか強烈な提案がありました。

  • 東京五輪を韓日関係修復と朝鮮半島和平再開の契機にしよう
  • 東京五輪に金正恩委員長(※1)を招待しよう
  • 東京五輪までの間、強制徴用問題(※2)をしばし縫合し、文化交流から始めよう

(※1)「金正恩委員長」とは北朝鮮の独裁者である金正恩(きん・しょうおん)のこと。

(※2)「強制徴用問題」とは自称元徴用工問題のこと。

なかなか、凄い話ですね。

執拗に日韓首脳会談を迫る韓国

ところで、日本を代表する韓国観察者である鈴置高史氏は、こうした韓国の態度を、「東京五輪を人質に取って日本に首脳会談を迫る姿勢」などと喝破していますが(『鈴置論考で読む、「東京五輪」人質に首脳会談迫る韓国』等参照)、韓国のその後の動きは、この「鈴置説」と整合するものです。

というのも、韓国側はその後も執拗に日韓首脳会談を迫って来たからです。

たとえば、昨年12月には「日中韓3ヵ国サミット構想を、今年の議長国である韓国で開催する」という構想が韓国側から流れて来ましたが、これについては実現せずに流れました(※現在の韓国政府にそれを開催するだけの調整力もない、ということでしょうか)。

また、今年5月に文在寅(ぶん・ざいいん)大統領が訪米した際には、一部のメディアから、「この訪米に合わせて菅義偉総理大臣ももう1度訪米し、日米韓3ヵ国で首脳会談を実施する」、という情報も流されていたようです。

さらに、6月の英コーンウォールのG7首脳会合では、ゲスト国首脳として招かれていた文在寅氏が、菅総理に数回近づき、あいさつを交わしたようですが、首脳会談の実施には至りませんでした(『文在寅韓国大統領、日韓首脳会談が開催できず「残念」』等参照)。

そのうえで、直近は文在寅氏が東京五輪を契機に訪日して首脳会談を開く、といった構想も出て、最終的には「赤坂迎賓館で首脳会談が開かれる」とする虚報を読売新聞が流した当日に、文在寅氏の訪日断念が公表された(『文在寅氏訪日失敗:なぜ読売新聞は「間違えた」のか?』等参照)次第です。

こうした文在寅氏の態度をもっともうまく説明する要素があるとすれば、それは「北朝鮮」でしょう。

同じく鈴置氏の「ブラックスワン・ストーカー」仮説(『鈴置論考、「日韓の」ではなく「韓国の」特殊性に言及』等参照)にもあるとおり、やはり「北朝鮮」というフィルターを通せば、スッキリと説明できる部分が多々あります。

東京五輪で存在感がない韓国

さて、韓国の行動については上記で振り返ったとおりですが、現実に東京五輪が韓国側のいう「韓日和解と朝鮮半島和平プロセス再開のきっかけ」になったのかといえば、それは全面的に「ノー」でしょう。

そもそも韓国政府側の要求水準が高過ぎたためでしょうか、日韓首脳会談どころか文在寅氏の来日構想自体が頓挫し、今回の五輪では、日本における韓国の存在感は例の「横断幕」や「放射能フリー弁当」などくらいしかありません(『ハンギョレ社説「韓日関係で日本が譲歩しなくなった」』等参照)。

それどころか、あまりにもナチュラルに外国を見下し過ぎたためでしょうか、韓国のテレビ局が外国を貶めるような不適切な放送を行い、対照的に在韓ウクライナ大使館は非常に抑制的で紳士的な対応をする、という椿事もありました(『韓国テレビ局の不適切行為に紳士的なウクライナ大使館』等参照)。

敢えて個人的な主観に基づく感想を述べるならば、まさに韓国の醜態の数々は、「日本の常識は韓国の非常識」であると同時に、「韓国の常識は世界の非常識」であることが、如実に示されたようなものではないかと思います。

南北関係

唐突に出て来た、北朝鮮

もっとも、結果論だけでいえば、「東京五輪の期間中に」、韓国が望んでいた「南北和解」プロセスに前向きな材料が出て来ました。昨日の『唐突な「南北接近」は韓国の対日行動に影響を与えるか』でも取り上げたとおり、南北朝鮮の通信回線が、13ヵ月ぶりに復活したからです。

北朝鮮も「背に腹は代えられない」のでしょうか、それとも「溺れる者は藁をも掴む(※ただし藁以下)」、なのでしょうか。

ただし、今回の話はどちらかというと、韓国が目論んでいた「東京五輪を契機とした南北和平」ではなく、(おそらくは)東京五輪と無関係に出て来たものでしょう。たまたま時期が東京五輪と重なっていたというだけに過ぎません。

これについて考える前に、いくつか気になる北朝鮮の事情について、振り返っておきましょう。

昨日も紹介した一部メディアによれば、親書の交換は今年4月頃から行われていたのだそうですが、もしそうだとすれば、北朝鮮の物資不足、食糧危機などが報じられ始めた時期とも、ピタリとではないにせよ、整合しています。

とくに、北朝鮮で今年、食糧事情が極度に悪化しており、生活必需品も極端に不足しているため、外交官の北朝鮮脱出も相次いでいるとの報道もありました(『北朝鮮で食糧危機?トウモロコシの価格が倍との情報も』等参照)。

北朝鮮から外国人大量脱出、必需品の深刻な不足で=ロシア大使館

―――2021年4月2日 14:36付 ロイターより

ちなみに2月には、「ロシアの外交官と家族が手押しトロッコで北朝鮮から脱出した」という報道が、全世界を大々的に駆け巡ったのも記憶に新しい点でしょう。

ロシア外交官と家族、手押しトロッコで北朝鮮を出る

―――2021年2月27日付 BBC NEWS JAPANより

国際社会による経済制裁と制裁逃れの摘発、さらには2020年冬からの新型コロナウィルス感染症拡大に伴う国境封鎖などが、北朝鮮経済にそれなりの打撃を与えている可能性は十分にあります。

もちろん、無辜の日本人を拉致して返さず、人民が食うや食わずで飢えるなか、ブクブクと太った独裁者が核・ミサイル・大量破壊兵器を開発している異常な国に対し、経済制裁の手を緩めるということがあってはならないのは言うまでもありません。

ハンギョレ新聞の社説「南北関係の全面回復の契機に」

さて、昨日の通信線の復旧を受け、韓国の「左派メディア」として知られる『ハンギョレ新聞』(日本語版)に今朝、こんな「社説」が掲載されていました。

[社説]通信線の電撃復旧、南北関係の全面回復の契機に

―――2021-07-28 07:43付 ハンギョレ新聞日本語版より

ハンギョレ新聞の主張の要諦は、「膠着状態に陥った南北関係の改善に青信号」、「朝鮮半島平和プロセス再稼動を期待」、というものです。

といっても、事実関係でいえば、復旧されたのは南北の電話・ファックスに関する通信連絡線であり、南北首脳間のホットラインは復旧されていない、としています。

ただ、それにしても、ハンギョレ新聞は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が親書を交換する直接のコミュニケーションを通じて通信線の再稼動に合意したという点で、よりいっそう意味が大きい」として、今回の通信線再開を歓迎。

あわせて、「南北が再び力を集め南北関係を回復し、引いては朝米関係の改善と朝鮮半島平和プロセスの再稼動のきっかけとなることを願う」、と述べています。

また、ハンギョレ新聞の社説は、今回の通信線の復活については南北関係が「ひとまず再び跳躍するための踏み台」であり、「新型コロナウイルス感染症の防疫などの保健医療での協力や食糧支援、離散家族再会などの人道支援と交流協力から、本格的な関係改善を始められるはずだ」と期待を寄せます。

たかが通信線が復活しただけで、ここまで狂喜乱舞するハンギョレ新聞に対しては、正直、やや戸惑います。

もちろん、どんな主張をなさるのも勝手ですが、相手が核開発の意思を持った国であり、過去に何度も何度も国際社会を騙し、核開発を継続して来たという事実を無視して、さすがに「米朝関係改善と朝鮮半島和平プロセス再開」とは、虫が良すぎる気がします。

文在寅政権のホンネ

ただし、ここでの注目点は、そこではありません。ハンギョレ新聞は韓国の現政権に近いだけに、文在寅氏のホンネを垣間見ることができる、という点にあります。

今回の社説でも、こんな記述があります。

2019年2月のハノイでの朝米首脳会談の決裂以後、2年以上南北関係と朝米関係が出口を探せずにいる。このような状況で南北首脳が南北関係において突破口を用意し、朝鮮半島の平和を主導的に導くという意志を示したと解釈できる」。

ここでいう「主導的に」とは、2018年春先に韓国で盛んに主張された「運転席理論」のことでしょう。

これは、「文在寅大統領自身が朝鮮半島和平プロセスの『運転席』に座っている」とする、いわば「自己満足」の一種であり、たいていの場合は「日本が蚊帳の外」という主張を伴います。

ただ、個人的な見解ですが、2019年2月のハノイ米朝首脳会談の決裂は、韓国が「運転席に座る」どころか「運転」すらしていなかったことが大々的にバレた出来事だったと考えていますし、北朝鮮としても韓国に対する決定的な不信感を抱く事件だったのではないかと思います。

日米連携が今まで以上に重要に!

この点、北朝鮮の意図がどこにあるのかについては、現時点では推測の域を出ません。

ただ、ハンギョレ新聞の社説は、南北関係と米朝関係の「改善」のために、「米国は、北朝鮮が対話の場に出られるよう、もっと明確なシグナルを出さなければならない」と主張します。

具体的には、「北朝鮮制裁の緩和」、「8月の米韓合同軍事演習の調整」など、「朝鮮半島情勢を安定的に管理すること」が必要、というわけです。おそらくこのあたりが北朝鮮と、その北朝鮮の意向を受けた文在寅氏の「ホンネ」、といったところでしょう。

米国が北朝鮮制裁の安易な緩和に同意しないよう、日本政府としても、米国との連携が今まで以上に必要な局面が到来した可能性はありそうです。

新宿会計士:

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  • >これは、「文在寅大統領自身が朝鮮半島和平プロセスの『運転席』に座っている」とする、いわば「自己満足」の一種であり、たいていの場合は「日本が蚊帳の外」という主張を伴います。

    「自己満足」というか、やはり「マスターベーション」がしっくり来ます。

    文在寅氏にはK国改めG国の「マスター・オブ_マスターベーション」元首として、マスマスご活躍して頂きたいたいものです。

  • >「溺れる者は藁をも掴む(※ただし藁以下)」

    謝れ!藁に謝れ!

    お約束なので。

    • 遠藤周作氏が面白いことを書いていました。アメリカ人がwaterと言うとワラーに聞こえると。なので、溺れる者はワラーをもつかむ、即ち[水をもつかむ]となって、あながち間違いでもないと。
      ここで、藁以下と言うことは、溺れる某国は水をもつかむ、ってことですね。

      • りょうちん 様

         つまり、北朝鮮を崩壊させるのは韓国という事になりますね。
         どうやって崩壊させるのかはわかりませんけれど、

        密貿易がバレる→韓国、安保理から経済制裁→韓国経済崩壊→なぜか北朝鮮経済も一緒に崩壊

        ウォンドルが飛んで行く→韓国経済崩壊→あらゆる金融機関が韓国の資産を差し押さえ→なぜか北朝鮮経済も一緒に崩壊

         この線があるかもしれません。

  • >「米国は、北朝鮮が対話の場に出られるよう、もっと明確なシグナルを出さなければならない」

    せっかく南北の通信線が復活したんだから、米国に注文出すよりも、
    「北朝鮮は、米国が対話の場に出られるよう、もっと明確なシグナルを出さなければならない」
    みたく、北朝鮮に注文したらいいのになって思うのです♪

    核開発を止めたって証拠付きで提示すれば、米国は喜んで対話の場に出てくると思うのです♪

    • 七味さま
      対外的には、南北合わさって、どうやってアメリカを騙そうか打ち合わせをしてるんだと思います。
      北朝鮮の証拠を信じる所は、まだまだ。
      まずは、IAEAの査察を受け入れる所が、スタート地点になると思います。

  • 南北和解など努力してできるようなら、そもそも朝鮮戦争など起こらなかったのでは?

    • 匿名2さま
      そうです。
      和解では無く、北朝鮮に併合して貰うんです。

      • だんな様に一本とられました。なるほど。併合して貰う・・ですか。何か、ぶんざいん大統領はハーメルンの笛吹き男みたいな人ですね。

  • > ロシアの外交官と家族が手押しトロッコで北朝鮮から脱出した

     女優の小林千登勢の著作、「お星さまのレール」を思い出しました。
     平壌に住んでいた一家がソ連兵と朝鮮人に家を取られ、命からがら38度線を南へ超えて逃げて来た話が書かれてました。

    • とある福岡市民様

      この小林千登勢氏の「お星さまのレール」ですが,ネットで調べると小説版とアニメ版とがあり,アニメ版は原作の小説版には全く存在していない内容(創氏改名された朝鮮人の少年とか半島で日本は色々と悪いことをしたといった記述など)が勝手に加えられて,原作とは逆の反日的な代物へと改竄されているようです.

      更に小説版に対するアマゾンのカスタマー・レビューが単行本版に対するものも新書版に対するものも区別せず纏められているので混乱しているのですが,それらのレビューを読んでいると,どうやら小説版に関しても内容改竄(著者が半島で経験した酷い体験の記述が削除されている等)が行われた版が本来の版存在しているように読めるのです.

      アニメ版も小説版の単行本版も新書版も出版社は全て同一なのですが,一つの出版社の中で内容の改竄が,恐らくは著者の小林千登勢氏の死後に無断で行われたということなのだと個人的には推測しています.ここまで来ると,もはや(恐らくは在日朝鮮人か左翼による)立派な謀略であり,頭に来るのを超えて怖ろしさすら感じずには居られません.

      著者の小林千登勢さんが伝えたかったことが正しく載せられている版を読みたいのですが,上に書いたような混乱によって,正しい内容の版はどのISBNのを買えば良いのか判りません.

      とある福岡市民様が同書に関して上に書かれている文章を拝見すると,小林氏が伝えたかった正しい内容の版を読まれたようですので,読まれた本がお手元にありましたら,ISBNもしくは出版社と奥付の出版年月日および本の判型(四六判とか新書とかA5判とか)をお教え下さると幸いです.

      お手数をお掛けして恐縮ですが,事情を御賢察の上,御教示の程どうぞ宜しくお願い致します.