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日韓関係の前提条件を無視し「文明論」に逃げ込む詭弁

知的好奇心は「詭弁の前提条件を疑うこと」でも刺激される

知的好奇心を刺激する活動をするうえでは、必ずしも「優れた文章」は必要ありません。ときとして、詭弁、論点の誤魔化し、すり替えなどが行われている文章を読み、それらの問題点を指摘する活動自体が、知的好奇心の刺激につながることもあるのです。そして、当ウェブサイトで大切にしているのは、「客観的事実とロジック」をもとに何らかの結論を導くことであり、その際には「前提条件を疑う」のも大切だと考えているのですが、その典型的な事例を発見したので報告しておきたいと思います。

コロナと論考

客観的事実と主観的意見――東京都のコロナの事例

これまでに何度となく報告してきたとおり、当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』ではこれまで、「客観的事実」と「ロジック」を重視して議論を展開しようと心掛けてきたつもりです(※それが実践できているかどうかについては読者の皆さまのご判断に委ねたいと思います)。

ここで、「客観的事実」とは、「誰がどう説明しても同じ内容となる情報」のことです。

たとえば、東京都は昨日、都内の新規陽性者数が1128人だったと発表しました。

東京都・7月24日(土)の状況
  • 新規陽性者数…1128人(前日比▲231人/前週比▲282人)
  • 7日間平均値…1346人(前日比▲40人/前週比+334人)

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータをもとに著者作成)

このデータを見て、たとえば次のように述べたとしたら、それは「客観的事実」です。

東京都では2021年7月24日、新規陽性者が1128人発生した。前日と比べて231人の減少、前週と比べて282人の減少で、7日間平均値は1346人と前日比40人減少した。

もちろん、この表現については、細部を変更し、たとえば次のように言い換えることもできます。

  • 東京都の令和3年7月24日における新規陽性者数は1128人だった。
  • 東京都の2021年7月24日における新規陽性者数は1128人でした。
  • 東京都の新規陽性者数は1128人(2021年7月24日基準)だ。

どれも、微妙な表現は異なっているにせよ、日付、人数などのデータが一致していることが確認できると思います。

しかし、これについて次のように述べたら、それは「主観的意見」です。

東京都では連日、感染者が1000人を超すなどの『感染爆発』が生じており、このままでいけば、これから間違いなく医療が逼迫し、医療崩壊に至るだろう。

思考パターンの例:統計的事実を列挙する

では、こうした主張について、どう考えるべきでしょうか。

ここで、せっかくコロナについての議論を紹介したので、コロナを例に事実関係を簡単に確認してみましょう。

この点、そもそも東京都が発表しているのは「新規陽性者数」であって「新規感染者数」ではない、という「事実誤認」もあるのですが、この点を脇に置いたとしても、「感染者が連日1000人を超したら感染爆発で、医療崩壊も発生する」という表現には、かなりの論理の飛躍があります。

むろん、防疫上の観点からは、感染者数については野放図に増えるよりも抑制される方が望ましいことは間違いありません。

ただ、それと同時に、現在の「新規陽性者」全体に占める年齢別の構造を分析していくと、俗に「高齢者」と呼ばれる60歳以上の層の割合が低下している(図表1)一方、若年層の割合が上昇している(図表2)という統計的事実もあります。

図表1 東京都における新規陽性者全体に占める高年層の割合

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータをもとに著者作成)

図表2 東京都における新規陽性者全体に占める若年層の割合

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータをもとに著者作成)

また、厚生労働省の資料によれば、そもそもこの感染症自体、重症化リスクが高いのは圧倒的に高齢者であるとされており、30歳代を1倍と置いた場合の重症化倍率は、10~20歳代で0.2~0.3倍、60歳以上で25倍~78倍にも達しているそうです。

年代別の重症化倍率:30歳代を1とすると…
  • 若年層:10歳未満…0.5倍/10歳代…0.2倍/20歳代…0.3倍
  • 中年層:30歳代…1倍/40歳代…4倍/50歳代…10倍
  • 高年層:60歳代…25倍/70歳代…47倍/80歳代…71倍/90歳代…78倍

(【出所】厚生労働省『新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識』P4)

仮説を組み立てる

こうした統計的事実をもとに、仮説を組み立ててみると、どうなるか。

あらかじめお断りしておくと、新規陽性者全体に占める高齢者の割合が減っている理由について、当ウェブサイトとして現時点で「確たる答え」を持っているわけではありません(※なお、個人的には「おそらくこれが原因だ」という答えを何となく持ってはいるのですが、それについてはまだ当ウェブサイトにて開示できる状態ではありません)。

ただし、いくつかの「ヒント」となり得るものを調べていくと、たとえばワクチン接種が急速に進んでいるという事実を指摘しておく必要があります。

「ワクチン接種記録システム(VRS)」などから判断する限り、高年層に対するワクチン接種は6月以降、急速に進んでおり、とくに一般の65歳以上向けの接種率は1回目で84%、2回目で65%に達しているという状況にあります(図表4)。

図表4 ワクチン接種実績と接種率
区分 接種回数 接種率
全体合計 76,153,812
うち1回目 45,650,928 35.91%
うち2回目 30,502,884 23.99%
65歳以上合計 52,729,143
うち1回目 29,797,938 83.97%
うち2回目 22,931,205 64.62%
医療従事者等合計 11,960,605
うち1回目 6,412,533
うち2回目 5,548,072

(【出所】VRSオープンデータおよび首相官邸ウェブサイト『新型コロナワクチンについて』データをもとに著者作成。ただし、VRSデータは7月21日までの接種実績、医療従事者等については7月19日までの接種実績。なお、「接種率」とは累計接種数を『令和2年住民基本台帳年齢階級別人口』【※エクセルファイル】記載の人口で割った数値。高齢者接種率は累計接種回数を3548万6339人で、全体接種率は累計接種回数を1億2712万8905人で割って求めたもの。「医療従事者等」については算出していない)

VRS生データのダウンロード方法
  • 次の文字列をウェブブラウザのURL欄に打ち込むと、その時点の最新データが取得可能
  • https://vrs-data.cio.go.jp/vaccination/opendata/latest/prefecture.ndjson
  • 上記文字列のうちの「latest」以降の部分を「{dt}/prefecture.ndjson」(※)に変えると過去データの入手が可能(※なお、{dt}は「yyyy-mm-dd」形式で日付を入力。たとえば「2021年7月11日時点のデータ」なら、{dt}の部分を「2021-07-11」に変換)

しかも、VRSへの入力遅延が日本全国でかなり発生していると思われる実情もあるため、現実には高齢者へのワクチン接種は現時点で1回目が9割、2回目が8割に達しているのではないかと個人的に考えています(※もっとも、これに関する正確な数値を試算するのは、現時点では困難です)。

フェアな議論が大切だ

この点、厚生労働省『ファイザー社の新型コロナワクチンについて』のページを眺めていても、「現時点では感染予防効果は十分には明らかになっていません」と明記されているとおり、「感染者(?)」に占める高齢者の割合が下がっている理由がワクチン接種によるものなのかどうかについては、よくわかりません。

ただ、最近懸念されている「デルタ株」を巡っても、あくまでも報道ベースではありますが、ファイザー社のワクチンには「予防効果自体は低いものの重症化を防ぐ効果がある」とする調査結果が出てきているそうです。

ファイザー製ワクチン、デルタ株の予防効果低いが重症化防ぐ-調査

―――2021年7月23日 21:15 JST付 Bloombergより

以上の事実を並べていくと、扇動的に、「感染爆発の影響により、東京都で今すぐ医療崩壊が発生する」などと警告されても、なんだかあまり説得力はありません。

もちろん、だからといって、「東京で医療崩壊は絶対に生じない」というものではありません。

先ほど挙げた「重症化倍率」は、あくまでもワクチン接種が進む前の、京都大学・西浦教授提供データなどに基づいて厚労省がまとめたものに過ぎず、この数値が「未来永劫、絶対的に正しい」などと決めつけるべきではありませんし、実際、若年層でも重症化している事例も報じられています。

ただし、客観的な事実(とくに数値)やロジックを無視して、「東京は医療崩壊する!」「菅義偉政権のコロナ防疫は大失敗に終わった!」などと決めつけるのは、議論として決して正しいものではありません。

やはり、議論がフェア(公正)に行われるためには、こうした客観的事実やロジックは必須である、という点については、何度でも強調しておきたいと思う次第です。

詭弁を見抜く

日韓関係論で「前提を疑う」

さて、当ウェブサイトで普段から申し上げているとおり、およそ世の中のありとあらゆる「論考」も、究極的には、①「その論者としての主観的な意見」と、②「その主観的意見の正しさを裏付ける証拠(とくに客観的事実やロジックなど)」という2つの構成要素に分解することができると思います。

その過程で、さまざまなテクニックが用いられるのですが、個人的に気に入っているものが2つあります。1つ目は「①自説を否定する事実や主張をわざと持ち出して来て、それを論破したうえで自説を補強する」という技法であり、2つ目は「②そもそもの前提条件を疑う」、という技法です。

そして、このうちの1つ目の技法は、新聞、テレビ、雑誌などの大手メディアを中心に、わが国の論壇でも頻繁に見かけるものです。

具体例を挙げましょう。

最近の「ホットな話題」のひとつである日韓関係については、こんな主張が見られます。

韓国は日本にとって、たしかに何かとフラストレーションが溜まる相手国だ。しかし、さまざまな理由があり、日韓はお互いに断交するわけにはいかない。だからこそ、何とか折り合いをつけて、うまくやっていくしかないのだ。

この手の主張、わが国の大手メディアなどの論壇では頻繁に目にする、一見すると「もっともらしい」ものですが、この主張の構造が先ほどの類型でいう「①自説を否定する事実や主張をわざと持ち出して来て、それを論破したうえで自説を補強する」に近いように見えます。

つまり、「韓国は何かとフラストレーションが溜まる相手国だ」、という部分は、「日韓は断交するわけにはいかない」というこの論者の主張に反する部分、というわけです。

しかし、「さまざまな理由があり、お互いに断交するわけにはいかない」という部分で、この前段の「韓国は何かとフラストレーションがたまる相手国だ」、という部分を「論破」すれば、この主張にはかなりの説得力が生じてくる、というわけです。

逆にいえば、「日韓はお互い断交できない」と主張する論考が説得力を獲得しようと思うならば、最近の日韓関係の状況という「不都合な事実」を論破するほどの、「日韓断交できない理由」を読者に提示できるかどうかが最大のポイントだと考えて良いでしょう。

日韓断交が「できない」と主張する3つの材料

結論からいえば、「日韓は断交できない」、「日韓関係を修復しなければならない」と主張する人たちの論考のなかには、この日韓間の「不都合な事実」を覆してまで、日韓が断交できない理由を説明できているというケースは、ほぼ皆無です。

あえて、そんな人たちの気持ちを忖度し、日韓断交ができない理由を3つばかり考えておきましょう。

①一衣帯水論

韓国は同じアジアの国として、地理的にも近く、歴史的にも文化的にも深い関係を持っている。日韓両国は一衣帯水の関係にあり、切っても切れない関係にある。また、過去に日本は韓国を「植民地支配」するという加害者としての歴史を忘れてはならない。

②経済関係論

日韓経済は「ヒト、モノ、カネ」の面で密接に結びついており、日本企業の多くが韓国に進出する一方、韓国の産業も日本製の製造装置や部品、素材などに強く依存しており、経済的側面から、日韓両国は相互に重要な関係にある。

③朝鮮半島生命線説

韓国は地理的に見て日本に非常に近く、この地域が日本の敵対勢力に入れば、日本の安全保障に深刻な脅威をもたらす。だからこそ、日本はあらゆるコストを払ってでも、朝鮮半島を日本の友好国に引きとどめておかなければならない。

ただ、3つ考えておいて恐縮ですが、このうち①については、当ウェブサイトではとくに取り上げません。

その理由は簡単で、①の主張については、これを否定・論破する主張や書籍などは、すでに数多く出版されています(たとえば、2005年に出版された『マンガ嫌韓流』などがその典型例ですが、最近だと韓国人ブロガーのシンシアリーさんを筆頭に、冷静な良書も数多く刊行されているようです)。

だからこそ、「日韓友好論者」の皆さんは最近、この①の主張にはほとんど触れず、かわって②や③の主張を中心に展開している、というわけです(※ちなみに②と③を「数字とロジックで」議論するのは、当ウェブサイトの得意分野でもあります)。

「軍事的・経済的に大切な日韓関係」

さて、①はともかくとして、②と③について確認していきましょう。

まず、②については、若干の事実誤認はあるにせよ、基本的にはそのとおりでしょう。

日本にとって韓国は3番目の貿易相手国であり(※貿易高では今年、台湾に抜かれて4番目に転落するかもしれませんが)、また、コロナ禍以前の2018年には両国の人的往来も1000万人を超えるなどの密接なつながりを持っていたからです。

また、③、つまり「朝鮮半島生命線説」については、さらに注意が必要です。「韓国は地理的に見て日本に非常に近い」の部分は、少なくとも「ウソ」ではないからです。

そして、たしかにこの地域が「日本の敵対勢力」に入れば、「日本の安全保障に深刻な脅威をもたらす」ことは間違いありません(※もっとも、「現時点で韓国は軍事的に見て、すでに日本の敵対国ではないか」、という突っ込みをしたい気持ちも山々ですが、この点はとりあえず脇に置きましょう)。

だからこそ、「地理的に近い朝鮮半島が日本の敵対国にならないよう、日本はあらゆるコストを払ってでも、朝鮮半島を日本の友好国に引きとどめ、安全保障面でも緊密な連携関係を構築する必要があるのだ」、という主張は、一見すると説得力を有しているのです。

しかも、もっと困ったことに、「米国」「中国」というファクターも無視できません。

このうち米国に関しては、日本、韓国と共通する同盟国であるという事実もありますし、米国を中心とする「日米同盟」、「米韓同盟」の2つの同盟を軸にした「日米韓3ヵ国連携」は、日本の平和と安全を守るうえで「欠かせない枠組み」である、というのが日韓友好論者の指摘です。

(※ただし、この手の主張を見かけると、「無能な味方は有能な敵を上回る脅威だ」という指摘が喉元まで出かかりますが、ここではとりあえずグッと飲み込みたいと思います。ここで重要なのは、あくまでも「日韓友好論者」の思考内容だからです。)

いずれにせよ、現在の主要な「日韓友好論者」の主張を眺めていると、その多くは、「現在の日本にとって、韓国が経済的・軍事的に無視できないほど重要な相手国である」、というロジックを使っているという特徴があるのです。

結論からいえば②は「必然」ではない

ただし、この先の議論でも関わって来る点でもあるため、ここで先に反論をしておきましょう。

まず、②の「経済的関係」について、です。

現時点において、日韓のサプライチェーン面での関係が強いことは事実ですが、それは「必然」ではありません。そもそも日韓の経済関係の基本は、「モノを作るためのモノ」(生産財や中間素材など)を日本が韓国に輸出し、それで日本が莫大な貿易黒字を計上する、というものです。

そして、『深まる日台関係:5月の合計貿易高も「台湾>韓国」に』でも指摘したとおり、正直、日本にとっての韓国は、貿易相手国としては、「代替可能な選択肢」のひとつに過ぎません。日本の貿易黒字を支えている「半導体製造装置」については、韓国ではなく台湾に売っても良いからです。

いや、もっと言えば、民主党政権禍で日本の半導体産業は壊滅状態に追い込まれましたが(※たとえば、エルピーダメモリが倒産したのは、民主党政権末期の2012年です)、もともと日本には半導体産業を再興するだけのポテンシャルは十分にあるはず。

適切な産業政策と財政・金融政策のミックスで、日本自身が「半導体強国」として復活することだって不可能ではありません。韓国が「半導体強国」の地位から追い落とされれば、日韓貿易高は急激にしぼむかもしれない、という意味でもあります。

また、経済活動は「ヒト、モノ、カネ」だといわれますが、コロナ禍で人的往来が中断している点はしかたがないにせよ、日韓間で関係が深いのは「モノ」のつながりであり、『日本の金融機関、香港と韓国への与信額が減少傾向に』で述べたとおり、カネの面では関係は決して深くありません。

(どうでも良いのですが、日韓関係を議論する際に、隣国同士にしては日本の金融機関から韓国への与信が非常に少ないという統計的事実を、なぜか日韓友好論者の皆さんは一様に無視するのです。本当に不思議ですね。)

③については前提条件自体を疑うべし

一方で、日韓は軍事的な結びつきが強い、という点についても、注釈は必要でしょう。

そもそも、韓国は日本(や米国)にとって、本質的に「欠かせないほど大事な国」と言えるのか――。

その意味で、2018年12月に発生した火器管制レーダー照射事件は、非常に良い事例です。

これはもともと、石川県能登半島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、韓国海軍駆逐艦「広開土大王」が「北朝鮮漁船の捜索」をしていたとされるなか、日本の海上自衛隊のP1哨戒機がこの海域を偵察している際に発生した事件です。

そもそも韓国海軍がこの海域で何をやっていたのかという点もさることながら、問題の火器管制レーダー照射事件が発生した際に、韓国海軍側が自衛隊機の応答に答えなかった点、韓国政府が露骨なウソをついてかたくなに火器管制レーダー照射の事実を認めなかった点にも、極めて大きな問題があります。

火器管制レーダー照射自体、一般的には準戦闘行為、あるいは事例によっては戦闘行為そのものとみなされることもあるらしく、実際、さまざまな事例を調べていくと、火器管制レーダー照射をきっかけに、交戦状態に入ったという事例もあるようです。

しかも、韓国側は頑なに自分たちの不法行為を認めないばかりか、『日本の側が先に低空威嚇飛行を仕掛けてきた』という、素人目にもわかる露骨なウソをついてまで、日本を批判したのです。おそらく日本国民の多くは、この火器管制レーダー照射事件を契機に、韓国という国を再認識したのではないでしょうか。

さらには、2019年に生じた、日韓間の軍事情報保護に関する協定である「日韓GSOMIA」の「破棄スルスル詐欺」(『あれから1年:いまだにGSOMIA破棄できない韓国』等参照)などを見ていると、経済的理由をもとに軍事協力を揺さぶるような韓国の姿勢には疑念を抱かざるを得ません。

つまり、③については、そもそもこれが「正しいのか」という「前提条件」部分に、重篤な疑問を抱かざるを得ません。

逆にいえば、上記「③朝鮮半島生命線説」を理由にして、「日韓断交はあり得ない」、などと主張する方は、火器管制レーダー照射事件やGSOMIA破棄騒動を含め、「安全保障面で、韓国が日本の信頼を裏切る行動をしている点」について、ちゃんと説明する義務があります。

困った事例

「日本人が理解しなければならない韓国人のホンネ」

そして、それがちゃんと説明できていない典型的な事例が、『Yahoo!ニュース』に昨日掲載された、こんな記事です。

日本人が理解しなければならない「韓国人の本音」

―――2021/7/24 11:57付 Yahoo!ニュースより【Voice配信】

リンク先記事、ウェブページで3ページに及ぶ4000文字近い長文で、PHP新書『韓国の行動原理』という書籍を「一部抜粋・編集した者」だそうですが、先ほど申し上げた類型でいえば、「自説に都合が悪い事実を論破しようとして失敗した文章」の典型例と言わざるを得ません。

文章は、前半で「日本人の多くは、韓国の国家としてのふるまいに対して、反感や違和感を持っているにちがいない」、「それは、当然のことだ」と、一見すると日本の「嫌韓」感情に共感を示しているかに見えます。

とくに、2012年の李明博(り・めいはく)大統領(当時)の竹島上陸や天皇陛下侮辱発言、2013年の朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領(当時)の「千年」発言、さらには文在寅(ぶん・ざいいん)政権の慰安婦合意破りの事例を続々と列挙。

2018年の自称元徴用工判決、2021年の主権免除違反判決などにも言及したうえで、次のように指摘するのです。

もうすでに、韓国に対して『なにかを信頼して』『こわれた関係を誠実に修復しようと』努力しようなどというメンタリティは、日本人にはなくなってしまったと見てよい。韓国という国とは、関われば関わるほど裏切られる、という認識が、日本のなかでほぼかたまってしまったといってよい」。

あれ?一番大事な点の説明がありませんよ?

韓国司法の行為が国際法に照らして違法であることを指摘していないなど、議論としてはかなり不十分な点もありますが、それでも「記事の尺(長さ)の都合」でこういう記述に留まっているケースはありますので、この点は不問としましょう。

問題は、次の記述です。

しかし安全保障や経済の側面では、韓国と決裂するという選択肢はありえないのだし、もっと文明論的にいうなら、米国と中国が文明的な対立構造に突入しつつあるいま、日本が協力すべき相手としては韓国以外ありえないのである」。

これ、先ほどの類型でいうと、「韓国は関われば関わるほど裏切られる」という「不都合な事実」と、「それでも日韓両国が協力すべきだ」という著者なりの主張がバッティングする部分、というわけです。

逆にいえば、「なぜ安全保障や経済の側面で、韓国と決裂するという選択肢はあり得ないのか」をしっかりと説明できるかどうかで、著者の力量がわかります。しかし、そこをじっくりと読ませていただこうと読み進むと、驚いたことに、文章は突然、次のように「転調」してしまうのです。

ここで、大いなる発想の転換をする必要がある。つまり、たしかに韓国は、“きちんとした国家”としてはあるまじきふるまいをしているのだが、『ではそもそも韓国とは国家なのか』と考えてみる必要があるのだ」。

これは驚くべき「拍子抜け」です。

あまり決めつけるべきではないのですが、この記述から判断して、著者の方は「安全保障や経済の側面で、韓国と決裂するという選択肢はあり得ない」という「命題」を、「証明すべき事項」ではなく、「証明しなくても良い事実」とでも扱っているように見えてなりません。

文明論に逃げ込む、一顧の価値もない「詭弁」

著者の方は、この部分を説明せずに、いきなり「韓国とはちゃんとした国家ではなく、『運動団体』である」などと話をすり替えたうえで、こんなことを述べます。

憲法や法の『重み』が日本とまったく異なるのも、当然である。国家自体が軽く、柔軟で、変化による摩擦やダメージへのレジリエンスがある。国家自体が必要以上に鈍重で、かちこちに固まっており、変化への恐怖心に支配されている日本とは根本的に異なるのだ」。

詭弁です。

ここから先、延々と著者の方の「文明論」のようなものが続きます。興味がある方が読んでいただく分には自由にしていただければ良いと思うのですが、その反面、一番大切なことに言及されていない時点で、個人的には「一顧の価値もない」と判断せざるを得ないのです。

正直、著者の方が説明しなければならないのは、なぜ「安全保障や経済の側面で、韓国と決裂するという選択肢はあり得ない」のか、という点であり、その部分の説明から逃げた状態で、いくら「日韓で法の重みが異なる」などと詭弁をこねくりまわしても意味がありません。

少々厳しいことを申し上げるならば、「文明論」を論じるのは自由ですが、それを論じたいなら下手に経済・軍事の前提条件を出すべきではなかったのではないでしょうか。

なお、どうでも良いのですが、肝心の著者の方の文明論も怪しいものです。こんな記述もあるからです。

韓国だけではない。北朝鮮も中国も台湾も、正常な国家ではない。『これから正常な国家になるために運動している中途半端な状態の国家』なのである」。

著者の方が自分なりの文明論を適当に述べるのは勝手にしていただければよいのですが、少なくともこのくだり、「悪いことは言いませんから、台湾に謝った方が良いですよ」、と申し上げたい思いでいっぱいになります。

少なくとも中朝韓と異なり、最近の台湾は日本に対し、公然と約束を破ったり、支援しても逆ギレしたりはしていないからです(『台湾・蔡英文氏、日米に「まさかの時の友こそ真の友」』等参照)。

「前提条件を疑うこと」も知的好奇心を刺激する

さて、この著者の方がどんな詭弁をこねくりまわすのも自由であるのと同様、当ウェブサイトも当ウェブサイトとしての主張を展開する自由があります。

先ほど、「自説に反する事実や主張をわざと論破する手法」とならんで、「そもそもの前提条件を疑う」という手法を紹介しました。これを使わせていただくならば、そもそもの日韓関係において、「安全保障や経済の側面で、韓国と決裂するという選択肢はあり得ない」という「大前提」を疑うことが大事だと申し上げておきましょう。

といっても、「経済」と「軍事」については、先ほどの議論で論じ尽くしてしまったとおりですので、あらたに付け加えるべき点はありません。

いずれにせよ、当ウェブサイトでは「読んでくださった方々の知的好奇心を刺激すること」を目標に掲げているつもりです(それが実践できているかどうかは別として)。

そして、その「知的好奇心を刺激する思考」の材料は、必ずしも優れた論考である必要はなく、むしろ、「必ずしも優れているとは言い難い文章」であっても、「詭弁、話のすり替え、ごまかし」などを見破ること自体が知的好奇心を刺激する活動ではないでしょうか。

その意味では、ウェブ評論というのは本当に面白い活動であり、なかなかやめられそうにないと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (94)

  • 特亜三国という中途半端な国家が、力による現状変更しようとしてるから、国際社会の禍の元になっているんだと思います。
    中途半端だから、ルールを守らなくて良いと言う事は有りませんので、ルールを守らせるため、ルールに応じた外交をして、特別扱いしてはいけません。

  • 昨日、感想を書いてしまったので二度寝します。
    おやすみなさい。

  • この転調、石田衣良のサイレント魔女リティーを彷彿とさせますね。以下、雑談からのコピペにちょっと加筆。

    >日本のように社会の安定性に最大の価値を置く国家とは根本的にまったく異なる国家だからこそできたことである。

    安定してたら革命ごっこができないですしね。というか、韓国みたいな恨が鬱積したところでは、定期的に革命を起こして上下をひっくり返さないと李朝みたいに恨が全身に回って死活問題になるのではないかと。ひっくり返して恨を相手に押し付けて、またひっくり返して押し付けて。陰中陽陽中陰の無い韓国の太極旗のように。(その過程で少しエアレーションされて解毒されているのかも) だから、あれは革新を求めているのではなく、革命を求めているだけですね。

    根本的には何かにつけて恨を溜めるのを良しとしてきたところと(孝らしいです)、何事にも祓って清めてそれも無理なら追放してをやってきたところとの差が現在の国民体制に色濃く反映していると思います。朝鮮はひっくり返さないと窒息死してしまう、日本は祓って清めてきた体制を維持したい。そういうことではないかと。

  • ちょうど同じ論考に関してコメントをさせて頂いたところです。

    https://shinjukuacc.com/20210724-00/#comment-176739

    自ら親韓派と認める人の主張なので、「日本が譲歩せよ」「日本もおかしいところがあるのではないか」という部分は、ほぼ無視してもよいのではないかと思います。我々の貴重な時間を費やす価値もないかと思われます。

    一方、面白い点もあります。

    韓国は、日本人が常識的に「これが国家だ」とイメージするような国家ではないのだ。韓国を国家だとは思わないほうがよいのである。「国家なき運動団体」だと考えたほうがむしろよい。

    親韓派からみても、韓国はまともな国ではないということです。韓国を市民運動の集まりと解釈すれば、日本が如何に対策すれば良いかも見えてくるのではないでしょうか。

    なお、台湾がまともな国に入ってないのは日本との関係を考えればおかしいのですが、民主主義体制がいまだに徹底されてない(特に国民党の統治下の場合)、中国本土との関係が整理されていない、という点では日本のような「ちゃんとした」国家か疑問がつく面があることをさしているなかと思います。
    (だからといって、韓国が「ちゃんとしていない」言い訳に使われるのは台湾に可愛そうですが)

    ともあれ、韓国が国家としての体をなしておらず、市民運動の塊とする部分には私は頷けるところがありました。

    日本が韓国に対応するには、市民運動に対するようにしなければならないということです。
    正面切ったまともな外交戦は通じないので、割り切って泥沼なゲリラ戦を戦う覚悟をしないといけないということでもあるかと思います。

    • チキンサラダ様
      本質は全くその通りだと思います。多くの市民団体が大義を振りかざし、至る所に出没し消え行く泡の様に見えます。それこそ憎っくき日帝残渣の法制度のお陰で都合よく勝手に解釈変更しながら何とか法的拘束力を維持出来るせいか、国家のように見えちゃうのは実は錯覚なのでしょう。日本も民主党政権樹立当時に菅直人を筆頭に自称市民団がこれ見よがしに闊歩していました。国民は騙され、以来、「市民団体=怪しい団体」と言うイメージが付き纏ってしまった。
      現与党の有力な次期大統領候補文在明は「国家成立の過程に疑問・その過程が不純である」的な意味で対日批判を織り交ぜながら公言していた。ならば、太極旗を掲げながら沸き起っている今の韓国人の異常なる愛国心との整合性に疑問が湧いてしまいます。
      今回五輪で韓国マスコミ筆頭に、対日本ばかりでなく諸外国に対しても異常なほどの嫌がれせ、目に余る醜悪な態度も彼等の精神が満たされない証か。
      小中華思想、朝鮮儒教、国家建設の大嘘、過去史からの逃避(反日教育と愛国教育)、強烈な劣等意識………本当に精神衛生上良い事ありませんね。
      この先、彼等は国家成立の矛盾を埋め合わせる為に再リセットを渇望していると思う。来年の韓国は選挙と内乱と経済苦の年かも知れません。

      • 韓国人が心の底でリセットを望んでいるとの意見、賛成です。
        これだけ反日にエネルギーが向かうのは、国内でよほど鬱屈が溜まっているからです。
        革命に近い出来事、たとえば南北が合同して金正恩を国王とする主体共産主義の国が生まれてもおかしくないですね。
        日本はとにかく降りかかる火の粉を最小限に抑えるようにしなければなりません。

    • チキンサラダ様

      >「国家なき運動団体」だと考えたほうがむしろよい。

      国家として国際社会から認知されているのだから、国家として対処するしかないかと思いますが。。

      この小倉という御仁、「運動団体だから容赦してやれ、特別扱いしてやれ!」と言っているようにに思われますが、ならば、韓国を特別な国として扱ってきた過去の日本の姿勢を肯定すべきなのでは?
      散々各運動団体や個人等の要請をくみ取ってきたのが日本外交だったかと思いますので。。

      韓国に甘えさせるのもいい加減にせい!、と言いたいです。
      ならば、イスラム国でも他のテロ組織も同じ扱いをしなければなりません。

      あくまで通常の国として扱い、近代国家として国際法を順守せよ!、というスタンスで必要十分かと思います。

      そもそも、この小倉という御仁、韓国を理解することが日本人にとって死活問題とおっしゃっていますが、理解してどうしろというのか、よく解りません。

      典型的な理念先行の学者の意見、朱子学の信奉者なのでしょうね。
      不快感しか感じませんね。

      • PONPON 様、

        仰る通り、この筆者は「韓国は未熟な国家だから、日本もそれにあわせてやれ」という主張かと思います。が、そんないつも通りの結論に我々の貴重な脳リソースを費やす必要はありません。親韓派の論考の結論が「だから韓国を助けてやれ」というのは、太陽が東から昇るほどに当たり前だからです。そこは読み飛ばしましょう。精神衛生上のためにも。

        逆に、親韓派でさえ、韓国が国家として未熟なことを認めているのは注目に値します。

        韓国を知ることは無駄ではありません。知らずに無視していれば、益々嫌がらせが続き、日本の尊厳と国益が損なわれます。
        「丁寧に無視」するにも、相手をよく知らなければできません。敵を知ることは非常に重要です。これはもう戦争なんですよ、武器を使わない現代の戦争です。
        「国際条約を守れ」という現在の対応は強力ですが、強力な手もいつかは対抗策を作られます。対抗策を作られたときのためにも、韓国の研究を欠かさず、次にどんな手が来るか予想しておかなければならないのです。

        • チキンサラダ様

          冷静な観点ではおっしゃる通りでした。
          ですが、どうも頭に血が上ってしまいがちです。
          韓国のことを理解しようとすればするほど、寿命が縮まる気がします。

        • >「韓国は未熟な国家だから、日本もそれにあわせてやれ」

          流石に時間切れですな。
          今後は「まともな国になったら相手してやる」でしょう。

  • >日韓は断交できない
    そんなことはない1965までしてた。中国とも断交してた。北朝鮮とはいまでもしてる。
    米韓同盟がなくなれば韓国との断交などすぐにできる。

    韓国は西側の一員、日米韓の枠組みの中にいるという地位を高く売ろうとしてるんだね。

  • 現代ビジネスから武藤元大使の寝言です。
    文在寅「支持率回復」のウラで、またまた韓国で「反日感情」がヤバいことになっていた…!
    https://news.yahoo.co.jp/articles/a6bb0404d501118bcedfe7502e888686a30e4449
    >菅義偉総理が文在寅大統領の実質的な日韓会談に消極的な態度を取ったことが反発を呼び、文在寅氏の支持率を後押しているのではないか。
    →反日を主張をすることで支持率向上を図ることは困難になってきている。また、次期大統領選挙でも日韓関係はそれほど大きなイシューにはならないであろう。

    矛盾してますよね。
    その上認識が間違っていて、菅総理の対応が韓国の反発の原因のように書いてます。
    親韓派として、首脳会談が無かった事に不満が有るようですな。

    • 現状、従北左派にとって、ポイントにできそうなネタは「反日」しかないので、次期大統領選で日韓関係が大きなイシューにならないだろうというのは誤りだと思いますが、それ以外の記述に特におかしなところはなかったと思いますが?
      菅総理の対応が韓国メディアにとってはいたく不満であり、文大統領の訪日失敗の原因だと断じているのは(韓国メディアにとっては)その通りでしょうし、特に文大統領が反日を叫ばずとも、与党政治家たちは「とにかく日本が悪い」と合唱しているのですから、容易に煽動される愚民たちが「大統領様は正しい。日本が悪い」となるのも、通常運転でしかありません。また、武藤元大使は「青瓦台は、まず韓国が譲歩しなければならないということを全く理解していない」と指摘してますが、これはその通りでしょう。だからこそ、協議すれば何とかなるという阿呆な勘違いが生まれているのですから。

      まあ、訪日失敗をめぐる韓国政府の内幕としては、牧野さんの記事のほうが参考になるとは思いますが。

      https://gendai.ismedia.jp/articles/-/85429

      • 牧野さんの記事、読み逃してました。ご紹介ありがとうございます。
        牧野さんの記事では、文大統領が訪日を望んでいた理由は単純に安倍首相の訪韓への返礼だということですか。流石にそれだけでは弱すぎる気がしますが、それ以外はとても納得できる記事です。

        • 私もそこは弱すぎるとは思ったのですが、もし本当にその通りだったとしたら、ちょっと背筋が寒くなるものがあります。何も考えてないを通り越してますから。
          文大統領の"病態"についてはいろいろと言われてきましたが、本当に認知症を疑ってしかるべきなのかもしれません。それも相当深刻な。

          • 文在寅大統領なら、純粋に返礼のためだけの訪問、ありますかねえ。
            ただ、そうなら、条件付き会談に拘った理由はわからないですね。
            純粋に返礼のためだけなら、略式会談で挨拶だけでも何の問題もないだけなので。

            ところで、牧野さんのこの記事からは、日韓の事務レベルは今は友好的にやってるのが伺えますね。
            これが良いことか、悪いことかはなんとも言えませんが。

          • 龍 様

            > ちょっと背筋が寒くなるものがあります。

             私も背筋がぞっとしました。暑いのでちょうど良かったです。

            > 本当に認知症を疑ってしかるべきなのかもしれません。それも相当深刻な。

             残念ながら認知症ではありません。なぜなら、認知症は正常な人の認知能力が低下する疾患です。
             文在寅は大統領になる前、朴槿恵に負けた9年前の大統領選挙の頃から既にこんな感じでした。おそらくもっと前、盧武鉉の秘書だった頃、さらには一緒に弁護士事務所を経営していた頃からこうであった可能性さえあります。

             だから鑑別に挙げた方がいいのは統合失調症と境界性パーソナリティ障害です。医学的な話をすると長くなる上におもしろくありませんので、後はWikipediaでもどうぞ。さらっと読んで「ふ〜ん」な感じで理解できれば十分です。

             統合失調症やパーソナリティ障害の人はコミュニケーションに深刻な問題を抱えているため、日本社会ではなかなか生きづらいです。実際、職場や作業所になじめず、引きこもりニートになったり精神科病院への入退院を繰り返す人も少なくありません。病状が落ち着いていて普通に社会生活を送っている人もたくさんいますが、それは抗精神病薬をきちんと内服しているとか、家族や援助者のサポートが手厚いとかのおかげです。本人は結構いっぱいいっぱいであり、何らかの強い刺激を受けてまた不安定に戻ってしまうケースも多々あります。

             文在寅もそういう人によく似た特徴があります。それがなぜ韓国では大統領にまで昇りつめる事ができたのか。
             「民主主義国家では国民のレベル相応の人しか代表になれない」から、とだけ述べておきます。

  • 詭弁に対してだけでなく、「前提条件を疑うこと」は大切ですね。
    科学も、従来の常識や前提条件を疑うことで、大きな発展を成し遂げてきました。
    逆に、「前提条件を疑うこと」を怠ると、大きなしっぺ返しをくらうことがあります。
    こちらのサイトの専門である経済の世界でも、同じことがありました。
    LCTM (Long-Term Capital Management) の破綻です。

    ノーベル経済学賞受賞者を集めて鳴り物入りでスタートした LTCM は、ブラック・ショールズ・モデルに基づくオプション価格の算出理論を駆使して、当初は巨額の利益をたたき出しました。
    しかし、先物などを用いた運用額が大きくなるにつれ、矛盾が露呈して破綻しました。
    ブラック・ショールズ・モデルの基本的な仮定である、「流動性が十分に大きく」「市場が連続である」という仮定を、自ら崩してしまったからです。
    研究職に携わる者にとっては当然の「前提条件を疑うこと」が、経済分野でも重要だと気付かせてくれた事件でした。

    • イーシャ様の投稿に好奇心を刺激されて、この投稿文を書きました。イーシャ様に感謝致します。

      今、大学の先生方が新型コロナの新規感染者数を予測するのに使用しているケルマックとマッケンドリックの感染方程式、この方程式にも大きな前提(仮定)があるために、定性的には有効であるが、定量的な議論をすることには限界があるそうです。
      その問題があるのは、単位時間当たりの感染者の増加人数を示す下記の第一方程式です。
      d S/dt = ―βSI
      この方程式の右辺にマイナスがついているのは、単位時間当たりの非感染者の減少人数を示しているからで、この符号をプラスにすると単位時間当たりに感染者の増加する人数になります。
      この方程式の詳細は、例えば下記を参照してください。 
      https://club.informatix.co.jp/?p=140

      これで二つケースを考えてみます
      ケース(1) 総人口数N=100万人の大都会で 初期感染者数S(0)=1000人の場合
      ケース(2) 総人口=1000人の村で 初期感染者数S(0)=1人の場合
      すると、ケース(1)は、ケース(2)の100万倍の速さで感染が拡大することになり、一人当たりの速さも1000倍となります。
      こうなる原因は、方程式を立てるときの前提=「人口は密集し、不特定多数の人との接触があり、それが全体に均質にまじりあっている」 というところにあります。大都会でもこうはなっていないので、この前提には無理があります。この方程式を用いて、80万人が感染する、という意見が発表された時には、この人は学者としてあまりにひどいと思いました。数理モデルでシミュレーションしたといっても、完璧ではないという例です。

      本件については、下記の書籍を参考にしました。
      「確率と統計のパラドックス」 スティーヴン・セン著 松浦俊輔訳 青土社
      なお、スティーヴン・セン教授がある雑誌に投稿された寄稿文の中にある文章が、日本のマスコミにもぴったりです。
      「ジャーナリズムの不能を治療して、記者が科学的にきちん処理をするようにする薬を誰かが発明してくれればと思う。それこそが、医学の進歩ということになろう」

      • 申し訳ございません。
        私の投稿文中の 初期感染者数を S(0) と記載したのは誤りです。 
        S(0)をI(0)に訂正して、お読みください。
        なお、S(0)≒Nとして計算しています。

  • > 韓国は、“きちんとした国家”としてはあるまじきふるまいをしている

     ここまでは理解できているのに、

    > 韓国は、つねに革新を求めて運動する団体である。
    > 日本も不動を決めこんでいないで自ら動いたらどうなのだ。

     結局は韓国マンセー日本ガーで終わっちゃうとはね。
     「韓国面」に堕ちると学者として、いや、人間としてもおしまいですね。

    • 結論部はお約束の日本批判なので、脳内でフィルターアウトするとよいかと思います。筆者も論理的に繋がる必要性すら感じてないでしょうから、読むだけ脳リソースの無駄遣いです。

      • 実際、それを示唆していますね。
        与えられた憲法を金科玉条の如く一言一句違えてはならないとする姿勢を、この筆者は明確に批判してますから。

  • いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。

    >たしかに韓国は、“きちんとした国家”としてはあるまじきふるまいをしているのだが、『ではそもそも韓国とは国家なのか』と考えてみる必要があるのだ」。

    この文章はモノスゴク大事なことと思いませんか?

    ①国家としての条件を満たすかどうか。
    ②条件を満たさない場合、主権国家としての権利を与えて良いか
    ③権利を与えて良くない場合、その人間をどう処置するべきか

    日本人は上記①~③を全部検討しないで韓国に「権利だけを与えて甘やかす」から、日本人が困るのです。
    自分の考慮不足ですべきことをしようとしないで困ることは「自業自得」であると思います。

    国家。正しくは国境線を備えた近代的な主権国家の最低条件は「神、もしくは絶対的なことの名目で無限に行動する事を認めない」ことにあります。
    ヨーロッパでカトリックとプロテスタントとが互いに「神の名において」異端を殺しつくそうとしたから、互いの支配者同士の国民が他の支配者の国民によって自分の国民が殺し殺され合う事のない様に国境線を作成しましたし、自国の国民同士が「神の名において」別の宗派の人間を魔女として殺し殺され合う事のない様に個人の範囲で基本的人権という形で個人同士が勝手なことを防いだ事が主権国家の成立条件です。

    つまり個人同士、国家同士が「絶対的な平等の観点」を満たす必要があり、一方で「相対的な不平等」ということを合わせて受け入れる必要があると思います。

    したがって序列社会である韓国は「根本的に主権国家の資格を満たさない」と思います。

    これを認識してから、主権国家の権利を認めて義務を免除するかどうかを議論しないから俗にいう「管理人様が書くような」朝鮮半島生命線論という歪んだ議論が大手を振って跋扈すると思います。

    正しい認識と処置。これを議論して日本が韓国等に行うべき事を決定するべきではないでしょうか。

    以上です。
    駄文失礼しました。

    • 少なくとも近代国家としての要件を欠いていますね。
      だから対応も近代国家のそれへとは違う対応をする必要がある。
      あとは、それを国際的に認知させるのが重要ですね。

      • チキンサラダ様

        当方の駄文にコメントを賜りありがとうございました。

        チキンサラダ様>それを国際的に認知させるのが重要ですね。

        同意します。全くその通りと思います。
        そういった意味で日本があの国から受けている不利益をきちんと他の国に見える様にする必要を感じます。

        それも外務省の大事なお仕事と思いませんか?

        以上です。駄文失礼しました。

        • 韓国の無法ぶりを国際社会に知らしめるのは、たしかに外務省の仕事です。
          その分野に関しては、文在寅大統領のおかしな活動のおかげもあり、ここ数年は徐々に進んできてるようです。
          もちろん、日本がこれまでに負わされてきた不名誉や損害を考えるとまだまだ足りませんが、良い方向には向かい始めてるように思います。
          外交官の中に韓国に甘い幻想を抱く人も段々少なくなってるようですし。
          願わくば、文在寅の後継政権が五十年ほど続いて欲しいですね。

          なお、対韓政策に関しても、安倍首相の功績は絶大です。やはり政治家が決断すれば、官僚は動くんですよ。

          • チキンサラダ 様

            >やはり政治家が決断すれば、官僚は動くんですよ。

            今の状況では、秋の衆院選が心配です。
            野党連合なんかが成立すれば、日本は韓国の奴隷になりますね。

          • 野党連合政権など、悪夢でしかないですね。安倍政権時代に築いた財産が全て吹き飛びかねません。
            オリンピックが成功裏に終わり、与党の支持率が回復することを心から祈っています。

      •   チキンサラダ 様
         近代国家の三要件というのがあるそうで、
        1.法律
        2.人民
        3.領土 のようです(順番に意味はありません)。
         まず、韓国は法律はあるようですが、遡及法も存在し、また恣意的に運用できるため、一応法はあるようですが、法治国家ではなさそうです。
         次に人民ですが、セウォル号で一体どれだけの人間が乗船し、何人死んだのかも判らないことから考えると、人民を把握していているとも思えません。
         最後に竹島も対馬も自分たちの領土と勝手に主張している点を考えれば、領土も把握できていません。
         以上の点から韓国は明らかに「近代国家」ではないと考えられます。
         そして、その指向はどんどんと「古代国家」へ回帰しているように思えるのですが、いかがなものでしょうか?

        • クマさんのパパ様、

          国家の3大要件は、領域、国民、そして、権力(政府)かと思います。

          それはさておき、韓国が近代的な法治の要件を欠くことごあり、古代的ですらある、というのには同意します。

          北センチネル島の島民と交渉するのに近代的な手法は尽く通用しません。

          相手が未開ならそれに応じた対応をこちらもしなければならないということです。

          • チキンサラダ様

            北センチネル諸島に関るのを止めて、一種の試験官(実験島)に
            した方が良いのでは、ありませんか?
            国連が定める特定公園みたいなものにすれば、何も問題はあり
            ません。 興味から棒で突くから問題が発生するのです。
            この問題は、特定国に対しても有効なのではないかと思います。
            その地域から出させないようにし、周りの国も棒で突くとか、
            好物は何かとか観察もしないようにすれば良いのだと思います。
            全ての国が、輸出入の停止、入出国の禁止等を実施し、枠外から
            出たら強制的に元の場所に戻す。 そして一番大事なのは関心を
            持たない事です。 可哀そうだからと刺激を与えるから、問題が
            起こると思いませんか? 何年かすれば、みんな忘れてしまうと
            思います。

          • くまさんのパパさん

            近代国家の三要素は、
            法律ではなく、チキンサラダさんのおっしゃるとおり、権力ないしは主権かとおもいます。

          • りょうちん様、

            日本海側の海岸の至るところに恐ろしくボロい木造船とゴミが大量に流れ着く未来が見えます。

          • すいません、お名前を間違えてしまいました。
            ちょろんぼ様、大変失礼しました。

  • 「約束は大切なもので、守られなければならない」日本人、文明国はこれを当然のこととしていますが非文明国では当然のことと思っていないのではと最近考えます。19世紀にイギリス軍およびその家族16000人以上が全滅したアフガン戦争が思い起こされます。安全を保障するから通行してよいとの約束で谷間にくると攻撃され、人質の命は助けると約束して投降したら、その後虐殺。当時のアフガニスタンの部族に約束という概念はなかったのだそうです。アメリカの仲介でアフガン政府とタリバンの合意が成立したようですが、守られるわけがない。今の朝鮮民族もそうなのかもしれません。核合意を全く守らなかった北朝鮮、慰安婦合意も日韓基本条約も守らない韓国。文明国ではないのです。

    • sqsq様

      sqsq様>文明国ではないのです。

      ならば例えば韓国にどう対応するべきでしょうか?

      韓国人自身は自分たちは世界中の文明の頂点の存在であり、野蛮な日本こそが命も全財産を差し出しても世界の両班様のご指示に従うべきだと考えていると思いますが(笑)。

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